さて、パリ出張から戻った翌週はスワコプムントの教会で開催されたコンサートに行ってきました。
スワコプムントは首都のウィントフックからほぼ真西に350キロ、大西洋に面した町、15年前にナミビアに観光に来た際にも立ち寄っています。350キロといえば東京から仙台、あるいは名古屋に相当する距離となります。新幹線の速達タイプを利用し時速300キロで走れば1時間半の距離ですが、当地にはそんな便利なものはないため基本的に自動車での移動になります(スワコプムントの隣町ウォルビスベイには空港があり、数少ないながらも空の便はある)。ナミビアには日本のような高規格自動車専用道路はありませんが、平地が多くて基本道がまっすぐなのと、人口が少なく交通量が圧倒的に少ないため、一般道とはいえ時速100~120キロで走れます。このため途中休憩をはさみながら走ってもだいたい4時間あればつく距離です。
こちらに来てから、観光でウィントフック以外を訪れたのは9月末のエトーシャ国立公園でしたが、この時はガイド兼運転手を雇ってのものでした。今回は初の自力での観光となったわけです。スワコプムントのコンサートは、当地のドイツ大使館の後援によるもので、ナミビア国立オーケストラのメンバーによる弦楽四重奏曲のコンサートでした。こちらに来てから生の演奏会に飢えていた(笑)ため、うわさを聞いて以来ぜひ行こうと思っていたのでした。
そして11月18日朝9時ごろに自宅を出発しました。Google Mapを見るとウィントフックースワコプムント間はまっすぐ西に向かう道路と、いったん北上してオカハンジャという街から回り込むような形になている道路があるのですが、真西のルートは途中の多くの区間が砂利道(当地風に言えばグラベルロード)となっているため、後者のルートの方が若干距離は遠いですが早く着きより安全なのでした。
舗装された道路を特に渋滞することもなく走ります。日本ではこういう長距離路線にはパーキングエリアとか道の駅とかがあり、そこで休憩できますが、当地の道にはそうしたものはなく、代わりに木陰にベンチがあるだけの休憩スポットが定期的にあります。ただトイレがないため、トイレ休憩しようと思えば、町のガソリンスタンドを利用するか、青空トイレ(笑)ということになってしまいます。オカハンジャースワコプムント間は町らしい町が少ないため、町があればそこでガソリンスタンドによるというのが基本です。今回はウィントフックとスワコプムントの中間地点にあるカリビブ(ナミビアのバラン星と呼んでいる 笑)という町のスタンドで給油&トイレ休憩としました。
予定通り4時間でスワコプムントに到着、町中にあったケンタッキーで昼食を取ります。ただコンサートまでまだまだ時間があったことから、隣町のウォルビスベイにフラミンゴを見に行くことにしました。実は15年前もフラミンゴ目的で行ったのですが、運が悪かったのかフラミンゴが一羽もいないという状況だったため、そのリベンジがしたかったのです。
車で南下すること40分、フラミンゴがいそうな海辺に到着です。車を停めて行ってみると… おおっ!フラミンゴがたくさんいます。全盛期の何割なのかはわかりませんが、15年前は0でしたから、その時とは比較にならない数でした(よく見るとフラミンゴは一種類ではなく二種類います)。
フラミンゴ鑑賞の後はスワコプムントに戻り、まずはホテルにチェックインです。今回宿泊するのはドイチェスハウスという15年前にも泊まったホテルです。懐かしいからここにしたというのもありますが、実はコンサート会場がこのホテルの真裏にあるという近さからでもありました。15年前の記憶がだいぶ薄れていましたが、そんなに変わっていなかったように感じました(部屋のキーがカード式になっていたのは明らかな違いですが)。
しばし休んだのち、コンサートに向かいます。会場は教会なんですが、正確にいうと聖堂ではなく付属の青少年ホールです。入場無料なのでそのまま中に入るとすでに多くのお客さんが来ていました。ほとんどが白人でドイツ語を話していました。ナミビアはかつてドイツの植民地だった歴史があり、今でもドイツ系住民が多く暮らしています。スワコプムントは国内でもドイツ系コミュニティが大きい町らしく、今日来ている人たちはまさにそうなんだなぁと思いました。
時間になりコンサートの開演です。曲目はハイドン、モーツァルト、ベートーベンという古典派3巨匠の弦楽四重奏曲です。特にハイドンの通称「皇帝」と呼ばれる弦楽四重奏曲はその第2楽章が現在のドイツ国歌(当時はオーストリア国歌)の元ネタの変奏曲であることも、ドイツっぽさがより強く出ていたなと感じました。そのほかのモーツァルトやベートーベンも聞きごたえがありました(一方で楽章ごとに拍手が入ってしまうことなどからは地方のコンサートの限界を感じます)。
終演後はホテルに戻りレストランへ、スワコプムントの海鮮に舌鼓を打ちました(海鮮スープが旨かった)。
(写真)海鮮料理
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