歌劇「ルチア」
GWが近づいていますが,昨年に続き,我慢(G)ウィーク(W)になりそうな世相です.
基本的にはお上には逆らわないようにしていますが,とはいえ全く楽しみがないというのも残念なので,先週の金曜日初台の新国立劇場で上演中の歌劇「ルチア」を観劇してきました.
19世紀前半,ロッシーニとヴェルディを繋ぐ時代を代表する作曲家,ドニゼッティを代表する作品です.2017年初出となったジャン=ルイ・グリンダによる演出の再演で,外の場面における岬と荒波が印象的な舞台となっています.
コロナ禍で日本への入国が厳しく制限されている状態ですが,指揮者のスペランツァ・スカップッチ,ルチア役のイリーナ・ルング,エドガルド役のローレンス・ブラウンリーが無事に入国し出演しました.スカップッチはジュリアード音楽院,サンタ・チェチーリア音楽院を卒業した近年欧米の歌劇場で活躍著しい女性指揮者,ブラウンリーはかつてのパヴァロッティのような声質のベルカント唱法に優れたテノールで特に最終盤のアリアが良かったです.ただなんといってもこのオペラは主役であるルチアの出来不出来ですべてが決まってしまいます(名作の割に上演頻度が高くないのもルチアを歌える歌手がなかなか確保できないため.20年以上の歴史を持つ新国立でもルチアの公演は今回を含めて3回だけです).今回のルチア役のルングも伸びのある美声で非常に魅力的でした(特に定番の狂乱の場は圧巻).一方で日本人歌手の出来も良く,エンリーコ役の須藤慎吾さんやアルトゥーロ役の又吉秀樹さんの歌も特に秀悦でした.
ちなみに2017年の初演時にはオリジナルに合わせて狂乱の場ではグラスハーモニカを使用していましたが,今回はオケピッチのソーシャルディスタンスを保つためとして一般的なフルートで代用されていました.
我が家では通常オペラ鑑賞といえばその後のディナーもセットなんですが,まん延防止等重点措置が出されている現状のため終演後のレストランは残念ながら休止となっているのでした.
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