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2023年1月30日 (月)

歌劇「トスカ」

Img20230201_07434573  昨日1月29日は上野の東京文化会館に藤原歌劇団のトスカ公演に行ってきました(今月2本目のオペラ鑑賞).

 オペラ作品というと,17世紀のモンテベルディから現代まで,いったい何作品あるのか数えるのも不可能ですが,その中で誰もが納得するであろう名作となると,ある程度絞られます.このプッチーニによって19世紀最後の年である1900年に発表された「トスカ」は,多くの人が認めるであろう名曲中の名曲でしょう(もっとも同時代の作曲家であるマーラーは本作を駄作と呼んだそうですが…).オペラを初めて見る人に何を薦めるかと問われてトスカを押す人も多いと思います.その理由としては,まず時間が程よいこと(全3幕合計2時間ほどと映画並み),ストーリーがわかりやすくスリリングであること,登場人物のキャラだ立っていて感情移入しやすいこと,美しいアリアが堪能できることなどが挙げられます.

 物語はフランス革命後のナポレオンが台頭し始めた時期のイタリア・ローマ,自由主義者で政治犯のアンジェロッティとその友人の画家カヴァラドッシ,カヴァラドッシの恋人の歌姫トスカと自由主義者を徹底的に弾圧する一方で,ひそかにトスカをものにしようと野心を抱くローマ市の警視総監スカルピアが織りなす人間ドラマです.アリアとしてはカヴァラドッシによる1幕の「妙なる調和」,3幕の「星は光りぬ」,トスカが歌う2幕の「歌に生き恋に生き」はオペラ史でも屈指の名アリアです.

 劇としても2幕でスカルピアがカヴァラドッシを拷問にかける様子を聴かせながら,トスカを精神的に追い詰めていく場面など非常に緊張感の高いシーンが続きますが,個人的には1幕最後の人々がテ・デウム(「神である汝を讃えん」を合唱する傍らでスカルピアが自らの野心を歌う場面が非常に好きです.

 今回の公演は土日をダブルキャストによる上演で,キャストはすべて邦人歌手でした.演出もオーソドックスなもの(というかリアリズムを目指しているヴェリズモオペラの範疇に入る本作においては突飛な演出はやりにくいでしょう).そんな名作を堪能した1日でした.

 オペラ鑑賞というと,その後の食事までがセットと考える我が家,この日は四谷三丁目にある音威子府TOKYOさんに繰り出し,蕎麦や焼酎を堪能しました.

Img_9581 Img_9582(左)礼文島の昆布焼酎,(右)黒い音威子府そばと白い新得そばの食べ比べ

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2023年1月27日 (金)

ヴェルディの命日

 今日は1月27日、当ブログでも毎年のように書いているんですが、この日は古典派の重要な作曲家であるW. A. モーツァルトの誕生日です。毎年彼の故郷であるザルツブルクではこの誕生日の前後10日間程度の日程でザルツブルク・モーツァルト週間という音楽祭をやっています。夏のザルツブルク音楽祭に比べるとマイナーで、世間の休暇時期ともずれている為、比較的リーズナブルに著名オケ(ウィーンフィルなど)のコンサートを鑑賞することができます。我が家でも2019年に参加し約1週間モーツァルト漬けの生活を送ったのを懐かしく憶えています(せっかくだからと時間を作ってアウグスブルクの父レオポルト・モーツァルトの実家に行ったら休みだったというオチまでついています 笑)。

 そんなモーツァルトで有名な1月27日ですが、実は19世紀イタリアを代表する作曲家G. ヴェルディの命日でもあります。幅広いジャンルの作曲作をしていて世間一般の知名度が非常に高いモーツァルトに比べてヴェルディはその主要作品がもっぱらオペラであることから、オペラに関心のない層の知名度はかなり下がりますが(この辺はワーグナーもそう)、音楽史に占めるその地位はかなり高いものがあります.

 作曲家には天才型と成長型とでもいえるタイプ分けがあります.すなわち前者は若年時代から凄い作品をバンバン作る作曲家,後者は後になるほど円熟した作品となっていくタイプです.前者に該当するのがモーツァルトやロッシーニだとすれば,ヴェルディは明らかに後者になります.ヴェルディが生涯に書いたオペラは26作品(改訂版を除く)ありますが,評価が高く世界の歌劇場で上演され続けているのは16作目のリゴレット以降の作品です。トロヴァトーレ(17番目)、椿姫(18番目)、仮面舞踏会(21番目)、運命の力(22番目)、ドン・カルロ(23番目)、アイーダ(24番目)、オテロ(25番目)、ファルスタッフ(26番目)と錚々たる作品が並んでおり,その中でも後になるほど円熟味を増していくのがよくわかります.これらのレパートリーは現在でも世界中の歌劇場で繰り返し上演されているものばかりです.これだけ多くの高頻度上演作品を持つのはヴェルディが一番です(次点はプッチーニでしょう,ワーグナーは有名ではあるが演奏難易度が高いので上演頻度は多くない).

 一方でリゴレットより前のヴェルディの15作品は極めてマイナーです.この中では3作目のナブッコと10作目のマクベスが時々上演される機会がある程度でそれ以外の作品はほとんど上演されることがありません.そんなヴェルディのマイナー作品の中で第6作目の二人のフォスカリを今年の9月に藤原歌劇団が上演するらしいです(プレリリース).個人的に非常に楽しみにしています。

Mozart01 Giuseppe_verdi02(左)W.A.モーツァルト、(右)G. ヴェルディ

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2023年1月25日 (水)

記録的な寒波

 今週に入り日本列島には北から強烈な寒波が入り込んできています。北日本や東日本の日本海側を中心として,さらには近畿や東海地方でも大雪になっているところがあるようです.ニュースでは京都で大雪の中ポイント故障で動けなくなった電車に乗客が長時間閉じ込められたとか,新名神高速で数十キロの大渋滞が起こったなどが話題になっています。今回は普段あまり雪が降らない地域でも大雪になったことから,これらの事態が生じたものと思われます(普段から慣れっこになっている東北道は通常モード?).

 九州や四国でも雪が降ったと言われていますが,関東地方南西部から静岡県東部は気温こそ下がったものの,冬型特有の晴天が広がっていました.今朝の箱根峠は気温氷点下8度とまあまあの寒さですが晴れていました.

Img_9572 Img_9571(左)今朝の箱根峠(白いのは雪ではなく融雪剤です),(右)電光板にはマイナス8℃と出ていましたがうまく写っていませんでした.

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2023年1月22日 (日)

第26回ひの新選組まつり

 TwittterのTL上に#ひの新選組まつりというタグが増えているなぁと思っていたら、どうやら第26回ひの新選組まつりの開催告知がされていたようです。

 第26回ひの新選組まつり開催

 毎年春の恒例イベントであるひの新選組まつり、私は2006年の第9回から参加しています.当初はコンテストにも出場してパレードでは隊士として参加するのが定番だったのですが,近年では隊士ではなく新選組と出会った人々の枠で参加することも多くなっています.特に震災以降は2012年の第15回から2019年の第22回までの8回のうち5回同時代枠でした(第15回松本良順,第16回井上松五郎,第19回清河八郎,第20回高杉晋作,第22回勝海舟).しかしコロナ禍によって2020年(第23回)は完全中止,2021年(第24回)はwebのみ,2022年(第25回)はコンテストと法要等のみの開催となりパレードは行われませんでした.今年はパレードも行うとのことですが、どういう形で行われるのか楽しみにしています(昨年の当初アナウンスでは人数を制限して隊士のみ,同時代枠は無しということだったのでその辺がどうなるのかも気になります).募集開始は2月1日とのことです.

22hino28_20230124225101  写真は最後にパレードが行われた2019年(第22回)の記念写真,この時勝海舟役だったため,Twitterではいまだに安房守を名乗っています(笑).

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2023年1月21日 (土)

歌劇「オテッロ」

Img20230121_10500743  オペラ好きの我が家,2023年の初オペラ鑑賞はロッシーニのオテロでした.シェークスピアのオセロを原作にしたオペラとしてはヴェルディのオテロがあまりにも有名です.ボーイトの優れた台本と円熟期のヴェルディの音楽が融合した非常にドラマ性の高い緻密な作品は,ワーグナーの影響がヨーロッパ中に広がった時代の中でイタリアオペラの伝統を維持しつつ劇と音楽を見事に調和させた傑作です.今回鑑賞した作品はそんなヴェルディの大先輩ともいえるロッシーニが作った同名の作品となります.

 ロッシーニといえばセビリアの理髪師やチェネレントラなどの喜劇的な作品が有名ですが,非常に多作な作曲家だったことから非喜劇的な作品も多く書いています.このオテッロは時期的にちょうどセビリアとチェネレントラの間に作曲されたものです.原作はもちろんシェークスピアですが,当時はベルカントオペラ全盛の時代,主役の歌手が高難度のアリアを歌い観客が熱狂していた時代です.本作もそう言う作品であることは言うまでもありません.特に主役のオテロ(テノール)には高度な歌唱技術や声量が求められ,現代ではこれを歌いこなせる歌手がなかなか得難いのが,この作品がなかなか上演されない理由の一つになっています.さらにはもう一人の主役であるデズデーモナ(ソプラノ)や脇役のロドリーゴ(テノール),イヤーゴ(テノール)も難度の高い歌があります(難度の高いテノールを3人も必要とするというとても贅沢な作品です).今回はオテロ役にジョン・オズボーンを招聘し実現した模様です.

 会場は新百合ヶ丘駅近く,昭和音大のテアトロ・ジーリオ・ショウワ,都内のホールに比べて近いのが魅力です(笑).今回は2階席の最前列にしたのですが,このホールの場合最前列前に柵があって,背筋を伸ばさないと柵が視界に入り舞台が見えにくいという問題があることがわかりました(2列目の方がいいかも).

 曲は序曲からロッシーニっぽさ全開,アリアはコロラトゥーラありでハイCやDも出てくるし,どんどん場面を盛り上げていくロッシーニ・クレッシェンドも健在です.曲調も全体に明るいので1幕のフィナーレや2幕の三重唱(オテロ、ロドリーゴ、デズデーモナ)なんか歌詞の内容は修羅場ですが、曲だけ聴くとセビリアやチェネレントラと違和感がない感じです.当時(1810年代)のイタリアでは町によっては舞台上で殺人を描くことが禁止されていたケースもあり,そうした町で上演する際にはオテロとデズデーモナの誤解が溶けて最後はハッピーエンドになるように改定された版もあったそうですが,元々の音楽が明るいのでそうしても違和感がない作品だなとは感じました.ヴェルディ作品だとイヤーゴは徹底的な悪人として描かれていますが、ロッシーニではそこまでキャラが立っておらず,チョイワル親父といった感じです.ヴェルディ版ではオテロの嫉妬を掻き立てるアイテムとしてハンカチが登場し,不倫疑惑の状況証拠として重要な役割を果たしますが,ロッシーニ版では手紙がその代役となります.ただ手紙は別に宛名があるわけでもなく,自分的には「オテロ、お前そんな簡単に騙されるなよ」と思ったのでした.

 終演後は久しぶりに牡蠣が食べたいと思い町田のオイスターバーへ,生牡蠣やガンガン焼きなどを堪能したのでした.

Img_9568 Img_9569(左)生牡蠣,(右)牡蠣のガンガン焼き

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2023年1月19日 (木)

月齢26の月

 月は地球の衛星で、約27日で地球を一周する公転周期を持っていますが,同じ27日で自転しているため常に地球には同じ面を向けていることになります.これが月の表側ですが,一方その反対の裏側の様子は地球からは見えないため謎が多く,ようやくその実態がわかるようになったのは宇宙船が飛ばせるようになった20世紀後半以降のことです(それ以前はSFの世界を中心に月の裏側にはUFOの基地があるなどと言われていたし,昭和47年のウルトラマンAでも月の裏側に月人が住んでいるとされた).

 そんな月ですが,一方で満ち欠けがあることも知られています.こちらは太陽との位置関係によるもので,ほぼ太陽と同じ側に来た時の新月から,反対側に来た時の満月を経て約30日で新月に戻るサイクルを繰り返しています.ちなみに新月の時に月と太陽が重なって起こるのが日蝕,満月の時に地球の影に入って起きるのが月蝕です.月の呼び名としては月齢1の新月のほかに月齢3の三日月,月齢7~8の上弦(向かって右側が光る半月),月齢14~15の満月,月齢21頃の下弦(上弦とは逆に左半分が光る半月)があります.

 昨夜は隣県への出張当直だったのですが,今朝6時半に現地を出発しようとしたところ,東の空にきれいな月が出ていました.普段なら夕方の西の空に出る三日月と反対側が光る月齢26の月です.その形から逆三日月と呼ばれることもありますが,普通の三日月と違い早起きしないとみられない貴重な月です.

Img_9565(写真)月齢26の逆三日月

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2023年1月18日 (水)

壁画

 職場の周辺に古ぼけたコンクリート塀があるんですが,先日そこを眺めていたらあることに気づきました.

 壁の汚れがなんか人の顔に見える…

 ちょうど聖徳太子とか源頼朝とか、あごひげを蓄え烏帽子を被った人物画のように見えます.長年見ていたハズなんですが今まで気が付きませんでした(まあ、普通そんなに注意して見ないだろうし 笑).

Img_9563 Img_9570 問題の壁画(右はちょっと写真に筆を入れてみました)

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2023年1月17日 (火)

新しいワイシャツ

 服に関しては物持ちが良い私,ワイシャツも結構古くなるまで着続けていたりします.普段なら新しいのを購入するタイミングは学会だったり演奏会だったり、パリッとした新品が欲しい時でした.しかしコロナ禍になって学会や講演会などが軒並みオンラインになった影響で,そうしたパリッとしたスーツ着る機会が激減しています.最後にワイシャツを購入したのはいつだったか思い出せないような状況なんですが,来週久しぶりにパリッとスーツを着る機会が訪れました.新しいのを買ういいタイミングだというわけで,隣県への出張の途中,清流柿田川で知られる清水町にある某紳士服チェーン店に寄りました(清水町にあるんですが店名は「三島店」笑).

 白ワイシャツ1枚だけが欲しかったのですが,ワイシャツ・ネクタイ・ベルト等3品購入で3品目が70円になる! というキャンペーンをやっていて,店員にそそのかされて結局ワイシャツ2枚とベルトを購入してしまいました.小田原の同系列店でもよく定員にそそのかされて色々買わされることがあるので,もしかして「この客はそそのかすと色々買ってくれる」という情報が系列店で共有されているのかもと思いました.

Dsc_2428  今回購入した品々,本当は左の白ワイシャツのみを買うつもりだった(笑)

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2023年1月16日 (月)

紀元

 今日は1月16日、Wikipediaによると紀元前27年のこの日に古代ローマが共和政から帝政に移行したとあります.紀元前27年1月16日に約100年に渡る共和政末期の混乱を終結させたオクタヴィアヌスに対してローマの元老院がアウグストゥスの称号を贈りました.当時すでにコンスル,プロコンスルとして政治軍事両面での権力を握っていた彼に対して元老院が特別な名称を与えて権威付けしたことから,この時からローマは帝政に移行したとみなされています.ただ当時はまだ共和政を望む人々の影響力も無視できず,事実上皇帝ではあってもあくまでも市民の第一人者(プリンケプス)という体裁を取ったところに特徴があります(元首政).これが一般にイメージされるような帝政の姿になったのは3世紀のディオクレティアヌスの時代以降です(専制君主政).

Caesar_augustus(写真)執政官(コンスル)のアウグストゥス 

 このローマが共和政から帝政に移行した時期に登場したのがキリスト教です.後にヨーロッパがキリスト教世界に入ると,イエス・キリストが生まれた年を紀元1年とする暦が作られました.これがいま私たちが使っている西暦です(ただしイエスの生年に関しては今の紀元1年ではなく,それよりも数年前の紀元前4年ごろとされる).

 一方紀元1年よりも前の時代については紀元前という言葉が付され,一般にはBC(Before Christの略)の語句が用いられます(紀元後はAnno Dominiの略ADとなるがこちらは省略されることが多い).紀元と紀元前の関係というと数学における自然数と負の数との関係が連想されますが,暦には0年という概念がないため,紀元1年の前年は紀元0年ではなく紀元前1年になります.このため紀元10年の20年前は紀元前10年ではなく紀元前11年になるなど計算に注意する必要があります.

 紀元の概念は後付けなので,この前後で何かが大きく変わったというようなことは無いはずですが,キリスト教のお膝元である地中海世界ではローマが共和政から帝政に変わりました.一方で東アジアに目をやると前漢(紀元前202年~8年)から後漢(25年~220年)に変わっていく時期と符合します.偶然とはいえ非常に感慨深いものがあります.ちなみに紀元前後に活躍した世界史上の著名人としては前漢を簒奪して滅ぼした王莽がいます.彼は一時中央を追われていたものの,紀元前1年に哀帝の崩御によって復権し,翌1年に平帝の太傅となって権力を握っています.

Wang_mang(写真)紀元前後に活躍した前漢の外戚王莽

 そんなことを考えた1月16日でした.

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2023年1月15日 (日)

ナースコール

 病棟で入院患者さんが看護師を呼ぶ際に鳴らすのがナースコールです。ベッドサイドについているコールを押すとナースステーションや院内PHSが反応して看護師に知らせる仕組みです.PHSは普通の着信音あるいはバイブレーションですが,ナースステーションの場合は音楽が鳴って知らせることが多いです.これはモニターなどのアラームが「ピンポーン、ピンポーン」といった警告音なので,それと明確に区別するためだと思われます.

 で,このナースコールの音楽なんですが,同じ病院ならどこも一緒だろうと漠然と思っていました.しかしうちの病院は病棟ごと,さらには同じ病棟でもチームごとに違うことが判明,せっかくだから何の音楽なのか調べてみました.

 結果です.病棟ⅠのAチームはショパンの華麗なる大円舞曲,Bチームはメンデルスゾーンの春の歌,病棟ⅡのAチームがシューベルトのトルコ行進曲,Bチームがブラームスの子守歌,病棟ⅢはAB共通でいわゆるバッハのメヌエット(実はペツォールト作)であることが判明しました.普段ぼーっと暮らしていると案外見過ごすんだなと思ったのでした.

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2023年1月 9日 (月)

成人の日の思い出

 今日は成人の日です.2000年以降いわゆるハッピーマンデー制度の始まりによって,第2月曜日への移動祝日になりましたが,1999年までは1月15日の固定祝日でした.元々は前年の成人の日の翌日からこの日までに20歳になった新成人が対象だったらしいのですが,近年ではその年に20歳になっている学年全体が対象となっています.都市部だとこの日に合わせて成人式が行われるのが一般的で,晴れ着を着た女性も多くみられるなど呉服業界では稼ぎ時の日でもあります.一方酔って狼藉に及ぶ一部不逞新成人のニュースもこの日の風物詩です(笑).

 当然私にも新成人だった時代があるわけですが,実は成人式には参加しませんでした.とはいってもめんどくさいからではなく,当時心を病んでいた友人の実家を訪問していたからです.その辺の話も懐かしいのですが,実はこの友人訪問の際に居眠りをして電車を乗り過ごした方の思い出が強烈でした.

 当時自分は仙台在住で,知人宅は山形県にあったためにJR仙山線を利用して出かけました(現在の仙台-山形は高速バスが圧倒的に利便性が良いが,あの頃はそんなものはなかった).仙山線快速列車の停車駅は仙台を出ると,北仙台・愛子・作並・面白山・山寺・羽前千歳・北山形・山形といった感じです.前夜はいろいろあってほぼ完徹状態で電車に乗ったため途中で眠り込んでしまいました.ウトウトした状態で駅員の声が聞こえました

「山寺~」

 松尾芭蕉の奥の細道で知られるところです.おおっ山形県に入っていたか,でももう少し休めるなと安心した自分は再び睡魔に襲われます.しばらくしてまた駅員の声が,

「作並~」

 頭の中が?*&?になった自分です.時計を見たら出発から3時間経過しているではないですか! 仙山線電車は仙台-山形を折り返し運転しているため,どうやら自分は同区間を1往復して再び山形に向かうタイミングで目が覚めたらしかったです(当時の仙山線は車内清掃もなく折り返したので,車掌も起こしにはきませんでした.そもそも最初の山寺が往路なのか,折り返しなのかも不明です).徹夜明けの午前中という最も睡魔に襲われるタイミングとはいえ,ここまで爆睡したのは珍しいです.

 そんな思い出のある成人の日でした.

Pa300044(写真)当時快速仙山と同ルートを走っていた列車に急行べにばながありました.仙台-山形折り返しの仙山に対してべにばなは米坂線経由で新潟まで行く設定のためキハ58系気動車での運用でした.

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2023年1月 6日 (金)

2022年ユリウス暦のクリスマスイブ

 今夜はクリスマスイブです.

 といっても,多くの方々は????となると思います.クリスマスは12月25日,ただしユダヤ教の暦は日没から始まるため,12月24日の日没からクリスマスが始まり,翌25日の日没で終わります(24日の日没から25日の夜明けまでがクリスマスイブ).

「それはわかってる.でも今日は1月6日じゃないか!」という声が聞こえてきそうです.その通り,今日は1月6日です.グレゴリオ暦では…

 そう,今日が1月6日というのはグレゴリオ暦での話で,暦が違えば日にちも変わってくるのです(江戸時代の日本は和暦を使用していたため,例えば池田屋事件は和暦だと元治元年6月5日ですが,グレゴリオ暦では1864年7月8日となります).近代以前に西洋で使われていた暦であるユリウス暦では今日は2022年12月24日なのです.

「とはいえ,グローバリズムが浸透した21世紀,世界中の地域で使用されている暦はグレゴリオ暦,イスラム暦とかもあるけど,キリスト教のイベントで違う暦を持ち出してもしょうがないんじゃ」という声も聞こえてきそうです.

 しか~し! キリスト教だからこそ異なる暦が問題になってくるのです.イエスやその使徒たちの時代に使われていた暦はユリウス暦です.これは共和政ローマ末期の政治家,ユリウス・カエサル(英語だとジュリアス・シーザー)が制定した暦,それによると1年を平年365日とし,4年に1度うるう年を設けて366日となります.この暦を使うと1年は365.25日の計算ですが,実際の地球の公転周期(太陽の周りを1周する時間)は365.2422日なので,1年に0.0078日の誤差が生じます.ただ制定当時としては実用上問題ないものでした.

 しかし,塵も積もれば…の例えもあるように,その後ローマ帝国が衰退し中世を経てルネサンス期になると,その誤差が無視できないようになってきました.具体的には復活祭の基準になる春分の日が明らかに遅くなってきたからです.すなわちユリウス暦制定から1600年を経て,当初の誤差0.0078日が10日ほどの誤差になってきたのです.そこで16世紀のローマ教皇グレゴリウス13世の肝いりで新しい暦が制定されました.これがグレゴリオ暦で,この暦では3年の平年と1年のうるう年という基本概念はユリウス暦と一緒ですが,例外規定として西暦で100で割り切れる年は基本うるう年とはせず,さらに400で割り切れる年はうるう年とするというものです.この暦を使うと1年は365.2425日となり公転周期との誤差は0.0003日となり,さらに精度の高い暦となりました.

 このグレゴリオ暦が現在基本の暦なわけですが,ここで問題が発生しました.それは暦を制定したのがローマ教皇だったこと.すなわち当時ローマカトリックと対立していたプロテスタントや東方正教はこの暦を認めなかったからです.特に東方正教諸教会は自分たちこそが正統という意識が強かったため,「ローマ教皇なんていう異端の頭目が作った暦なんか使えるか!」という感じで拒否反応があったようです.しかしながら国際交流が盛んになる近代以降になると,さすがに日常生活でも独自にユリウス暦を使い続けるのは困難となり,現在ではこれらの地域でも世俗生活ではグレゴリオ暦を使っています.ただ教会暦だけはかたくなにユリウス暦の使用にこだわっているのです.

 なので,東方正教会の多くでは教会暦はユリウス暦であり,クリスマスもユリウス暦の12月25日,グレゴリオ暦では1月7日となっているのです(このグレゴリオ暦で1月7日というのも絶対ではなく,22世紀にはさらに誤差が広がり,今より1日遅れの1月8日になる予定).現在戦闘状態にあるウクライナとロシアですが,ウクライナ正教、ロシア正教とも今夜がクリスマスイブになっています.

 ちなみに我が家では例年クリスマスをグレゴリオ暦・ユリウス暦と2回祝う習慣があるのですが,ユリウス暦の今夜はかに🦀とふぐ🐡を食べに行ってきました.かには2021年12月の間人蟹以来,ふぐは2022年1月の浜松以来です.美味しくいただきました(最後はてっちりと雑炊で締める).

Img_9544 Img_9545 Img_9547 Img_9549(左上)蟹味噌,お酒のお供にたまりません,(右上)てっさ,(左下)蟹の炭火焼き,(右下)ズワイガニの蒸籠蒸し

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2023年1月 5日 (木)

2023年の抱負

 2023年も5日が経過し,自分の周辺はすっかり日常モードに切り替わっています.今日は今年2023年の抱負を考えてみます.

・健康でいる

 何といってもこれが基本になります.いくらやりたいことがあっても自分が健康でなければできません.暴飲暴食をしない、適度な運動、適切な睡眠といったところが挙げられます.年齢のせいか暴食はしたくてもできないので大丈夫ですが,お酒好きなので暴飲はありえます.睡眠時間は最近取れるようになっているのでこちらは大丈夫ですが,適度な運動はさぼりがちです.結局アルコールのセーブと運動をするという2点が重要なようです.

・旅行に行く

 コロナ禍で制限を受けた旅行ですが,昨年からは徐々にできるようになりました(国や自治体が行動制限を出さなくなったことが大きい).海外に関してもネックだった日本入国時の陰性証明が,10月1日以降(ワクチン3回以上接種していれば)不要になりハードルが下がりました.今年はまず2月にニュージーランド旅行に行くことを予定しています(3年4か月ぶりの海外!).国内に関しては今のところ決定していることはないのですが,どこかに行くことは確実と思われます(久しぶりの国盗りドライブもいいかも).

・英語の勉強をする

 今年新たに取り組みたいものがこの英語の勉強をするです.高校時代は大の苦手科目で模試で偏差値37を叩き出したこともありました.担任には「お前は英語を勉強すれば受かるという判定だ」と言われ続けました.ただ当時はつまらない反発心もあって「そんなに言うなら英語0点で受かってやる」と逆に他科目の勉強に集中し,見事(?)合格しました.その後は世間の予想通り英語で苦労することになったわけですが,1988年に一念発起してアメリカに留学,いやでも英語を身に付けざるを得ない環境に身を置いたところ,帰国後偏差値が60越えになっていました.今の仕事に就いた後は英語の論文を読む機会もあり,それなりに使ってはいますが,リスニングやスピーキングは劣化する一方です.今後海外旅行を復活されることを考えても勉強して損をする分野ではありません(一般に現地ガイドを雇うにしても日本語ガイドよりも英語ガイドの方が断然安い).少し身を入れてやってみようと思ったのでした.

・オペラ鑑賞

 オペラ好きの我が家です.昨年は後半失速して生鑑賞作品は5作品にとどまりましたが,今年はできる限り行きたいと考えています.今日現在チケットを買っているのが,1月20日(金)のロッシーニのオテロ(日本オペラ振興会 オテロといえばヴェルディが有名ですが,実はロッシーニも書いている),1月29日のトスカ(藤原歌劇団)です.その他1月下旬から2月上旬に行われる新国立のタンホイザー,2月下旬の二期会のトゥーランドットも魅力的なので日程が許せば行きたいなと考えています.

・続日本100名城&日本の滝100選

 旅行と関連するネタですが,ライフワークである城と滝は今年もしっかり頑張りたいと思います.目標として城は10か所,滝は5か所を挙げておきます.城は北関東や関西,中国地方があまり行けてないので,その辺を中心に行ってみたいと思います.一方滝は昨年振るわなかった分野です.こちらも関西や中国地方の城を攻略するついでなどに行けたらと考えています.城にせよ滝にせよかなりの運動にもなるので,健康増進を兼ねて取り組んでいきます.

・ホームページの作成

 ホームページの充実にも取り組みます.一分野であるこのブログはそこそこ頑張っていますが,本編の方の更新がおろそかになっているきらいがあります.100選滝や続100名城は比較的順調に進んでいるように思いますが,海外旅行記録は2018年の南米や2019年のザルツブルク,中央アジアなどまだ書いていない記事も多いので,今年はその辺を充実させていきたいです.

・時代扮装イベント

 コロナ前には恒例の時代扮装イベントだったひの新選組まつりやしながわ宿場まつり,今年開催されるならぜひとも参加したいと願っています.

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2023年1月 4日 (水)

仕事始め

 今日1月4日は仕事始めでした.通常業務に加えて月初め恒例のレセプト点検,さらに午後には保健センターでの医療相談業務と一日があっというまでした.医療相談の方は昨年夏と同じように発熱関係の相談がたくさんかかってきていて,自分関連の電話が入り込む余地はありませんでした(💦).

Img_6945  個人的にやれることは少ないのですが,引き続き感染対策に留意しつつ生活していきたいと思います.

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2023年1月 3日 (火)

今年は何の年?

 2023年も3日目です.今日のネタは今年は何の記念日か?です.では行ってみましょう.

① 関東大震災100年

 わが国で防災の日とされる9月1日は,今から100年前の1923年(大正12年)9月1日に関東大震災が発生したことに由来します.地震をはじめとした災害が多い我が国です.今年もいつどんな災害が起こるかわかりません.備えが大切だと感じます.

② 勝海舟生誕200年

 幕末期の幕臣勝海舟は日本の近代化のためには海軍の整備が重要であるとして,神戸に海軍操練所を作るなど活躍しました.戊辰戦争時には西郷隆盛と協力して江戸城の無血開城を実現させています.今年はそんな勝海舟生誕200年の年です.

③ 徳川家光将軍就任400年

 今年の大河ドラマは「どうする家康」ということで世間でも徳川家に注目が集まることが予想されます.そんな徳川幕府第3代将軍が徳川家光,家康の孫にあたります.その家光が将軍に就任したのが1623年(元和九年)であり,今年は400年の記念イヤーです.

④ 寧波の乱500年

 日本と大陸の関係といえば飛鳥時代の遣隋使や奈良時代から平安時代初期の遣唐使は公的なものとして有名ですが,中世になると国内政治が不安定化したこともあり,大陸との貿易は大名による私的なものが中心になりました.戦国時代には細川氏や大内氏が貿易で巨利を得ていましたが,やがて両者の対立が起こりそれが大陸での暴力事件に発展したのが寧波の乱です.

⑤ アレキサンドリアの大灯台崩壊700年

 古代地中海世界において七大不思議と呼ばれるものがありました.エジプトのピラミッドやバビロンの空中庭園,ロードス島の巨像などと並んでアレキサンドリアにあった大灯台もこれに含まれていました.紀元前3世紀に造られた高さ130メートルを超える巨大な灯台です.古代から中世にかけて多くの旅行家により記録されていますが,1323年に起こった地震により倒壊してしまいました.

⑥ 完顔阿骨打没後900年

 世界史の勉強をしているとなぜか印象深くて忘れられない人物がいます.自分にとっては古代インドのチャンドラグプタと並んで印象深いのが金の完顔阿骨打です.今年は彼の没後900年の年です.

⑦ 世界最古の紙幣発行1000年

 お金といえばコインと紙幣があります.歴史上コインは金貨などそれ自体に価値の裏付けがあり世間で流通できました.一方紙幣は軽くて持ち運びには便利ですが,それ自体はタダ同然の代物であり,これに価値が付与されるためには政府など発行元の信用が欠かせません.歴史上そんな紙幣が初めて登場したのが今から1000年前の北宋時代で,当時は交子と呼ばれました.

⑧ 三世一身法1300年

 飛鳥時代から奈良時代にかけて人口が増加してくると農地が不足してきました.このため律令政府は開墾を奨励するわけですが,ただ開墾せよといっても農民にしたらモチベーションが上がりません.このため自分で開墾した場合親子3代にわたって所有を認める(それが過ぎたら収公する)という制度ができました.これが三世一身法で制定されたのが今から1300年前の723年(養老七年)です.

⑨ 嵩岳寺塔完成1500年

 古代インドで生まれた仏教は漢代に中国に伝わり広まりましたが,歴代王朝が保護したり廃仏したりと政策が揺れ動いたことから東南アジア地域のような国民一般にいきわたる国家宗教になることはありませんでした.仏教が保護された時代には多くの建造物が作られたりしましたが,廃仏の時代になると破壊されたりして今に残るものは多くありません.そうした中国の仏教遺跡の中で有名なのが河南省にある嵩岳寺塔という仏塔です.今から1500年前の北魏時代,523年に建てられました.

⑩ 劉備没後1800年

 日本でも人気の高い三国志の主要人物の一人である劉備,彼が亡くなったのが今から1800年前の223年のことです.

⑪ ストラボンの「地理誌」刊行2000年

 帝政ローマ初期に今のトルコで生まれたストラボンによって記述された地理書が「地理誌」です.当時のギリシャローマ世界の人々が世界のすべてと思っていたヨーロッパ,中東からインドにかけての地理や歴史が記述されています.これが刊行されたのが今から2000年前の23年です.

⑫ 曲阜に孔子廟が建てられ2500年

 孔子廟とは孔子が祀られた場所で今では世界各地にあります.その元祖的なものが孔子が亡くなった翌年に曲阜に建てられた孔子廟で,今から2500年前の紀元前478年のことです.

 以上です.こうしてみると今年は世界史的には小粒な印象です.

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2023年1月 2日 (月)

新年2日目

 2023年になり2日目を迎えました.昨日の応援当直は平和裏に終わり朝小田原に戻ってきました.正月二日といえば箱根駅伝です.4区から5区,あるいは6区から7区の中継地点となる小田原中継所がウチから徒歩圏内にあります.過去2年間はコロナ禍で応援自粛が呼びかけられていましたが,今年は感染対策に留意しながらOKということになっています.この日は午前10時30分頃に様子を見に行ってきました.

Dsc_2419 Dsc_2424  天気は上々,気温もやや高めで快適な気候です.実際に選手がここにやって来るのはこの2時間後くらいですが,すでに関係者がスタンバイし,多くの見学者が集まり始めていました.今年はどんなドラマが繰り広げられるのでしょうか.

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2023年1月 1日 (日)

元旦の検食

 年末のつかの間の帰省からこちらに戻ってきたビザンチン皇帝です.元旦の朝からさっそく隣県の病院へ応援当直に来ています.さきほどお昼の検食をいただいたのですが、さすがお正月ということもあって、ご飯は赤飯,おかずにお刺身が付くなどおめでたいムード満点でした.今日も平和でありますように.

Dsc_2416(写真)お刺身付きの元旦の昼食

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