2009年11月 8日 (日)

怒涛の週末

 さっき帰宅しました.

 例年秋はムチャクチャ活動的になる私ですが,今年はとりわけ激しいような気がします.この週末も全く家にいませんでした.

 今回は土日に加えて,いっぱい余っている年休をもらって金曜日から出かけてきました.3日間の予定はこんな感じです.

 11月6日(金) 第2回日光江戸村扮装ツアー(思いっきり私的イベント)

 11月7日(土) 盛岡で仕事関係の重要な会議(思いっきり公的イベント)

 11月8日(日) 仙台で来年1月のコンサートに向けた強化練習(やや私的イベント)

 さらに今回はJR東日本の土日きっぷを使ったため,山形城・多賀城・白河城の訪問もやってしまおうという欲張った日程となりました.

 6日の江戸村イベントは今年の7月に決行して楽しかったので,ぜひまたやろうと計画していたものでした.11月に入ってから急に冷えてきたので,日光は寒いだろうと厚着していったんですが,日頃の行いがいいのか天気は快晴(私を含め晴男・晴女が4人もいたからというウワサ),汗ばむほどの陽気でした.前回の参加者が中心でしたが,新手の人や無理やり扮装させられた人なんかもいて楽しかったです.もちろん写真を撮ったりして遊びました.夜は新選組関係の我が盟友コシゾウさんの屯所で宴会です.いろんな話題で盛り上がりました.私以外の非地元の参加者はそのまま夜の新幹線で帰宅,私のみ宇都宮に宿泊しました.

 で,翌朝11月7日は6時起床,7時の新幹線で一路北へ向かいます.前日は酔っ払ってブログの方,全く手付かずだったので車内でモバイルノートを広げ,さあ昨日の写真の一枚でもアップするかと思ったら… デ,デジカメがない!! とムンクの叫び状態になった私でした.さてはホテルかと前夜の宿泊先に連絡し見てもらうもそれらしいものは無しとの返事,では宴会の席かとコシゾウさんにメールして探してもらいました.結局無事に発見されたとの連絡がありホッと胸をなでおろしたのでした.

 さて7時に宇都宮を出たからといってそのまま素直に盛岡入りするはずもありません(笑い).乗った新幹線は実はつばさ号,そう山形行きです.山形に行って山形城近くの最上義光記念館で100名城スタンプをゲットしました(城郭そのものは以前じっくり見たことあり).

 その後は再びつばさ号で福島へ,そこでやまびこ号に乗り換え仙台,さらに仙石線で多賀城に向かいます.もちろん目的は多賀城のスタンプ,多賀城自体は昨年じっくり見学しているのでパスしました.

 そして再び仙台に戻り駅の立ち食いそばを食べて,新幹線でいよいよ盛岡入りです.駅で会議用の立派なスーツに着替えてタクシーで会場入りしました.緊張するイベントでしたが,なんとか無事に終了しました.その後は宴会(ワインがメインのお店でした)に参加して盛岡駅前のホテルに宿泊しました(寝る前に盛楼閣に冷麺を食いに行ったのはいうまでもありません 笑).

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(写真左) 白河小峰城,(同右) 盛楼閣の冷麺

 でもって,翌11月8日は朝6時に起床,6時40分の新幹線で一路南に向かいます.この日は仙台での練習なんですが,まっすぐ仙台に行くはずがありません(笑).仙台を通り過ぎてそのまま白河へ.ここで白河小峰城のスタンプをゲットして,その後仙台に戻り,練習そして帰宅となったわけです.

 またまた激しい週末でした.

200911081041000  白河駅はSuicaの首都圏エリアと仙台エリアのちょうど切れ目にあたるらしいです.まさに国境と感心したのでした.

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2009年10月27日 (火)

新型インフルエンザのワクチン

 先週月曜日(10月19日)から接種が始まった新型インフルエンザのワクチン,私のところはローカルすぎて来る気配もないという記事を先週書いたんですが,金曜日についに到着しました. 

Influ_008 (写真) これが新型インフルエンザ用のワクチンです.

 

 さっそく昨日から優先接種が始まったんですが,私は盛岡に出張中だったため本日接種となりました.当初新型のワクチンは2回接種という方針が出ていましたが,医療従事者については1回でよいというお触れのため,これにて完了です(実際にはワクチンの効果が出てくるには2~3週間かかりますが).

 まあなんにせよ,罹らないのが一番ですが,これから外来でもインフルエンザの患者さんが増えてくることは確実ですから,予防には気をつけていきたいと思います.

Influ_007 200910231358000

 (写真左) こちらが季節性インフルエンザのワクチンです.(同右) 接種証明書です.

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2009年10月19日 (月)

インフルエンザワクチン

 ニュースなんかでもやっていますが,本日10月19日から新型インフルエンザワクチンの優先接種が始まりました.すでに市中にかなりの広がりを見せている新型インフルエンザ,そのワクチンは国の指針に従って優先順位の高い人から接種していくことになっています.最優先で接種することになているのが医療従事者なんですが,報道ではさっそく本日から接種が始まった施設もあるようです.しかし都道府県によっては開始が遅れるところもあるようです.

 で,私のところなんですが,ローカルすぎるためか(笑)ワクチンがやって来る気配すらありません.

 そんなわけでまずは季節性インフルエンザワクチンからやっていこうということで,そちらのワクチンを接種しました.ツ反でも真っ赤に腫れる私はワクチン接種でも腫れてしまうのでした(あす以降痒くなりそうだ 笑).

 とはいえ,インフルエンザ対策はなによりもうがいや手洗いといった予防にあります.人ごみに出る時はマスク着用などみなさんもお気を付け下さい.

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2009年9月24日 (木)

意外な使い道

 病院で手術場に入る際に着用する衣装(?)がある.テレビドラマなんかでも出てくることがあるから見たことがある人もいるだろう.

Kyushuensei_254 (写真1) 手術室に出入りする際に着る衣装

 従来は綿素材のものが汎用されていたが,綿だと埃が立ちやすいという問題点があるためか,近年では化繊やディスポーザブルの紙製のものも使われている.

 手術室に縁のない診療科の医師には関係なさそうなアイテムだが,実はこれには意外な使い道があるのである.

 それは… 

 当直中の寝巻きとして

 医師の夜間当直(宿直)は看護師の夜勤とは違い,基本的には所定の場所に待機していて,何かあった際に仕事をする形である(だから宿直明けも普通に勤務させられる).したがって,用事がない限り夜中は寝ていられるわけだが,何かの折にはたたき起こされて働かなければならない.そんな時に,仮に持参したマイパジャマなんか着て寝てた日には,呼び出しとともに一々着替えしなければならず非常に面倒だ.かといって,日中の汗ばんだ服のまま布団に入るのはなんとも気持ちが悪い.

Kyushuensei_258 (写真2) 術衣改め寝巻きです

 というわけで,この術衣が活躍するわけである.さっとシャワーを浴びてこれに着替えれば,そのまま布団に寝てても大丈夫だし,何かの折には白衣を引っ掛ければ院内どこにでも行ける.

 かくして最近手術場で使われなくなった木綿性の術衣は専ら当直用の寝巻きとして活躍しているのでした.

Kyushuensei_257 (写真3) 夜中に院内を走り回る際はこうして白衣を引っ掛けます

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2009年9月18日 (金)

頭痛

 夏季休暇の旅行から2週間,反動で当直やら何やらで結構忙しい日々を過ごしています.今週末からは職場の同僚が旅行に出かけるので,また留守番です(ヨルダンに行くというウワサ)

 とはいえ明日から5連休なので,隙を見て出かける算段はしています(とはいえ私の場合,2日間当直が入っているのですが).

 それとは関係ないんですが,今日夕方頭痛がありました.実は私頭痛持ちでして,小学校時分から悩まされていました.ひどい拍動性の頭痛で,悪心・嘔吐を伴う頭痛です.今でこそ片頭痛と判るのですが,当時はそんな概念はなく,どうして自分はこんなひどい頭痛に悩まされるんだろうと思っていました.

 そんな片頭痛の他にもう一つ,別な頭痛も持ってます.これは緊張型頭痛と呼ばれるもので痛みはそれほどでないんですが,頭全体が鈍いように痛いタイプです.今日出てきたのは後者のタイプの頭痛でした.これにはいわゆる鎮痛剤というのが有効なんですが,私愛用の薬が写真の製剤です.

200909181940000  これはSG顆粒という薬で,アセトアミノフェン,アンチピリンとカフェインそしてアリルイソプロピルアセチル尿素の合剤です.頭痛専門の医師の中には合剤を嫌う人も多いんですが,私は効くから好きだったりします.

 実は以前この薬と類似成分のものでセデスGというのがありました.本SG顆粒中のアセトアミノフェンがフェナセチンに代わったものでしたが,乱用して副作用から腎不全になった人がでたため製造中止になったのです.配合から見てもわかるようにカフェインが入っているため依存性があります(カフェインには鎮痛作用がありますが,依存性もあります).

 このSG顆粒も頭痛に非常に有効ですが,依存性もあるため注意が必要です.

 で,頭痛の方ですが薬を飲んで20分くらいで効果が出て,今は軽快しました.

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2009年8月 4日 (火)

ペスト

 今日8月4日は久しぶりに一日中晴れでした.朝から夏の青空と湿気,そして蝉の声とまさに夏の一日です(なぜにこんな日に仕事をという気分になります 笑).

 そんな今日,ニュースで興味深い記事を見つけました.

 中国・青海省で「肺ペスト」発生

 私と医学の出会いは,小学校時代に読んだ野口英世の伝記でした.そこから伝染病に興味を抱き,保健室に出入りして,置いてある資料を読んだりしたのですが,当時はコレラペスト黄熱病などの伝染病(感染症)に恐れおののいていたものです.

 しかし衛生状態が格段に良くなった現代日本では,上記に掲げた感染症を見ることはなく,私もこの3疾患の臨床経験はありません.

 しかしこれらは世界的に見れば,決して過去の感染症ではなく,今でも時々発生が報告されています.コレラは東南アジアなどから時々日本にも入ってきますし,黄熱はいまだにアフリカを中心に蔓延している疾患で,入国の際に黄熱の予防接種証明書(イエローカード)を求められます.ペストについてもインドを中心に時々報告があります.ちなみにペストという言い方はドイツ語(Pest)で英語ではPlagueと呼びます.

 さて,本日のニュースで特に私の関心を引いたのは,今回のペストが肺ペストらしいからです.

 ペストは本来ネズミなどのげっ歯類に感染する病気ですが,ノミを介して人間にも感染します.原因となるのはペスト菌です.6世紀のビザンチン帝国時代からヨーロッパをしばしば脅かし,特に14世紀の大流行ではヨーロッパ人口の三分の一が死亡したといわれています.感染パターンから

 ① 腺ペスト

 ② 敗血症ペスト

 ③ 肺ペスト

 の3つに分けられます.このうち圧倒的に多いのが①の腺ペストです.これはノミに咬まれた傷からペスト菌が侵入して近在のリンパ節を腫脹させ痛み,発熱を起こすタイプです.次に多いのが②の敗血症ペストで,同じく咬み口から入ったペスト菌が血管内に侵入して全身感染症を起こすタイプで,病状が進行すると血液凝固系の異常から皮膚に出血斑が生じるのが特徴です(ここから中世には黒死病と呼ばれました).初期には特徴的な症状がないため血液培養以外に診断法がなく治療が後手になる恐れがあるタイプです.そして一番少ないのが③の肺ペストで,これはペスト菌によって肺炎で発症するタイプです.本来ペスト菌は飛沫感染しないので,肺炎で発症することはないはずですが,腺ペスト患者が進行して二次的にペスト菌肺炎に至り,そこから飛沫に乗ってペスト菌が他の人の呼吸器系に侵入するのでは,といわれていますがはっきりしません.

 ちなみにこの3病型の頻度ですが,ハリソン内科学によると1950年~1996年までのアメリカ国内のデータで,腺ペストが86%,敗血症ペストが12%,肺ペストが2%とされており,肺ペストが極めて稀なタイプであることがわかります.

Pestis_002 (写真) 今回ペストについて勉強しようと,普段は本棚の飾りになっているハリソン内科学を引っ張り出しました.

 今回中国ではこのもっとも稀な肺ペストが発生し,しかも集団発生しているという点が特徴的です.先にも述べたようにペストの感染経路は基本的にノミ→ヒトであり,ヒト→ヒトの感染は稀だからです.現地では一帯を封鎖したとのことですが,今後どうなるのか注目していきたいと思います.

 ちなみにニュースやWikipediaでは肺ペストの致死率は100%近いと出ていますが,ハリソン内科学によると,(1950~1996年アメリカのデータでは)約40%とのことです.

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2009年6月14日 (日)

総合栄養食品

 食事というものは時間をかけて,何品ものメニューを頂くのが理想なのだが,世の中なかなかそうもいかないシチュエーションもある.

 そんな時に重宝するのが,総合栄養食品と呼ばれるもの,一種類の食品に各種の栄養素がバランスよく入ったものだ.有名なものとして大塚製薬から出ているカロリーメイトがある.

 このカロリーメイト,出始めのころはお世辞にも旨いとは言えずなじめなかったのだが,時代を経るに従って味の方も鑑賞に堪えるようになってきている(そうでないと売れないのだから当然とはいえるが).

 その一方で,普通の流通経路に乗らない,たとえば医療現場でのみ使われるような総合栄養食品の場合は,味の良しあしよりもコスト面が重視される傾向がある.そのため,これらの食品は一口飲んで,「……」となるものも多い.

 職業柄そんなB級食品(?)のサンプルが私のところにやってくることがあるのだが,今回手にはいったのがこの2品である.

200906121044000

 ひとつはメイバランス,作ったのは明治乳業.そしてもう一つがグルコパル,製造はネスレであるどちらも有名メーカーだ.しかしてその中身は? メイバランスの方に挑戦した.

 ん? コーンスープ味? で,成分はタンパク質 7.5g,糖質 25g,脂質 7.5g,食物繊維 2.5g… 125mLで200kcalもある.カロリーメイトの倍近い濃さだ.しかも糖が 25g もあるのにコーンスープ味とは…

 勇気を出して飲んでみたんですが,一口目はコーンスープの味が口の中に広がります.しかしその後徐々に甘さと,油っぽさが強くなって,結局1本飲めませんでした.

 これを経口用栄養剤にするのは厳しいんじゃないかと思ったのでした(少なくともコンビニでは売れそうにない).

 

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2009年6月 5日 (金)

熱帯医学への憧れ

 私と医学の出会いは,おそらく小学校2~3年生の時の学習雑誌に連載されていた,野口英世の伝記からだったと思います.

Noguchihideyo

 野口英世は1876年に今の福島県猪苗代町で生まれ,1歳の時に囲炉裏に落ちて左手が不自由になってしまいます.その後15歳の時に友人らの援助で手術を受け左手が使えるようになったことから医学の道を志しました.

 その後アメリカにわたり様々な研究を行い,1918年に南米で(当時で言う)黄熱病が流行していた際には,当地を訪れて研究,ワクチンの開発に貢献して,これによって南米の黄熱病は終息に向かったといわれます(現代の知見ではこの南米の黄熱病は,ワイル病だったと考えられています).しかし1927年にアフリカでワクチンの効かない黄熱病(こちらが今でも知られる黄熱病)が流行しているということで,現地入りし研究途中で自らも罹患してしまい,1928年5月21日にアフリカのガーナで亡くなっています.

 幼少時にこの伝記を読んで,大いに感動した記憶があります.もちろん野口英世の生涯にはきれいごとでないことも多々あるんですが,それを抜きにしても,偉人であることに変わりはありません.

 それ以来私は熱帯病や感染症に興味を持ち,小学校時代にはよく保健室に出入りして,そこに置いてあった医学的な資料を読み漁っていました.コレラペストといった昔恐れられていた伝染病におびえていたものでした(当時の保健室のおばさんが面白い人で,「コレラがはやったら怖いぞ~」などと少年の恐怖をあおるような発言をしていました 笑).

 とはいえ,自分が実際にそういう業界に入ってみると,当時あれほど興味があったコレラ,赤痢,ペストといった感染症に出会う可能性はほとんどなく,自分も実際にコレラやペストの臨床経験はありません.

 で,なんでこんな話題かといいますと,先月からうちの医局にこんなポスターが掲示されていたのです.

Nettai1

 現地で学ぶ熱帯感染症研修だそうです.しかも場所はタイとミャンマーの国境付近,ある意味感染症の巣窟のような場所です.このポスターを見た瞬間,少年時代の記憶がよみがえりました.

 そこでポスターをさらに詳しく見ると… 参加資格として

Nettai2

熱帯医学や感染症診療に関心の高い若手医師とありました.

 うーん,若手って何歳くらいまでなんでしょう.精神年齢なら十分若手だと思うんですが(笑).

 その他にも感染症に関する業績の提出や,推薦状なんかも必要らしく,私が参加するにはハードルが高そうでしたが,久しぶりに少年時代のことを思い出させてくれたポスターでした.

 追記: 野口英世って,漫画家の故・加藤芳郎さんに似てません?

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2009年4月27日 (月)

ブタインフルエンザ

 またまたブログの更新が滞っておりました.

 さて表題は最近世間をにぎわせつつあるブタインフルエンザです.

 メキシコで確定例,疑い例が多数報告され死者も出ており,さらにはアメリカやカナダ,ヨーロッパにも症例が出現しているとの話しです.

 ブタインフルエンザ自体は以前から存在していたもので,ブタからブタへと感染するウイルス感染症です.症状としてはヒトのインフルエンザと同様(倦怠感,咳,鼻閉,くしゃみetc)です.本来はブタにしか見られない病気のはずですが,アメリカなどでは以前からブタからヒトへの感染例は存在していたようです.

 ただ今回問題になっているのは,このウイルスがヒトからヒトに感染する能力を持っている可能性があるためです.ブタからヒトに感染するだけなら,身近にブタがいなければ自分が感染する恐れはないですが,ヒトからヒトへとなれば感染リスクははるかに高まるからです(蚊を介してブタからヒトに感染する有名な病気に日本脳炎があります).企業の中にはメキシコの支社などから従業員を引き上げるなどの対応を始めたところもあるようです.

 今現在日本での報告例はないようですが,国は空港などの検疫体制を強化する対応を始めています.こうなってくると重要なのは何といってもみんなが正しい情報を入手して冷静に対応することです(原因不明の奇病が流行っているわけではありません).

 ブタインフルエンザといっても,ヒトのそれと同様呼吸器感染症ですから,感染源は咳やくしゃみなどによる飛沫感染やそれらが触れた手などを介する接触感染です.したがって対策は普通のインフルエンザと特に変わるものではありません.咳がある人はマスクをする,手洗いやうがいをしっかり行うなどの対策が有効です.ウイルスのついた飛沫を防ぐ目的で高性能のマスク(N95マスク)が売れているという話もありますが,このマスクはきちんと装着しないと効果が期待できないため注意が必要です(自分も結核の患者さんが発生した時に使用しましたがきちんと装着するとかなり苦しいです).現在使われているヒト用ワクチンは効果が期待できないようですが,一部の抗ウイルス薬は有効との報告です(文末に紹介したサイトより).

 スーパーなどには豚肉は大丈夫なのかという問い合わせもあるようですが,呼吸器感染症のウイルスが骨格筋に存在する可能性は極めて低いそうです(ブタインフルエンザに感染していたブタを処理する際に,そのブタの鼻汁が肉についたなどというケース以外は).また豚肉は本来なまでは食べず加熱調理しますから,万一存在したとしても感染する恐れは限りなく低いといえましょう(ウイルスは加熱によって死滅する).まあ,あえて感染するケースを考えれば,(可能性は低いですが)たまたまウイルスが存在する肉を素手で触り,そのまま手を洗わずにその手で鼻の穴をいじって上気道感染するなどという場合でしょうか.豚肉は栄養が豊富な食材ですから,感染への抵抗力をつけるためにも必要な食材と思われます.

 厚労省のホームページ内に,ブタインフルエンザに関連した情報が出ています.興味のある方はどうぞ.

  ブタインフルエンザに対する対応について

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2008年8月 2日 (土)

勤務医の置かれた状況

 ネットのニュースに興味深い記事が出ていた.

 医師4人に1人が36時間以上連続勤務

 地域の中核病院に勤務する医師の実態を調査したものだ.今年の3月まで自分も地域の中核病院にいたのでわかりすぎるくらいわかる話である.

 先日当直の話題で取り上げたのだが,地域の中核病院の当直はまさに夜勤であり,まともに睡眠時間が取れないくらい忙しい.それでいてあくまでも当直のため翌朝は通常勤務が待っている.調査では過去1週間の連続勤務について全体の1/4が36時間以上であったという.私も若い頃には3連続宿直の70時間以上勤務というのを経験したことがある(もちろんこれだけの時間起き続けているのは不可能で,数十分~1,2時間くらいづつ細切れで仮眠を取るのだが).こうなると最後の方は意識モウロウとなってくる.職業意識と極度の緊張感で間違いがないように仕事をするのだが,ちょっと気を抜くと意識がなくなったこともある(外来で問診中に意識を失いかけ,患者さんに「先生,大丈夫ですか」と同情されたこともあった).調査では一週間の労働時間が70時間以上(すなわち超勤30時間以上)という医師が25%以上いたそうだ.

 とはいえ,この事態は今起こったものではなく,少なくとも10年以上前からあったことである(私は脳卒中を取り扱う診療科のため,救急・夜間の呼び出しには縁が深い).ただそれが最近になってニュースに取り上げられているのは,これら勤務医の疲労が破断界に達しようとしているからであろう(このような環境下にありながら私が新選組まつりなどに参加できたのは,たまたま優秀なスタッフや同僚に恵まれていたのと,私自身の楽天的な性格のためであり,本当に偶然である).

 その原因としては昨今の国の医療費削減政策に起因する病院の収益悪化とその反動としての勤務量の増大,医療費の自己負担率の上昇などによる患者サイドの権利意識の増大(金を払っているのだから治って当たり前という意識)と医療訴訟の増加によるストレスがある.特に2006年に福島県で産科医が逮捕された事件(手術中に妊婦が死亡した責任を問われて医師が逮捕された事件.極めて稀な症例であり予測は不可能であったと思われる)の際は,私の周囲でも「これじゃ,たとえヘルニアの手術でも怖くてできない(ヘルニアの手術は若手外科医が始めに経験する手術)」という声があった.また当時一部マスコミによる病院叩きの風潮も見逃せない点である(特に2006年に奈良の病院に関する某M新聞の報道など).つまり以前ならたとえ忙しくても使命感や,患者さんの感謝の声で頑張ってこられたものが,それらが失われてきた(最近のモンスターペイシェント含む)ことによるモチベーションの低下があるのである.

 本来なら医師の声を代弁する組織として医師会があるのだが,現実には医師会の中心は開業医であり,もっとも悲惨な立場におかれている中核病院の勤務医の声はなかなか外にでてこないのが実情である.国は最近になって医師不足対策に予算を付けると言っているが,果たしてどうなるのか注目したい.実は厚生労働省はつい最近まで医師不足は存在しないという立場を崩していなかった.医師数は足りており,単に偏在しているだけだという主張だった.昭和末期から医師過剰時代が来ると医学部の定員を減らし続けていたから,今更ウソでしたとは言えなかったんでしょうな.この辺は戦況の悪化を見ようとせず,面子にこだわって的確な指導ができなかった大本営の体質が色濃く残っている気がする.

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