雪の回廊
世間のGWの最終盤となったこの週末は久しぶりに実家に行ってきました.で,せっかくこの季節に帰ったのだからと母親を連れて八幡平アスピーテラインに繰り出すことに.同路線は岩手県の八幡平市から奥羽山脈を越えて秋田県の鹿角市に抜ける山岳観光道路です.沿線にはたくさんの温泉があることでも知られています.最高地点の見返り峠の標高は1600メートルに達するため緯度を考慮すれば立山の2000メートル級に優に比肩する環境です.例年11月から4月中旬まで冬季閉鎖となるほか,開通前後は夜間通行禁止や荒天による通行止めなどの措置も取られます.
非常に雪深い場所でもあり,毎年開通する4月中旬から5月初旬にかけて雪の回廊が見られることでも知られています.今回はその雪の回廊目当てで出かけたのは言うまでもありません.
高速道路の最寄りである松尾八幡平ICから案内に従って進んでいきます.徐々に標高が上がっていくに従い周囲には残雪が現れてきました.さらに進んでいくと道路脇の雪が徐々に高くなり,峠付近では約5メートルくらいになりました.開通直後の4月中旬は8メートルほどの高さがあったそうですが,約3週間でかなり低くなったようです.それでも普段なかなかお目に掛かれない景色を堪能しました.
峠のレストハウスで休憩した後は秋田県側には抜けずに,峠からの別ルートである八幡平樹海ラインで戻ります.こちらも雪の回廊がよく残っているほか,下界ではちょうど水芭蕉が見頃を迎えていました.
樹海ラインを降りてくる途中に松川温泉があります.乳白色の硫黄泉で有名な温泉ですが,そのすぐそばにあるのが松川地熱発電所です.これは地球内部に存在する熱(地熱)を利用してタービンを回して発電するシステムです.火力発電ならば化石燃料を燃やして,原子力発電ならば核分裂で発生する熱を利用してお湯を沸かしてその蒸気でタービンを回しますが,地熱発電は地中から湧いてくる熱を利用するので原理的には燃料費がかからない発電方法です.もちろん様々な問題点はあるわけですが,火山国である日本では有利な発電方法の一つです.この松川地熱発電所は日本で初めて商業利用された地熱発電所となっています(1966年開業).その独特の外観を持つ冷却塔は,日本の地熱発電所のシンボルマーク的な存在となっています.この日はそんな発電所も見学しました.
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