2009年10月27日 (火)

新型インフルエンザのワクチン

 先週月曜日(10月19日)から接種が始まった新型インフルエンザのワクチン,私のところはローカルすぎて来る気配もないという記事を先週書いたんですが,金曜日についに到着しました. 

Influ_008 (写真) これが新型インフルエンザ用のワクチンです.

 

 さっそく昨日から優先接種が始まったんですが,私は盛岡に出張中だったため本日接種となりました.当初新型のワクチンは2回接種という方針が出ていましたが,医療従事者については1回でよいというお触れのため,これにて完了です(実際にはワクチンの効果が出てくるには2~3週間かかりますが).

 まあなんにせよ,罹らないのが一番ですが,これから外来でもインフルエンザの患者さんが増えてくることは確実ですから,予防には気をつけていきたいと思います.

Influ_007 200910231358000

 (写真左) こちらが季節性インフルエンザのワクチンです.(同右) 接種証明書です.

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2009年10月19日 (月)

インフルエンザワクチン

 ニュースなんかでもやっていますが,本日10月19日から新型インフルエンザワクチンの優先接種が始まりました.すでに市中にかなりの広がりを見せている新型インフルエンザ,そのワクチンは国の指針に従って優先順位の高い人から接種していくことになっています.最優先で接種することになているのが医療従事者なんですが,報道ではさっそく本日から接種が始まった施設もあるようです.しかし都道府県によっては開始が遅れるところもあるようです.

 で,私のところなんですが,ローカルすぎるためか(笑)ワクチンがやって来る気配すらありません.

 そんなわけでまずは季節性インフルエンザワクチンからやっていこうということで,そちらのワクチンを接種しました.ツ反でも真っ赤に腫れる私はワクチン接種でも腫れてしまうのでした(あす以降痒くなりそうだ 笑).

 とはいえ,インフルエンザ対策はなによりもうがいや手洗いといった予防にあります.人ごみに出る時はマスク着用などみなさんもお気を付け下さい.

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2009年9月24日 (木)

意外な使い道

 病院で手術場に入る際に着用する衣装(?)がある.テレビドラマなんかでも出てくることがあるから見たことがある人もいるだろう.

Kyushuensei_254 (写真1) 手術室に出入りする際に着る衣装

 従来は綿素材のものが汎用されていたが,綿だと埃が立ちやすいという問題点があるためか,近年では化繊やディスポーザブルの紙製のものも使われている.

 手術室に縁のない診療科の医師には関係なさそうなアイテムだが,実はこれには意外な使い道があるのである.

 それは… 

 当直中の寝巻きとして

 医師の夜間当直(宿直)は看護師の夜勤とは違い,基本的には所定の場所に待機していて,何かあった際に仕事をする形である(だから宿直明けも普通に勤務させられる).したがって,用事がない限り夜中は寝ていられるわけだが,何かの折にはたたき起こされて働かなければならない.そんな時に,仮に持参したマイパジャマなんか着て寝てた日には,呼び出しとともに一々着替えしなければならず非常に面倒だ.かといって,日中の汗ばんだ服のまま布団に入るのはなんとも気持ちが悪い.

Kyushuensei_258 (写真2) 術衣改め寝巻きです

 というわけで,この術衣が活躍するわけである.さっとシャワーを浴びてこれに着替えれば,そのまま布団に寝てても大丈夫だし,何かの折には白衣を引っ掛ければ院内どこにでも行ける.

 かくして最近手術場で使われなくなった木綿性の術衣は専ら当直用の寝巻きとして活躍しているのでした.

Kyushuensei_257 (写真3) 夜中に院内を走り回る際はこうして白衣を引っ掛けます

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2009年9月18日 (金)

頭痛

 夏季休暇の旅行から2週間,反動で当直やら何やらで結構忙しい日々を過ごしています.今週末からは職場の同僚が旅行に出かけるので,また留守番です(ヨルダンに行くというウワサ)

 とはいえ明日から5連休なので,隙を見て出かける算段はしています(とはいえ私の場合,2日間当直が入っているのですが).

 それとは関係ないんですが,今日夕方頭痛がありました.実は私頭痛持ちでして,小学校時分から悩まされていました.ひどい拍動性の頭痛で,悪心・嘔吐を伴う頭痛です.今でこそ片頭痛と判るのですが,当時はそんな概念はなく,どうして自分はこんなひどい頭痛に悩まされるんだろうと思っていました.

 そんな片頭痛の他にもう一つ,別な頭痛も持ってます.これは緊張型頭痛と呼ばれるもので痛みはそれほどでないんですが,頭全体が鈍いように痛いタイプです.今日出てきたのは後者のタイプの頭痛でした.これにはいわゆる鎮痛剤というのが有効なんですが,私愛用の薬が写真の製剤です.

200909181940000  これはSG顆粒という薬で,アセトアミノフェン,アンチピリンとカフェインそしてアリルイソプロピルアセチル尿素の合剤です.頭痛専門の医師の中には合剤を嫌う人も多いんですが,私は効くから好きだったりします.

 実は以前この薬と類似成分のものでセデスGというのがありました.本SG顆粒中のアセトアミノフェンがフェナセチンに代わったものでしたが,乱用して副作用から腎不全になった人がでたため製造中止になったのです.配合から見てもわかるようにカフェインが入っているため依存性があります(カフェインには鎮痛作用がありますが,依存性もあります).

 このSG顆粒も頭痛に非常に有効ですが,依存性もあるため注意が必要です.

 で,頭痛の方ですが薬を飲んで20分くらいで効果が出て,今は軽快しました.

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2009年8月 4日 (火)

ペスト

 今日8月4日は久しぶりに一日中晴れでした.朝から夏の青空と湿気,そして蝉の声とまさに夏の一日です(なぜにこんな日に仕事をという気分になります 笑).

 そんな今日,ニュースで興味深い記事を見つけました.

 中国・青海省で「肺ペスト」発生

 私と医学の出会いは,小学校時代に読んだ野口英世の伝記でした.そこから伝染病に興味を抱き,保健室に出入りして,置いてある資料を読んだりしたのですが,当時はコレラペスト黄熱病などの伝染病(感染症)に恐れおののいていたものです.

 しかし衛生状態が格段に良くなった現代日本では,上記に掲げた感染症を見ることはなく,私もこの3疾患の臨床経験はありません.

 しかしこれらは世界的に見れば,決して過去の感染症ではなく,今でも時々発生が報告されています.コレラは東南アジアなどから時々日本にも入ってきますし,黄熱はいまだにアフリカを中心に蔓延している疾患で,入国の際に黄熱の予防接種証明書(イエローカード)を求められます.ペストについてもインドを中心に時々報告があります.ちなみにペストという言い方はドイツ語(Pest)で英語ではPlagueと呼びます.

 さて,本日のニュースで特に私の関心を引いたのは,今回のペストが肺ペストらしいからです.

 ペストは本来ネズミなどのげっ歯類に感染する病気ですが,ノミを介して人間にも感染します.原因となるのはペスト菌です.6世紀のビザンチン帝国時代からヨーロッパをしばしば脅かし,特に14世紀の大流行ではヨーロッパ人口の三分の一が死亡したといわれています.感染パターンから

 ① 腺ペスト

 ② 敗血症ペスト

 ③ 肺ペスト

 の3つに分けられます.このうち圧倒的に多いのが①の腺ペストです.これはノミに咬まれた傷からペスト菌が侵入して近在のリンパ節を腫脹させ痛み,発熱を起こすタイプです.次に多いのが②の敗血症ペストで,同じく咬み口から入ったペスト菌が血管内に侵入して全身感染症を起こすタイプで,病状が進行すると血液凝固系の異常から皮膚に出血斑が生じるのが特徴です(ここから中世には黒死病と呼ばれました).初期には特徴的な症状がないため血液培養以外に診断法がなく治療が後手になる恐れがあるタイプです.そして一番少ないのが③の肺ペストで,これはペスト菌によって肺炎で発症するタイプです.本来ペスト菌は飛沫感染しないので,肺炎で発症することはないはずですが,腺ペスト患者が進行して二次的にペスト菌肺炎に至り,そこから飛沫に乗ってペスト菌が他の人の呼吸器系に侵入するのでは,といわれていますがはっきりしません.

 ちなみにこの3病型の頻度ですが,ハリソン内科学によると1950年~1996年までのアメリカ国内のデータで,腺ペストが86%,敗血症ペストが12%,肺ペストが2%とされており,肺ペストが極めて稀なタイプであることがわかります.

Pestis_002 (写真) 今回ペストについて勉強しようと,普段は本棚の飾りになっているハリソン内科学を引っ張り出しました.

 今回中国ではこのもっとも稀な肺ペストが発生し,しかも集団発生しているという点が特徴的です.先にも述べたようにペストの感染経路は基本的にノミ→ヒトであり,ヒト→ヒトの感染は稀だからです.現地では一帯を封鎖したとのことですが,今後どうなるのか注目していきたいと思います.

 ちなみにニュースやWikipediaでは肺ペストの致死率は100%近いと出ていますが,ハリソン内科学によると,(1950~1996年アメリカのデータでは)約40%とのことです.

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2009年6月14日 (日)

総合栄養食品

 食事というものは時間をかけて,何品ものメニューを頂くのが理想なのだが,世の中なかなかそうもいかないシチュエーションもある.

 そんな時に重宝するのが,総合栄養食品と呼ばれるもの,一種類の食品に各種の栄養素がバランスよく入ったものだ.有名なものとして大塚製薬から出ているカロリーメイトがある.

 このカロリーメイト,出始めのころはお世辞にも旨いとは言えずなじめなかったのだが,時代を経るに従って味の方も鑑賞に堪えるようになってきている(そうでないと売れないのだから当然とはいえるが).

 その一方で,普通の流通経路に乗らない,たとえば医療現場でのみ使われるような総合栄養食品の場合は,味の良しあしよりもコスト面が重視される傾向がある.そのため,これらの食品は一口飲んで,「……」となるものも多い.

 職業柄そんなB級食品(?)のサンプルが私のところにやってくることがあるのだが,今回手にはいったのがこの2品である.

200906121044000

 ひとつはメイバランス,作ったのは明治乳業.そしてもう一つがグルコパル,製造はネスレであるどちらも有名メーカーだ.しかしてその中身は? メイバランスの方に挑戦した.

 ん? コーンスープ味? で,成分はタンパク質 7.5g,糖質 25g,脂質 7.5g,食物繊維 2.5g… 125mLで200kcalもある.カロリーメイトの倍近い濃さだ.しかも糖が 25g もあるのにコーンスープ味とは…

 勇気を出して飲んでみたんですが,一口目はコーンスープの味が口の中に広がります.しかしその後徐々に甘さと,油っぽさが強くなって,結局1本飲めませんでした.

 これを経口用栄養剤にするのは厳しいんじゃないかと思ったのでした(少なくともコンビニでは売れそうにない).

 

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2009年6月 5日 (金)

熱帯医学への憧れ

 私と医学の出会いは,おそらく小学校2~3年生の時の学習雑誌に連載されていた,野口英世の伝記からだったと思います.

Noguchihideyo

 野口英世は1876年に今の福島県猪苗代町で生まれ,1歳の時に囲炉裏に落ちて左手が不自由になってしまいます.その後15歳の時に友人らの援助で手術を受け左手が使えるようになったことから医学の道を志しました.

 その後アメリカにわたり様々な研究を行い,1918年に南米で(当時で言う)黄熱病が流行していた際には,当地を訪れて研究,ワクチンの開発に貢献して,これによって南米の黄熱病は終息に向かったといわれます(現代の知見ではこの南米の黄熱病は,ワイル病だったと考えられています).しかし1927年にアフリカでワクチンの効かない黄熱病(こちらが今でも知られる黄熱病)が流行しているということで,現地入りし研究途中で自らも罹患してしまい,1928年5月21日にアフリカのガーナで亡くなっています.

 幼少時にこの伝記を読んで,大いに感動した記憶があります.もちろん野口英世の生涯にはきれいごとでないことも多々あるんですが,それを抜きにしても,偉人であることに変わりはありません.

 それ以来私は熱帯病や感染症に興味を持ち,小学校時代にはよく保健室に出入りして,そこに置いてあった医学的な資料を読み漁っていました.コレラペストといった昔恐れられていた伝染病におびえていたものでした(当時の保健室のおばさんが面白い人で,「コレラがはやったら怖いぞ~」などと少年の恐怖をあおるような発言をしていました 笑).

 とはいえ,自分が実際にそういう業界に入ってみると,当時あれほど興味があったコレラ,赤痢,ペストといった感染症に出会う可能性はほとんどなく,自分も実際にコレラやペストの臨床経験はありません.

 で,なんでこんな話題かといいますと,先月からうちの医局にこんなポスターが掲示されていたのです.

Nettai1

 現地で学ぶ熱帯感染症研修だそうです.しかも場所はタイとミャンマーの国境付近,ある意味感染症の巣窟のような場所です.このポスターを見た瞬間,少年時代の記憶がよみがえりました.

 そこでポスターをさらに詳しく見ると… 参加資格として

Nettai2

熱帯医学や感染症診療に関心の高い若手医師とありました.

 うーん,若手って何歳くらいまでなんでしょう.精神年齢なら十分若手だと思うんですが(笑).

 その他にも感染症に関する業績の提出や,推薦状なんかも必要らしく,私が参加するにはハードルが高そうでしたが,久しぶりに少年時代のことを思い出させてくれたポスターでした.

 追記: 野口英世って,漫画家の故・加藤芳郎さんに似てません?

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2009年4月27日 (月)

ブタインフルエンザ

 またまたブログの更新が滞っておりました.

 さて表題は最近世間をにぎわせつつあるブタインフルエンザです.

 メキシコで確定例,疑い例が多数報告され死者も出ており,さらにはアメリカやカナダ,ヨーロッパにも症例が出現しているとの話しです.

 ブタインフルエンザ自体は以前から存在していたもので,ブタからブタへと感染するウイルス感染症です.症状としてはヒトのインフルエンザと同様(倦怠感,咳,鼻閉,くしゃみetc)です.本来はブタにしか見られない病気のはずですが,アメリカなどでは以前からブタからヒトへの感染例は存在していたようです.

 ただ今回問題になっているのは,このウイルスがヒトからヒトに感染する能力を持っている可能性があるためです.ブタからヒトに感染するだけなら,身近にブタがいなければ自分が感染する恐れはないですが,ヒトからヒトへとなれば感染リスクははるかに高まるからです(蚊を介してブタからヒトに感染する有名な病気に日本脳炎があります).企業の中にはメキシコの支社などから従業員を引き上げるなどの対応を始めたところもあるようです.

 今現在日本での報告例はないようですが,国は空港などの検疫体制を強化する対応を始めています.こうなってくると重要なのは何といってもみんなが正しい情報を入手して冷静に対応することです(原因不明の奇病が流行っているわけではありません).

 ブタインフルエンザといっても,ヒトのそれと同様呼吸器感染症ですから,感染源は咳やくしゃみなどによる飛沫感染やそれらが触れた手などを介する接触感染です.したがって対策は普通のインフルエンザと特に変わるものではありません.咳がある人はマスクをする,手洗いやうがいをしっかり行うなどの対策が有効です.ウイルスのついた飛沫を防ぐ目的で高性能のマスク(N95マスク)が売れているという話もありますが,このマスクはきちんと装着しないと効果が期待できないため注意が必要です(自分も結核の患者さんが発生した時に使用しましたがきちんと装着するとかなり苦しいです).現在使われているヒト用ワクチンは効果が期待できないようですが,一部の抗ウイルス薬は有効との報告です(文末に紹介したサイトより).

 スーパーなどには豚肉は大丈夫なのかという問い合わせもあるようですが,呼吸器感染症のウイルスが骨格筋に存在する可能性は極めて低いそうです(ブタインフルエンザに感染していたブタを処理する際に,そのブタの鼻汁が肉についたなどというケース以外は).また豚肉は本来なまでは食べず加熱調理しますから,万一存在したとしても感染する恐れは限りなく低いといえましょう(ウイルスは加熱によって死滅する).まあ,あえて感染するケースを考えれば,(可能性は低いですが)たまたまウイルスが存在する肉を素手で触り,そのまま手を洗わずにその手で鼻の穴をいじって上気道感染するなどという場合でしょうか.豚肉は栄養が豊富な食材ですから,感染への抵抗力をつけるためにも必要な食材と思われます.

 厚労省のホームページ内に,ブタインフルエンザに関連した情報が出ています.興味のある方はどうぞ.

  ブタインフルエンザに対する対応について

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2008年8月 2日 (土)

勤務医の置かれた状況

 ネットのニュースに興味深い記事が出ていた.

 医師4人に1人が36時間以上連続勤務

 地域の中核病院に勤務する医師の実態を調査したものだ.今年の3月まで自分も地域の中核病院にいたのでわかりすぎるくらいわかる話である.

 先日当直の話題で取り上げたのだが,地域の中核病院の当直はまさに夜勤であり,まともに睡眠時間が取れないくらい忙しい.それでいてあくまでも当直のため翌朝は通常勤務が待っている.調査では過去1週間の連続勤務について全体の1/4が36時間以上であったという.私も若い頃には3連続宿直の70時間以上勤務というのを経験したことがある(もちろんこれだけの時間起き続けているのは不可能で,数十分~1,2時間くらいづつ細切れで仮眠を取るのだが).こうなると最後の方は意識モウロウとなってくる.職業意識と極度の緊張感で間違いがないように仕事をするのだが,ちょっと気を抜くと意識がなくなったこともある(外来で問診中に意識を失いかけ,患者さんに「先生,大丈夫ですか」と同情されたこともあった).調査では一週間の労働時間が70時間以上(すなわち超勤30時間以上)という医師が25%以上いたそうだ.

 とはいえ,この事態は今起こったものではなく,少なくとも10年以上前からあったことである(私は脳卒中を取り扱う診療科のため,救急・夜間の呼び出しには縁が深い).ただそれが最近になってニュースに取り上げられているのは,これら勤務医の疲労が破断界に達しようとしているからであろう(このような環境下にありながら私が新選組まつりなどに参加できたのは,たまたま優秀なスタッフや同僚に恵まれていたのと,私自身の楽天的な性格のためであり,本当に偶然である).

 その原因としては昨今の国の医療費削減政策に起因する病院の収益悪化とその反動としての勤務量の増大,医療費の自己負担率の上昇などによる患者サイドの権利意識の増大(金を払っているのだから治って当たり前という意識)と医療訴訟の増加によるストレスがある.特に2006年に福島県で産科医が逮捕された事件(手術中に妊婦が死亡した責任を問われて医師が逮捕された事件.極めて稀な症例であり予測は不可能であったと思われる)の際は,私の周囲でも「これじゃ,たとえヘルニアの手術でも怖くてできない(ヘルニアの手術は若手外科医が始めに経験する手術)」という声があった.また当時一部マスコミによる病院叩きの風潮も見逃せない点である(特に2006年に奈良の病院に関する某M新聞の報道など).つまり以前ならたとえ忙しくても使命感や,患者さんの感謝の声で頑張ってこられたものが,それらが失われてきた(最近のモンスターペイシェント含む)ことによるモチベーションの低下があるのである.

 本来なら医師の声を代弁する組織として医師会があるのだが,現実には医師会の中心は開業医であり,もっとも悲惨な立場におかれている中核病院の勤務医の声はなかなか外にでてこないのが実情である.国は最近になって医師不足対策に予算を付けると言っているが,果たしてどうなるのか注目したい.実は厚生労働省はつい最近まで医師不足は存在しないという立場を崩していなかった.医師数は足りており,単に偏在しているだけだという主張だった.昭和末期から医師過剰時代が来ると医学部の定員を減らし続けていたから,今更ウソでしたとは言えなかったんでしょうな.この辺は戦況の悪化を見ようとせず,面子にこだわって的確な指導ができなかった大本営の体質が色濃く残っている気がする.

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2008年3月 7日 (金)

ツ反強陽性

 昨日健康診断でツ反(ツベルクリン反応)をやった.

 ツ反は結核感染や結核に対する免疫の有無を調べる検査で,やったことがある人も多いだろう.前腕部に薬液を皮内注射して48時間後の反応を見るというものだ.発赤の大きさが10mm未満は陰性,10mm以上なら陽性と判定し,さらに硬結や二重発赤を伴うと強陽性などと判定する.

 その臨床的意義は様々なのだが,私の場合は毎度毎度赤く二重発赤が出現するくらい強陽性になるのだった.このため半日もすると注射部位が痒くてたまらなくなる.どうせ強陽性なんだから検査を省略したいと思うのだが,そうもいかないため毎年我慢している次第である.

Tsuhan

 ちなみにツ反強陽性は①現在結核に感染している ②結核に対する免疫を持っている の2パターンがあるが,私の場合過去10年くらい毎年強陽性なので,①だと今頃胸部写真でひどいことになっているはずであり(なにせ抗結核薬など使ってませんから),必然的に②なのでした(幼い頃にBCG接種はしたが,今まで効果が持続しているとも思えないので,おそらくは人生のどこかで不顕性感染をしたのだろう).

 結核は江戸時代は「労咳」と呼ばれて不治の病であったが(新選組の沖田総司や長州の高杉晋作が有名),栄養状態が格段にいい現代では,感染しても発病しないで治まってしまうケースも多いのである.

 写真: 二重発赤になった私の前腕(大体黄色の枠内が赤くなっています)

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2008年2月25日 (月)

皇帝専用列車

 この週末江戸に出向いたのは,頭痛フォーラム2008というイベントに参加するためだった.普段地域医療に奮闘している私であるが,非番の時はいつも扮装イベントをやっているわけではない.たまにアカデミックな話題に餓えてくる事もあるため,こうした学術集会にはなるべく参加するようにしているのだ.

 このイベント,昨年の今頃にも行われている.頭痛がテーマの集会だが,この業界結構狭く,壇上にはいつも同じ面々が並んでいる.昨年もいた石原慎太郎似の大先生や辻元清美似の教授の顔も見えた.24日の朝10時から午後3時までいろんな先生方の講演を拝聴したのだった.

Shinagawaeki (写真1) 品川駅前の様子.列車が止まっているとは思えないような快晴です.

 と,ここまでは順調だったが問題はこれから.なんと強風の影響で東北新幹線が止まってしまったのだ.24日午前中いっぱい止まり,午後動き始めたと思ったら,今度は線路に倒木があったとかでまた止まる.今日中に帰れるのかと不安になる.とりあえず東京駅に行ってみると,新幹線改札口は黒山の人だかり.どうやら運転は再開したらしいが,午前中の列車を中心にかなり運休になった模様.走っている列車も大幅に遅れているようだ.私が乗る予定のはやて27号(16時56分発)は運休にはなっていないようだが,その1時間前に発車するはずの25号が16時半の段階でもまだ発車していないことから相当の遅れを覚悟しなければならないようだった.仕方ないので構内のコーヒーショップで時間をつぶし,当初出発予定時刻に再び改札口に行ったが,まだ25号すら出発していない.こりゃ1時間以上遅れているなと半ば諦めていたが,17時10分過ぎについにはやて27号の文字が案内板の一番下に.駅員によると表示された順に発車するとの話だったので,こんなところで待ってても仕方ないから中に入ろうと改札を抜けた(この段階で先発の25号はまだ発車していない).

 案内板のホームに行くと,はやてと書かれた列車が止まっている.「あれっ,もう列車来てるじゃん」と半信半疑で中に乗り込む.車内放送が流れる.「この列車ははやて27号八戸行きです.本日強風のため大幅に遅れており,発車時刻は未定です.」,まあそんなとこだろうと思い,飲み物を買いに売店へ.お茶のペットボトルを購入して再び列車に乗り込むとまた放送が,しかも今度は焦ったようにしゃべっている.「この列車ははやて27号八戸行きです.まもなく発車します」.えっ,と思う間もなく列車は走り出す.時計を見ると17時30分,結局大騒ぎをした割には35分遅れでの発車だった.ついさっきは発車時刻未定と言ってたのに急に発車とは,もしかして皇帝の私が乗り込んだことを確認したため,慌てて発車したんだろうかと思ったのだった(まさに皇帝専用列車 笑).

 走り始めてから車内を見渡したのだが,結構空席がある.確か窓口では27号の指定席は完売したような表示だったが….もしかしてこんなに早く発車するはずはないと,どこかで時間をつぶしていて乗り遅れた人が結構いるんじゃないかと余計な心配をしてしまった.

 その後も強風のため,速度を落としつつ運転した区間もあり,二戸駅に到着したのは予定より1時間遅れだった.

Yukidaruma (写真2) 江戸は快晴でしたが,岩手は大雪だったようです.マイナス10℃で雪まみれのわが愛車.

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2008年1月14日 (月)

こ、これは

 先日出入りの業者さんから試供品としていただいたこの一品,

Os1 新手のスポーツドリンクかと思ったら,さにあらず.経口補水液というのだそうです.

 最近コンビニなどで見かける,”特保”食品(特定の保健に有用であると,厚生労働省が認可した食品.認可に当たっては,その食品が有用であることを示す科学的データの提出が義務付けられている)というのがあります.有名どころとしては,血圧が気になる人にいいらしいサントリー「胡麻麦茶」,血糖が気になる人にいいらしいヤクルト「蕃爽麗茶」,体脂肪が気になる人にいいらしい花王「ヘルシア緑茶」などがあります.

 ここに掲げた経口補水液OS-1は,特保と医薬品の中間に位置するもので,厚生労働省許可個別評価型病者用食品というのだそうです(長い名前).特徴は特保があくまでも,病気の前段階の人を対象とした食品なのに対し(つまり,胡麻麦茶は病気としての高血圧には至っていない人の健康増進には有用だが,これを飲んだからといって高血圧が治るわけではないということ),実際に病気になっている状態の人の食事療法としての有用性が認められた食品ということのようです.

 具体的には軽度から中等度の脱水(発熱,下痢,嘔吐などによる)状態にある人の,経口での水分・電解質の補給に優れた食品だそうです.能書きによると、その組成は米国小児科学会の指針に基づいているとのこと.業者に確認したところ,小児の感染性胃腸炎における脱水に対して有効であるというデータがあるんだそうです(今度見せてもらおう).

 組成を見ると,一般のスポーツドリンクに比べると糖分が少なく,NaイオンやKイオンが多いようです(補液の世界では2号液に近い組成).確かに下痢や嘔吐による脱水では,水だけでなく,電解質も大量に失われるため摂取する際には電解質が多いものが望ましいことが判ります.実際に飲んでみると,確かに甘みは少なく,むしろしょっぱいくらいです(生理食塩水の1/3の塩分量).実生活上では二日酔いのゲロゲロ状態の時に飲むと良さそうだ(できれば経験したくないが 笑).

 ちなみにこの食品,「医師から脱水状態時の食事療法として指示された場合に限り,お飲み下さい」とあり,一般のコンビニではなく,病院の売店や薬局などでのみ売られているようです(もちろん医薬品ではないので,処方箋は不要).興味ある方はお試しあれ(って自分は回しものか).

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2008年1月12日 (土)

救急医療の現場

 今日は救急日直だった.日勤帯(8時30分~5時15分)救急外来につめていて,救急患者の対応に当たる業務である(もちろん代休はない).例年この季節はインフルエンザと感染性胃腸炎(ノロウイルスなど),高齢者の肺炎などが多いのだが(その他雪道でスリップした事故なども),ご他聞にもれず今日もインフルエンザと胃腸炎が多かった(特に今年はA型のインフルエンザが多い).当然救急車もやってくるのだが,さっき見たネットのニュースにこんな記事があった.

 21病院で受け入れ拒否=70歳男性、10日後に死亡

 大阪府南部で昨年3月に起こったものらしいが,最近同様の事例が多く見られているのだという.詳細が不明なのでなんとも言えないが,少なくとも当地では絶対に起こりえない事例と感じた.なぜなら,私の住む地域では救急車に対応できそうな病院は,私の勤務先以外にはなく,”受け入れ拒否という概念”そのものが存在しないからである.私も勤務していて,「搬送してよろしいでしょうか」と聞かれたことは一度もない.有無を言わさず搬送されてくるのである.従って当地の患者さんは,受け入れ拒否に遭遇することはないと思われる.僻地のメリットとかもしれない(もっとも僻地ゆえ,距離が遠くて搬送自体に30分以上かかることもざらにあるが).ただウチは都会にある高度救命救急センターのような施設も人員も整ってはおらず,対応できる内容にはおのずと限度があるのも事実ではある.

 と,堅い話はさておき,昨年忘年会用に某駅で撮影した鉄郎とメーテルの後ろ向きの写真,どこかで見たことがあるなぁと思っていたのだが,元ネタと思われるものを発見しました.

Pc020042_2 P1120009_2

(左)今回撮影した写真、(右)元ネタと思われる構図

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2007年12月 1日 (土)

今夜は当直

 今夜は当直です.今年はインフルエンザが例年より早く流行する兆しがあると報道されていますが,当地にはまだ出現していないようです.その代わり,いわゆる普通の風邪は結構はやっているようです(例年だとインフルエンザ冬休み明けから一気に流行します).

 感冒は基本的に特効薬はないため(世間に出回っている”風邪薬”はあくまで風邪の諸症状を緩和するための対症療法薬に過ぎず,これによって風邪が治るわけではない),栄養のあるものを食べて,しっかり休むことが大切です(それからうがいも).

 果たして今夜は何時間寝られるでしょうか….

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2007年11月18日 (日)

ライノウイルスの逆襲

 めっきり寒くなった.夕方平庭峠を走っていたら完全に雪だった.いよいよ本格的に冬シーズンの到来である.

 それにあわせたわけじゃないが,風邪をひいてしまった.熱はないものの,全身倦怠感,咳,鼻汁がひどい.典型的なライノウイルス(Rhinovirus)感染である.

Rhinovirus2 ライノウイルスのイメージ

 ライノウイルスとは,いわゆる風邪ウイルスのことで,急性上気道炎を引き起こすウイルスである.非常にありふれたウイルスであり,これにやられた経験のない人は皆無だろう.ウイルス感染は一度経験すると免疫ができるのだが,ライノウイルスは何百種類もバリエーションがあるので,実質的に一生付き合わなければならないウイルスなのであった.

 ウイルス疾患であるから特効薬はなく,栄養のあるものを食べて寝るしか方法はないのであった.

 そういえば今年はインフルエンザの流行が例年より早いらしい.さっさと予防接種をしたほうがいいかもしれない.

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2007年10月19日 (金)

外来にて

 今日外来で感動した出来事があった.

 ウチの外来では初診の患者さんに問診表を書いてもらっているのだが,その中に受診に至ったワケや症状などを自由に書いてもらう欄がある.患者さん自身の言葉で書いてもらうことによって,意外なことが判ったりするからである.

 本日初診した若い患者さんの問診表に次のように書かれていた.

 「目の前がチカチカして,視野が狭くなる.

 その後ひどい頭痛が起こり,嘔吐する.」

 実はこれ,典型的な片頭痛(migraine with aura)の症状なのである.片頭痛とは一般に頭部の半側が,拍動性に痛む頭痛で,頭痛の程度は強く悪心・嘔吐を伴うことが多い.また光や音刺激で痛みが悪化する傾向も見られる(光・音過敏).また典型例では頭痛に先立って前兆が見られることも知られている.若年の女性に多く見られ.日本人の7~8%が持っているとも言われており,決して珍しい頭痛ではない.しかし発作間欠期は全く症状がないために医療機関を受診したことのない人も多いようだ.原因として脳を包んでいる膜(硬膜)に分布する血管周囲に起こった炎症が,三叉神経(主として顔面を司る感覚神経)を刺激して脳に至り,痛みとして認識されるという説(三叉神経血管説)が有力である.

 今日の患者さんの問診表は,まさに教科書に出てくるような,片頭痛のアナムネ(病歴)なのだった.

 追伸: 現在では片頭痛に対しては,発作を頓挫させるトリプタンと呼ばれる薬が使用されます.

Sumatab もっとも古いトリプタンである,スマトリプタン(商品名イミグラン)の内服薬です(この他に注射薬と点鼻薬もあります).

 

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2007年9月19日 (水)

シール集め

 昔から凝り性の私は,いろいろなものを集めるのが好きだった.古くはカルビーの仮面ライダースナックに付いてきたカード(当時カードだけ抜いて,スナックは捨ててしまう子供が続出して社会問題化した.確かにお世辞にも美味とはいえないスナックではあった)に始まり,記念切手,国鉄時代の鉄道のスタンプ(ビザンチン美術館に展示),更には国道標識の写真(ホームページの記事参照)などである.

 これらはみな集めるのが楽しくて集めているのだから問題はないが,時に集めるのがあまり楽しくないものもあったりする.下に掲げるシールなどはその代表格である.

Img266 これが受講を証明するシールです.数字は認定単位数を表します.

 職業柄,私も各種認定医や専門医を持っているのだが,その中のひとつに産業医というやつがある.産業医とは,各種事業所において労働者が健康で快適に仕事が行えるよう,事業主に指導・助言する医師のことで,労働安全衛生法で常時50人以上の人が働いている事業所には必ず置くよう義務付けられている.

 産業医になるには厚生労働大臣が定める研修会を修了して,認定を受ける必要があるのだが,一度認定されたからそれでOKというわけではない.認定後5年ごとに更新があり(車の免許のようなものか),更新するためには各種研修会に参加して単位を獲得する必要があるのだ.先日もその研修会に行ってきた.

 研修会は受付を済ませて会場に入り,全ての研修を終えて帰る時に,認定シールが配られる仕組みになっている.もらったシールは研修手帳の所定の場所に貼るのであった.こうして更新に向けて,シールのコレクションをするのでした.ちなみに,産業医研修会は全国各地で行われており,別にどこで受講しても構わない.そのため,転んでもただでは起きない私は,遠隔地の研修会に申し込んで,ついでに観光もしてきたりするのであった.

 追伸: 産業医研修会の内容は昔は粉塵や有毒ガス,作業現場での外傷などについてが多かったが,最近はメンタルヘルスケアが多くなっている.ちなみに事業所などの産業医は地域の開業医がやっているケースが多く,私のような勤務医にはあまり縁がありません.

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2007年7月29日 (日)

深夜の呼び出し

 職業柄夜間や休日の呼び出しは日常茶飯事なのだが,さすがに夜中の3時ごろに呼び出されると厳しい.今朝もそうだった.

 もちろんどんなに眠くとも,こういう事態の時はカテコラミンが分泌され,交感神経系が興奮するので,それなりに対応できるのだが,今朝は診察や処置が終わった後そのままナースステーションで眠り込んでしまったらしい.気がついたら朝になっていた.空いた救急ベッドに寝かされていたのだが,なんとそこが観察室.カメラが付いており,私の爆睡シーンがナースステーションに生中継されていたらしかった(笑).

P7290001  私の爆睡の様子が映し出されていたモニターです.

 朝日勤の新人ナースに起されたのだが,夜勤者が私が寝ていることを申し送らなかった(笑)ために,患者さんと間違われてしまった.

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2007年4月 2日 (月)

月初めの憂鬱

 今日4月2日は実質的な年度初めであるとともに,月初めでもある.

 月初めには私をゲッソリとさせる仕事が待っているのだ.それは”レセプト点検”.

 レセプトとは診療報酬明細のことで,前月診療した全ての患者さんに対する診療行為(診察,検査,処方,注射など)が記載されている.保険診療では全ての医療行為に対して,その根拠となる病名が必要である.たとえば咳止めを処方した場合には,急性上気道炎とか,胸部写真を撮影した場合には,肺炎の疑いとかである.仮にこうした病名がレセプトから洩れていたりすると,その請求は(たとえ正しい診療行為であったとしても)不正請求扱いとされてしまう.そのため,レセプトを目を皿のようにして見ながら,病名漏れがないか確認するのである.これがレセプト点検である.実際には大まかな点検は事務屋さんがやってくれるのだが,基本的に事務屋は医学に関しては素人のため,最終的な点検は医師の手に委ねられるのである.

Resepto 机に詰まれたレセプトの山(ざっと1000枚くらいあります).これを1枚1枚点検していきます.

 本日も午後から外来でレセプトとにらめっこをしていた私であった(泣).

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2007年3月30日 (金)

新しい聴診器

 今日かねてから注文していた聴診器が届いた.私の場合物持ちがいいのか,これが2代目の聴診器である.初代はなんと,学生時代に臨床実習直前に購入したものであった.以来十数年使ってきたのだが,さすがに老朽化が激しく,今回思い切って購入した次第である.

Neochou1 これが今回購入したリットマンTM エレクトロニック ステソスコープモデル4100です.

 今回購入したのは聴診器では有名なリットマンの電子聴診器である.この業界でも技術の進歩は著しく,最近では心音や肺音を増幅してクリアーな音を実現したり,さらには録音して後でPCで解析したりする機能もあるらしい.

 さっそく届いた聴診器を持って病棟回診に出向いた.患者さんに声をかけて聴診してみる.おー!よく聞こえる.従来型の聴診器はチェストピースを体表面にしっかりと当てなければならず,しかも周辺が騒がしかったりすると,なかなか聴き取れずにイライラしたりするのだが,電子聴診器には余計な音をカットしたり,必要な音を増幅する機能があり,心音・肺音が極めて明瞭に聴けるのである(特に十数年来の旧式から一気に近代化したため余計感動的であった).

 明日からの回診が楽しみになりそうである.

Neochou2 チェストピース部分.電源の他,周波数モード変更スイッチ,ボリュームスイッチ,録音スイッチなどがついています.

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2007年3月17日 (土)

片頭痛の薬

 頭痛は神経内科医にとって重要な症状である.外来には毎日多数の頭痛を主訴にした患者さんがやってくる.患者の多くは頭痛というと,脳に何か問題があるのではと心配してやってくるが,実際には頭痛患者(新患)のなかで脳病変に伴う頭痛の割合は極めて低い(1%程度ではないか).大部分は検査をしても明らかな異状がない頭痛(一次性頭痛)である.

 一口に一次性頭痛といっても種類は様々だが,実際臨床現場でよく見るのは

 ① 片頭痛

 ② 緊張型頭痛

 ③ 群発頭痛

であろうか.ただし③の群発頭痛は圧倒的に少なく,現実には大半が①と②である.

 ②の緊張型頭痛は頭頚部の筋肉の緊張が亢進して頭痛がおこるもので,一般に痛みの程度は強くはない.しばしば「後頭部や頭全体が締め付けられるように痛い」と表現される.肩こりを伴うケースや特定の姿勢で仕事をする人が多い.対策としては体操などの筋緊張の緩和のほか,薬物療法として筋弛緩薬,抗不安薬,消炎鎮痛剤が使われる.命には全く異常ないが,なかなか完治させるのも難しい疾患である.

 一方①の片頭痛(古い文献では偏頭痛と表記される場合もある.間違いではないが,医学用語としては現在は「」の字を使う)は,典型例ではⅰ) 頭の片方が(一側性),ⅱ) 脈打つように(血管拍動性)に痛み,ⅲ) 痛みは強く,ⅳ) 日常生活に制限が出る.またa) 吐き気や嘔吐を伴ったり,b) 光や音によって痛みが増す(光・音過敏)ことがある.

 上記の中でⅰ)~ⅳ)のうち2つを満たし,またa)かb)のどちらかがあれば片頭痛である可能性が高い(その他いろいろ考慮すべき点もあり,実際には医師の診断が必要).

Sumachu イミグラン注(一般名スマトリプタン 唯一のトリプタン注射薬です)

 片頭痛は痛みの程度も強く,市販の鎮痛剤を服用しても良くならないケースが多い(私自身も頭痛持ちで,中高生位から時々強い頭痛に悩まされてきた.これが片頭痛と解ったのは医学部入学後である).近年ではトリプタン系と呼ばれる片頭痛発作頓挫薬が使われるようになり,効果を上げている.私自身もトリプタンを使ってみて,こんなに効くんだと感動した覚えがあるが,内服で1錠1,000円(健康保険を使えば3割で300円)という値段の高さが欠点であろうか(トリプタンは最近の薬であるため,いわゆるジェネリックは存在しない).ただ,頭痛で一晩苦しんで仕事や学校を休む苦労を思えば,1000円(保険で300円)は高くはないのではとも思う.

Sumatab Rizatab

トリプタンの内服薬.左がイミグラン(一般名スマトリプタン),右がマクサルト(一般名リザトリプタン)です.この他にゾーミック(一般名ゾルミトリプタン)とレルパックス(一般名エレトリプタン)が日本で使用可能です.

 4種のトリプタンはそれぞれ微妙な違いがあり,人によって効果も様々である.従って,1種類を試して効果がイマイチでも,他の薬剤を使ってみる価値はあると思う.

 注) トリプタン系薬剤は一般の薬店では買えず,医師の処方箋が必要です.

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2007年3月 7日 (水)

安眠の鳥

 下の鳥のぬいぐるみの写真.何の変哲もない鳥に見えますが‥‥

Halcion2  実はこれ,ギリシャ神話の安眠の鳥halcyon(カワセミ)を語源に持つ,有名な睡眠導入薬ハルシオン(halcion)のイメージキャラなのだそうです.

 ハルシオンはベンゾジアゼピン系睡眠導入薬のなかでもっともポピュラーな薬で,日本の医療現場でも1,2を争うほど処方されている薬です.速効性があり,しかも作用時間が短いため,いわゆる寝つきの悪い人に向いた薬です.ただ,作用時間が短いといっても,遅い時間の内服では,翌日に薬効が残る恐れがあるため注意が必要です.また,アルコールと一緒に服用すると,体内での分解が遅くなり効果が強く出てしまう可能性があり危険です.

 そんなわけで,このほのぼのとした鳥を見ながら,今夜は安眠しようと思った次第でした.

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2007年2月28日 (水)

ピック病

 先日2月26日の朝日新聞朝刊のトップ記事は”ピック病”に関する話題であった.ピック病とは認知症のひとつであり,医者の世界でも,神経内科医と精神科医以外にはあまり知られていない病気である.

 若年認知症「ピック病」で万引き 厚労省が調査

 記事は万引きをして懲戒処分を受けた公務員が,その後ピック病と診断されていたことがわかり,全国で同様のケースが確認されているというものである.

 認知症には様々な種類があり,日本で多く見られるものとしては脳血管障害(脳梗塞や脳内出血など)の後遺症による”脳血管性認知症”と,進行性に大脳が萎縮することによって起こる”アルツハイマー病”が有名である.”ピック病”は,進行性に大脳が萎縮していくという点ではアルツハイマー病と共通だが,こちらは主として前頭葉と側頭葉が萎縮していくのが特徴だ(その他の認知症として,幻視が前面に出て,手足の運動障害も合併するレヴィ小体病なんてのもある).

 病初期に物忘れよりも,性格変化や行動異常(非社会的な行動,周囲への無配慮など)が前面に出るのが特徴である(アルツハイマーの場合,病初期には物忘れが見られるが,対外的にはニコニコして人当たりがいいのが特徴.このため,普段一緒に住んでいる家族は認知症に気付いても,たまにしか会わない親戚などは正常と認識しているケースも多く,親族内トラブルの原因になる).記事に出ていた万引きも初期症状として有名であり,その他,急に借金しまくってマンションをたくさん買うなどということも見られる.

 ピック病の頻度については,アルツハイマー病よりはかなり少ないと考えられているが,実際には正しく診断されていないケースも多いだろうことから,決して稀な疾患ではないと思われる(昔の医学書には稀な疾患と書かれていた).ピック病は残念ながら今の医学では特異的な治療方法はない.しかし正しく診断することによって,周囲の理解とサポート体制を築くことが可能となるため,積極的に病気であることを見つけることが重要である(近年ではピック病はFTD: Frontotemporal dementia という概念で語られることが多い).

Pick4 ピック病のMRI画像(フレアー画像水平断).側頭葉と前頭葉が著明に萎縮し,脳回(脳のシワ)がナイフのようにトンガっています(knife edge atrophy).

Pick5 同じくピック病のMRI T2強調画像冠状断.

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2007年2月26日 (月)

頭痛フォーラム2007

 この週末東京に行ってきた.「頭痛フォーラム2007」という,頭痛に関するセミナーに参加するためである.普段,地方で地域医療に奮闘していると,時にアカデミックな話題に飢えてくるため,タマに都会に繰り出すのである.セミナーは2月25日(日)にあるのだが,折角だからと,24日のうちに東京入りした.

 丁度上野の都美術館で「オルセー美術館展」をやっているというウワサを耳にしたため行ってみたのだが,凄い長蛇の列でかなり待たされそうなため,断念した.その後秋葉原等をブラブラして過ごした.

 翌25日は朝からセミナーである.会場は新高輪プリンスホテルの国際館パミール,しばしばこういったイベントの際に利用される立派な会場である.入ると既に大勢の参加者でごった返していた(主催者の発表によると1000人位来たらしい).

 今回のフォーラムは3部構成になっていた.まず第1部は,”各診療科からみた頭痛”と題して,神経内科以外のペインクリニック科や心療内科,小児科の医師から見た頭痛についての講演であった.第2部は実際の頭痛症例を提示して,その病歴,所見等から診断を考えさせるという,ちょっとしたクイズ形式のコーナーであった.このコーナーの後半には解説のために偉い先生が登場するのだが,そこで登場した神奈川歯科大学附属横浜クリニック内科学講座教授という肩書きの女の先生が,社民党の辻元清美似でとても楽しかった(一方,この時司会をやっていた先生が,何となく石原都知事似だった).

Zutsuneo 真ん中の赤い服の方,何となく社民党の辻元清美さんに似ています.

 第3部は,はるばるスエーデンのヨーテボリからやってきたCarl G. H. Dahloef 先生の特別講演であった.先生は今年ストックホルムで開催される,世界頭痛学会の会長を務める偉い先生なのでした.

 こうして久しぶりにアカデミックな気分になって帰宅したのだった(明日からまた外来).

Zutsu1 熱演するDahloef 先生.

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2007年2月17日 (土)

救急医療の実情

 先日の岩手日報に興味深い記事が出ていた.

 急患80%超が軽症 大船渡救命救急センター

 地域の救急医療に携わる医師の悲惨な実態が伺える記事である.実は私も以前,記事の病院に勤務した経験があるのだが,ここの救急当直は本当に辛かった(過去に自分が勤務した全ての病院の当直の中で,ここが一番きつかったと思う).当直の夜はほとんど寝られず(連続3時間の睡眠がとれれば奇跡である),徹夜明けで翌日の診察や検査に入るのが当たり前であった.一応,当直明けは半日勤務で帰っていいことになっているらしいのだが,これには「業務に差し支えがなければ」という但し書きが付いており,実際には医師充足率の低い病院では,業務に支障がないはずはないため,事実上空文化しているのだった. 

 こういう状況であるから,件の病院に勤務していたときは,当直の数日前から体調のピークが当直日の夕方に来るように調整していたものである(プロ野球のローテーションピッチャーみたいだ 笑).

 病気は時と場所を選ばないから,24時間対応可能な救急センターは必要である.私も自分で希望して今の仕事をやっているから,たとえ深夜でも重症な人がやってくれば,それなりに対応している.人間の体とは不思議なもので,たとえ疲労の極にあっても,目の前に重症の人がいると,交感神経系が亢進して体内にカテコラミンが分泌され,体と頭がシャキッとなるのである.逆に夜中の3時に「何となくのどが痛いんです」なんて人が来ると,一気に疲労度が増すのであった(一番疲労度が増すのは,夜中に「眠れないんです」とやってくる人.こんな人が来ると「私の睡眠時間を奪いやがって」と心の中で思いながら,表情はいつも通りで「ああ、そうですか」と対応しているのである).

 世の中には救急外来を24時間営業のコンビニ病院と勘違いしている人もいる.岩手日報の記事にも出ていたが,「夜間の方が待ち時間が短いから」といった困った理由で救急に来る人もいるのである(風邪引きの人が朝8時15分に救急外来を受診するかたわらで,本当に具合の悪い人が朝7時から一般外来の受付に診察券を出して9時の診察開始を待っているという,シャレにならない話もある).

 夜間外来はあくまで救命が任務であり,生命に異状がなければ,原因究明等は翌日の一般診療で行うのが原則である.このため,夜間の受診者には内服薬などは1日分しか出さず,必ず翌日の外来を受診するように指導するのだが,コンビニ病院だと思っている人には理解できないらしく,「なんで1日分しかよこさないんだ」とゴネる輩もいるのだった(特に中年のオッサンにこの手の人が多い気がする).

 もっとも症状の強い・弱いが必ずしも,疾患の重症度と相関しない場合もあるし,重症なのかどうかの判断は一般の人にはできないから,「あまり救急外来を受診しないように」などと言うつもりはない.ただ医師も人間であり夜中にたたき起こされると,時には不機嫌になっていることもある.こんな時に「いやー先生,こんな遅くに申し訳ないです」とひとこと言ってもらえると,「そんなことないですよ」とこちらも気分良く診察に入れる.逆に「24時間医者にかかるのは住民の権利だ」みたいな態度でこられると不機嫌度は倍増する.

 お互いに嫌な思いをしないためにも,ちょっとした心遣いが大切だと感じている.

 追) 今の勤務地にも救急外来はあり,もちろんそれなりに忙しいのだが,記事の病院と比べると夜間外来で2/3,救急車の数は半分くらいじゃないかと思う.人口規模も似たようなものであり,特に当地の住民がより健康だというわけでもないだろうから,やはりこれは住民の受診志向の差なのだろうか.

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2007年2月 4日 (日)

退院時要約

 医師の仕事のひとつとして退院時要約というものがある.これは,患者さんが退院した時に,その症例についてのサマリー(主訴,病歴から所見,検査データ,診断,治療経過を簡潔にまとめたもの)を作成するものである.

 私の診療科には年間300症例程度の入院がある.私と相方の二人で仕事をしているため,一人頭年間150症例ということになる.退院の都度まめに作っていけばいいのだが,何やかやとやっているうちに,未製作のカルテが溜まってしまうことになる.

Youyaku1 外来に積んであるサマリー未作成のカルテ.圧倒的に私の分が多いです(泣).

 相方は私と違ってマメな性格なので,サマリーも順調に作っているが,私の方はといえば,油断するとカルテの山ができてしまうのだった.あんまり貯めると病歴室から督促を受けてしまうため,時々”サマリー合宿”と称して休日などに作業をする.立春の今日,2月4日もサマリー合宿で外来に篭っていたのでした(今日はモーツァルトのピアノ協奏曲をBGMにして作業をした).

Youyaku2 サマリー製作に没頭する私.手前には脳の模型が置いてあります.

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2007年1月24日 (水)

医学生のころ

 実は今年から大学医学部の講義も受け持つことになった.私の担当は神経疾患の系統講義の中の”筋疾患”である.

 医学部の教育は,初めに基礎医学(解剖学,生理学,生化学など)を学び,次いで臨床医学に進む.臨床医学では内科診断学と呼ばれる内科総論(身体所見の取り方,症候から考えうる疾患を列挙する鑑別診断等)を学んだ後,各分野(消化器系,循環器系,神経系など)の各論に入っていく.この各分野の様々な疾患を学ぶ一連の講義が系統講義で,これを無事に終えるといよいよ臨床実習に入るわけである.私が医学生だった十数年前には系統講義は4年生から5年生の夏くらいまでに行われていたのだが,学ぶべき内容が格段に増えた昨今では,3年生から4年生で系統講義を終えるらしい.私が担当する講義も3年生である.

Junbi 講義の準備をする私(なぜか今日は蝶ネクタイです).

 講義のスケジュールは1年前に発表されており,準備期間は無限にあったはずだが,直前にならないと火が付かない性格から,先週くらいからようやく準備を始めている(ちなみに講義は1月25日の2講目と3講目である).2コマ180分で筋疾患(筋ジストロフィーやミトコンドリア病,炎症性筋疾患から重症筋無力症など)を全てやれというのだから,もの凄い詰め込み教育だ.自分が医学生だった頃の記憶からいっても,こんな短時間に理解せよというのが土台無理な話である(何がなにやらわからないうちに講義は終わり,結局卒試(卒業試験),国試(国家試験)の時にあらためて勉強した記憶がある).

 講義といえば,昔は黒板に板書するスタイルが一般的であったが,字を書くのがもの凄いストレスになる私にとっては,パワーポイントを使った講義スタイルは大変ありがたいものであった(私の乱筆は昔から有名で,日本語の筆記体などと言われたものだった).

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2007年1月20日 (土)

納豆ダイエット騒動

 最近某テレビ番組で「納豆にダイエット効果がある!」という説を取り上げたことから,放送直後から全国の店頭で納豆が品薄になるという現象が起こっていた.

 しかし本日のネットニュースによると,番組内で紹介されていた臨床データ等にねつ造があったことが明らかになり,放送局の社長が陳謝したそうだ(納豆ダイエットで誇張).この話題がでた直後から眉唾っぽいなーと感じていたが,まさかデータ捏造までやっていたとは思わなかった.

 冷静に考えればわかるはずだが,特定の食品を食べるだけで痩せるという話は自然科学の法則に反している.食品には普通カロリーが含まれており,摂取したカロリーはエネルギー保存則にしたがって,必ずどこかに残るからである.痩せるためには,摂取したカロリー以上のエネルギーを消費する必要があり,たとえ納豆でも摂取すればカロリーになる事実には変わりがない(納豆はたんぱく質が主体だから,1グラムあたり4キロカロリーになる).よく”こんにゃく”がダイエットに重宝されるのも,こんにゃくにはほとんどカロリーが含まれていないから,こんにゃくを食べて満腹感が得られれば,食事量を減らすことが期待できるからである.

 納豆中心の食事がダイエットに適しているというのは事実であろう.納豆(特に醤油で味付けした納豆)は少量でたくさんのご飯を食べられるため,結果的に少しのおかずで食事を完了できる(=摂取カロリーを減らすことができる)からである(脂質を大量に含んだハンバーグをおかずにするのと,脂質をほとんど含まない納豆をおかずにするのとどちらがダイエット向きかは自明の理である).ダイエットするには摂取カロリーを減らすか,消費カロリーを増やすしかない.良く運動してダイエットとも言われるが,運動でカロリーを消費するのもなかなか大変である(ショートケーキ1個分のカロリーを運動で消費するには30分はジョギングしなくてはならない).

 今回の納豆の話の中では,基礎代謝を高めることでカロリーを消費するという話があったようだ.たしかに基礎代謝を高めれば,運動しなくても消費カロリーは増える.ただ,基礎代謝が亢進すれば体温,心拍,血圧なども上昇するから今度は別な問題が発生するだろう(納豆に基礎代謝亢進効果があるのか,私は知らないが仮にあってもわずかなものであろう).もし純粋に基礎代謝を高めたければ甲状腺ホルモンを摂取するという方法があり,一定のダイエット効果は得られるかもしれない.しかし一方で様々な合併症が起こるため,健康面を考えると絶対にお勧めできない(甲状腺機能亢進症の状態).

 結局ダイエットの方法は,適度に運動しつつ,消費カロリーをセーブするという至極当たり前の結論に落ち着いてしまうのである(私も人のことはいえないが‥‥).

 ところで,このねつ造騒動で納豆の消費が沈静化し,当初増産に踏み切ったはずの納豆メーカーが大量の在庫を抱えて途方にくれるという事態が起こるかもしれない.その場合,メーカーが被った損害を件の放送局が賠償するのだろうか.いずれにせよマスコミ各位には自らの社会的影響力を鑑みて,良識ある報道をしていただきたいものだ.

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2007年1月10日 (水)

風評被害

 今年の冬は全国的にノロウイルスによる感染性胃腸炎が流行してることから,しばしばノロウイルスによる食中毒の材料になるカキが敬遠されているらしい.広島や宮城県松島の水産業者は頭を抱えているし,ついには長崎ちゃんぽんの店「リンガーハット」が赤字に転落するらしいという記事まで出ていた(ノロウイルス風評被害で販売不振).

 冷静に考えればわかるのだが,今年のノロウイルスの流行はカキとは何の関係もない.巷に溢れているノロウイルスによる胃腸炎の患者さんのほとんどはカキを食べて感染したわけではなく,人から人への感染によるものである.それゆえカキを食べないからといって感染しないという保障はまったくない.勿論カキを生食すれば感染する可能性はあるが,それとて今年特別にカキの汚染率が高いわけでもない(調理人の手からノロウイルスがカキに付着する可能性はあるかも知れないが,それはカキの責任ではない).ましてやたとえウイルスが付着していても,加熱すれば問題はない(85℃1分以上の加熱で死滅する).したがって十分に火を通した牡蛎鍋を食べてノロウイルスにやられる可能性はないのである(十分に中まで火を通すことが大事).

 しかしこういう情報はなかなか一般の人には理解してもらえないのか,わが国では風評被害が後を絶たない.大腸菌O-157騒動時のカイワレは有名だし,鳥インフルエンザが出てくると,鶏肉が敬遠される.甚だしいのだと下北半島の六ヶ所村で核燃施設が話題になった際には,同じ六ヶ所村で作られている牛乳(レイクファーム牛乳というブランド品である)の売り上げが落ちたという.

Kakinabe おいしそうな牡蛎鍋です(広島牡蠣のクニヒロさんのHPから引用しました).

 風評被害は罪もない人々(今年の場合はカキの養殖業者)を苦しめるばかりでなく,無用な社会不安から景気にも悪影響を与える.我々市民は正しい知識を持って行動したいものだ.ちなみに我が家では,風評被害からカキを守るべく,今年は例年以上にカキを食べている(もちろん牡蛎鍋にして).

 オマケ(ノロウイルスに感染しないために)

Norovirus_1 これが話題のノロウイルスです(International Committee on Taxonomy of Virusesのデータベースより引用).

 手洗いの徹底.アルコールや逆性石鹸は効果が期待できない.普通(塩基性の)石鹸と流水でよく洗い流すことが大事.食器などは塩素系漂白剤(次亜塩素酸,キッチンハイター?)で消毒する.加熱消毒でもよい.

 感染性胃腸炎が疑われる人の吐物,排泄物を素手で扱わない.汚染物はしっかり密封して捨てる(特に汚染物が乾燥すると,ウイルスが飛沫になって空気中に飛び散るため,早めの処理が重要).

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2007年1月 3日 (水)

初日直

 世間では正月休みが続いている.今年は1月4日,5日を休みにすると10連休くらいになるらしく,年末年始を海外で過ごす人たちの帰国ラッシュは今週末だそうである.

 しかし世間はそうでも,地域の中核病院の勤務医をやっている身分ではそんなに休んでいるわけにはいかない.病棟には入院患者さんがいるし,救急センターからの呼び出しもあるからだ.幸い私の部署は私と相方の二人でやっているため,交代でフリーになって休むことにしている.今回の年末年始は12月29日~31日の年末は私が休んで温泉に行ったりしたため,1月1日~3日は私が働く番である.とはいっても病院自体が休日体制になっているため,外来や検査等があるわけではなく,病棟の回診を済ませると,あとは救急外来から呼び出せれない限りは基本的に自宅待機である.

 しかし本日1月3日は少し趣が違った.今日は今年最初の日直なのである.日直とは日勤帯(8時半から5時15分まで)の救急外来の当番医のことで,私の病院では基本的に内科系と外科系の2名が詰めて仕事をする形になっている.冬季間の日直は結構きつい.何と言っても寒くて風邪をひく人も多いのだから当然だ.しかも今年は例のノロウイルスも猛威を振るっている.

 本来ならば8時半に張り切って出勤し日直に突入するのであるが,今朝は違った.朝6時半に別件で救急外来に呼び出されたからである.入院が必要な症例であったため,指示を出したりムンテラをしたりしているうちに,そのまま日直に突入する羽目になったのである.

 結局夕方5時まで,この日に救急外来にやって来た患者さんはなんと,80人以上であった.私と外科系のドクターは結局昼飯を食う暇もなかったのである(泣).昨年暮れに当直をやった時はまだ,ノロウイルスの患者さんはいなかったが,今日はそれっぽい人が大勢やってきたのだった.

Img_0022 院内の端末で写真を見る私

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2006年12月23日 (土)

ライノウイルス

 実は先週末から調子が悪い.先週木曜と土曜に当直があり,その直後に何となくのどが痛くて,「あっ,こりゃやられたかな」と思っていたのだが,その後から関節痛,咽頭痛,鼻づまりが始まり,今週に入ってからは咳もでてきた.典型的な風邪(急性上気道炎)症状である.その一方熱はないことから,いわゆるライノウイルス(Rhinovirus)による感染症と思われる.

 ライノウイルスはもっとも一般的な風邪ウイルスで,これに一度もかかったことのない人はいないだろう.ウイルス疾患であるから一度かかると免疫ができるが,ライノウイルス自体,何百種類もバリエーションがあるため,一生かかっても全部の免疫は獲得できそうにない.

 ライノウイルスに対する特効薬も当然なく,結局栄養のあるものをしっかり食べて寝るしか方法がないのであった.

Rhinovirus ライノウイルスの写真です(International Committee on Taxonomy of Virusesのデータベースより引用).これはイメージなので実際にこういう色が着いているわけではありません.

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2006年12月17日 (日)

ノロウイルス

 この冬はノロウイルスによる感染性腸炎がはやっているらしい.我が岩手県でも関西方面に修学旅行に行った高校生が集団感染したなどという事例も報告されている.ノロウイルスは主に冬季に発熱,下痢,嘔吐を主症状として起こる感染性腸炎(俗にお腹に来る風邪といわれるもの)の原因ウイルスのひとつである.ウイルスによる腸炎としては他にロタウイルスが有名である(特に小児科領域では有名なウイルスで,私が医学生だったころは,「冬」,「小児」,「白色の下痢」とくれば,何とかの一つ覚えで即,ロタウイルスと覚えたものである.ちなみに白色の下痢とは,下痢が頻回過ぎて胆汁の分泌(便のあの色は胆汁由来なのです)が追いつかず,米のとぎ汁のようになった下痢のことです.

 ノロウイルス感染は,何らかの経路でウイルスが経口から侵入し,腸管で増殖して発症する.潜伏期間1~2日で発症するが,中には感染しても無症状の人もいる.感染した人の便や吐物にはウイルスが含まれているため,その処理が不適切な場合,感染源になりうる.特に無症状の人であっても,便にはウイルスがいるため,感染源が特定できない理由になっている.

Norovirus ノロウイルスの写真です(International Committee on Taxonomy of Virusesのデータベースより引用).

 治療であるが,2006年12月現在,ノロウイルスに有効な抗ウイルス薬は存在しないため,基本的には自分の免疫力で治すしかない.ただ,疾患としては軽症の部類に入り,通常2~3日で治るので,過度に恐れる必要はないが,乳児や高齢者など体力が弱い人の場合は脱水などを起こすこともあり,注意が必要である.尚,ノロウイルス感染かどうかを調べる検査については,電子顕微鏡で観察する方法やRT-PCRというウイルス遺伝子を検出する方法があるが,たとえウイルスを突き止めても特異的な治療があるわけではないため,一般には行われていない(勿論集団感染などの場合は原因特定のため行われると思うが).

 対策としては,怪しい人の便や吐物を素手で扱わない(必ず手袋をする).きちんと手洗いをする(とは言っても普通の石鹸では不活化は困難)などであろうか.

 さて今夜は当直で,今仕事が一段落してこのブログをアップしている.もしかしたらノロウイルスの感染性腸炎の患者さんが来るかと思っていたが,幸い今のところはお目にかかっていないのであった.

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2006年11月11日 (土)

介護認定審査会

 日本は急速に高齢化社会に突入しているといわれる.一般に65歳以上を高齢者と呼ぶが,全人口に占める高齢者の割合(高齢化率)が,平成2年には12%だったのが,平成16年には19%にまで上昇しているからである.出生率が低下している一方で,平均寿命が依然として高い水準にあるのだから当たり前であるが,これに伴い介護支援の充実などが,これからの日本社会が取り組むべき課題ともいわれている.ただ高齢者が増えたといっても,昔の65歳と今の65歳を同列に扱うのもナンセンスである.私が幼稚園から小学生頃の65歳といえば,顔に皺が寄り,腰が曲がって杖をついてやっと歩く,いわゆる老人だったが,今の65歳はシャキシャキして元気な人が多い.仕事に疲れた50代よりもむしろ若く見えるくらいだ.私の母親も今年で65歳になったが,とても高齢者には見えない.

 しかし,いくら若い高齢者(矛盾した言い方だなぁ)が増えたとはいえ,人間年をとれば,あちこちに不自由が出てくるのは仕方ない.しかも,昔のような大家族制が崩壊し,核家族化が進んだ結果,家庭での介護力が大幅に低下している.従来なら大勢の家族で協力して介護していたようなケースが,介護を受けられないという”介護難民”が出現したのである.このままではイカンというわけで国(厚生労働省)が立ち上げたのが,介護保険制度である.

 要するに,従来のように大家族での介護が困難になったため,「各種サービスを利用した介護を保険でやりましょう.しかも従来の,行政側のお仕着せではない,利用者自身が望む介護をやりましょう」という触れ込みで始まったのである.保険者は市町村で,被保険者は40歳以上の人全て,利用は原則として65歳以上からだが,脳卒中などの特定の疾患の場合は40歳以上から利用できる.

 国としてはこの制度によって,介護問題の解決のみならず,医療費の抑制,雇用の創出(介護サービス事業への新規参入業者による)など多くのメリットが生まれると目論んでいたようだ.特に医療費の抑制は国にとっては重要で,当時全国の病院には,入院治療の必要がないのに,退院先がないために長期に入院している,いわゆる”社会的入院”の事例が沢山あったからである.

 社会的入院の多くは,脳卒中などで重度の後遺障害を抱えてしまい,介護がなければ生活できないにもかかわらず,一人暮らしであるとか,家族がいても年老いた配偶者が一人きりとか,中には家族が介護に全く非協力的であるとか(医者をやっていると,時にこういう事例に遭遇して泣きたくなる)いうケースである.また一方では,身体的には特に問題なくても,「家が寒いから」という理由で入院している高齢者もいた(さすがに21世紀に入ってからはなくなったと思うが,私が医者になった当時は,地方の病院や都市部の小病院にはこういう患者も入院していた(我々はこういう人達を越冬隊と呼んでいた).

 厚労相の頭の中ではバラ色だったであろう介護保険だが,早くもほころびが目立ち始めている.利用者の予想を超える伸びによる,保険自体の赤字である.最もこれは,保険を創めた時からわかっていた事である(保険料を払っているのだから,利用できるなら利用しようと考えるのが人情である.なかには全く介護を必要としない状態にもかかわらず,申請してくる人もいる).このため国は,当初の理念はどこへやら,「今までの介護保険で,過剰に介護したことで,かえって被介護者の生活能力を低下させてしまった(手伝いすぎて,頑張れば自分でできるのに,やらなくなってしまったのだという理屈)」,「これからは,なるべく要介護状態にならないように予防を図っていくことが重要だ」などと言い出したのである.一面もっともな理屈に聞こえるが,我々現場の人間から見ると利用者のためと言いつつも,実際には保険給付金を安くしたいという魂胆がミエミエで,ゲンナリするのである.

 介護保険を受けるためには,利用希望者が市町村に申請して,役場の人(調査員)が希望者を訪問し,その人が今どういう状態にあるのかを評価する(聞き取り調査).その一方,希望者の主治医がその人が医学的にどういう状態にあるか意見書(主治医意見書)を書く.その聞き取り調査結果と主治医意見書を勘案して,最終的にその人の介護度(介護の必要がない非該当から最重度の要介護5まで8段階ある)を決めるのが,介護認定審査会である.委員には,医師,薬剤師,保健婦など医療・福祉に関わる人で,地方自治体の委託を受けた地域の有識者が当たるそうであるが,実は私も委員である(私が有識者かぁ 笑).

 介護度を審査で決めるといえば聞こえはいいが,実は我々審査委員が介入する部分は意外に少ないのである.要介護については,聞き取り調査結果と主治医意見書のデータをコンピューターに入力して(どんなソフトを使っているのかは不明),機械的にはじき出された介護度をベースに議論していくのである.その際,機械がはじき出した介護度を変更するにはそれなりの理由が必要なのである(尤も国側からすれば,医者や保健婦は常に患者さんに接しているために,どうしても情に走ってしまう傾向があるため,そんな連中にフリーハンドを与えたら,介護度が不必要に重くなると危惧しているのだろうが).

 それゆえ,審査会で我々は,機械によって決められた介護判定と格闘しているのである.現在の介護保険はアルツハイマー病などの認知症に辛く,認知症の人はどんなに問題行動があって家族が困っていても介護度は低くなる傾向にある(実際に,足腰がピンピンしていていて,あちこち徘徊し,問題行動が多い要介護1のアルツハイマー病の人を,リウマチで手足が痛く,歩行も不自由だが頭はしっかりしている要介護2の配偶者が介護しているという,笑えない話もある).

 昨夜11月10日もこの介護認定審査会が行われたのであった.

Shinsakai これが介護認定審査会の書類です.この日は合計39件,約1時間の議論でした.

 

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2006年10月29日 (日)

当直の夜

 今夜は当直である.私の勤務先は救命救急センター(ER)を併設した医療機関であり,地域の中核病院の役割をになっている.当地域の医療圏は約75000人とそれほど多いわけではないが,面積は広く,1077平方キロと東京23区の1.5倍の広さがある.

 そんなわけで,当院のERは,大都会のそれ(それこそ,救命救急24時みたいなテレビに出てくるER)とは趣を異にしている.人口が多くないため,別に救急車がひっきりなしに出入りしているわけでもなく,夜間やってくる患者さんのほとんどが命に別状がない軽症者である.しかし,1日に何台かは救急車や重症患者さんがやってくるため,そんな時は場の空気が一気に緊迫する.とはいっても,昨今の地方病院の例に漏れず医師不足は深刻で,テレビに出てくるERのように,救急車到着とともに医師が10人くらい飛び出してくるようなことはなく,基本的に対応する医師は当直医一人きりである(平日の夜は若い研修医も一緒に泊まっていることもあるが).従って救急車がやってくると,当直のナースや搬送に当たった救命救急士の手も借りながら,あくせくと処置をするのである.そうして,専門医の判断や応援が必要となった場合に,自宅待機の医師を呼び出すのである.

 こうして夕方5時15分から翌朝8時半まで,ERに張りこんで救急患者さんの診察に当たるわけだが,翌朝8時半になったからといって家に帰れるわけではない(当直のナースは朝になると帰れる).もっとも,規定では当直明けは,「業務に支障がなければ,半日で帰ってよい」ことにはなっているのだが,医師不足の現状では「業務に支障がないはずはない」ため,事実上空文化しているのである.

 そんなわけで,当直明けの勤務は厳しく(特に翌朝から外来だと本当に辛い),最近では自分の当直はなるべく週末になるようにしているのであった(翌朝しばらくは寝ていられるため.平日の当直に当たっているときは,20代の若い医師と代わってもらう.彼らは体力もあり,週末の当直だと遊ぶ時間がなくなるため,かえって平日の当直を好む人が多い).

 今ちょうど患者さんがいなくなったため,夜食がてらこのブログをアップしているのだった.さあ,あと8時間頑張ろう.

Er 診察が一段落し,ERのベッドに座って休む当直中の私(深夜のためネクタイ着用はしません).

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2006年10月20日 (金)

講演の秋

 読書の秋という言い方があるが,暑い夏が終わって涼しい秋になると,なんとなく頭が冴えたような気がしてくる.そんな理由もあるのか,秋になると学会や各種研究会・講演会が目白押しになり,私のところにも,時々講演の依頼が舞い込んでくる.

 私の講演の内容はというと,新選組やビザンチン帝国史について語るわけにもいかないため,専門である神経内科領域の話になる(これでも一応神経内科医なので).神経内科疾患といえば,脳卒中,アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患,てんかんや頭痛,めまいなどが該当する.幅広い神経疾患のなかで何を話すのかは,講演会の主催者側の意向で決まるのだが(こっちから演題を指定できるほど偉くないので),私に依頼してくる人達は頭痛やパーキンソン病を指定してくることが多いようだ.

 実は10月に講演が2つある.10月13日(金)と10月20日(金)である.前者は地元の医師会主催,後者は製薬メーカー主催で盛岡市で行われる.講演というのは準備期間もあるため,大抵本番の数ヶ月から半年前に依頼が来るのだが,私のような忘れっぽい人間は,直前になって慌てて準備に追われるというパターンが多い.今回も先週,今週と日常業務が終わってから,あくせくと準備していたのだった.ちなみにテーマは10月13日が「子供たちの頭痛」,10月20日が「パーキンソン病の薬物療法」である.頭痛は私自身が片頭痛持ちのため,結構力を入れている分野なのであった.

Kouenjunbi 職場で夜遅くまで講演会の準備をする私(もっと早くから準備しろ! 笑)

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2006年9月14日 (木)

学会シーズン到来!

 暑い夏が終わり,秋がやってくるといよいよ各種学会や研究会が盛んに行われるシーズンになる.特に9~11月は週末になるといつも何らかのイベントがある.

 今週末(9月16日)には仙台で学会が2つある.日本神経学会と日本内科学会のそれぞれの東北地方会で,先日宮古市で行われたものとは違い,それなりに気合が入った学会である(どういう意味じゃ).

 自分が発表する演題はないのだが,ウチの研修医二人が演題を出しているため,その指導・応援として出かける予定となっている.本来なら今頃は全て完成して,さあ後は行くだけという状態になっているはずなのであるが,「‥‥まだ完成していない」のであった.先週今週と所用が多く,先送りをしているうちに今日になってしまったのである.泣いても笑ってもあと二日しかなく,しかも明日の夜には仙台入りするため,勝負は実質今日一日ということになる(まあ,さすがに8割方は完成しているので何とかはなるだろうが).というわけで今夜はエンドレスになりそうな気配であった(ブログをアップしている暇があったら早く作れという声が聞こえる 笑).

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2006年7月26日 (水)

健康講演会

 今日は地元の住民を集めて健康講演会があり,その講師として出向いてきた.

 この企画はうちの病院が中心になって年に1~2回開催しているもので,今回で13回目を数えるのだという.講演の内容は住民のアンケートなどを基にしており,今回は子供の発熱と脳卒中がテーマと決まり,地元の小児科の開業医の先生と私が講師に指定された次第であった.研修医やコ・メディカルを対象とした講演なら何回かやったことがあり資料(最近はほとんどPower Pointを使っている)も完成しているのだが,一般住民が相手となれば内容を変える必要がある.まず専門用語は一般的な用語に置き換え(例: 血管閉塞 → 血管が詰まる,脳組織が壊死に陥る → 脳みそが腐るなど),またあまり堅苦しい話ばかりだと飽きられるので適当に肩のこらない話も混ぜたりする.何とかなるだろうと直前まで準備を怠っていたため大慌てで資料を作る羽目になり,結局決定版が完成したのはなんと本番の1時間前であった.

 開始30分前に会場入りする.既に事務方が来ていて準備に余念がない.PCとプロジェクターを接続し,きちんと写ることを確認した.この頃になるとお客さんが三々五々やって来る.午後2時に講演会が始まった.最初に小児科の先生の話があり,ついで私の講演となった.東北地方は昔から塩分の多い食生活だったためか高血圧から脳卒中になる人が多く,関心も深い.みな熱心に聴いてくれていたようだった(飽きられないように5月のひの新選組まつりの写真も混ぜておいた).

Shutsujin2 (写真)5月のひのパレのひとコマ(講演会で示した写真)

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2006年7月22日 (土)

ね,ねむい

 昨晩は当直だった.わが岩手県の地方の医師不足は深刻であり,県北の某病院ではなんと常勤医師が3人しかいないのだった.しかし常勤医が何人だろうと医師法で当直医(夜間など時間外に診療に当たる医師)を置くことが義務付けられている.仮に常勤医3人で当直をこなすとなんと3日に1回当直に当たる計算になる.当直医の業務は基本的に病院内の医者の詰め所(一般に医局と呼ばれる)に待機していて外来の急患や入院患者さんの急変などに対応することである.従ってルーチンワークがあるわけではないため,運がいいと1回も呼ばれずに一晩過ごすこともあるが,運が悪いと一睡もできないこともある.しかも医師の当直は看護師の夜勤と違って終わったからといって家に帰ってもいいわけではない.夜明けから当たり前のように普通の勤務をこなすのである.

 そんなわけだから常勤医3人で当直をまわすというのは過労死して下さいと言っているのに等しく,そのため近隣の病院から当直の応援に行っている次第である.昨夜が私の番であった.

 夕方車で病院に出向き事務室に挨拶する.ついで医局にいくと残り番の医師が待機していた.そこで簡単な申し送りをして勤務を引き継ぐわけである.幸い重症な患者さんはなく比較的平和なようだった.特に仕事があるわけではないが,持ち場を離れることもできない微妙な立場である.そこで私はこのブログを立ち上げたりして過ごした.一応呼ばれてもいいように午前1時ごろまで待機して何もなさそうだったためシャワーを浴びて寝ることにした.

 寝てしばらくたった午前3時ごろトイレに行きたくなった.トイレは医局を出たところにある。私は寝ぼけた目をこすりつつ、医局のドアを開けて外に出た.後ろでドアがガチャンと閉まる音がする.トイレで用を足して戻り医局に入ろうとすると,‥‥‥ドアが開かない! おかしいと思って見ると,ドアにはナンバーキー式のロックが.「し,しまった」と思っても後の祭り,私は閉め出されてしまったのである.手伝いに来た病院の暗証番号など知るはずもなく適当に番号を入力しても開くわけはない,なにせ4桁の暗証キーで当たる確率は10000分の1である.守衛さんに聞けばわかるかとも思ったが,夜中の3時であり起こすのも申し訳ない感じである.仕方がないので受付ロビーに行って待合室の長椅子で夜を明かすことにした.こんなときに急患でも来れば守衛さんを起こすこともできるのだが,こんな日に限って誰も来ない.結局朝までそのまま不自然な格好で寝ていた.いつの間にか夜が明けて守衛さんに起こされる.「あれ,先生こんなとこでどうしたんですか」,私が「実は赫々云々で」と言うと,「なんだ,起こしてくれれば良かったのに」と言って医局のドアを開けてくれた.私はやっと布団に寝ることができたのだった(最も8時半には急患で起こされて大して寝る時間もなかったが).

Tenkey  結局ほとんど呼ばれなかった当直にもかかわらず,あまり寝られなかった次第であった.9時半に日直の交代医師がやってきて申し送りをしたが,昨夜の間抜けな出来事は口には出せなかった.

(写真)これが問題のキーと同じものです.

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