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2020年1月28日 (火)

歌劇「ラ・ボエーム」

Img031  オペラ好きの我が家,先日は新国立劇場で公演中のプッチーニの「ラ・ボエーム」を観劇してきました.

 「ラ・ボエーム」(1896年初演)は「トスカ」(1900年),「蝶々夫人」(1904年)と並ぶプッチーニの代表作です.当時のイタリアオペラ界はレオンカヴァッロの「道化師」やマスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」といったヴェリズモ・オペラが流行しており,プッチーニも一応その系譜に連なります.ヴェリズモ・オペラといえばヴェルディの時代のような王侯貴族がメインとなるような作品ではなく,市井の人々の日常を扱い,その営みを生々しく描写するスタイルです.この「ラ・ボエーム」は芸術家の卵ともいうべき無名の若者たちの群像劇という点ではヴェリズモ的ですが,一方で甘美なメロディーというプッチーニらしさも十二分に堪能できる作品となっています.

 粟国淳氏演出の舞台は2003年の初出以来,今回が5回目の再演となります(自分も2012年,2016年に鑑賞している).元々奇をてらった演出にはなりにくいオペラですが,起承転結がわかりやすく安心してみていられる演出です(初出から20年近く再演され続けているだけのことはあります).今回はイタリア人のパオロ・カリニャーニ氏の指揮で,キャストはミミがニーノ・マチャイゼ,ロドルフォがマッテオ・リッピ,マルチェッロ:マリオ・カッシ,ムゼッタ:辻井亜季穂,ショナール:森口賢二,コッリーネ:松位浩という布陣でした.

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 感想ですが,やっぱりいいオペラだなぁと実感しました.キャストではロドルフォのマッテオ・リッピが若くて貧しい若者っぽい感じで特によかったです.2幕のクリスマスイブのカルチェラタンの場面の合唱団は安定の実力だし,満足した夜でした.

 

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2020年1月27日 (月)

楽聖と楽仙

 唐の詩人に杜甫李白という人物がいます.どちらも8世紀の玄宗皇帝の時代,いわゆる盛唐と呼ばれる時代に活躍した詩人です.

800pxdufu  杜甫は自身の科挙受験の失敗や,王朝を揺るがした安史の乱による家族の離散や社会の混乱といった経験からか,世の中の実相を鋭く見つめた詩が多くあります.その人物像も眉間にしわを寄せた苦悩のイメージがあり,今では詩聖と呼ばれています.彼を代表する詩が春望で,江戸時代の俳人である松尾芭蕉の「奥の細道」にも引用されているのでご存知の方も多いでしょう.

 国破山河在     国破れて山河在り
 城春草木深     城春にして草木深し (以下略)

Libai_touxiang  一方の李白は杜甫とほぼ同時代(10歳くらい年上)に活躍した詩人です.西域の出身といわれ,長じて都の長安に出て一時は玄宗の宮廷で詩を作っていましたが,その自由奔放な性格が災いして都にいられなくなり晩年は各地を放浪することになります(最後は酔って,水面に映った月を取ろうとして溺れたという伝説もあります).ただそんな境遇であっても詩には悲壮感はなく,その作風から詩仙と呼ばれています.彼の代表的な詩が「黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る」です.

 故人西辞黄鶴楼   故人西の方、黄鶴楼を辞し
 煙花三月下揚州   煙花三月揚州に下る   (以下略)

800pxbeethoven  さて,杜甫の詩聖という言葉を聞いて連想するのが,音楽の世界で楽聖と呼ばれるベートーベンです.

 交響曲から小品まで数多くの名曲を世に出した一方で,私生活では飲んだくれの父親や不良の弟など家族のことで苦労し,その肖像画でも眉間にしわが寄っているところは何となく杜甫に通じるものがあって楽聖という呼び方は言い得て妙という気がします.

 というわけで,楽聖といういい方があるのなら楽仙というのはないんでしょうか.残念ながら世間ではそういうのはないようですが,あえてふさわしい人物を探すとすると… 思い当たる人物は一人しかいません.

800pxwolfgangamadeusmozart_1  W. A. モーツァルトですね (^。^)

 あふれ出る才能で数多くの名曲を書いた一方で自由奔放で善良そうな性格は,水面の月を追い求めそうなイメージです.モーツァルトというと晩年は貧乏で借金というイメージを持ってる方もいるようですが,晩年のモーツァルトも結構収入は多く,ただ収入以上に支出が多かったために借金をしていたというのが実際のようです(年収2000万円の人が3000万円使って借金漬けというイメージ (+o+)).そういえば年が十数年,聖より仙の方が上というのも共通です.今日1月27日はそんなW. A. モーツァルトの誕生日なのでした.

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2020年1月20日 (月)

大寒

Daikann  今日は二十四節気のひとつ大寒です.冬至から約1か月後に当たり,1年のうちでもっとも寒い日とされています.二十四節気自体が中国から伝わった制度のため,日本の気候実感とはやや異なる印象はありますが,たしかに寒い時期であるのは確かです.「大寒の朝に汲んだ水は腐らない」といわれ(寒すぎるので雑菌も繁殖できないからでしょう),かつてはこの日に汲んだ水を保存していたそうですし,酒蔵ではこの時期にお酒を仕込む寒仕込みが行われます(こちらも水が切れなことに加えて低温のため発酵がゆっくりで旨い酒ができるからと思われます).一方で,武道や修行者の間ではこの大寒の時期に寒稽古や寒修行が行われます.

 そんな寒い大寒ですが,うちの近所は朝から快晴の良いお天気,気温もまあまあでむしろ温かくすら感じました.こんなところにも地球温暖化の影響があるのかなと思いました.

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2020年1月14日 (火)

しばれフェスティバルその後

 1月も中旬となり,1年でもっとも寒い時期になってきました.ただ関東地方では寒いと言っても氷点下になるわけでもないので,「寒いなぁ」などと軽口を叩ける程度ではあります.一方で北国,特に北海道では一日中氷点下になるいわゆる真冬日が常態化する季節になります.そんな寒い季節を売りにしているのが陸別町のしばれフェスティバル,今年は2月1~2日に開催され,今年はその目玉イベントである人間耐寒テストに4年ぶりに参加することになっています.この企画は氷点下30℃近くにまで冷える現地の寒さを体験してもらおうというもので,実行委員会の方々が作ったバルーンマンション(かまくらのようなもの)で一晩過ごすのがポイントです.

Shibare17 Shibare18(写真)2016年参加時のバルーンマンション

 で,先日その実行委員会からメールが来ました.何だろうと思ってみてみたら…

 なんと!今年は例年にない暖冬と雪不足のため,予定数のバルーンマンションを作るのが絶望的な状況であり,参加者には巨大テントでの雑魚寝をお願いしたいというものでした(無理ならキャンセル可とのこと).

 まあ,自分的には雑魚寝でもなんでもいいのですが,地球温暖化の波がこんなところにも押し寄せているのかと感慨深く思ったのでした.

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2020年1月11日 (土)

カニを食う

 正月が明けて日常が再開されたと思ったら,この週末は成人の日がからむ三連休です.例年年末年始は仕事がたくさん入る私ですが,この3連宮は意外に自由が利く年が多いように思います.昨年はここを利用して伊勢志摩旅行に行ってきました.

 ただ今年は3日間のうち2回合唱団の練習が入っているため遠出の予定はありません.その代わりというわけでもないのですが昨夜はかに🦀を食べに鴨宮駅南にある甲羅本店さんに行ってきました.

 ここには大体年に1回訪問しています.大抵は年末にウチのKとの忘年会を兼ねていくパターンなんですが,昨年末は諸事情で行けなかったので,年明けになった次第です.今シーズンはかにの他にふぐ🐡も扱っているみたいでしたが,あえてかに一本にしました.

En7bi_u4aabn4e  まずはかに味噌と冷酒,傍から見ても「こいつら酒飲みだろう」という組み合わせです(笑).

 続いては豆腐のかに餡かけ,これは今回初めて食べたんですが,自家製豆腐と甘酸っぱい餡の組み合わせが絶妙でした.そして次が茹でたタラバガニ,実は分類学上はカニではなくヤドカリの仲間なんですが気にしてはいけません.かに酢でいただくんですが,そのままでも十分旨味が出ていておいしいです.

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Img_5943  そうこうしているうちにカニすきが登場,今度はズワイガニです.鍋物はカニしゃぶもいいんですが,個人的にはカニすきの方が好みです.この辺りで冷酒が無くなったので,かに酒に切り替えました.

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 締めは鍋のきしめんとズワイガニの握り,とろりとした食感がいいです.

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 年明け日常開始後最初の贅沢でした.

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2020年1月 8日 (水)

今年の抱負

 気が付いたら松の内も過ぎ,すっかり2020年の日常が始まりました.今年は東京オリンピックが行われるなど世間的には盛り上がる1年になりそうです.じゃあ自分はどうするのかということで,毎年恒例ビザンチン皇帝の豊富です.例によって仕事ではなく趣味上の内容です.

1.しばれフェスティバルに参加する

 すでに昨年末に記事にしましたが,2月第週末(今年は2月1~2日)に北海道の陸別町で開催されるしばれフェスティバルの人間耐寒テストに参加します.暑い寒い乾燥など極限系の話題が好きな自分の琴線をくすぐるイベントで,過去2016年に参加したことがあり今回は4年ぶり2回目となります.前回の反省を生かしつつ,充実した体験にしようと思います.

2.第23回ひの新選組まつりに参加する

 春の恒例イベントとなっているひの新選組まつり,まだ実行委員会からは開催のお知らせは出ていませんが,おそらく今年も開催されるものと思われます.2006年の初出場以来13年,震災年(2011年)以外は必ず参加しているイベントです.今年も何らかの形で参加できたらいいなと思っています(今年のパレードは5月10日と予想).

3.バッハフェスティバルに参加する

 毎年6月にバッハの聖地,ドイツのライプツィヒで開催されているのがバッハフェスティバルです.実は今年の同イベントに私も会員となっている盛岡バッハ・カンタータ・フェラインが参加することになりました.6月という学会シーズンではありますが,過去にこの時期に休暇を取った実績がある私です.その辺はどうにかクリアできると思いますので,この機会にぜひ参加できればと思っています(向こうではバッハの復活祭オラトリオを演奏する予定).

4.第60回日本寮歌祭に参加する

 毎年夏の寮歌イベントとして8月に開催されていた中央寮歌祭が昨年から日本寮歌祭の名を継承しました.今年は8月2日の日曜日に日暮里のラングウッドを会場に行われます.旧制高校を現役で経験された方々は減少の一途をたどっており,昨年私の学校はとうとうそうした大先輩が不在になってしまいました.というわけで今年は自分の同世代の人間を集めて同窓会的にできればいいなと密かに計画しています.

5.しながわ宿場まつりに参加する

 秋の扮装イベントであるしながわ宿場まつり,昨年は医師会合唱団のイベントが被っていたため参加できませんでした.しかし今年は今のところ用事がないのでぜひ参加したいと思います(役柄を何にするか考えなくては 笑).

6.日本の滝100選に挑む

 近年ライフワークの1つにしている日本の滝100選,始めたのが2012年夏で当初は結構頻回に回っていたんですが,近いところ行きやすいところはあらかた回ってしまったこともあり,最近ではなかなか新しい滝が増えなくなってしまいました.記録を見ても2018年に訪問したのは流星・銀河の滝,オシンコシンの滝,七つ滝の3か所,2019年に至っては七ツ釜五段の滝の1か所のみです.今年もなかなか厳しいとは思いますが最低1か所は行きたいと考えています.

 その他10月には東京21合唱団のマタイ受難曲特別演奏会がありますし,11月には医師会合唱団の定期演奏会もあります.今年も充実した1年になりそうです.

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2020年1月 6日 (月)

日景温泉

 新年が明け,あっという間に日常が再開される日になってしまいました.

Img_5925  今回の私の年末年始はというと,年末の30日から年明けの元旦まで仕事で拘束されていたため,2日の朝に盛岡に帰省しました.そしてその日は実家に泊まり,翌3日から家族で温泉に繰り出しました.今回行ったのは秋田県大館市の北部,青森県との県境に近い日景温泉です.県境を挟んで青森県側にある古遠部温泉と並んで泉質が素晴らしい温泉です.いつか泊まってみたいと思いつつ,なかなかその機会がなかったんですが,今回とうとう宿泊することができました(しかも2泊!).

 1月2日の昼過ぎに車で盛岡を出発,東北自動車道に乗って北上し,青森県の碇ヶ関ICで降りて国道7号線を南下します.秋田県に少し入ったところから狭い道に入って進んでいくと目指す日景温泉の旅館に到着しました.

Img_5930 Img_5934(左)貸切風呂,(右)図書室

 この旅館は明治26年に開業した老舗です.名前の日景は開業者の名前日景弁吉に由来します.過去には5・15事件で暗殺された首相,犬養毅が逗留したこともあります.施設の老朽化によって2014年に一時閉館しましたが,2017年に改装され再営業となっています.かつては湯治メインの素朴な宿でしたが,今は和洋室など高級感のある部屋や貸切風呂もある高級旅館としての側面も見せています.山奥にあるということもあって、携帯電話は圏外,テレビもないなど世俗を離れてゆったりするには最高の環境です(さすがにWiFiが飛んでいるのは現代的).宿泊客は図書室やマッサージチェアを常時無料で利用できるのも魅力でした.

 チェックイン後部屋で少し休み,16時過ぎてから大浴場に向かいます(16時までは日帰り入浴客がいて結構混むらしいので).ちょうど人がいなくなった時間なのか,ほぼ貸し切り状態でした.ここの温泉は「含硫黄-ナトリウム-塩化物泉(硫化水素型)」といい,非常に成分が多いのが特徴です(成分が少ない単純泉の対極に来そうな感じ).しかも白濁した見た目のわりに酸性が強くない(pH 6.4程度)ので肌への刺激もまろやかです(成分が濃いので刺激がないわけではない).久しぶりにのんびりとお湯に浸かりました.

Img_2231 Img_2246 Img_2234(左)イトウの刺身,(中)ハタハタ飯寿司,(右)アユの塩焼き

 こういう旅館では食事も楽しみのひとつ,2日間にわたって地元秋田の様々な食をいただきました.定番のきりたんぽや比内地鶏はもちろんのこと,イトウの刺身やハタハタ飯寿司なども出てきました.さらに朝食ではあきたこまちの白米か比内地鶏のお粥が選択できるので,初日は白米,2日目はお粥と両方にチャレンジしました(どちらも美味しいです).

Img_2253 Img_5935(左)鶏粥の朝食,(右)記念写真

 ただひたすらお風呂に入って,食べて(そして飲んで)の充実した(?)2泊3日でした.

 

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