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2020年10月 5日 (月)

小笠原旅行記② ~ナイトツアー編~

 時間が開いてしまいましたが小笠原旅行記の続きです.

 外海を航海しているとは思えないほど穏やかな夜があけ9月14日です.目が覚めて船室の窓から外を見ると見事な青空が広がっていました.嬉しくなってデッキに出ると,前日とは明らかに色の違う青い海が一面に広がっています.「これが南の海だよ~」と感慨に浸ります.船の周囲にはカツオドリが舞っていて,時々海面に姿を現すトビウオをめがけて急降下する姿が見えました(それにしても上手に捕まえるものだ 笑).

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(左写真1)カツオドリ,(右同2)魚を採っています

Img_6606 (写真3)朝食の厚切りトースト

 しばらく朝の海を眺めていましたが,おなかがすいてきたので朝食を摂ることに.昨日は昼夜とレストラン利用だったのでこの日は展望ラウンジの軽食をいただくことにします.ただ展望ラウンジはコロナ対策で座席が大幅に間引かれているために満席状態だったので,テイクアウトして部屋でいただきました(この辺は個室の特権).

 この時間帯になると進行方向左側に聟島列島が見え始めます.携帯電話の電波も徐々に立ち始め人里に近づいてきたことがわかります.10時ごろに船内放送でそろそろ下船の支度をするよう案内があったため準備をします(下船は特等,特1等から始まる).快適な船旅もお終いかと寂しい思いと同時にこれから始まる父島観光の期待でワクワクしてきます.10時30分過ぎに下船口である4デッキにおりてしばし待機,船は岬のようなところを回り込んで湾内に入り,その先に集落が見えてきました.これが父島一番の集落である大村のようです.いよいよ来たと感慨に浸る我々,そうこうしているうちに船は無時に接岸し下船が始まりました.

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(左写真4)着きました! (右同5)南国の風景

 船から降りるとこれぞ南国という灼熱の太陽が照り付けてきます.荷物を転がしながらターミナルの建物に向かうとホテルや民宿,現地旅行社の方々がそれぞれの看板を掲げて迎えに出ていました(この辺はリゾート地の空港到着ロビーの雰囲気,我々はこの日から3泊するホテル・ホライズンさんのところに行って手続きをします.曰く,大きな荷物はホテルまで届ける.チェックインは14時から,14時に一度ここに迎えに来る.それ以降は連絡をすれば随時迎えに来る.ということだった.この日の日中は特にツアーの予定は入れていなかったので,周辺を散策して過ごすことにした.

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(左写真6)ペリーの碑,(右同7)聖ジョージ教会

 フェリーターミナルを出て目の前のメイン道路を西に向かいます.右手には様々な飲食店が並び,左手には島最大(?)の店である生協がありました.そのまままっすぐ進んでいくと左手に大神山公園が開けます.まずは公園内にある小笠原ビジターセンターに入りました.ここでは小笠原の歴史や自然がパネルで展示されています.島の固有種や問題になっている外来種などの他,今回観光する南島やハートロックなどに関する案内もあり興味深く見学しました.

P9140128 (左写真8)ハートロックカフェ

 センターは12時30分に昼休みに入るということで全員退出,ちょうどいいのでランチにすることにしました.この日はターミナル近くにあるハートロックカフェへ.アメリカ料理レストランの響きがするネーミングですが(笑),ハートロックとは父島南部にある海から見るとハート型をした岩場のことです(別名千尋岩).あっさりフィッシュバーガーとサラダ,そしてビールをいただきました(笑).

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(左写真9)フィッシュバーガー,(右同10)ビールをいただきます

 昼食後は再び市街地の散策,聖ジョージ教会の外観を見学(中は鍵がかかって入れなかった)したり,お土産物屋を覗いたりした.途中小笠原村役場前を通ったら,「小笠原空港 早期開港!!」の横断幕が… 小笠原諸島には空港がなく本土との往来はおがさわら丸のみという状況のため,空港は住民の悲願なんですが,山がちな地形に加えて世界遺産に指定されたことから新規の開発も難しい状態になっています.一応戦中には島中部の洲崎地区に海軍の飛行場があったんですが,滑走路が500mと短くあまり使われなかったようです(この洲崎地区は世界遺産地域から外れているため開発可能であり,旧海軍飛行場部分を延長して海の一部を埋め立てるなりすれば作れるか?).

P9140122 (写真11)空港誘致の看板

 そうこうしているうちに14時になったためターミナルに移動,待っていたらホテルの車がやってきました.車内は感染対策で窓が開けられ,運転席にビニールシートが張られていました.この時同乗者が7人ほどいました.車が出発して大村市街地から南へ.海沿いを走る快適なドライブです.途中の境浦湾には大戦中に大破した輸送船濱江丸の残骸が見えました.大村から10分ほどでホテルに到着,扇浦海岸を目の前に臨む好立地なホテルです.手指消毒と検温を経てチェックインの手続きを.キーを受け取り部屋に入ります.部屋は床がタイル張りの南国ビーチリゾートでよくあるパターン,浴室は浴槽と洗い場が別々になっているタイプなのが嬉しいです.

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(左写真12)ホテル・ホライズン,(右同13)扇浦海岸

 一休みした後,私だけちょっと目の前の扇浦海岸を散策,ほとんど貸し切り状態で気持ちのいい風を浴びました.その後再び部屋でまったりしているうちに夕食の時間に(このホテルの夕食は基本的に18時).レストランに行くと部屋ごとに座席が指定されており,各テーブル間には飛沫予防のプラ板も設置されるなど感染対策が施されていました.

 この日の夕食はイタリアンのコース料理,前菜として島魚のカルパッチョ,ダブルコンソメスープ,パスタがボンゴレビアンコと続き,魚料理が島魚のポワレ,肉料理がリブロースステーキ,デザートにパンナコッタという流れでした.シェフ自慢のコースらしく美味しかったです.この日のお酒はスパークリングワインのハーフボトルを選択,なぜフルにしないかというと,この後ナイトツアーに参加するためです.

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(写真14~19)この日のコース料理

 19時20分頃に食事を終えいったん部屋に戻り準備をします.19時40分に今回ナイトツアーを頼んでいたオガツアーの方がやってきました.小笠原さんという島に20年くらい住んでいる方だそうです(小笠原諸島の小笠原さんという非常に楽しい感じ).ナイトツアーは夜ならではの小笠原の自然を観察するツアーです.まずはグリーンペペと呼ばれる光るキノコを見に行きます(正式名ヤコウタケ).

 このキノコは年中みられるわけではなく,平均気温が18℃以上あって雨が降った数日後に生えてくるんだそうです.キノコがよく生えているスポットに行くと,他のツアーの方々が見つけた個体があったので観察しました.まずは懐中電灯を照らして明るい状態で観察,白くて小さなキノコです(エノキダケの先端みたいなイメージ).その後懐中電灯を消すと,見事に緑色に光っているのがわかります.ちなみにグリーンペペが光る原理はよくわかっていないらしいです(夜光塗料のように光をため込むわけではなく,蛍のように自ら発するパターン).

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(左写真20)明るいところのグリーンペペ,(右同21)暗いとこうなります

 続いては小笠原の固有種,オガサワラオオコウモリを探します.内地だと洞窟などに潜んでいることの多いコウモリですが,この品種は屋外に生息しているのが特徴です.ただ夜行性なので昼に見つけるのは至難であり,ナイトツアーの定番コースとなっています.アフリカのサファリでもそうですが,どこで目撃されたかの情報はガイド同士で共有されるらしく,いるらしい所に行ったらすでに何台かの車が停まっていました.グループごとに順番に観察,街灯も何もない場所なのでコウモリには見えない赤い光を照らしての観察です.ちょうどタコノキの実を齧っている様子を観察できました.

P9140160 (写真22)真ん中にいますがわかりにくいです💦

 オオコウモリの後は南部の小港海岸に移動,道路の終点で車を降りて徒歩で向かいます.街灯など人口の明かりが全くないためガイドさんの懐中電灯が頼りです.歩き始めたら遊歩道にオカヤドカリやカニの姿がありました.数分で海岸に到着,この日は月齢20以上なので月もなく周囲は漆黒の闇,でもそのおかげで素晴らしい星空を拝むことができました.まさに星が降ってきそうな感じ.2018年にアタカマ高地に行った際に見た星空もきれいでしたが周囲に何も無い度はこちらの方が上なので余計きれいに感じました(アタカマでは近くにロッジがありそこに明かりがある).

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(左写真23)オカヤドカリ、(右同24)カニ

 しばし星空を観察した後は夜光虫を探します(虫と付いているが実はプランクトン).足で波打ち際の砂を擦るとぴかっ、ぴかっと光る夜光虫が確認できました.

 そんな感じでナイトツアーは終了,駐車場から車でホテルへ.部屋に入った後はシャワーを浴びて,ビールで乾杯,その後は明日に備えてさっさと眠りについたのでした.

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