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2025年2月 9日 (日)

ナミビア初代大統領の逝去

Nujoma  2月9日未明、かねてより病気療養中だったナミビアの初代大統領サム・ヌヨマ博士が95歳で亡くなりました。

 ナミビアはアフリカ諸国の中でも独立が遅く、それが実現したのは1990年のことでした。19世紀後半にドイツ領南西アフリカとしてドイツの植民地となった当地でしたが、第一次世界大戦でドイツが敗れたことから、戦後成立した国際連盟によって南アフリカの委任統治領となり、同国の影響下に置かれることになりました。そして第二次世界大戦後に国際連盟が解散したことを受けて、南アフリカはナミビアの併合を宣言し同国の一部であると主張します。ただ国際的には受け入れられず、さらには当時南アフリカが推進していたアパルトヘイト政策への批判と併せて、南アフリカの国際的な孤立へと繋がっていきます。

 1960年代からナミビアの独立運動が始まり、南西アフリカ人民機構(SWAPO)がその中心となります。1980年代に入り南アのアパルトヘイト政策の後退にあわせて独立運動も盛り上がり、19903月21日に独立が達成されました(南アのアパルトヘイトの撤廃が1991年、ネルソン・マンデラの大統領就任が1994年とナミビア独立の動きと連動しているのが分かります)。このナミビア独立運動を指導し、独立後初代大統領となったのがサム・ヌヨマ氏でした。まさにナミビアにとっては独立の英雄というわけです。彼は2005年まで大統領の座にあり、その後引退しました。

 ナミビアは独立後現在のムブンバ氏で4代目になりますが、アフリカにありがちな法を無視した政権運営やそれに反発するクーデターなどの政治動乱が一度も無く、政治的に安定しているといわれます。これは歴代大統領がすべてSWAPO出身の同年代で独立闘争時代の同志であったことが大きいのかもしれません(維新の志士が政府高官となった明治政府に似ているとも感じます)。

 ナミビアでは昨年の今頃、現役の大統領だったガインゴブ氏が亡くなり国葬が行われました。ヌヨマ氏もすでに引退した身とはいえ、独立の英雄であることを踏まえれば、ガインゴブ氏と同レベルの国葬が行われることは間違いありません。

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