2019年12月27日 (金)

ペーター・シュライヤー氏逝去

 今日飛び込んできたニュースです.

 歌手のシュライヤー氏死去

 ドイツの著明なテノール歌手で指揮者でもあったペーター・シュライヤー氏が亡くなったそうです.

 シュライヤー氏は1935年ドイツ東部のザクセン州に生まれ,10歳の時にドレスデンの名門聖十字架合唱団に参加し歌の活動に入りました.成人後はモーツァルトやワーグナーなどのオペラや,バッハの宗教曲のソリストとして活動し高い評価を得ました.1970年代からはバッハやハイドンなどの宗教曲の指揮者としても活動しています.

 私がシュライヤー氏を知ったのは1984年に大学に入学,合唱団に所属した後です.上級生にバッハの宗教曲が大好きという人がいて,その人のお宅で聴いたカンタータのレコード!で歌っていたのです.つややかで伸びのある独特な声はとても印象に残りました.

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(写真左)VHDビデオディスクのマタイ受難曲ソフト,(同右)VHDプレイヤー

 その上級生の影響からか自分も宗教音楽好きになり,当時普及し始めていたCDプレイヤーを購入し,アナログレコードと共にその手のソフトを買い漁りました.特に当時バッハ演奏の大家とされていたカール・リヒター指揮の演奏は当時市販されていたものはほぼ買いそろえたほどです.そんなソフト群のなかでも特筆すべきものが,日本ビクターから発売されたリヒターのマタイ受難曲のVHDビデオディスクです.当時リヒターのマタイは3つの音源(1958年録音盤,1969年日本公演版,1979年録音盤)があったのですが,このVHD版はそれとは異なる1971年スタジオ録画版だったのです.で,この演奏で福音史家を歌っていたのがシュライヤー氏でした.当時は動いているシュライヤー氏を見ること自体が凄いことだったので(なにせインターネットもDVDもなかった時代),自分はこの映像が見たいあまりにVHDプレイヤーを購入したのです(その結果私の赤貧状態が確定したことは言うまでもありません).この演奏のシュライヤー氏も素晴らしく,当時宗教曲好きの仲間が私の家に集まってこのVHDを鑑賞したのでした(当時の仲間の多くが今でも何らかの形で宗教音楽を歌っているのは,このソフトの功績もあるだろうと自負している).

 そんなシュライヤー氏の訃報に接し,当時を懐かしく思い出したのでした.それにしてもリヒター指揮のバッハ演奏というとシュライヤー氏とともにエルンスト・ヘフリガー氏が思い出されますが,ともに亡くなったのは80歳代,やっぱり節制していたんだと思います.

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2019年12月10日 (火)

東北大学混声合唱団第60回定期演奏会

 12月8日日曜日は,自分の人生に決定的な影響を与えた存在(大げさ 笑)である東北大学混声合唱団の第60回定期演奏会を聴きに行くため仙台に行ってきました.ちなみに自分が在籍していたのが第25回から第28回までなので,30年以上経過していることになります(そりゃ歳をとるわけだ).

Img_5867(写真1)大晴れの仙台駅

 朝家を出て東海道新幹線と東北新幹線を乗り継いで北に向かいます.仙台に着いたのはお昼ちょい過ぎの12時16分,この週末は寒いと言われていたのでどんな感じだろうと恐れていましたが(笑),この日の仙台は快晴の良いお天気で日向に出れば気持ちのいい気候でした.

 駅からは地下鉄東西線で演奏会場(萩ホール)最寄の国際センター駅に向かいます.定演は15時からですが,その前に自分の同期の仲間とお茶会をすることになっていたからです.駅の2階にあるカフェがその会場,フロアの一角を借り切って場所を設定します.13時前後からぼちぼちと仲間が集合してきます.メンバーの中には今もちょくちょく会っているメンツもいますが,大半は20年以上会っていませんでしたが,みな当時の面影(笑)があって,すぐに名前が一致したのは我ながら偉いです(女子は苗字が替わっている人が多いのでその辺は置いとく).いろいろ当時の話や近況などに花が咲きました(さすがにコンサート鑑賞前なのでアルコールはご遠慮).

79228408_1535555806612268_72950221471922 Kawakine(左写真2)会場に向かう一行,(右同3)萩ホール(10年前の夏に撮影したもの)

 14時30分頃にカフェを出て徒歩で演奏会場へ.ここはかつて川内記念講堂と呼ばれていたホールなんですが,大学100周年を機に改装され萩ホールという名前になりました(内装は変わったが外観は基本同じ).真面目に同窓会費を払っている自分には招待状が届いているので,それで入場します.一同2階席に向かいます(大体OBOGは2階席に集結する傾向がある 笑).行ってみると案の定,見知った顔がチラホラいました.

Img_5869 (写真4)ステージ上には団旗が掲げられます

 やがて15時に開演します.今年は3ステ構成,1ステは尾形敏幸さん作曲の混声合唱組曲「春のために」,2ステが全部笑いのコーラスと題したオムニバスステージ(団員がオレンジ,黄緑,青のTシャツでモザイク状に並んでいて,色覚検査のようだと思ったのはナイショ 笑),そしてメインの3ステが常任指揮者の佐々木正利先生指揮のラインベルガーのカントゥス・ミサでした.

 全体の感想,素晴らしかったです.学生合唱団らしい若さとパワーがある一方で,きちんと表現する技術もある.自分が現役だった頃は情熱だけは強烈にあったものの,イマイチ実力的には… という感じだったんですが,今は実力も伴っています.30年の積み重ねってこういうところにあるのかなと思いました(特に3ステのカントゥス・ミサなんてアカペラの二重合唱と難度最強なんですが).後輩たちの演奏に拍手です.

1575890063412 (写真5)酔っぱらいたちのワンショット

 終演後は引き続き同期との宴会です.お昼のお茶会には来られなかったメンバーも加わり総勢14名の参加でした(たしか).お酒が入ってさらに楽しいひと時となったことは言うまでもありません.最後はこの時期の仙台名物の光のページェントを散策して解散,いやぁ~本当に楽しかった.

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2019年11月24日 (日)

喜歌劇「天国と地獄」

Img028  11月21日木曜日,この週後半に日生劇場で開催中の東京二期会オペラ,喜歌劇「天国と地獄」公演に行ってきました.

 このオペレッタはオッフェンバックの作曲で1858年にパリで初演されたものです.原題は「地獄のオルフェ」,当時リヴァイヴァルブームが起こっていたグルックの歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」のパロディで,本来は最愛の妻エウリディーチェの死を嘆いたオルフェオが地獄に彼女を向けに行くお話だったものを,お互い愛人を持つなど冷え切った関係でありながら世間体を気にして別れられない夫婦の話に改変されています.ナポレオン3世治世下のパリで大成功を納め,オッフェンバックの代表作のひとつとなっています.オペラそのものを知らない人でも,序曲の最終部分は聴いたことがあるのでないかと思います(自分の世代だと小学校の運動会に必ずかかっていた).ただ,有名な割にはオペラそのものの上演頻度は低いのが現実で,私自身も生鑑賞は過去に1回しかありませんでした(その1回が1991年の弘前市民オペラ).今回はその時以来の何鑑賞ということで楽しみにしたものです.二期会オペラはダブルキャストによる4回公演が定番でなんですが,今回は木曜土曜版の方に行きました.

 オリジナルはフランス語なんですが,今回はアリア等含めてすべて日本語上演でした(セリフ部分は日本語というパターンは「魔笛」や「こうもり」などでもよくありますが,二期会クラスで全編日本語は珍しいかも).演出は鵜山仁氏で指揮者は大植英次氏,天国系は白,地獄系は赤をメインカラーにした演出,非常に楽しい公演でした(個人的にはプルートの雰囲気がブッダっぽくて,イエスっぽいジュピターと併せて聖☆おにいさんを意識しているのかなどと思った).

 それにしてもこの作品の上演頻度の低さの訳って何なんだろう? 同じオペレッタでも「こうもり」はそれこそ各地で頻回に上演されているのに…(オッフェンバックとシュトラウスの政治力の差か 笑).そんなことを考えた11月下旬でした.

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2019年11月15日 (金)

歌劇「ドン・パスクワーレ」

Img025  芸術の秋です.思うに秋から冬にかけてオペラなどのコンサートシーズンが始まるのは,日照時間と関係があるように思います.特に緯度が高いヨーロッパでは夏は9時ごろまで明るい一方で,冬になると日照時間は極端に短くなります.そんな長い夜(松山千春ではない)の楽しみとしてコンサートが盛んになったのではということです.そんな秋も深まった今週の月曜日,新国立劇場で公演中の歌劇「ドン・パスクワーレ」を観劇してきました.なかなか上演される機会の少ない作品ですが,2年目を迎えた大野和士芸術監督がいよいよ本気を出してきたシーズンの2作目ということで期待して出かけました.

 このオペラは19世紀前半のイタリア・オペラを代表する作曲家の一人であるドニゼッティによる喜劇作品です.資産はあるがケチな老人(ドン・パスクワーレ)が若い娘と結婚しようと画策するものの,周囲に邪魔され揶揄されるという内容です.ドニゼッティの喜劇といえば「愛の妙薬」が有名ですが,やや牧歌的な雰囲気を醸し出している「愛の妙薬」に比べると,この「ドン・パスクワーレ」の方がより古典的なオペラ・ブッファらしい内容です(ロッシーニみたいな感じ).しかしながら作曲年代でいえば,前者が1832年に作曲されたのに対し,後者は1842年(初演が1843年)とドニゼッティとしては晩年の作品です.19世紀イタリアの大作曲家ヴェルディがすでに作曲活動に入っている時期であり,「ドン・パスクワーレ」が作曲された1842年は,奇しくもヴェルディ最初の傑作である「ナブッコ」が作曲された年でもあります.

 そんなオペラ史の転換期にどうして古風なオペラ・ブッファをと感じます.しかしこの作品,一見すると単に身の程知らずの老人がやっつけられて終わるというセビリアの理髪師のバルトロ的なノリのように見えながら,作品をよく聴くとドン・パスクワーレの哀愁や彼をやっつける娘(ノリーナ)の微妙な情が表現されるなど,ロッシーニ時代とは違う,革命を経て人間性が重視されるようになった時代の作品であることがわかります.

Img_5824  で,実際の演奏ですがタイトルロールのドン・パスクワーレを歌ったロベルト・スカンディヴィはヴェルディ作品にもよく出演している方ですが,本作ではまさにブッフォ・バスの重厚な歌がさすがでしたし,小悪魔的なノリーナを歌ったハスミック・トロシャンも伸びやかな若さを感じさせる声でした.そして自分的にはエルネスト(ドン・パスクワーレの甥)役のマキシム・ミロノフの軽い,まさにレッジェーロという感じの声が良かったです.前述のようにパスクワーレとノリーナがやや情を表現する役だけに,エルネストの若い素朴な明るさは彼らとの対比がしっかり出ていてよかったと思います.また3幕のみの登場でしたが,新国立劇場合唱団はやっぱり迫力が凄いです.

 とまあ,とりあえず満足したドニゼッティオペラでした.

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2019年11月 5日 (火)

上大岡混声合唱団第53回定期演奏会

 西沢渓谷を観光して新宿でお寿司を食べたの翌日,11月4日もフリーの1日でした(久しぶりにゆっくり寝た 笑).で,この日はお昼から横浜の県立音楽堂に出かけてきました.目的はここで開催される上大岡混声合唱団の第53回定期演奏会を鑑賞するためです.実はこの合唱団には自分の後半の学生時代にともに活動していた仲間(今では夫妻になっている)が参加しているのでした.今回はチケットをいただいていたので出かけてきた次第です.

75017415_2599976043433078_79590095784593  コンサートは3ステ構成,第1ステージがシューベルトのミサ第2番ト長調,第2ステージが横山智昭さん編曲による「みんなのかぞくのうた」,第3ステージがこの合唱団の指揮者,中村皇さん作編曲による作品集でした.1ステのト長調ミサは小ぶりながらもシューベルトらしい雰囲気を見せる一品です.今回は小アンサンブルにソリストを加えた演奏でした(テノールソロが自分もよく知っている鏡貴之さんだった).普通はこうしたゲストを交えたステージは最後に持ってくるのがパターンですが,あえてそうしなかったのはその後のステージでわかります.第2ステージはNHKの「みんなのうた」の名曲の中から家族をテーマにした作品集です.家族・温かさが染み出てくる演奏で,この合唱団が得意とする分野なんだろうなと感じました.最後のステージはやっぱり長年この合唱団を指導されていた先生の作編曲集ということで,まあこれがメインになるのは自然な流れだなと思いました.演奏はもちろん,作編曲者の思いがよく表現されていたと思いました.

 長年地域に密着して活動している合唱団,自分とこの医師会合唱団もいつの日かそういう存在になれたらいいなと思いました.

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2019年11月 1日 (金)

歌劇「エウゲニ・オネーギン」

Img022_20191101134001  今日からいよいよ11月に入りました.令和元年も残すところ2か月ということになります.本当に月日の経つのは早いです.

 ちょうど1か月前の10月1日に、新国立劇場の新シーズンが開幕しました.昨年から新しい芸術監督として大野和士氏を迎えた劇場ですが,昨シーズンの演目は新演出の魔笛に始まり,カルメン,ファルスタッフ,タンホイザー,蝶々夫人,トゥーランドットとややオーソドックスな選曲という印象でした.しかし2年目となった今年は,初っ端からチャイコフスキーの「エウゲニ・オネーギン」とう一風変わったところから入るなど,いよいよ本気を出してきた(笑)感があります.もちろん私も初の生鑑賞ということで楽しみにしていました.

 エウゲニ・オネーギンが作曲されたのは1877年から78年頃で,ちょうど交響曲第4番や組曲「白鳥の湖」と同じころです.原作は1830年代に書かれたアレクサンドル・プーシキンによる同名の小説です.内容としては若い貴族エウゲニ・オネーギンの物語ということになるのですが,原作では描かれている彼の背景がオペラ化にあたってすっぽりカットされているため,単純にストーリーだけを追えば,オネーギンが若い真面目な娘の求愛を受けるもののこれを断り,さらには彼の行動に怒った友人に決闘を申し込まれてその友人を殺してしまい,ショックを受けて放浪の旅に出て都会に出てきたら,自分が拒否した娘が侯爵夫人になっていて,その美しさに感激し求愛するも逆に拒否されて失望… という三文小説みたいな展開になっています.

 というわけで,このオペラの魅力は何といってもチャイコフスキーの音楽ということになります.第1幕第2場のオネーギンに恋する娘タチヤーナが手紙を書く場面や第2幕第2場の決闘に臨むレンスキーのアリアが代表的な場面です.今回はオネーギン歌いとして世界中で活躍しているワシリー・ラデュークがオネーギンを,様々なレパートリーで活躍しているエフゲニア・ムラーヴェワがタチヤーナなど,主要キャストにロシア出身の歌手を配置した演奏となりました.演出はモスクワ生まれのドミトリー・ベルトマンのもの,全体が絵画のような美しい舞台でした.

 ちなみにこの公演,自分は当初10月12日の千秋楽で鑑賞する予定だったんですが,旅行直後で疲れているかもしれないと思い,1日の初日にチケットを変更した経緯がありました(翌2日は朝から大学の講義があるので,終演後夜行バスで向かった).その後台風19号の接近により,12日は都内の公共交通機関が運航停止を決めたため,この日の公演は中止になってしまいました.これも運だなぁと思った次第です(逆のパターンで2011年3月の震災直後の「ばらの騎士」公演が自分が行く回のみ中止になったことがある).

Img_5313 Img_5314  ちなみに我が家では終演後のディナーも含めてがオペラ鑑賞です (^^)v

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2019年9月13日 (金)

小田原医師会合唱団第11回定期演奏会

70515357_2478427192254631_76309982874991  合唱が趣味の自分,現在いくつかの合唱団に所属しているんですが,そのうちのひとつである小田原医師会合唱団の第11回定期演奏会が来る9月22日(日)に行われます.

 この合唱団は自分がちょうど当地に転勤してきたタイミングで結成された合唱団で(もっともこれは偶然で,自分自身は合唱団結成には関わっていない),縁あって最初の練習から参加させていただいております.合唱未経験というメンバーが大半で,当初は4声のアンサンブルをすること自体が困難な状況からのスタートだったんですが,指導して下さる先生方の忍耐強いご指導と,メンバーのひたむきな努力によってこの10年の間に驚くほど進歩したと感じます(自分だけが取り残された感じか? 笑).特に昨年は10回記念ということで,大田桜子先生の委嘱作品(金子みすゞの詩による混声合唱組曲「私を好きに」)を取り上げることができました.

 そして今年は11回目ということで,新境地を開拓すべく,なんと!アカペラの本格的な混声合唱組曲である石井歓作曲の「風紋」に挑戦します.他にもスタジオ・ジブリの作品や昭和歌謡,祈りの歌といった医師会合唱団らしいステージも盛りだくさんです.

70154089_2478427825587901_41004544892264  練習もいよいよ追い込みに入っているんですが,やっぱり風紋は難敵です.特にアカペラなので合唱団の実力がもろに発揮されてしまいます(笑).これは大変だということで,昨夜はテノールを中心とした有志による特訓が行われました.弱点の克服をメインテーマに掲げて練習しましたが,少しは解消されたかなぁ.

 そんな医師会合唱団のコンサート,お近くの方はぜひいらしてください(当日券はたくさんあると思いますし,メールでもご連絡いただければチケットの取り置きも致します).

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2019年8月11日 (日)

夏のマドリガルコンサートに参加しました

 以前から予告していたように,8月10日(土)長野県軽井沢のショー記念礼拝堂で開催された夏のマドリガルコンサート(東京マドリガル会主催)に参加してきました.東京マドリガル会は1929年に故・黒澤敬一氏によって結成された英国マドリガルを専門に歌う団体です.私がこの会に参加するようになったのは2008年に現在の職場に赴任してからで,一昨年の春に亡くなられた高校の先輩Sさんのご紹介によるものでした.英国マドリガルを専門に歌っている団体は例がなく,ここに参加しなければ知ることのなかった曲がたくさんあります.近年は定期的なコンサートはありませんが,不定期にいろいろな所でコンサートを開催するようになっています.今回は縁あって軽井沢のショー記念礼拝堂でのコンサートとなりました.

 ショー記念礼拝堂は明治時代に英国国教会の宣教師として来日したアレクサンダー・クロフト・ショーが建てた教会です.ショーは東京の夏の暑さを避けるためにたまたま訪れた軽井沢を大いに気に入り,この地に別荘を建てました.これが軽井沢の別荘第1号で,以降軽井沢の地は避暑地として知られるようになり様々な著名人の別荘が建てられて現在に至っています.行ってみれば避暑地軽井沢の生みの親と言ってもいい人物です.

 そんな歴史がある方の建てた教会ですから,ここは軽井沢最古の教会でもあります.そんな教会でのコンサートということで大いに楽しみにしていたのでした.

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 この日の集合は10時30分,自宅から向かうとすると早朝出発を余儀なくされるので前泊することに.ただし軽井沢宿泊は先日の浅間山噴火があったものの非常に高価なのであきらめ(笑),麓の高崎に泊まりました.朝8時40分台の新幹線で軽井沢へ移動します.信越本線の碓氷峠越えの時代は40分以上かかっていた高崎-軽井沢間も新幹線だと15分程度,それこそあっという間です.この日は8月の三連休初日朝の下りということで自由席は通勤電車並みの混雑だったようです(我々は1か月前に指定席を取っていた).軽井沢駅に降りたつと涼しげな空気を感じます.さすが標高1000メートル!と感動です.大半のメンバーが同じ新幹線に乗ってきたため,駅からはタクシーに相乗りして教会へ.さすがに歴史ある教会,しかも日本の教会だけあって木造でとても良い雰囲気でした.会場に着くと教会の担当の方が出迎えてくださいました.ここで教会や注意事項の説明を受けます.特にこの教会はトイレの容量が極めて少ないということで,基本的に100メートル先にある公衆トイレを使用することになっているとのことでした.

Img_5187  その後練習,リハーサルと進み11時過ぎには準備終了,この後は本番まで自由時間となります.会員の中には外に食事に出た方もいましたが,我々はコンビニで購入したおにぎりで済ませて,その後は隣接しているショーハウス記念館(ショーが当時住んでいた別荘を移築したもの)を見学したりして時間を過ごしました.ここは旧軽井沢銀座の一番外れにあるので,少し行くと自然いっぱいの雰囲気がたのしめます.

Img_5186 Img_2173  午後1時20分頃から徐々にお客さんが集まってきます(チラシ以外にあまり宣伝をしていた自覚がなかったので,果たしてお客さんが来るのかちょっと不安もあった 笑).最終的には礼拝堂の椅子があらかた埋まるほどの盛況となりました.そして2時に開演,第1部のマドリガルに続き会員の方によるチェンバロの演奏が始まります.

 がその時,突然雨が降り出しました! しかも結構激しい (゜o゜)

 雨の音が教会に響き渡り、せっかくのチェンバロが聴こえません.仕方なくマイクを用意して仕切り直ししたんですが,今度は雨による湿度の上昇によってチェンバロの音が狂ってしまいました(泣).元々乾燥したヨーロッパで発達した楽器ですから,こんな高湿度の環境に置かれることは想定されていないのです(コンサートホールと違って高原の古い教会ですから空調はない).それでも調律をし直しているうちに雨脚が弱まり無事に演奏となりました.その後は短い休憩時間,まだ雨が降っているのでこの時間はお客さんにチェンバロ(主催の黒澤さんのお宅にあった楽器)を紹介する時間となりました。

Img_2168  休憩後は再びマドリガル数曲と英国のフォークソング,最後に日本の歌(「夏の思い出」と「故郷」)で終演,みなさん最後までご鑑賞くださいました.ありがとうございます(ちょうど休憩時間に雨が降っていたので,途中で抜けようにも抜けられなくなったためではと話していた 笑).

Img_5192 Img_2184  会場の片づけをして徒歩で旧軽井沢銀座を散策しながら,主催の黒澤さんお薦めのハンバーグレストラン・ガンボーさんで打ち上げ.美味しいサラダとハンバーグ,そしてお酒をいただきました.その後7時近くの新幹線で戻ります.20時に東京駅に降り立ったら,夜だというのにひどい暑さ… やっぱり軽井沢は避暑地だと改めて実感したのでした.

Wafu 写真はガンボーさんの和風ソースハンバーグ(お店のHPからいただきました).美味しかったです.

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2019年7月29日 (月)

夏のマドリガルコンサート

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 今日はコンサートの宣伝です.

 現在私が所属している団体のひとつに東京マドリガル会があります.1929年に故・黒澤敬一氏によって結成された英国マドリガルを専門に歌う団体です.同年に英国大使館にて第1回のコンサートが開催され,以来毎年コンサートを重ねてきました(第二次大戦中も大学の構内などに会場を移して演奏し続けたそうです.当時英国は敵国だったわけですから,その音楽を演奏するというのは非常にリスクのある行動だったはずです).ただメンバーの高齢化等の事情もあり公式なコンサートは2016年の第88回をもって終了となり,その後は月2回の例会(この団体では練習とは呼ばず例会という)で純粋にアンサンブルを楽しむスタイルになっていました.その間2018年4月には自分の勤務先でのミニコンサートなどもあったんですが,今回久しぶりに公式のコンサートを開催することになりました.

 夏のマドリガルコンサート

 日時 2019年8月10日(土)14時開演

 場所 軽井沢ショー記念礼拝堂

 入場無料

 ショー記念礼拝堂は聖公会の教会で,軽井沢最古の教会としても知られています.そんな歴史ある場所での英国マドリガルはいかがでしょうか.

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2019年7月23日 (火)

歌劇「トゥーランドット」

Img022  先日,7月18日新国立劇場で上演されたプッチーニの歌劇トゥーランドットを鑑賞してきました.

 トゥーランドットはプッチーニが最後に取り組んだオペラです.1896年のラ・ボエーム,1900年のトスカの成功によってイタリアオペラ界の第一人者となったプッチーニですが,20世紀に入ると三部作と呼ばれる異色な作品や,日本を舞台にした蝶々夫人(1904年),アメリカを舞台にした西部の娘(1910年)といったご当地オペラに取り組むようになります.トゥーランドットはこのご当地オペラの系譜に連なるもので舞台は中国の北京です.蝶々夫人で日本の旋律が取り上げられたのと同じように,本作では中国の旋律が採用されているのも特徴です.

 今回の公演は新国立劇場と東京文化会館の共同制作で,演出家として斬新な演出で世界的に有名なラ・フーラ・デルス・バウスの芸術監督のひとりであるアレックス・オリエを招聘しています.

 よく知られているようにこのオペラは未完のままプッチーニが亡くなり,フランコ・アルファーノの補筆によって完成するという,モーツァルトのレクイエムのようなパターンをたどりました.その補筆部分に関しては,初演の指揮者アルトゥーロ・トスカニーニは不満があったらしく初演ではプッチーニの絶筆の部分(リューの死の部分)で指揮棒を下ろして幕として,2日目から完成版を上演したというエピソードが残っています.

 実際にリューの死からエンディングまでの流れはやや唐突な感が否めず(リューの死でトゥーランドットが急に愛に目覚めるなど),仮にプッチーニだったらどういう構成にしたのかという議論は昔からあります.今回演出家のオリエは,このオペラに流れる軸から導き出した独特の演出で最後をまとめていました(新国立の公演は終わりましたが,びわ湖や札幌での公演がまだこれからなのでネタバレは避けます).タイトルロールのテオリン(指環のブリュンヒルデ以来だ)やカラフ役のテオドール・イリンカイ,リュー役の中村恵理の歌唱も素晴らしく,見ごたえのある舞台でした.

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 ちなみにこの作品の初演,1926年4月25日は大正15年で,同年日本では最初のプロオーケストラである新交響楽団(今のNHK交響楽団)が結成されています.

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