LCCの狭い機内でなんとか頑張って眠り、6月6日朝無事にフランクフルトの空港に着陸しました。やや眠い目をこすりながらターミナル内に入ります。まずは近くの電光板で乗り継ぎ便のチェックをします。ドレスデン行きの便は時間変更も無く予定通りのようでした。今回の旅行の目的地はドイツなので、そのまま入国審査に向かいます。特に問題は無く通過し、そのまま乗り継ぎ便のターミナルへ。乗り継ぎ時間は約2時間なのでラウンジ利用も無くそのままゲートに向かいます。ここで待っていたら係員がやって来て、キャリーケース持参の乗客になにやら説明しています。どうやら飛行機が小さくてキャリーケースは座席の収納スペースに入れられないこと。貨物室に預かるのでこのタグを付けてくれということのようです。幸い我々は普通のバックパックなので大丈夫でしたが、確かに乗り継ぎ便のパターンによってはありうる話だと思ったのでした(日本でも離島便とかはそんな感じ)。
(写真1)ドレスデン行きの飛行機
さて時間になり搭乗が始まりますが、この便はボーディングブリッジではなくバスで駐機場まで連れて行かれるパターンでした。向かった先には予想通り小さい飛行機が停まっています(1列4人シート)。そういえば今回の旅行では預けられるスーツケースが1人1個でした。3月に日本に帰った際は1人2個だったのでこの違いはなんだろうと思ってたのですが、思うに飛行機の小ささに関係するようです。
(写真2)ドイツの森
全員乗り込んだところで機体は動き始めやがて離陸します。ドレスデンまでは約1時間のフライトです。窓から外を見ると青々とした緑の大地が広がっています。普段赤茶けたナミビアの地を見慣れているものにとっては感慨深いものがありました。短い国内線ということで食事の提供は無く、飲み物も小型のミネラルウォーターのみ、あっという間にドレスデン空港に着陸の時間となりました。
ドレスデン空港は非常にこじんまりとした空港です。飛行機の発着も少なそうで、この時間帯他の便の姿は見えませんでした。ここもボーディングブリッジではなくバスでターミナルに向かう流れです。あまり人気の無いターミナル内を歩き荷物を受け取るターンテーブルに着きます。幸いロストバゲージになることも無く荷物と合流、そのまま階下に降りて電車のホームに出ました。ドレスデン空港から市内へは電車が便利だからです。とはいえ空港の閑散具合~想像できるように、電車も30~60分に1本なので下手すれば1時間近く待たされることもあります。ただこの日はすぐに電車が来たためほとんど待つこと無く乗ることができました(ドイツの電車は改札がないためぼーっとしていると無賃乗車をしてしまう危険がある。乗車前にホームにある自販機で切符を購入し、時刻を刻印しなければならない)。
空港から市内へは20分ほどです。途中でエルベ川を渡るところがあって畔の教会なんかがバーンと見える箇所があり感動しました(パリ地下鉄6号線のセーヌ川を渡ってエッフェル塔がバーンと見える場所と同じ種類の感動)。ドレスデン中央駅に着いた後はまずこの日宿泊のホテルに向かいます。荷物だけ預ける予定だったんですが、もう部屋を使っても良いとのことで部屋に入ります。荷物を置いた後しばし寛ぐことができました。
この段階でほぼお昼だったので、まずは昼食です。この日はホテル目の前にあるラーメン屋さん"Ramen 1974"というお店に入りました(1974年創業なんだろうか)。ドイツまで来てラーメン?と思われる向きもあるかもしれませんが、ドイツまで来ないとラーメンが食べられない環境に我々は住んでいるわけです。味噌ラーメンと餃子、そしてサッポロビールを注文しました(即席麺以外のラーメンは2ヶ月ぶり)。
(左写真3)味噌ラーメン、(右同4)メニュー
食事後は市電に乗って旧市街の中心に繰り出します。まず向かうのはエルベ川畔に建つドレスデン城。ドイツは正式名称がドイツ連邦共和国というように、その成り立ちから多くの国の連合体と呼べる国家で、今で言う地方分権の国です(その逆にフランスは中央政府が圧倒的に強い)。ここドレスデンは元々ザクセン王国の首都として栄えた町になります。そんなドレスデンの中心ともいえるのがドレスデン城なわけですが、特にここの地上階にある「緑の丸天井」と呼ばれるスポットは18世紀初頭にこの地を治めたアウグスト強王の時代に収集された数多くの宝物が展示されている場所として知られます。過去に盗難事件などもあったことから極めて厳重に管理されており、見学は時間予約制、荷物の持ち込みは禁止され内部には常に多数の係員が立っています。この日は13時30分に予約をしていたため、まずはここから見学します。入り口に日本語のオーディオガイドもあって、それを聴きながらの見学です。ガイドを利用した見学は見所を余すこと無く見学できるのがメリットですが、一方で時間がかかる欠点があり、当初ドレスデン城全体で1時間半程度の見学を予定していたんですが、この緑の丸天井だけで2時間以上かかってしまいました(笑)。
(左写真5)ドレスデン城、(右同6)ゼンパーオーパー
予想外に時間がかかったことから、ドレスデン城1階の新丸天井部分以降は駆け足の見学となり外に出ました。そこから目の前にそびえ立つのがドレスデン国立歌劇場、ここは19世紀半ばに建てられた歌劇場で、あのR. ワーグナーが指揮者を務めたこともあるところです。設計者の名前からゼンパー・オーパーとも呼ばれます。ワーグナーの初期作品である「さまよえるオランダ人」や「タンホイザー」、R. シュトラウスの「ばらの騎士」が初演された劇場でもあります。建築作品としても非常に優れたもので、オペラ上演の無い日でも見学ツアーが開催される場所ですが、3日後にオペラ鑑賞で訪問する予定なのでこの日は外観だけとしました。
(写真7)君主の行進
その後はドレスデン城の外縁に沿って北東へ、途中にはカトリック教会があります。ドレスデンは歴史的には新教が盛んな都市ですがカトリックの教会も存在します。そこから少し行った壁には軍団の行進が描かれた壁画があります。俗に「君主の行列」と呼ばれる壁画ですが、これ壁に直接絵が描かれているわけではなく、実は無数の陶器絵なのです。アウグスト強王はそれまで中国や日本の特産品だった磁器の国産化(マイセン)を図った国王でもあります。
(左写真8)カトリック教会、(右同9)内部
君主の行進のはす向かいにあるヒルトンホテルを左手に進むとまもなく見えてくるのが聖母教会です。こちらはプロテスタントの教会ですが、実はある意味ドレスデンを象徴する施設です。この教会もアウグスト強王の時代に作られたのですが、第二次世界大戦末期の連合軍によるドレスデン大空襲で崩壊、瓦礫の山になってしまいました。戦後は戦争の惨禍を象徴するものとして存在していましたが、1980年代から再建の動きが始まり、東西ドイツの統一後その動きは加速し2005年に完成しました。再建に当たっては瓦礫と化したかつての石材を丁寧に解析し積み上げられました(この辺にドイツ人の気合いを感じる)。そんな聖母教会はかつて瓦礫の山だったことが想像できないほど美し姿を見せています(石の色彩が場所によって違うところから再建の様子がうかがえる)。
(左写真10)聖母教会、(右同11)内部
その後エルベ川周辺を散策していたら、なんか見たことある人たちを発見、なんと日本時代の合唱仲間でした! まさにエルベ川の奇跡、彼らもこの日到着して市内観光をしていたのです。なんか凄い偶然だなと思ったのでした。
(左写真12)エルベ川、(右同13)ネタスポット発見!
散策を終えてホテルに戻ります。この日の夕食は駅前にある(Googleによると)ドイツ料理を標榜するSchwerelos – Das Achterbahn-Restaurantという長い名前のレストランへ。ただこのお店、注文した料理がUFOのような円盤に乗ってレーンを走って運ばれてくるスタイルで、ドイツ料理店というよりもエンターテイメント性が高いファミレスという感じでした。
こうして6月6日ドイツ最初の日が暮れたのです。
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