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2021年1月24日 (日)

歌劇「トスカ」

Img047  緊急事態宣言が続いている首都圏ですが,昨年春との違いのひとつが劇場が開いていること.これは聴衆が静かに鑑賞するコンサート(特にクラシックのコンサート)が複数人がマスクを外して行う会食に比べて感染リスクが高くはないことによると思われます.不要不急の外出自粛が言われていますが,日々の精神的なストレスの緩和のためにも芸術鑑賞は重要だということで、土曜日のお昼に初台の新国立劇場に行ってきました.鑑賞した演目はプッチーニ作曲のトスカです.

 オペラ作品というと,それこそ全部でいくつあるのか数えるのも困難ですが,その中で誰もが挙げるであろう名作となると,結構絞られます.その中でもプッチーニによって19世紀最後の年になる1900年に発表された「トスカ」は,たとえアンチ・プッチーニの人でさえ認めざるを得ない名曲中の名曲でしょう.

 オペラ初心者にお勧めする作品として真っ先に上がるのもこのトスカです(自分も絶対にこれを勧める).理由としては全体で2時間(休憩除く)とほぼ映画並みの長さであること,ストーリー展開が早くオペラ一般にありがちな劇の停滞がないこと.登場人物のキャラが立っていて感情移入しやすいこと,名アリアがあるのはもちろん,大迫力の合唱も登場すること等々,オペラの魅力がこれでもかと凝縮されていて飽きさせないからです.2000年に初出となったアントネッロ・マダウ=ディアツ演出によるプロダクションは舞台装置や衣装の美しさ等から新国立劇場の定番レパートリーとして知られ,近年はほぼ3年に1回上演されています(自分もその都度鑑賞している).

 舞台はナポレオンがヨーロッパに大きな影響を及ぼし始めた1800年6月17日のローマです.共和主義者の政治家アンジェロッティとその友人の画家カヴァラドッシ,彼の恋人トスカと,王党派で共和派を厳しく取り締まる警視総監のスカルピアが織りなす悲劇です.1幕冒頭のカヴァラドッシによるアリア「妙なる調和」,1幕最後の大合唱「テ・デウム」とスカルピアの独白の場面,2幕のスカルピアがトスカを追い詰めていく場面とそれに続くトスカのアリア「歌に生き恋に生き」,3幕のカヴァラドッシの名アリア「星は光りぬ」など聴きどころ満載です.

 今回は指揮者のダニエレ・カッレガーリ,トスカ役のキアーラ・イゾットン,カヴァラドッシ役のフランチェスコ・メーリ,スカルピア役のダリオ・ソラーリの4人が海外招聘でした.現在日本は緊急事態宣言の発出と前後して外国人の入国を原則として禁止しています.彼らは入国禁止措置が出る前に入国し,14日間の待機を経てリハーサルに臨んできたそうです(かれこれ1か月以上前から日本に来ている).欧米の歌劇場も閉鎖になっているところが多いので,彼らにとっても貴重な仕事の機会なんでしょうが,こんな世界情勢の中来てくれたこと自体に感謝です.個人的には1幕最後のテデウムの場面が好きなんですが,あんな密な場面、コロナ時代はどう演出が変化するのか楽しみだったんですが,ぱっと見いつもと変わらない感じでした(笑).

 終演後は劇場内のレストラン「マエストロ」で久しぶりの外食,終演が17時と時間はたっぷりあったのでこの日はフルコースにしました.ワイン共々美味しかったです.こうして日頃のストレスを軽減したのでした.

_res_blogd445_constantinus21_folder_1733 Dsc_1514_original Dsc_1515_original Dsc_1516_original Dsc_1517_original Dsc_1518_original(上左)劇場内レストラン・マエストロ,(上中)前菜のトリッパとギアラ、野菜のトマト煮込みグラタン仕立て,(上右)生パスタ牛荒挽き肉とポルチーニのボロネーゼ,(下左)鮟鱇と海老、渡り蟹のブイヤベース、(下中)熟成牛のビステッカ じゃが芋のグラタン添え 赤ワインソース,(下右)苺のムースミルクレープ とちおとめのジェラート添え

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