不老不死
今日職場で話題になった話.
不老不死は古来多くの人にとってあこがれだった.例えば秦の始皇帝は中国を統一した後,自らの支配を永続させるため不老不死の薬を求め各地に部下を派遣した.東の海あるとされた蓬莱島に行き不老不死の仙薬を持ってくるよう派遣されたものの,見つけられなかったため結局日本に定住した徐福の話は有名である.
現在の科学では不老不死は不可能とされているが果たして原理的にはどうなのだろうか?
まずは不老不死の定義であるが,肉体と精神の両方が若く健康な状態で,それが永続するということになろう.このうち肉体に関しては人工臓器を使用することで原理的に可能なように感じられる.現在の科学でも人工心臓やECMO,義肢など完全とはいえないながら人工臓器は存在するため,将来的にはこれらを技術的に高性能化することができるだろう.
一方で問題なのは精神の方だ.精神というと形而上学的であるが,現実には脳組織の化学反応の集合体である.これを人工臓器(人工頭脳)に置き換えることができれば可能ということになる.近年AIの進歩が著しいとはいえ,未だ人間の脳に置き換えられるには至っていない.そもそも人間の精神は知的機能に加えて感情もあるためそのあたりの再現が難しそうだ.
このため近い将来なら中枢神経が生きている限りは人工臓器を更新していくことで肉体の不老不死は実現できるかもしれない(これは銀河鉄道999の機械化人のイメージに近い).遠い将来なら中枢神経の仕組みが完全に解明され,元の人間の精神を完全にコピーした人口脳が開発されるならば,その時に不老不死が完成する(万一に備え人口脳はコピーを取っておく).ただそうしたものがすでに人間といえるのか?という素朴な疑問があることも付け加えておく.
実際の人間の脳が人工知能と異なる点として,学習能力の他に衰え(認知症など)があることが挙げられる.当然だが衰えて認知機能に支障をきたしてしまうと不老不死とはいえなくなる(不死ではあっても不老でない).このため不老不死実現の暁には自分の中枢神経をどの段階で固定,複製するかがポイントとなる.その辺は個人の好みになりそうだが,もし自分ならばある程度知識が充実し,感情的のコントロールも可能となった40歳あたりがいいように思う.
そんなことを考えた週末だった.
参考:SFの世界ではサイボーグやアンドロイドという言葉がある.定義に従えばサイボーグとは元々は(おそらくは受精卵から発生した)人間の一部を機械などの人工臓器で置き換えたもので,今回話題にしたものに近い.代表的なものとして仮面ライダー(怪人含む)や新造人間キャシャーン,ミラクル少女リミットちゃんなどがある.一方でアンドロイドは人間そっくりに作られたロボット(生殖を経ないで生産される)でこちらの代表例として人造人間キカイダーやアラレちゃん,キューティーハニーが挙げられる.
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