2018年4月10日 (火)

歌劇「アイーダ」

Img006  もう数日たってしまいましたが,4月5日の夕方から新国立劇場に歌劇「アイーダ」の観劇に行ってきました.

 アイーダは19世紀を代表するオペラ作曲家ジュゼッペ・ヴェルディの代表作の一つとしてあまりにも有名です.初演が行われたのは1871年カイロ歌劇場,オペラの舞台がエジプトなのは元々この歌劇場から発注されたご当地オペラだからです.生涯で26(改作等を除く)のオペラを作曲したヴェルディの24番目の作品で,当時ヨーロッパの音楽界に大きな影響を与えていたドイツのR・ワーグナーの主要作品よりも後に作曲されているにも関わらず,あまりその影響を感じさせない作品です(この後の25作オテロ,26作ファルスタッフにはその影響がみられる).

 このアイーダは4幕仕立てで,起承転結のはっきりとした悲劇ですが,一方で2幕の凱旋の場など祝典的て華やかなエンターテイメント性が極めて高い作品に仕上がっているために,新しい歌劇場のこけら落としのプログラムとしてよく取り上げられます.1997年に開場した新国立劇場でも,翌年1月に開場記念作品としてフランコ・ゼッフィエッリ演出による公演が行われました.この公演が非常に評判が良かったこともあり,以来5年おきに再演され,今回は通算5回目の公演となります.

 このゼッフィエッリの舞台,特に1幕&2幕はエジプトの砂漠をイメージさせる黄土色を基調とした舞台に何本もの柱やスフィンクスっぽい像やその他細かい舞台装置が配置され,非常に華やかな舞台になっています.2幕の凱旋の場ではそんな舞台上を,大合唱団やダンス隊,さらには馬までが所狭しと動き回るため,感動間違いなしの豪華絢爛な舞台となっています(古代エジプトに馬がいたのかという野暮なツッコミはなしで 笑).このプロダクション,チケットが完売しても黒字にならないほどお金がかかっているという説があるんですが,そうなんだろうなと納得できるのでした.

 今回はアイーダをイム・セギョンさん,ラダメスをナジミディン・マヴリャーノフさん,アムネリスをエカテリーナ・セメンチュクさんというのがメインキャストでした.3者3様で個性的だったんですが,個人的にはアモナズロ役の上江隼人さんが単なる敵役ではない,王としてのプライドを持った敵役としての風格を感じさせる演技でよかったです(実は代役だったんですよね).新国立劇場の合唱団は相変わらずレベルが高いし,やっぱりオペラはこうじゃなくちゃと思わせてくれる舞台でした.

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2018年3月25日 (日)

歌劇「愛の妙薬」

Img005  一週間以上経ってしまったんですが,新国立劇場の愛の妙薬公演に行ってきました.

 19世紀前半に活躍したイタリアの作曲家ドニゼッティの代表作のひとつとされています.同じく代表作のルチアが貴族社会の争いと復讐に翻弄されるヒロインの悲劇なのに対して,こちらは農村における素朴な若者の恋を扱った喜劇的作品です.本を効果的に使ったチェーザレ・リエヴィの演出は2010年の初出から、2013年の再演に続き今回が3回目の公演です.自分にとっても3度目の鑑賞になります(自分の中ではもう少し頻繁にやってた印象だったんですが,ようやく3回目なのね).

 今回の公演は去年の段階でにアデーレ役がルーシー・クロウからルクレツィア・ドレイへの変更に出ていましたが,さらに直前になって指揮者のギレルモ・ガルシア・カルヴォがフレデリック・シャスランに変更になる旨が発表されていました(健康上の理由とのこと).オペラでは歌手の交代は日常茶飯事ですが,指揮者の交代はあまり見たことがありません.代役で入った指揮者も,すでにさんざん稽古が進んでいる状態でいきなり独自色を出すのは困難でしょうから,演奏者任せの無難なまとめ方になるのでしょうね.

 公演の方はみなさん美しい声を聴かせてくれて,やっぱりベルカントオペラはこうでなくちゃと思いました.新国立劇場合唱団は相変わらずハイレベルな合唱でしたが,この日の合唱指揮者はいつもの三澤洋史さんではなく冨平恭平さんでした.

 このオペラのタイトルにもなっていおる愛の妙薬とは,トリスタンとイゾルデに登場する媚薬のことです.もっとも劇中登場する媚薬(愛の妙薬)はただのワインです.この日のホワイエにもワインが並んでいたので幕間にはカベルネ・ソーヴィニヨンをいただきました (^^)v.

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 一方で,愛の妙薬にあやかった率100%のワインが売られていて,自分も思わず購入してしまいました.

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 その名もドゥルカマーラと名付けられたワインでした(安物ではなく,結構なお値段…).なにか家でご馳走を食べるときにいただきたいと思います (^.^).

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2018年2月20日 (火)

歌劇「松風」

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 南アフリカ旅行からほぼひと月が経過しました.季節外れに休暇を取ったこともあり,帰国後はほぼ職場でひたすら仕事の日々だったんですが(余暇は2月6日に宇宙戦艦ヤマト2202を観に行ったくらいか),2月18日日曜日に新国立劇場で上演された歌劇「松風」を観劇してきました.

 松風は日本の古典芸能である能の有名な演目を細川俊夫がオペラ化したものです.そのオリジナルは「撰集抄」や「源氏物語」中にある説話や「古今和歌集」にある歌をベースに室町時代の観阿弥が猿楽としてまとめたもの,罪を得て須磨の地に流された在原行平が愛した地元の娘,松風・村雨姉妹の物語です.

 オリジナルが能とはいえ,歌詞はドイツ語で,楽器も風鈴が用いられる以外は基本的に西洋の楽器です.能の面が登場することもありません.しかし,セリフ回しや構成は普通の西洋オペラとは異質な能の空気に満ちています.語り手たる旅の僧,亡霊である松風・村雨の未練から狂気を経て(おそらくは)成仏していくという一連の流れが,途切れることなく緊張感の高い音楽と踊りでつながっていきます.1幕モノの狂気作品ということでR・シュトラウスの「サロメ」を想像したんですが,エログロなど世紀末的退廃が前面に出ているサロメと違って,もののあわれに代表される日本的な美しさが際立つ作品に仕上がっていました.シンプルな言葉と音楽,そして踊りが融合する舞台は,いわゆる歌劇とはことなる総合芸術作品だなと感心しました(和風のワーグナーか? 笑).

 

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