歌劇「タンホイザー」
最近オペラの話題が多いのですが,1月31日に現在新国立劇場で上演中のワーグナー作曲,歌劇「タンホイザー」の公演を鑑賞してきました(今月3回目のオペラ鑑賞).
ワーグナーはイタリアのヴェルディとともに,19世紀を代表するオペラ作曲家です.ヴェルディ同様主要作品がほぼオペラに限られることから,世間での知名度はモーツァルトやベートーベンには及びませんが,同時代や後世に与えた影響の大きさでは計り知れないものがあります.彼ももヴェルディ同様,後になるほど作品が円熟化して完成度が高くなっていく成長型の作曲家です.ワーグナー作品の特徴としてレチタチィーヴォ,アリアの区別のない音楽(無限旋律)や指導動機(ライト・モティーフ)の多様などが知られていますが,これも彼の初期作品から見られたものではなく,徐々に形成されていったスタイルです.今回上演されたタンホイザーは従来型のオペラからワーグナー的なオペラへの移行期に位置づけられる作品です.ワーグナー作品といえばとにかく上演時間が長いという印象がありますが,本作は休憩抜きで3時間と常識の範囲内(笑)に収まっています.
(左)上演時間,(右)幕間にはスパークリングワイン
内容は中世のタンホイザー伝説とヴァルトブルクの歌合戦の伝説をワーグナーが独自に融合させたもの.気高い女性の自己犠牲により罪深い男性が救済されるというテーマは極めてワーグナー的です.音楽は有名な序曲や2幕の大行進曲,3幕の夕星の歌や巡礼の合唱など親しみやすい部分も多いです.特に合唱の荘厳さは自分的には非常に好きな部分です.今回の公演ではタンホイザーにステファン・グールド,エリザベートにサビーナ・ツヴィラク,ヴォルフラムにデイヴィッド・スタウト,領主ヘルマンに妻屋秀和といった錚々たるメンバーを揃えていました.休憩含めて4時間ですが,それほど長く感じさせないのもこの作品の魅力です.魂が洗われるような公演でした.
終演後は劇場内のレストランへ.実は新国立の公演に来たのは昨年5月の「オルフェオとエウリディーチェ」以来だったので,ここに来たのもすごく久しぶりです.この日は終演が18時過ぎと夕食にはピッタリな時間だったこともあり,フルコースをいただいたのでした(もちろんワインも).心も胃袋も満たされた1日でした.
(左上)お酒はシャンパン,(中上)前菜は蕪のムースと魚介のマリネ,(右上)パスタは牡蠣とトレビスのトマトソース,(左下)魚料理 鮟鱇のパンチェッタ巻き,(中下)肉料理 ザワーブラーテン,(右下)デザートは苺のスープ バニラのジェラート添え
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