2022年5月21日 (土)

東大水泳部部歌

 オペラとともに旧制高等学校の寮歌にも興味がある私です.先日新国立劇場に歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」を観劇に行ってきたのですが,実は旧制第一高等学校水泳部の部歌(現在は東京大学水泳部の部歌)「狭霧はれゆく」の元歌がグルックの歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」であるというウワサを聞いていました.寮歌とオペラ,あんまり結びつかなそうな話題ですが,先日新国立の公演を鑑賞して「なるほど」と思う場面がありました.同オペラ第3幕第3場でエウリディーチェが蘇った直後の部分がまさにそれだと確信したのです.

・旧制第一高等学校水泳部部歌「狭霧はれゆく」

 

・グルック作曲 歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」第3幕より

 

 こうして聞き比べると、たしかにそうだよなと思ったのでした.

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2022年5月20日 (金)

歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」

Img20220520_21370600  気が付いたら5月も半ばを過ぎています.新型コロナウイルス感染症はまだそれなりにありますが,ワクチン接種が進んだこと等もあり、GW後の増加も一段落した感があります.世間では何となく以前の日常が戻りつつある印象です(マスクや手指消毒等は継続していますが).

 そんな世相の中初台の新国立劇場で公演中の歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」を観劇してきました.これは18世紀半ばにウィーンやパリで活躍したグルックの代表作です.イタリアが発祥の当時のオペラは歌劇とはいっても演劇の要素は重視されておらず,もっぱら歌手の歌うアリアがメインでした.当時のアリアはダ・カーポ形式と言って,基本的にA-B-Aという形式ですが,特に後半のAの部分はコロラトゥーラ等歌手が自らの技巧を最大限に発揮すべくアレンジして歌い,聴衆はそれに熱狂するというものでした.これに対してアリアをあまり前面に出さず,劇性を重視したオペラを目指そうとしたのがグルックで,このために彼は改革者と呼ばれ後のワーグナーにも影響を与えています.彼の改革はアリアを前面に出さないことに加えて,当時はチェンバロの簡単な伴奏のみだったレティタチーヴォをオーケストラ伴奏にする,合唱を多用するなどがあります.

 オルフェオとエウリディーチェはそんなグルックの代表作として知られ,一般に演奏される機会の稀なモーツァルト以前のオペラの中では例外的に上演頻度の高い作品です.2018年に新国立劇場の芸術監督に就任した大野和士氏が力を入れているというモーツァルト以前のオペラの発演目となりました(本来は昨年ヘンデルのジュリオ・チェーザレが上演される予定だったがコロナで中止になった).指揮者にBCJの指揮も務める鈴木優人氏,演出には自らもダンサーである勅使河原三郎氏を起用するなど意欲的なステージになっています.キャストはオルフェオにカウンターテノールのローレンス・ザッゾ,エウリディーチェにソプラノのヴァルダ・ウィルソン,アモーレには三宅理恵という配役となりました.オルフェオ役の声部は公演ごとに色々変更が見られるのですが,今回はカウンターテノールを利用したオーソドックスなものになるました(ウィーンでの初演の際はカストラート歌手(去勢した男性歌手)を使用).

Img_8171  舞台は1幕から巨大は皿がステージに乗っている感じ,その皿の上でオルフェオがエウリディーチェの死を嘆くく場面が続きます.そこにアモーレが登場,オルフェオに黄泉の国に行ってエウリディーチェを連れ戻すよう許可がでます.喜んで黄泉に下るオルフェオ,得意の竪琴を鳴らしながら黄泉の世界の者たちを虜にしていきます.そしてついにエウリディーチェを迎えることに成功するのですが、その条件が「地上に出るまで相手の顔を見ないこと」,「その理由をけっして教えぬこと」です.オルフェオは試練と呼んでいますが,やっとの思いであえた夫婦が顔も併せられないという(普通なら)非常識な設定にエウリディーチェはだんだんイライラしてきてオルフェオに当たります.ついに耐え切れなくなったオルフェオが振り向いて二人が抱擁,その瞬間約束を破ったエウリディーチェは本当の死を迎え,二人は永遠の別れ…

 にはならず,結局アモーレの尽力でエウリディーチェは蘇り,一同平和に過ごしましたとさ、めでたしめでたし。原作がギリシャ悲劇でありながらハッピーエンドにしてしまうのは当時の世相でしょう.

 主演後はいつものレストランへ,最近は常連客と認識されているらしく,受付で名前を言わなくても案内されました(笑).この日はパスタと🥩メインのコースを選択しました。

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(左上写真3)4種のカルパチョチョ(エビ、サーモン、アジ,ブリ),(右上同4)烏賊とアンチョビ、トマトのアーリオ、(左下同5)この日のメイン,大山鶏と白隠元豆のカチャトーラ,(右下)デザート 赤メロンとレアチーズケーキ

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2022年4月24日 (日)

歌劇「魔笛」

Img20220424_10370530  昨日関東地方は朝から快晴の良いお天気でした。そんな気候だからというわけでもありませんが、この日は新国立劇場で公演中の歌劇「魔笛」を鑑賞してきました。

 魔笛はW.A.モーツァルト晩年の傑作オペラとして知られ、世間でも非常に上演頻度の高い作品です。ウチのKが大のモーツァルト好きということもあり、我が家では元々モーツァルト・オペラの鑑賞頻度は高いのですが、その中でも一番高頻度なのがこの「魔笛」です(何回生観劇したのか記憶にないほど多い。2006年にウィーン国立歌劇場に行った際鑑賞したのもこれだった)。

 今回の公演は南アフリカ出身の演出家、ウイリアム・ケンドリッジによる2018年11月初出の舞台です。光によるドローイングを取り入れた演出は極めて21世紀的な舞台だなぁと改めて感じました。指揮者のオレグ・カエターニの他、キャストは全て邦人歌手が起用されていました。コロナ禍という事情もありますが、魔笛に関しては2010年代以降邦人歌手メインの舞台になっていたのでこれが通常運転と言えます。

Img_7871  終演後はいつものレストランではなく、久々に新宿の回らないお鮨屋さんに入りました(久しぶりの外でのお鮨でした 笑)。

 

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2022年4月10日 (日)

歌劇「ばらの騎士」

Img20220410_12000914  オペラ好きの我が家、毎年10本以上の生観劇をしていますが、2022年に入ってからはオミクロン株の流行を鑑みて観劇を自粛していました。しかしワクチン3回目接種も完了したことや、まん延防止等重点措置の解除等の世相から再開することにしました。

 で昨日観劇してきたのが表題の「ばらの騎士」、1911年に初演されたリヒャルト・シュトラウスを代表するオペラ作品です。新国立劇場の公演です。

 作品の好みは人それぞれと言いますが、この「ばらの騎士」に関しては実は若い頃はあまり好きな作品ではありませんでした。その昼ドラ的なストーリーとシュトラウスの音楽がなんか安っぽい映画音楽のようで、どうも生理的に受け付けなかったのです。

 しかし、歳を重ねてのち改めて鑑賞してみると、その良さがわかり今では好きな作品のひとつとなっています(この辺は事情はいつかここにも書いてみたいと思います)。

 コロナ禍に入って恒例だったホワイエでのアルコールが無くなったのが我々的には残念だったんですが、4月から外のテラスでの販売が始まりました。さっそくいただいたのはいうまでもありません(笑)。

Img_7771 Img_7772  土曜日のマチネ公演ということもあるのか、会場はほぼ満員の入りです。やっぱり芸術鑑賞に飢えていたんだなぁと感じました(やっぱりこういうご時世だからこそ文化芸術は重要です)。舞台はジョナサン・ミラー演出による新国立定番のレパートリー、舞台の華やかさが特徴です。キャストはコロナの影響で、邦人歌手主体ですがよくまとまって美しい調べを奏でていました。

 終演後は劇場内のレストランへ。約4ヶ月ぶりの訪問でしたが常連のためか名前を覚えられていました(笑)。この日はフルコース、ワインも各種いただいたのはいうまでもありません。やっぱりオペラは最高だなとしみじみ思った1日でした。

Img_7773 Img_7774 Img_7775 Img_7776 Img_7777 Img_7778(左上)レストランマエストロ、(中上)前菜のマカジキのカルパッチョ、(右上)タリアテッレ 桜エビと空豆 クリームソース、(左下)真鯛と蛤、春野菜の蒸し焼き、(中下)熟成牛のビステッカ、(右下)デザート苺のスープ、ジェラート添え

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2021年12月 2日 (木)

楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」

Meister  12月最初の日は初台の新国立劇場で行われている楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」公演に出かけてきました.

 「ニュルンベルクのマイスタージンガー」はリヒャルト・ワーグナー主要作品中,唯一の喜劇的な作品です.ただロッシーニの喜劇作品のような底抜けの喜劇というわけではなく,喜劇的な題材の中にもワーグナーらしい精神性や哲学性などが散りばめられているのは言うまでもありません.

 今回の公演は新国立劇場と東京文化会館,ザルツブルク・イースター音楽祭,ザクセン州立歌劇場による共同制作で本来は昨年6月に上演されるはずでした.しかし新型コロナの感染拡大を受けて中止となり今年あらためての公演となったものです.オペラ愛好家の私ですが,ワーグナー主要作品中唯一生観劇したことのないのがこのマイスタージンガーだったので,昨年段階から行く気満々でした.今回公演最終日にようやく鑑賞することができ感慨深いものがあります.

 指揮は新国芸術監督の大野和士,演出はイェンス=ダニエル・ヘルツォークです.キャストはザックスにトーマス・ヨハネス・マイヤー,ヴァルターにシュテファン・フィンケ,ボーグナーにギド・イェンティンス,ペックメッサーにアドリアン・エレート,エーファに林正子etc.です.オケは定番の東フィルや東響ではなく大野和士が音楽監督を務めている都響が起用されました.

Img_6815  演奏は30分の休憩を2回入れて約6時間,正味5時間はワーグナーの中でも「神々の黄昏」と並んで最長レベルです(特に3幕が130分とこれだけで普通のオペラ1本分!).ただ喜劇的な要素が多くストーリーがテンポよく進むことや合唱が多用されるなど苦痛はそれほどでもありません(笑).出演陣は期待にたがわぬ素晴らしい歌唱を聴かせてくださいました.ただ演出に関しては最後ちょっとどうなんだろうと個人的に思いましたが(この作品は強く政治的に利用された過去があるので,特にドイツの演出家にとっては難しいのだとは思います).

 終演後は定番のレストランでのディナー,この日もコース料理となりました.

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(左上)始まりはスパークリングワイン,(中上)前菜はギアラとトリッパ,(右上)パスタはリングイネのクリームソース,(左下)秋鮭のムニエル,(中下)牛ザブトンのロースト,(右下)モンブランのタルトと栗のジェラート

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2021年11月26日 (金)

歌劇「こうもり」

Img014_20211126155901  11月もいよいよ下旬になってきました。秋の夜長は芸術鑑賞の季節でもありますが,昨日11月25日は東京日比谷の日生劇場で行われた東京二期会オペラの歌劇「こうもり」を鑑賞してきました。

 「こうもり」はワルツ王ヨハン・シュトラウス2世によって書かれたウィンナー・オペレッタの最高峰とされる作品です.オペレッタとはセリフと踊りが入った喜劇的なオペラ作品のことで主にドイツ語圏で発達しました.イタリアの喜劇的オペラであるオペラ・ブッファではセリフ部分がレチタティーヴォになっているのに対し,オペレッタでは完全なセリフであるため,演出によって自由に変えられるというメリットがあります.特に「こうもり」の3幕に登場する看守フロッシュの独白は演出の腕の見せ所とでもいうほどたくさんの笑いの要素が盛り込まれます.日本では年末というとベートーベンの第九交響曲が盛んですが,ウィーンでは大晦日にはこの「こうもり」が上演されるのが定番です(そして元旦にはウィーンフィルのニューイヤーコンサートという流れになる).

 日本でも比較的上演頻度の高い作品で、過去に私も何度も生観劇しています。今回の公演は2017年にも行われたアンドレアス・ホモキ演出による再演でした(感染対策を施した演出ということでしたが、前回の記憶が薄れているためどの辺が違ったのかは不明 笑).

Img_6792  指揮者は川瀬賢太郎さん、新進気鋭の若手指揮者です(自分より20近く若い💦).キャストは二期会オペラの恒例であるダブルキャスト制(木土組と金日組に分かれる)で、今回鑑賞したのは木土組、主役のアイゼンシュタインには我が家でも応援している又吉秀樹さん、ロザリンデには幸田浩子さん、ファルケに宮本益光さん、アデーレに高橋維さんという布陣です.注目のフロッシュには歌手だけでなく女優やタレントとしても活躍している森公美子さんが登場しました(すごく笑えました).

 全編で3時間ほど(休憩含む)、本当に肩の凝らないオペレッタはいいなぁと改めて感じた夜でした。

Dsc_2199-1  付近の通りがイルミネーションで綺麗でした.

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2021年10月10日 (日)

歌劇「チェネレントラ」

Img013_20211011160601  緊急事態宣言が明けて2度目の週末となった10月9日,久しぶりにオペラ観劇のために新国立劇場に行ってきました(調べたら5月29日のドン・カルロ以来,ちなみにこの時は感染対策を兼ねて自家用車で行った).

 今回の演目はロッシーニのチェネレントラ,セビリアの理髪師と並ぶ彼のオペラ・ブッファの傑作です.原作はペローやグリム童話にも登場するシンデレラの物語です(チェネレントラはシンデレラのイタリア語読み).童話として非常に有名な作品ですが,ロッシーニはオペラ化に当たって本作のメルヘンチックな部分をそぎ落としたため,魔法使いやカボチャの馬車,ガラスの靴といったアイテムは出てきません.魔法使いに代わってチェネレントラを舞踏会に誘うのは王子の教育係の哲学者で,ガラスの靴の代わりに腕輪が本人確認に使われます.全体的に大人の恋愛喜劇という感じです.

Img_6568(写真)中庭と隣のオペラシティ

 初演されたのは1817年で前年に発表されたセビリアの理髪師に比べるとオーケストレーションが大規模になり合唱も多用されるなどかなりの進化が見られます.

 出演者ではタイトルロールのチェネレントラ(本名はアンジェリーナ)には日本が生んだロッシーニ歌いである脇園彩を,相手役の王子ドン・ラミーロにはルネ・バルベラが起用されました.この組み合わせは去年2月コロナ禍がひどくなる直前に行われたセビリアの理髪師公演と同じです.今回も素晴らしい歌を聴かせていただきました(ドン・ラミーノには2幕に高音が連発する難アリアがありますが,今回はその部分がアンコールされたのは感動ものです).そのほか脇を固めるメンバーとしてアリドーロ(王子の教育係)のガブリエーネ・サゴーナ,アンジェリーナの欲深い継父ドン・マニフィコ役のアレッサンドロ・コルベッリ,往時の従者ダンディーニの上江隼人,長姉グロリンダの高橋薫子,次姉ティーズべの齊藤純子の各氏もそれぞれ味のある歌と演技を見せてくれました.

 演出は粟國淳による新作で,物語全体を映画界での出来事に読み替えての演出で,こちらも興味深かったです.

 終演後はレストランへ.緊急事態宣言が明けて,晴れてお酒が提供されるようになりました(歓喜).

Dsc_2104 Dsc_2106 Dsc_2107 Dsc_2108 Dsc_2109 Dsc_2110(左上)シャンパンをいただきます,(中上)前菜(金美人参のムースと貝類のマリネ,(右上)リングイネ カルボナーラ,(左下)いとより鯛のポワレ,(中下)塾成牛いちぼのロースト,(右下)デザート(洋梨のタルト)

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2021年5月31日 (月)

歌劇「ドン・カルロ」

Img050  単調な生活の中でのたまの息抜きは重要です.特に自分にとっての音楽鑑賞は心の洗濯ともいえる存在です.

 音楽鑑賞といえば,ほぼ90%以上がオペラというほどオペラ好きの我が家ですが,コロナ禍で頻度は減ったものの行けるときには行くようにしています(劇場や音楽家を応援するという意味もある).

 先週末の土曜日,5月29日には初台の新国立劇場で公演中の歌劇「ドン・カルロ」を鑑賞してきました.オペラ観劇と終演後のディナーがセットになる我が家ではいつも電車で行くのですが,現在東京では飲食店での酒類の提供が中止されているため、お酒が飲めないなら無理にディナーにしなくてもよいのと,感染のリスクを減らす意味もあり、今回は自家用車での訪問です(ものすごく久しぶりに首都高を走った 笑).

 今回鑑賞したドン・カルロはマルコ・アルトゥーロ・マレッリによる演出で,2006年に初出,2014年11月に一度再演され今回は2回目の再演となります.2014年の再演の際に鑑賞したはずなんですが,実はあまり記憶がありませんでした(汗).指揮はイタリア人のパオロ・カリニャーニ,ヨーロッパの劇場で活躍している指揮者です.キャストはタイトルロールのドン・カルロがジュゼッペ・ジバリ,フィリッポ2世が妻屋秀和、ロドリーゴが高田智宏、エリザベッタが小林厚子、エボリ公女がアンナ・マリア・キウリ,宗教裁判長がマルコ・スポッティという面々です.コロナ禍ではありますが、メインキャストのうち3人が海外招聘ということで、関係者の努力は大変なものだったろうと想像します.ちなみにフィリッポ2世役は当初ミケーレ・ペルトゥージの予定でしたが、本人の都合でキャンセルになり妻屋さんに変更になったいきさつがあります(妻屋さんは2006年と2014年の公演では宗教裁判長をやっていた).

Img_7414  ヴェルディの「ドン・カルロ」は16世紀スペインに実在したスペイン・ハプスブルク家の親子である国王フィリッポ2世(世界史ではスペイン風にフェリペ2世と呼ばれる)とその長男ドン・カルロの物語です.史実のドン・カルロは資料の少ない人物ですが,18世紀にシラーが設定を大幅に膨らませて戯曲化し,それを原作にヴェルディがオペラ化しました.作曲時期は「運命の力」と「アイーダ」の間でヴェルディの作曲技法が円熟していた時代になります.この作品は元々1867年に開催されるパリ万博(日本が初めて参加した万博,今年の大河「青天を衝け」でもいずれ出てくるでしょう)に合わせてパリのオペラ座から依頼されました.このため当時のフランスのグランドオペラの形式によって書かれた5幕ものでした.言語もフランス語でした.ただ肝心のフランスでの初演が失敗したことと(招待されたナポレオン3世の皇后ウジェニーが熱心なカトリック教徒だったため,反カトリック的な内容を含むこのオペラに嫌悪感を示した),上演時間が長いことから,すぐに改訂が施され,現在主流となっているイタリア語による4幕ものとなっています.今回の公演もこの4幕版です.5月29日公演は千秋楽ということもあり,オケもキャストも非常にまとまってよい演奏だったと思います.劇場の公式ツイッターで,初日に指揮者が登場して拍手が起こったのを聞き,海外招聘キャストが「本当に客がいるんだ!」と感動していたというツイートが流されていましたが、欧米ではまだ客を入れての公演が不可能なんだと実感した次第です.

 

 休憩を含めて3時間半の公演,久しぶりに心の洗濯ができました(ドン・カルロって最後カルロが先代の王(カール5世)に天上に引き上げられるシーンで幕となるんですが、これも一種の地獄落ちだよなと感じました).

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2021年4月27日 (火)

歌劇「ルチア」

Img049  GWが近づいていますが,昨年に続き,我慢(G)ウィーク(W)になりそうな世相です.

 基本的にはお上には逆らわないようにしていますが,とはいえ全く楽しみがないというのも残念なので,先週の金曜日初台の新国立劇場で上演中の歌劇「ルチア」を観劇してきました.

 19世紀前半,ロッシーニとヴェルディを繋ぐ時代を代表する作曲家,ドニゼッティを代表する作品です.2017年初出となったジャン=ルイ・グリンダによる演出の再演で,外の場面における岬と荒波が印象的な舞台となっています.

 コロナ禍で日本への入国が厳しく制限されている状態ですが,指揮者のスペランツァ・スカップッチ,ルチア役のイリーナ・ルング,エドガルド役のローレンス・ブラウンリーが無事に入国し出演しました.スカップッチはジュリアード音楽院,サンタ・チェチーリア音楽院を卒業した近年欧米の歌劇場で活躍著しい女性指揮者,ブラウンリーはかつてのパヴァロッティのような声質のベルカント唱法に優れたテノールで特に最終盤のアリアが良かったです.ただなんといってもこのオペラは主役であるルチアの出来不出来ですべてが決まってしまいます(名作の割に上演頻度が高くないのもルチアを歌える歌手がなかなか確保できないため.20年以上の歴史を持つ新国立でもルチアの公演は今回を含めて3回だけです).今回のルチア役のルングも伸びのある美声で非常に魅力的でした(特に定番の狂乱の場は圧巻).一方で日本人歌手の出来も良く,エンリーコ役の須藤慎吾さんやアルトゥーロ役の又吉秀樹さんの歌も特に秀悦でした.

 ちなみに2017年の初演時にはオリジナルに合わせて狂乱の場ではグラスハーモニカを使用していましたが,今回はオケピッチのソーシャルディスタンスを保つためとして一般的なフルートで代用されていました.

Dsc_1414 (写真)2017年に使用されたグラスハーモニカ

 我が家では通常オペラ鑑賞といえばその後のディナーもセットなんですが,まん延防止等重点措置が出されている現状のため終演後のレストランは残念ながら休止となっているのでした.

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2021年2月12日 (金)

歌劇「フィガロの結婚」

Img009_20210212145901  昨日は建国記念日の祝日でした.近年は一部の祝日が移動祝日として月曜日に持ってこられる傾向がありますが,この建国記念日は憲法記念日などと共に日時が決まっている祝日のひとつです.今年は木曜日となりました.月曜が休みで三連休ができるのも嬉しいですが,週の途中に休みがあるのもなんとなくホッとした気分になりいいものです.

 そんな建国記念日は新国立劇場で上演中の歌劇「フィガロの結婚」を鑑賞してきました.

 オペラ好きの我が家ですが,2008年に当地に越して来て以降家訓(?)となっていることがあります.それが「最低年に1回はモーツァルトのオペラを鑑賞すること」.俗にモーツァルトの四大歌劇と呼ばれる「フィガロの結婚」,「ドンジョバンニ」,「コジ・ファン・トゥッテ」,「魔笛」であれば新国立,二期会,藤原歌劇団のどこかで必ずやっているので基本的には見逃すことは無いはずです.しかし昨年2020年は新型コロナの影響で春に劇場が閉鎖になり上演予定作の多くが中止に追い込まれたことから,あわやついに年間鑑賞ゼロか!という事態になりました.しかし12月に小田原市民オペラの魔笛公演を鑑賞できたため,かろうじて義務は果たせています(当初は新国立のコジと藤原のフィガロが予定されていた).

 今回のアンドレアス・ホモキ演出のフィガロは2003年の初出以来2~3シーズン毎に上演され続けている新国立の定番レパートリーです.白と黒以外の色を極力排し舞台装置も極めてシンプルな印象的な舞台となっています.コロナの影響で日本への入国制限が厳しくなっていることで指揮者と一部キャストが変更になっていました(先月のトスカでスカルピア役をやったダリオ・ソラーリがそのままフィガロ役で出演,思えばほぼ3か月日本に滞在しているんだな).

 終演後はこれまた恒例のレストランへ.充実のコース料理でした.

Dsc_1540 Dsc_1541 Dsc_1542 Dsc_1543 Dsc_1544 Dsc_1545 (左上)スタートはスパークリングワイン,(中上)前菜ノルウェーサーモンと赤海老のマリネ,(右上)パスタ 牡蠣とパンチェッタ、ホウレンソウのクリームソース,(左下)鰤とじゃが芋のアルフォルノ,(中下)熟成牛のロースト,(右下)ガトーショコラ、ビスタチオのジェラート

 

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