2024年8月21日 (水)

Mpox

 アフリカでは今、Mpoxが話題になっています。これは以前サル痘と呼ばれていた感染症のことです(実際には主に感染する動物がげっ歯類だということがわかり、名が体を表さなくなったことや、罹患者に偏見を抱かせかねないということで、現在ではMpoxの名称となっています)。ポックスウイルス科のオルソポックスウイルス属の一種で、昔怖い感染症として知られていた天然痘ウイルスの仲間です。日本でも何年か前に海外から持ち込まれ実際に症例が発生したことで知られています。おもな症状は発熱、頭痛に加えて特徴的な発疹が全身に現れることです。これらは天然痘に類似した症状ですが、天然痘に比べると毒性や感染性は低く、致死率も低いとされています。

 Mpoxにはコンゴ盆地由来の株(グレード1)と西アフリカ由来の株(グレード2)があります。以前世界的に広がったものはグレード2だったのですが、今回問題になっているのがグレード1によるものです。これはグレード2に比べると毒性や感染性が強いとされています。昨年以降アフリカ中部のコンゴ民主共和国で多数の症例が報告され、その後周辺国でも症例報告が増えてきていることから、今回アフリカCDCやWHOが「公衆衛生上の緊急事態」を宣言しました。Mpoxは天然痘に比べれば毒性は低いとされていますが、今問題になっているグレード1は致死率5%程度と決して無視できる数字ではないことと、アフリカ地域で蔓延しているHIVとの絡み(HIVで免疫不全状態になっているところにMpoxが感染すると致死率が一気に上がる)で問題になっているわけです。

456570332_8033581353405826_3587566798149  私のいるナミビアでは今のところ感染例は報告されていませんが、SNSでは当地の主要英字紙の名を騙ったアカウントが「100例以上の陽性者が!」などと投稿し、これに対して当地の保健省が「これはフェイクニュースです」と否定コメントを出すなどの騒ぎになっています。日本でも感染症や災害の時にSNSのフェイク情報が問題になりますが、世の東西を問わないようです。

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2024年5月30日 (木)

当地のミネラルウォーター

 日本は水道水が問題なく飲める国ですが、これは世界的にみると珍しい部類に入ります。海外での水道水は日本のように飲用で問題がない国は少数派で、多くの国では加熱調理や歯磨きでは問題ないレベルのや、歯磨きすら憚られるレベルだったりします。そうした中ナミビアは一応飲用も可能な国とされています。

 ただこの国の水は非常に金属成分(アルカリ土類金属はもちろん、鉄なども)が多いため、日本人が飲用するとお腹を壊す可能性があるとされています。これは日本の水が水道水も含めてミネラルが少ない軟水であり、日本人の胃腸がミネラルの多い硬水に慣れていないためとされています。

 水の硬度は含まれるミネラル、特にカルシウムイオンとマグネシウムイオンの量で決まりますが、これは市販されているボトル入りの飲用水(いわゆるミネラルウォーター)も例外ではありません。例えば1990年代に日本で有名になったフランス産のミネラルウォーター evian の成分を見ると

 カルシウムイオン 80mg/L、マグネシウムイオン 26mg/L で硬度は約300です。

 一方国産ミネラルウォーター大手のサントリー天然水(採水地によって成分が異なるので今回は山梨県北杜市のもの(以前南アルプス天然水として売られていたもの)は

 カルシウムイオン 9.7mg/L、マグネシウムイオン 1.5mg/L で硬度は30です。

 比較すると一目瞭然ですが、evianとサントリー天然水では硬度が10倍も違うわけです(注 硬度=カルシウムイオン×2.5 + マグネシウムイオン×4.1 で計算できます)。この場合サントリーは軟水でevianは硬水です。

 軟水か硬水かは地域性が非常に大きいものがあります。ヨーロッパは石灰岩質が多く、地形も平坦で水が長期にわたって滞留するため地質からミネラルが溶け込み硬水になるのに対して、日本は一般に雨量が多くて河川の流れも速く、水が滞留する時間が短いためミネラルが溶け込む時間が無く軟水になるといわれます。ただ日本でも岩手県岩泉町で採水される龍泉洞の水は、地質が石灰岩質で比較的水が滞留するため、硬度約100と例外的に硬水です。

Img_2700 Img_2697 Img_2705 Img_2699(写真)ナミビアで売られているミネラルウォーター(一部)

 さて翻ってナミビアですが、当地もスーパーなどに行くとたくさんのボトル入り飲用水を売っています。はたしてどんな成分なのか、興味があったので調べてみました。水道水の様子から見て硬水が多いんだろうなと予想していましたが、実は商品毎の差が激しいことがわかりました。例えば当地のスーパー大手であるCheckersでよく見かける飲用水 OASIS の成分は

 カルシウムイオン 133mg/L、マグネシウムイオン 22mg/L で硬度423とevianの1.5倍近くもあります。

一方で別なスーパー系列であるSPARで売られている自社ブランド、SPAR Still spring water

 カルシウムイオン 0.4mg/L、マグネシウムイオン 0.2mg/L でその硬度はわずか2!、サントリー天然水の10分の1以下という超軟水です。どうしてこんなに違うのかと思ったのですが、その秘密は採水地にあるようです。OASISの採水地はナミビア北部のOMARURUという土地、ナミビア北部は元々雨が(ナミビアにしては)多い地域なので、その地下からくみ上げた水は硬度が高いようです。一方SPARの水の採水地は南アフリカのCeres Valleyという場所でした。Ceresの地層等は詳しくわからないのですが、やはり地質的な点から軟水になるのではと想像されます(降水量自体はそんなに多くないようですが)。

 水からそんなことを考えてしまいました。

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2024年4月12日 (金)

もうひとつの人生

 道後温泉を堪能した翌日4月12日は今回の四国旅行の最終日です。実は今回愛媛県を訪問するにあたってぜひ訪れたい場所がありました。それが松山市の郊外東温市にある愛媛大学医学部です。

 私は1990年に再受験で医学部に入りました。当時の国公立大学はA・B日程と前期・後期日程が併存していた時代で、実質2つの大学を受験することができました(前期後期日程の場合は同じ大学2回受験も可能)。ただ絶対に1回で決めるという目標を掲げていたため、どこの大学に入りたいかではなく、どこの大学なら合格できるかという基準で受験校を検討していました(ぶっちゃけ医師免許を取って医師になることが目標であり、学会の偉い人や教授になろうなどという考えはみじんもないため学閥とかそういうのは一切考慮しない)。そのため秋ごろから模試を受けまくり、その判定具合から受験校を検討していました。そして1990年1月に行われた第1回の大学入試センター試験を受験(平均点が非常に高かった回です)、その結果を受験産業各社に送りすべての会社でもっとも合格可能性が高いと判定された大学(すなわち各社そろってA判定が出た大学)を受験することにしました。それが弘前大学の前期日程と愛媛大学のB日程でした。弘前は実家のある盛岡から車で2時間の場所、愛媛は当時まだ行ったことのない未知の場所でした。

 1990年2月下旬、まずは前期日程の受験のため弘前へ、この日の弘前は一面雲が広がり、しかも吹雪いていました。雪の中宿泊していた旅館から歩いて大学に向かいました。この当時の弘前大学医学部や附属病院の建物は古く、どんよりした天気と併せて、ぜひここで学びたいという気分にならなかったというのが正直な感想です。試験の方は初日の筆記試験、2日目の面接ともまずまずの感じ、再受験生にとって面接は大きな壁になるのですが、弘前は集団面接だったため周囲の反応を見ながらそれなりに対応できました(この辺のコミュニケーション能力は得意な方と自負している)。

 そして弘前受験の10日後B日程受験のため東北・東海道山陽新幹線と生まれて初めての予讃線特急「しおかぜ」を乗り継いで愛媛県松山市にやってきました。駅を降りた瞬間、温かい空気に包まれました。なんと!桜も咲いており、そこは完全に春の陽気です。10日前の弘前とは全くの別世界、「同じ日本でもこんなに違うんだ」と感動した瞬間でした。そして嬉しさのあまり自分が受験生であることを忘れ、松山城などを観光したのでし、さらに前泊の旅館では岩手出身の出稼ぎの方と遭遇し意気投合、酒盛りという受験生とは思えないことをしていたのでした(もっとも当時23歳なので法的にはなんら問題なし 笑)。

 そして翌日、伊予鉄横河原線で愛媛大学医学部に向かいます(愛媛大学は基本松山市にあるが医学部のみ東の重信町(現東温市)にあった)。最寄りの愛大医学部南口駅で下車、そのまま歩いてキャンパスに入ります。しばらくして医学部や附属病院の姿が見えてきました。白くて高い近代的な建物群に感動した思い出があります。この時、もし入学するならこっちがいいなというのが当時の感想です。こちらの入試も日程は2日間、初日の筆記試験の手ごたえもまずます、2日目の面接も終始和やかな感じに終始しました(岩手からどうしてわざわざやってきたのかという話や、東北地方の偉人の話題で盛り上がった)。この段階で多分これは合格できるんじゃないかなと感じました。

 松山から自宅にもどって数日後、前期日程の合格発表の日です。自分が現役の時は大学まで発表を見に行ったものですが、さすがに今回はそこまではしません。昔は自治会などがやっている合否電報で結果を知りましたが、この頃は大学が発送する合格者の受験番号が印字された電子郵便に代わっていました。朝10時ごろ郵便受けの方からカタっという音が、電子郵便が来たなと思い玄関へ、予想通り電子郵便でした。そのままハサミで封を切り中身を取り出します。そこに自分の受験番号を見つけた瞬間は、嬉しさよりもホッとしたというのが正直なところでした。

 さて、合格したのは素直に嬉しいのですが、私の中では愛媛のキラキラしたイメージが残っています。正直どちらかを選べと言われたら愛媛を選びたいところでした。弘前がA日程ならば、B日程の愛媛の結果を待っての選択ができるのですが、弘前は前期日程、B日程の合格発表の前に手続きをしなければなりません。ここで手続きをしなければ入学辞退の扱いとなり、仮にB日程の結果が不合格だった場合、一度合格したにもかかわらずどこにも入れないというこれ以上ない悲劇が待っています。ちょっと悩んだのですが、結局素直に手続きをすることにしました。理由は絶対に1回で決めると決意し、その権利が与えられたこと、自分が合格したことで不合格になった受験生もいるということを思い出したこと、愛媛に手ごたえがあったとはいえそれはあくまでも自分の主観であり、100%合格している保証はないことからでした。

 弘前の入学手続きを済ませたことで、自動的に愛媛の合否判定の対象からは外されます。このため実際に私が愛媛大学の合格圏に入っていたかは永遠の謎となりました。しかし、もしも自分が愛媛大学医学部に入学していたらいったいどんな人生を歩んでいるのかは興味があるところです。実際にはその後の学生時代に父親が亡くなるという現実は変わらないでしょうから、遅かれ早かれ東北に戻ってきているとは思います。ただウチのKと出会ったのは弘前時代ですし、日本にいた時ずっとお世話になっていた合唱の先生と久々の再会をしたのも弘前でした。ですから愛媛に行っていた場合は仮に盛岡に戻ったとしても、結婚相手はまったく別な人でしょうし(あるいはいまだ独身の可能性も)、合唱活動に関しても盛岡に戻ってすぐのタイミングで再開したとは考えられません。今とはかなり違った趣味や人生になっただろうことは想像できます。

Img_2168_20240512124201 Img_2170(左写真1)愛媛大学医学部、(右同2)同附属病院

 今回の高知愛媛旅行の最後に当たり当時と同じく伊予鉄松山市駅から電車で愛媛大学を目指しました。駅を降りて、こんな感じだったかなと歩き大学や附属病院の建物を見た瞬間、当時の感慨がよみがえりました。人生にやり直しはないし、歴史にもしもはないけれど、ここに入学したもうひとつの自分の人生というものに思いをはせたのでした。

Img_2163 Img_2162 (左写真3)愛大医学部南口駅、(右同4)伊予鉄電車

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2024年3月18日 (月)

人間ドック

 8か月ぶりに帰国したわけですが、ただボーっとしているわけにはいきません。まずは自分の体のケアが最重要ということで人間ドックを受けることにします。日本にいた頃は職場の定期健康診断がありましたが、ナミビアの職場にはそのようなものはないので、こうして帰国した際にドックを受診するわけです。今回は東京港区にある某病院で受けました。

 ドックの前夜は夕食を早めに済ませてもちろん禁酒です(笑)。そして朝、銀座線の溜池山王駅で下車しました。ここは日本にいた頃は毎週末合唱団の練習参加のために利用していた駅です。今回全く違う理由で降り立ったのが不思議な気分でした。

418810306_7278088235621812_6113178576061  人間ドックは身体計測(腹囲を含む)、眼底検査、採血、胸部写真、心電図、腹部エコーと進んでいき、最後にメインイベントの胃内視鏡となります。慣れた人なら全く問題ないのでしょうが、自分は咽頭反射が人一倍強いので鎮静付きにしてもらいました(早い話、寝ている間に終わるパターン)。検査後は鎮静剤成分が残っているため運転は禁止といわれましたが、もちろんそんな予定はありません。

 午後はオプションの脳ドックと前立腺ドックを受診、その後簡単な結果説明を受けておしまいとなりました(大きな異常は無し、正式な結果は後日送付とのこと)。

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2024年3月 3日 (日)

耳の日

 3月3日は耳の日です。33を「ミミ」=「耳」と読ませる一種のシャレから来ているわけですが、Wikipediaによると前述のシャレのほかに、3の形自体が耳の形に似ていることもあって、1956年に日本耳鼻咽喉科学会が制定したものだそうです。いずれにせよ日本に限った記念日だと思っていました。

 が、しか~し

 ナミビア保健・社会サービス省(日本で言えば厚労省)のフェイスブックアカウントによると、この日はWorld Hearing Day(世界耳の日)という国際的な日なんだそうです。調べたところ、3の形が耳に似ているからとのこと。確かにこれは日本語の話ではなく、造形なので国際的にもわかりやすいんでしょうね(こちらの制定は2007年とのこと)。

 WHOでは毎年テーマを決めていて、今年2024年は「Changing mindsets: Let’s make ear and hearing care a reality for all!」(意識を変える:⽿と聞こえのケアを全ての⼈に!)とのことです。耳を大切にしていきたいですね。

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2024年1月10日 (水)

ストレスチェック

 ストレスチェック制度は定期的に労働者のストレスの状況について検査を行い、本人にその結果を通知して自らのストレスの状況について気付きを促し、個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させるとともに、検査結果を集団的に分析し、職場環境の改善につなげることによって、労働者がメンタルヘルス不調になることを未然に防止することを主な目的とて平成27年12月に施行されたものです(厚労省より)。

 ストレスチェックのやり方は職場によって異なりますが、大体は外部の専門業者に依頼して行われるのが一般的で、過去には答案用紙みたいなものに記載して郵送し、後日結果が返ってくるというパターンでした。ただ近年ではeラーニングみたいな感じでオンライン上で質問に答えていくと、その場で結果が表示される(それを自分でダウンロードする)ような形が多くなりました。今の職場もそのオンライン形式で今日から開始ということでさっそく受検してみました。

 ストレスチェックのような形式は深く考えず直感的に答えた方が真実に近いものになります。問題は40問ほどありましたが、それほど時間はかからずに回答できました。で、結果です…

Photo_20240116161801

 「あなたはストレスをあまりかかえておらず、またストレスの原因となる要素もあまりないようです」

 ハイ、知ってました(笑)。例年ストレスがないといわれるのがストレスだと公言してはばからない私ですが、今回アフリカの果てまで飛ばされてどうなっているんだろうかと思っていましたが、やっぱりストレスとは無縁な状態に変わりはないようでした。

 ただ、今後状況が変わればどうなるのかは不明なので、気を付けていきたいと思います。

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2023年10月27日 (金)

脳の血管

 私が住んでいる住居の浴室には絵が飾ってあります。それは私が飾ったものではなく、この住居備え付けのものです。

Angio1  最初見た時から、なにか見覚えのあるデザインだなぁと思っていたのですが、気が付きました。それは脳の動脈を側面から見た構図に類似しているのです。

Angio2  これは脳のMRA画像です。向かって左側(前方)に走っているのが内頚動脈、右側(後方)が椎骨・脳底動脈です。くだんの絵は前後が逆になっていますが、こうした脳動脈のように見えるわけです。しかも椎骨動脈から分岐する後下小脳動脈や脳底動脈から分岐する前下小脳動脈、上小脳動脈、後大脳動脈まできちんと描出されているのがすごいなと思ったのでした。

 ここまでくると完全に職業病ですが、なんかそんなことを考えてしまった我が家の浴室でした。

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2023年4月25日 (火)

産業医の単位コンプリート!

 ここでも以前から挙げていますが,主要な学会の単位ガバガバ大作戦を実行中です.その中の一つ,産業医の単位が今日ついにコンプリートされました.

 オンライン参加が当たり前にできるようになったコロナ禍の学会ですが,産業医研修だけは対面が基本です.産業医は法律に基づく重要な業務を担う役割なので,その気になればインチキ可能なオンラインでの受講は認めないという当局の強い意志を感じます.コロナ禍で対面研修が激減したために研修会の機会そのものが少なく,集めるのが大変な分野でした.ただ,昨年秋頃から徐々に対面研修が再開されてきた流れを受けて,一気に集め始めたというのが実態です.

Img_08012  先週末の日本医学会総会で6単位をかき集め,今日25日午後の甲府での研修会でついに全20単位となりました(結局甲府だけで半分以上の11単位を集めた).この日のテーマは「産業保健スタッフのための労働関係法の基礎知識」,法律関係なので正直言ってあまり面白くなさそうだな💦と思っていたんですが,意外と自分も知らないことが発見されて興味深かったです.まあともかく,これで無事に更新できます.

Img_0782  終了後は近くの丸亀製麺に寄り、今月限定で提供されている山盛りあさりうどんをいただきました.本当にあさりたっぷりで,食後は貝塚ができそうな感じでした.

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2023年4月23日 (日)

第31回日本医学会総会②

 4月21日から始まった第31回日本医学会総会,主として産業医の単位集め目的の私も参加しています.22日はほぼ1日会場で各種イベントに参加したのち合唱団の練習へ,終了後の懇親会を経ていったん帰宅しました.そして最終日の22日は眠い目をこすりながら朝7時に家を出て東京に向かいました.すでに受付は終わっているのでこの日は直接会場へ向かいます.朝から3連続で産業医の講習会に参加しました(昨日と併せて合計6単位ゲット!!).終わった後はしばし会場を散策,日本医学会総会は医学関係者向けの講演のほか、市民向けの企画も多数行われています.子供向けのセッションもあって,”医師&看護師のおしごとを体験しよう”というコーナーや自然科学系のクイズコーナーもあって,ちょうど自分が通りかかった時には「2度ノーベル賞を受賞した科学者は誰でしょう?」というクイズが出されていて,それに対して「キュリー夫人」と正解していた賢そうな子供がいました.

 午後2時からはメインホールで閉会式前の特別公演が3つ行われます.ここからは一般市民も参加可能なためウチのKも合流して聴講しました.その3つとは

Dsc_2587 Dsc_2588 「はやびさ2が拓いた新しい科学の地平」 津田雄一先生

「iPS細胞 進捗と今後の展望」 山中伸弥先生

「COVID-19これまで、そしてこれから」 尾身茂先生

 まさに現在の自然科学系のラスボス感満載の方々で,これだけの講演を一気に聴けるのはさすが日本医学会だなと感心したのでした(参加費が高いからなぁ 笑).

 ラスボス3講演の後は閉会式,次回の第32回日本医学会は4年後の2027年に大阪を中心とした関西で開催されること,次期会頭は大阪大学心臓血管外科の澤芳樹先生で日本医学会120年の歴史で外科医が会頭になるのは初めてらしいです.

 閉会式の後は総会最後のイベントとして,著名なピアニストの辻井伸行さんのミニコンサートがありました.演奏曲目はショパンの英雄ポロネーズやリストのラ・カンパネラなどで,私の世代だと「これでベートーベンのテンペストが入ったら”赤い激流”だなと妙に盛り上がってしまいました.素晴らしい演奏をもって第31回日本医学会は終了,私とKはせっかく東京に出てきたのだからと八重洲にあるオイスターバーで牡蠣とワインを堪能してから帰宅しました.こうして充実した週末が終わったのでした.

Img_0793 Img_0794 生牡蠣12ピース

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2023年4月22日 (土)

第31回日本医学会総会①

 以前から予告していたように,この週末東京の国際フォーラムにて第31回日本医学会総会が開催されています.国内に医学系の学会は星の数ほどありますが,それらの中で主要な多くの学会はこの日本医学会の分科会という位置付けになっています.そのためかこの学会に参加すると分科会各学会認定の認定医あるいは専門医の更新単位が自動的に付与される仕組みになっているため,複数の認定医・専門医を所持しているものにとってはポイントの二重取り,三重取りができる学会となっています.特に産業医は最大6単位が取れるという魅力があります.そんな巨大な学会にも拘らず今回で31回目というのはどういうことかというと,この学会開催が4年に1度とオリンピックやサッカーのワールドカップ並みの開催頻度だからです.現在進行中の単位ガバガバ大作戦の一環として今回は私も参加してきました.

Img_0785 Img_0786  学会企画そのものは4月半ばからすでに始まっていましたが,本格開催は21日から,この日は天皇皇后両陛下や岸田総理大臣なども参加して開会式が行われました(ビザンチン皇帝である私はその日甲府に行っていたため参加していません 笑).私の参加は翌22日から,この日は朝7時に家を出て一路東京に向かいました.会場である国際フォーラムに着いたのは8時過ぎ,まずは地下の受付で二次元バーコードを提示して参加証を受け取ります.その後ほかの学会ではほとんど見かけなくなったコンベンションバッグを貰います.この時「ご自由にどうぞ」というお茶を貰ったのですが,一見何の変哲もないおーいお茶に見えて,実はこれ学会オリジナルの非売品なのでした(ここまでするかという感じ 笑).

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(写真)おーいお茶名物の俳句の欄まで凝っているのが凄い!

 8時半から産業医研修会の開始,1時間につき1単位と決まっているため時間ピッタリ行われます.2コマ終わった段階で事前に予約していたランチョンセミナー会場へ移動します.コロナ前は当たり前だったランチョンセミナーですが,久しぶりでワクワクしました.お弁当は崎陽軒の特製弁当,さすが日本医学会気合が入っています.

Img_0788 Img_0789  午後はさらに1コマ産業医研修会を受講し,その後は「COVID19に世界はどう対応したのか」,「感染症予防の究極的手段としての予防接種」という2つの講演を聴いてこの日はお終いとなりました.

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