メサイア初演
今日4月13日はG. F. ヘンデルの代表作であるオラトリオ・メサイアが初演された日です(1842年4月13日アイルランドのダブリンにて初演).
ヘンデルはバッハと同年代(ともに生年は1685年)の作曲家で,主に教会専属の作曲家として生涯をドイツで過ごしたバッハと違い,ヨーロッパじゅうを駆け巡り,後半生はイギリスに居を構えてオペラを作曲し,それを上演する劇場を経営するなど経済人としても活動しました.もっとも経営の方はうまくいかず,劇場は破産の憂き目にあってしまいます.そんな失意の時代に作曲され大評判となり,ヘンデルの名を再び有名にしたのが,このオラトリオ・メサイアです.新約旧約両聖書の言葉から,主イエス誕生の預言から受難,復活までを劇的に描いた音楽劇となっています(第2部終曲のハレルヤ・コーラスはあまりにも有名).
この作品は当時から非常に人気が高く,J. S. バッハのマタイ受難曲が,19世紀にメンデルスゾーンによって再演されるまで,人知れず埋もれていたのと対照的に当時から現代まで途切れることなく演奏され続けている曲です.もっとも有名すぎたために,ヘンデルの生前から自身による多くの編曲版があって,いったいどれがオリジナル版なのかわからない状態になっています.当時メサイアの人気は凄く,ヘンデルは各地の演奏に引っ張りだこになっていたそうです.しかし演奏場所によってオーケストラの人数や編成,歌い手の力量が全く異なる(ロンドンのような大都市なら大規模なオーケストラで,楽員の技量も問題ないでしょうが,地方ではオケの規模も小さく,また管楽器がいない,歌手が難しい曲は歌えないなど多くの制約がある)ため,オケ編成や場合によっては曲そのものが全く違うなど,様々なバージョンがあるのです.後世の作曲家による編曲版も多く,特にモーツァルトによる編曲版はよく知られています.
ちなみに私がこれまで経験したステージの中でもっともやった回数が多い作品がモーツァルトのレクイエムで,第2位がこのメサイアなのでした.
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