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2021年7月27日 (火)

テルミドールの反動

 久しぶりに歴史の話題.

 今日は7月27日,この日は何があった日なのかと調べてみると,1549年にフランシスコ・ザビエルの乗った船が鹿児島に到着,1939年にアメリカが日米通商航海条約の破棄を通告,1953年に朝鮮戦争の休戦協定が締結,1976年にロッキード事件で田中角栄代議士が逮捕と結構政治的な事件が起きている.

Terumi(写真1)テルミドールの反動

 西洋史に目を向けると,1794年のこの日にテルミドールの反動と呼ばれる大きな事件が起こっていた.1789年7月14日の市民によるバスチーユ監獄襲撃事件に端を発したフランス革命は,本来特権貴族(多くは課税を免除され,国の要職を独占し多額の報酬を得ていた)に対するブルジョワジー(新興富裕市民層)の不満から始まったもので,その主眼は貴族特権の制限であり王政を否定するものではなかった.しかし1791年6月に国王ルイ16世一家がオーストリアに逃亡しようとした(ヴァレンヌ事件)ことから国王に対する信頼は大きく傷つき,また革命が自国に波及するのを恐れたオーストリアやドイツ諸国がフランスに対する干渉を始めると,徐々に革命は先鋭化していく.1792年9月に国民公会が成立すると,王政の廃止が決議され,翌1793年1月21日ルイ16世は処刑された.同年春ごろからフランスは諸外国との戦争で苦戦するようになり,社会不安と物価の高騰から貧民層の支持を受けたより過激な勢力(ジャコバン派)が政権を把握し,同年秋以降フランスはいわゆる恐怖政治(フランス語でテロル,テロの語源)の時代に入る.同年10月以降元王妃マリー・アントワネットをはじめ,ロベスピエールに反対する政治家のみならず,詩人のアンドレ・シェニエや質量保存則で知られる科学者のラヴォアジェら多くの文化人が処刑された.革命と暴力はコインの表裏ではあるが,このフランス革命と後のロシア革命は,政治とは直接かかわらない多くの文化人や宗教家が迫害を受けた点に共通性がある.

Robespierre(写真2)マクシミリアン・ロベスピエール

 1794年に入ると対外戦争が有利になり国内の経済状況も好転する.生活が安定すると恐怖政治は次第に国民の支持を失っていった.ただその間も政権中央ではロベスピエール派による反対派(ダントン派,エベール派など)の粛清が続き,むしろ恐怖政治はエスカレートしていった.こうした中,反対派の策動もありついに同年7月27日にクーデターが発生,ロベスピエールらは逮捕され失脚した(翌日今度は彼ら自身が断頭台の露と消えた).この事件によって1789年からのフランス革命は一応の終息を迎えたとされている(その後ナポレオンが台頭するなどフランス政治はまだまだ安定しない).

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