ラ・セーヌの星
パリオリンピックも佳境ですが、今日はフランスを舞台としたアニメ作品の話題です。フランスが舞台というと池田理代子先生のベルサイユのばらが浮かびますが、今回のテーマは1975年に放映されたラ・セーヌの星です。ベルばら同様フランス革命を描いた作品ですが、基本登場人物が貴族であるベルばらと違い、こちらは主に庶民目線の作品となっています。
作品の基本設定は、パリのシテ島(セーヌ川に浮かぶ中州)で普段は花屋を営むシモーヌという美少女が変装してラ・セーヌの星と名乗り、剣を振るって私欲を肥やす悪徳商人や無慈悲な官憲を成敗するというものです。イメージとしてはフランスを舞台にした桃太郎侍といった趣です。しかもシモーヌが実は王妃マリー・アントワネットの異母妹という設定になっているため、暴れん坊将軍という見方もできます。ただこれだけだと「ふ~ん」という感じになるんですが、物語は後半フランス革命が始まると俄然様相が変わってきます。単なる勧善懲悪の時代劇ではなく、歴史の流れに翻弄される人々の姿が赤裸々に描かれていきます(それは主人公のシモーヌも例外ではない)。この後半部分がラ・セーヌの星が素晴らしい作品と言われるゆえんで、私を含めこの作品でフランス革命の流れを学んだという人は多いと思われます。革命が先鋭化して当初は虐げられる側だった民衆が最後、王妃の子供たちを虐待しようとするに至ると、そうした民衆に対して剣を振るいます。この時「ラ・セーヌの星はわれわれ民衆の味方じゃないのか」という人々に対して、「ラ・セーヌの星は弱いものの見方です」と毅然と答える場面はこの作品を象徴する場面だと思います。
後年このラ・セーヌの星の後半部分を監督したのが富野由悠季(当時は富野喜幸)だと知ったとき、「そりゃぁ、盛り上がるはずだ」と納得した思い出があります。そんなラ・セーヌの星、現在UNEXTやFuluなどの配信サービスでは見られないのが残念ですが、youtubeでは時々上がってくるので今回その一部を鑑賞し、改めて凄い作品だったなと感じたのでした。
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