特別展「毒」に行ってきました
立春の日、上野の国立科学博物館で開催中の特別展「毒」に行ってきました.毒という言葉は誰でも身近で聞いたことがある一方で、あまり深く考えたことがないテーマかもしれません.
毒とは生物に対して何らかの作用を有する物質の中で,その生物に負の影響を与えるものとされています(逆にプラスに働くものが薬).ただ害になるかどうかは生物の種類による他,種類ごとの相対関係もあって複雑です.例えばお菓子のチョコレートは人間が適量を食べる分には問題ありませんが,ペットの犬が食べると毒になります.またヤドクガエルは体内に猛毒を持っていることで知られていますが、その物質は捕食者にとっては毒であるものの、当のヤドクガエル側から見れば身を守るための武器ということになります.さらに言えばアオカビの作るペニシリンは人間から見れば感染症を治療する薬ですが,細菌側から見れば自らに害なす猛毒という相反する存在になります.
今回の「毒」展は1章から4章、終章までの5部構成,第1章はプロローグ,第2章がメイン部分で植物の毒(トリカブトやドクゼリなど),昆虫などの毒(ハチ、クモなど),爬虫類・両生類の毒(ヤドクガエル、コモドオオトカゲなど),海洋生物の毒(フグ、クラゲなど)、菌類の毒(毒キノコなど)、鉱物の毒(ヒ素や水銀など)、人間が作り出した毒(マイクロチップなど)の順に様々な資料が展示されています.スズメバチやイラガの幼虫の巨大模型など迫力がありました.
(左上)イラガの幼虫,(右上)コモドオオトカゲ,(左下)ベニテングタケ,(右下)ドクツルタケ
第3章は毒の進化がテーマ,毒をもつ個体によっては自身が毒を作り出すわけではなく外部から接種した成分を濃縮して利用しているものがいたり,あるいは自らは毒を持たないものの,毒を持つ種に似せることで外敵から身を守る個体がいるなどの話題が取り上げられています.そして第4章は毒と人間というテーマで古代ギリシャで有名なソクラテスやエジプトのクレオパトラなど毒に関係した人物の話題や,毒の利用という意味で蚊取り線香の話題などにも触れていました.
土曜日ということもあり会場はかなりの賑わいでした(コロナ禍ということで時間帯ごとの入場者を制限してはいましたが).じっくりと見学したのですが3時間以上かかりました.その後昼食を摂り、常設展を見たりして結局夕方まで滞在していたのでした.
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