Mpox
アフリカでは今、Mpoxが話題になっています。これは以前サル痘と呼ばれていた感染症のことです(実際には主に感染する動物がげっ歯類だということがわかり、名が体を表さなくなったことや、罹患者に偏見を抱かせかねないということで、現在ではMpoxの名称となっています)。ポックスウイルス科のオルソポックスウイルス属の一種で、昔怖い感染症として知られていた天然痘ウイルスの仲間です。日本でも何年か前に海外から持ち込まれ実際に症例が発生したことで知られています。おもな症状は発熱、頭痛に加えて特徴的な発疹が全身に現れることです。これらは天然痘に類似した症状ですが、天然痘に比べると毒性や感染性は低く、致死率も低いとされています。
Mpoxにはコンゴ盆地由来の株(グレード1)と西アフリカ由来の株(グレード2)があります。以前世界的に広がったものはグレード2だったのですが、今回問題になっているのがグレード1によるものです。これはグレード2に比べると毒性や感染性が強いとされています。昨年以降アフリカ中部のコンゴ民主共和国で多数の症例が報告され、その後周辺国でも症例報告が増えてきていることから、今回アフリカCDCやWHOが「公衆衛生上の緊急事態」を宣言しました。Mpoxは天然痘に比べれば毒性は低いとされていますが、今問題になっているグレード1は致死率5%程度と決して無視できる数字ではないことと、アフリカ地域で蔓延しているHIVとの絡み(HIVで免疫不全状態になっているところにMpoxが感染すると致死率が一気に上がる)で問題になっているわけです。
私のいるナミビアでは今のところ感染例は報告されていませんが、SNSでは当地の主要英字紙の名を騙ったアカウントが「100例以上の陽性者が!」などと投稿し、これに対して当地の保健省が「これはフェイクニュースです」と否定コメントを出すなどの騒ぎになっています。日本でも感染症や災害の時にSNSのフェイク情報が問題になりますが、世の東西を問わないようです。
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