2023年2月 2日 (木)

歌劇「タンホイザー」

Img20230201_07445906  最近オペラの話題が多いのですが,1月31日に現在新国立劇場で上演中のワーグナー作曲,歌劇「タンホイザー」の公演を鑑賞してきました(今月3回目のオペラ鑑賞).

 ワーグナーはイタリアのヴェルディとともに,19世紀を代表するオペラ作曲家です.ヴェルディ同様主要作品がほぼオペラに限られることから,世間での知名度はモーツァルトやベートーベンには及びませんが,同時代や後世に与えた影響の大きさでは計り知れないものがあります.彼ももヴェルディ同様,後になるほど作品が円熟化して完成度が高くなっていく成長型の作曲家です.ワーグナー作品の特徴としてレチタチィーヴォ,アリアの区別のない音楽(無限旋律)や指導動機(ライト・モティーフ)の多様などが知られていますが,これも彼の初期作品から見られたものではなく,徐々に形成されていったスタイルです.今回上演されたタンホイザーは従来型のオペラからワーグナー的なオペラへの移行期に位置づけられる作品です.ワーグナー作品といえばとにかく上演時間が長いという印象がありますが,本作は休憩抜きで3時間と常識の範囲内(笑)に収まっています.

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(左)上演時間,(右)幕間にはスパークリングワイン

 内容は中世のタンホイザー伝説とヴァルトブルクの歌合戦の伝説をワーグナーが独自に融合させたもの.気高い女性の自己犠牲により罪深い男性が救済されるというテーマは極めてワーグナー的です.音楽は有名な序曲や2幕の大行進曲,3幕の夕星の歌や巡礼の合唱など親しみやすい部分も多いです.特に合唱の荘厳さは自分的には非常に好きな部分です.今回の公演ではタンホイザーにステファン・グールド,エリザベートにサビーナ・ツヴィラク,ヴォルフラムにデイヴィッド・スタウト,領主ヘルマンに妻屋秀和といった錚々たるメンバーを揃えていました.休憩含めて4時間ですが,それほど長く感じさせないのもこの作品の魅力です.魂が洗われるような公演でした.

 終演後は劇場内のレストランへ.実は新国立の公演に来たのは昨年5月の「オルフェオとエウリディーチェ」以来だったので,ここに来たのもすごく久しぶりです.この日は終演が18時過ぎと夕食にはピッタリな時間だったこともあり,フルコースをいただいたのでした(もちろんワインも).心も胃袋も満たされた1日でした.

Dsc_2432 Dsc_2433 Dsc_2434 Dsc_2436 Dsc_2437 Dsc_2438(左上)お酒はシャンパン,(中上)前菜は蕪のムースと魚介のマリネ,(右上)パスタは牡蠣とトレビスのトマトソース,(左下)魚料理 鮟鱇のパンチェッタ巻き,(中下)肉料理 ザワーブラーテン,(右下)デザートは苺のスープ バニラのジェラート添え

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2023年1月30日 (月)

歌劇「トスカ」

Img20230201_07434573  昨日1月29日は上野の東京文化会館に藤原歌劇団のトスカ公演に行ってきました(今月2本目のオペラ鑑賞).

 オペラ作品というと,17世紀のモンテベルディから現代まで,いったい何作品あるのか数えるのも不可能ですが,その中で誰もが納得するであろう名作となると,ある程度絞られます.このプッチーニによって19世紀最後の年である1900年に発表された「トスカ」は,多くの人が認めるであろう名曲中の名曲でしょう(もっとも同時代の作曲家であるマーラーは本作を駄作と呼んだそうですが…).オペラを初めて見る人に何を薦めるかと問われてトスカを押す人も多いと思います.その理由としては,まず時間が程よいこと(全3幕合計2時間ほどと映画並み),ストーリーがわかりやすくスリリングであること,登場人物のキャラだ立っていて感情移入しやすいこと,美しいアリアが堪能できることなどが挙げられます.

 物語はフランス革命後のナポレオンが台頭し始めた時期のイタリア・ローマ,自由主義者で政治犯のアンジェロッティとその友人の画家カヴァラドッシ,カヴァラドッシの恋人の歌姫トスカと自由主義者を徹底的に弾圧する一方で,ひそかにトスカをものにしようと野心を抱くローマ市の警視総監スカルピアが織りなす人間ドラマです.アリアとしてはカヴァラドッシによる1幕の「妙なる調和」,3幕の「星は光りぬ」,トスカが歌う2幕の「歌に生き恋に生き」はオペラ史でも屈指の名アリアです.

 劇としても2幕でスカルピアがカヴァラドッシを拷問にかける様子を聴かせながら,トスカを精神的に追い詰めていく場面など非常に緊張感の高いシーンが続きますが,個人的には1幕最後の人々がテ・デウム(「神である汝を讃えん」を合唱する傍らでスカルピアが自らの野心を歌う場面が非常に好きです.

 今回の公演は土日をダブルキャストによる上演で,キャストはすべて邦人歌手でした.演出もオーソドックスなもの(というかリアリズムを目指しているヴェリズモオペラの範疇に入る本作においては突飛な演出はやりにくいでしょう).そんな名作を堪能した1日でした.

 オペラ鑑賞というと,その後の食事までがセットと考える我が家,この日は四谷三丁目にある音威子府TOKYOさんに繰り出し,蕎麦や焼酎を堪能しました.

Img_9581 Img_9582(左)礼文島の昆布焼酎,(右)黒い音威子府そばと白い新得そばの食べ比べ

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2023年1月27日 (金)

ヴェルディの命日

 今日は1月27日、当ブログでも毎年のように書いているんですが、この日は古典派の重要な作曲家であるW. A. モーツァルトの誕生日です。毎年彼の故郷であるザルツブルクではこの誕生日の前後10日間程度の日程でザルツブルク・モーツァルト週間という音楽祭をやっています。夏のザルツブルク音楽祭に比べるとマイナーで、世間の休暇時期ともずれている為、比較的リーズナブルに著名オケ(ウィーンフィルなど)のコンサートを鑑賞することができます。我が家でも2019年に参加し約1週間モーツァルト漬けの生活を送ったのを懐かしく憶えています(せっかくだからと時間を作ってアウグスブルクの父レオポルト・モーツァルトの実家に行ったら休みだったというオチまでついています 笑)。

 そんなモーツァルトで有名な1月27日ですが、実は19世紀イタリアを代表する作曲家G. ヴェルディの命日でもあります。幅広いジャンルの作曲作をしていて世間一般の知名度が非常に高いモーツァルトに比べてヴェルディはその主要作品がもっぱらオペラであることから、オペラに関心のない層の知名度はかなり下がりますが(この辺はワーグナーもそう)、音楽史に占めるその地位はかなり高いものがあります.

 作曲家には天才型と成長型とでもいえるタイプ分けがあります.すなわち前者は若年時代から凄い作品をバンバン作る作曲家,後者は後になるほど円熟した作品となっていくタイプです.前者に該当するのがモーツァルトやロッシーニだとすれば,ヴェルディは明らかに後者になります.ヴェルディが生涯に書いたオペラは26作品(改訂版を除く)ありますが,評価が高く世界の歌劇場で上演され続けているのは16作目のリゴレット以降の作品です。トロヴァトーレ(17番目)、椿姫(18番目)、仮面舞踏会(21番目)、運命の力(22番目)、ドン・カルロ(23番目)、アイーダ(24番目)、オテロ(25番目)、ファルスタッフ(26番目)と錚々たる作品が並んでおり,その中でも後になるほど円熟味を増していくのがよくわかります.これらのレパートリーは現在でも世界中の歌劇場で繰り返し上演されているものばかりです.これだけ多くの高頻度上演作品を持つのはヴェルディが一番です(次点はプッチーニでしょう,ワーグナーは有名ではあるが演奏難易度が高いので上演頻度は多くない).

 一方でリゴレットより前のヴェルディの15作品は極めてマイナーです.この中では3作目のナブッコと10作目のマクベスが時々上演される機会がある程度でそれ以外の作品はほとんど上演されることがありません.そんなヴェルディのマイナー作品の中で第6作目の二人のフォスカリを今年の9月に藤原歌劇団が上演するらしいです(プレリリース).個人的に非常に楽しみにしています。

Mozart01 Giuseppe_verdi02(左)W.A.モーツァルト、(右)G. ヴェルディ

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2023年1月21日 (土)

歌劇「オテッロ」

Img20230121_10500743  オペラ好きの我が家,2023年の初オペラ鑑賞はロッシーニのオテロでした.シェークスピアのオセロを原作にしたオペラとしてはヴェルディのオテロがあまりにも有名です.ボーイトの優れた台本と円熟期のヴェルディの音楽が融合した非常にドラマ性の高い緻密な作品は,ワーグナーの影響がヨーロッパ中に広がった時代の中でイタリアオペラの伝統を維持しつつ劇と音楽を見事に調和させた傑作です.今回鑑賞した作品はそんなヴェルディの大先輩ともいえるロッシーニが作った同名の作品となります.

 ロッシーニといえばセビリアの理髪師やチェネレントラなどの喜劇的な作品が有名ですが,非常に多作な作曲家だったことから非喜劇的な作品も多く書いています.このオテッロは時期的にちょうどセビリアとチェネレントラの間に作曲されたものです.原作はもちろんシェークスピアですが,当時はベルカントオペラ全盛の時代,主役の歌手が高難度のアリアを歌い観客が熱狂していた時代です.本作もそう言う作品であることは言うまでもありません.特に主役のオテロ(テノール)には高度な歌唱技術や声量が求められ,現代ではこれを歌いこなせる歌手がなかなか得難いのが,この作品がなかなか上演されない理由の一つになっています.さらにはもう一人の主役であるデズデーモナ(ソプラノ)や脇役のロドリーゴ(テノール),イヤーゴ(テノール)も難度の高い歌があります(難度の高いテノールを3人も必要とするというとても贅沢な作品です).今回はオテロ役にジョン・オズボーンを招聘し実現した模様です.

 会場は新百合ヶ丘駅近く,昭和音大のテアトロ・ジーリオ・ショウワ,都内のホールに比べて近いのが魅力です(笑).今回は2階席の最前列にしたのですが,このホールの場合最前列前に柵があって,背筋を伸ばさないと柵が視界に入り舞台が見えにくいという問題があることがわかりました(2列目の方がいいかも).

 曲は序曲からロッシーニっぽさ全開,アリアはコロラトゥーラありでハイCやDも出てくるし,どんどん場面を盛り上げていくロッシーニ・クレッシェンドも健在です.曲調も全体に明るいので1幕のフィナーレや2幕の三重唱(オテロ、ロドリーゴ、デズデーモナ)なんか歌詞の内容は修羅場ですが、曲だけ聴くとセビリアやチェネレントラと違和感がない感じです.当時(1810年代)のイタリアでは町によっては舞台上で殺人を描くことが禁止されていたケースもあり,そうした町で上演する際にはオテロとデズデーモナの誤解が溶けて最後はハッピーエンドになるように改定された版もあったそうですが,元々の音楽が明るいのでそうしても違和感がない作品だなとは感じました.ヴェルディ作品だとイヤーゴは徹底的な悪人として描かれていますが、ロッシーニではそこまでキャラが立っておらず,チョイワル親父といった感じです.ヴェルディ版ではオテロの嫉妬を掻き立てるアイテムとしてハンカチが登場し,不倫疑惑の状況証拠として重要な役割を果たしますが,ロッシーニ版では手紙がその代役となります.ただ手紙は別に宛名があるわけでもなく,自分的には「オテロ、お前そんな簡単に騙されるなよ」と思ったのでした.

 終演後は久しぶりに牡蠣が食べたいと思い町田のオイスターバーへ,生牡蠣やガンガン焼きなどを堪能したのでした.

Img_9568 Img_9569(左)生牡蠣,(右)牡蠣のガンガン焼き

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2022年11月29日 (火)

喜歌劇「天国と地獄」

Img20221129_17524294  オペラ好きの我が家ですが、夏以降は結構忙しくなかなか鑑賞に出向く機会が無くなっていました(そもそも新国立はシーズンオフでもある).振り返ってみると最後に鑑賞したのが7月3日の日生劇場でのコジ・ファン・トゥッテでした(その前が5月19日新国立のオルフェオとエウリディーチェ).その間11月13日には日生劇場のルチアに行く予定もあったのですが,別用とぶつかってしまい知人にチケットを譲ったということもありました.そんな中4か月半ぶりの鑑賞となったのが表題の天国と地獄,主催は東京二期会です.

 このオペレッタはオッフェンバックの作曲で1858年にパリで初演されたものです.原題は「地獄のオルフェ」,当時リヴァイヴァルブームが起こっていたグルックの歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」のパロディで,本来は最愛の妻エウリディーチェの死を嘆いたオルフェオが地獄に彼女を向けに行くお話だったものを,お互い愛人を持つなど冷え切った関係でありながら世間体を気にして別れられない夫婦の話に改変されています.ナポレオン3世治世下のパリで大成功を納め,オッフェンバックの代表作のひとつとなっています.特に第2幕に登場するフレンチ・カンカンは日本でも運動会などで非常に有名です.ただ,有名な割にはオペラそのものの上演頻度は低いのも事実で,私自身も生鑑賞は過去に2回しかありません.その2回のうちの1回が二期会による公演で,今回はその再演でした(前回は3年前).ジュピターをはじめとした天国の面々が白を基調とした服装なのに対してプルートなど地獄のキャラが赤を使うなど色彩の対比も面白い演出です.今回は1858年の初演版をベースにした上演でした.このため一般的に序曲とされている部分は演奏されませんでした(世間で「天国と地獄 序曲」とされているものはオッフェンバックのオリジナルではない).セリフ、歌全て日本語訳の舞台は肩が凝らずこれぞオペレッタという感じでした.

 オペラって本当に楽しいなと実感した舞台でした(次行けるのはいつか 笑).

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2022年7月 4日 (月)

歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」

Img20220704_17504061  チンチラのナンネルさんの火葬が済んだ翌日,7月3日は日比谷の日生劇場で開催された藤原歌劇団の歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」を鑑賞してきました.

 これは俗にモーツァルトの四大歌劇(フィガロ、ドン・ジョバンニ,魔笛、コジ)と称される作品の中でも比較的上演頻度の高い作品です(魔笛には負けますが,フィガロと同等以上、ドン・ジョバンニよりは明らかに上).我が家でも様々なプロダクションを生鑑賞しています.このオペラの上演頻度が高い理由の一つが,これがアンサンブルオペラだからというのがあるように思います.いわゆる難アリアと呼ばれるものがないことからレベルの高い歌手を呼んでこなくても大丈夫というのもあるでしょう.

 今回は藤原歌劇団の新プロダクションで,中心に配置された大きな円舞台を効果的に使った演出となっていました.

 終演後は東京駅八重洲地下のオイスターバーへ.久しぶりに生牡蠣とワインを堪能したのでした.

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2022年5月21日 (土)

東大水泳部部歌

 オペラとともに旧制高等学校の寮歌にも興味がある私です.先日新国立劇場に歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」を観劇に行ってきたのですが,実は旧制第一高等学校水泳部の部歌(現在は東京大学水泳部の部歌)「狭霧はれゆく」の元歌がグルックの歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」であるというウワサを聞いていました.寮歌とオペラ,あんまり結びつかなそうな話題ですが,先日新国立の公演を鑑賞して「なるほど」と思う場面がありました.同オペラ第3幕第3場でエウリディーチェが蘇った直後の部分がまさにそれだと確信したのです.

・旧制第一高等学校水泳部部歌「狭霧はれゆく」

 

・グルック作曲 歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」第3幕より

 

 こうして聞き比べると、たしかにそうだよなと思ったのでした.

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2022年5月20日 (金)

歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」

Img20220520_21370600  気が付いたら5月も半ばを過ぎています.新型コロナウイルス感染症はまだそれなりにありますが,ワクチン接種が進んだこと等もあり、GW後の増加も一段落した感があります.世間では何となく以前の日常が戻りつつある印象です(マスクや手指消毒等は継続していますが).

 そんな世相の中初台の新国立劇場で公演中の歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」を観劇してきました.これは18世紀半ばにウィーンやパリで活躍したグルックの代表作です.イタリアが発祥の当時のオペラは歌劇とはいっても演劇の要素は重視されておらず,もっぱら歌手の歌うアリアがメインでした.当時のアリアはダ・カーポ形式と言って,基本的にA-B-Aという形式ですが,特に後半のAの部分はコロラトゥーラ等歌手が自らの技巧を最大限に発揮すべくアレンジして歌い,聴衆はそれに熱狂するというものでした.これに対してアリアをあまり前面に出さず,劇性を重視したオペラを目指そうとしたのがグルックで,このために彼は改革者と呼ばれ後のワーグナーにも影響を与えています.彼の改革はアリアを前面に出さないことに加えて,当時はチェンバロの簡単な伴奏のみだったレティタチーヴォをオーケストラ伴奏にする,合唱を多用するなどがあります.

 オルフェオとエウリディーチェはそんなグルックの代表作として知られ,一般に演奏される機会の稀なモーツァルト以前のオペラの中では例外的に上演頻度の高い作品です.2018年に新国立劇場の芸術監督に就任した大野和士氏が力を入れているというモーツァルト以前のオペラの発演目となりました(本来は昨年ヘンデルのジュリオ・チェーザレが上演される予定だったがコロナで中止になった).指揮者にBCJの指揮も務める鈴木優人氏,演出には自らもダンサーである勅使河原三郎氏を起用するなど意欲的なステージになっています.キャストはオルフェオにカウンターテノールのローレンス・ザッゾ,エウリディーチェにソプラノのヴァルダ・ウィルソン,アモーレには三宅理恵という配役となりました.オルフェオ役の声部は公演ごとに色々変更が見られるのですが,今回はカウンターテノールを利用したオーソドックスなものになるました(ウィーンでの初演の際はカストラート歌手(去勢した男性歌手)を使用).

Img_8171  舞台は1幕から巨大は皿がステージに乗っている感じ,その皿の上でオルフェオがエウリディーチェの死を嘆くく場面が続きます.そこにアモーレが登場,オルフェオに黄泉の国に行ってエウリディーチェを連れ戻すよう許可がでます.喜んで黄泉に下るオルフェオ,得意の竪琴を鳴らしながら黄泉の世界の者たちを虜にしていきます.そしてついにエウリディーチェを迎えることに成功するのですが、その条件が「地上に出るまで相手の顔を見ないこと」,「その理由をけっして教えぬこと」です.オルフェオは試練と呼んでいますが,やっとの思いであえた夫婦が顔も併せられないという(普通なら)非常識な設定にエウリディーチェはだんだんイライラしてきてオルフェオに当たります.ついに耐え切れなくなったオルフェオが振り向いて二人が抱擁,その瞬間約束を破ったエウリディーチェは本当の死を迎え,二人は永遠の別れ…

 にはならず,結局アモーレの尽力でエウリディーチェは蘇り,一同平和に過ごしましたとさ、めでたしめでたし。原作がギリシャ悲劇でありながらハッピーエンドにしてしまうのは当時の世相でしょう.

 主演後はいつものレストランへ,最近は常連客と認識されているらしく,受付で名前を言わなくても案内されました(笑).この日はパスタと🥩メインのコースを選択しました。

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(左上写真3)4種のカルパチョチョ(エビ、サーモン、アジ,ブリ),(右上同4)烏賊とアンチョビ、トマトのアーリオ、(左下同5)この日のメイン,大山鶏と白隠元豆のカチャトーラ,(右下)デザート 赤メロンとレアチーズケーキ

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2022年4月24日 (日)

歌劇「魔笛」

Img20220424_10370530  昨日関東地方は朝から快晴の良いお天気でした。そんな気候だからというわけでもありませんが、この日は新国立劇場で公演中の歌劇「魔笛」を鑑賞してきました。

 魔笛はW.A.モーツァルト晩年の傑作オペラとして知られ、世間でも非常に上演頻度の高い作品です。ウチのKが大のモーツァルト好きということもあり、我が家では元々モーツァルト・オペラの鑑賞頻度は高いのですが、その中でも一番高頻度なのがこの「魔笛」です(何回生観劇したのか記憶にないほど多い。2006年にウィーン国立歌劇場に行った際鑑賞したのもこれだった)。

 今回の公演は南アフリカ出身の演出家、ウイリアム・ケンドリッジによる2018年11月初出の舞台です。光によるドローイングを取り入れた演出は極めて21世紀的な舞台だなぁと改めて感じました。指揮者のオレグ・カエターニの他、キャストは全て邦人歌手が起用されていました。コロナ禍という事情もありますが、魔笛に関しては2010年代以降邦人歌手メインの舞台になっていたのでこれが通常運転と言えます。

Img_7871  終演後はいつものレストランではなく、久々に新宿の回らないお鮨屋さんに入りました(久しぶりの外でのお鮨でした 笑)。

 

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2022年4月10日 (日)

歌劇「ばらの騎士」

Img20220410_12000914  オペラ好きの我が家、毎年10本以上の生観劇をしていますが、2022年に入ってからはオミクロン株の流行を鑑みて観劇を自粛していました。しかしワクチン3回目接種も完了したことや、まん延防止等重点措置の解除等の世相から再開することにしました。

 で昨日観劇してきたのが表題の「ばらの騎士」、1911年に初演されたリヒャルト・シュトラウスを代表するオペラ作品です。新国立劇場の公演です。

 作品の好みは人それぞれと言いますが、この「ばらの騎士」に関しては実は若い頃はあまり好きな作品ではありませんでした。その昼ドラ的なストーリーとシュトラウスの音楽がなんか安っぽい映画音楽のようで、どうも生理的に受け付けなかったのです。

 しかし、歳を重ねてのち改めて鑑賞してみると、その良さがわかり今では好きな作品のひとつとなっています(この辺は事情はいつかここにも書いてみたいと思います)。

 コロナ禍に入って恒例だったホワイエでのアルコールが無くなったのが我々的には残念だったんですが、4月から外のテラスでの販売が始まりました。さっそくいただいたのはいうまでもありません(笑)。

Img_7771 Img_7772  土曜日のマチネ公演ということもあるのか、会場はほぼ満員の入りです。やっぱり芸術鑑賞に飢えていたんだなぁと感じました(やっぱりこういうご時世だからこそ文化芸術は重要です)。舞台はジョナサン・ミラー演出による新国立定番のレパートリー、舞台の華やかさが特徴です。キャストはコロナの影響で、邦人歌手主体ですがよくまとまって美しい調べを奏でていました。

 終演後は劇場内のレストランへ。約4ヶ月ぶりの訪問でしたが常連のためか名前を覚えられていました(笑)。この日はフルコース、ワインも各種いただいたのはいうまでもありません。やっぱりオペラは最高だなとしみじみ思った1日でした。

Img_7773 Img_7774 Img_7775 Img_7776 Img_7777 Img_7778(左上)レストランマエストロ、(中上)前菜のマカジキのカルパッチョ、(右上)タリアテッレ 桜エビと空豆 クリームソース、(左下)真鯛と蛤、春野菜の蒸し焼き、(中下)熟成牛のビステッカ、(右下)デザート苺のスープ、ジェラート添え

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