眉村卓さん逝去
日本のSF創世記の作家のひとりである眉村卓さんが亡くなったという記事が出ていました.
SFと呼ばれるジャンルは欧米では19世紀から存在し,フランスのジュール・ヴェルヌの「海底二万里」やイギリスのH・G・ウェルズの「宇宙戦争」などの傑作が知られています.一方で日本での歴史は新しく,その始まりは1960年ごろと言われます.この日本SFの創成期を担った作家の一人が眉村卓さんでした.同時代の光瀬龍さんとともに少年少女向け(ジュブナイル)のSF作品に力を入れていた方で,1970年代にNHKで放送されていた「少年ドラマシリーズ」には眉村さんの原作によるドラマが多数放送されました(「なぞの転校生」(原作も同名),「未来からの挑戦」(原作は「ねらわれた学園」と「地獄の才能」),「幕末未来人」(原作は「名残の雪」)など).当時小学校高学年から中学生だった自分はこのシリーズに大ハマりして,SF大好き少年になりました(あまりにSFばかり読むので,中1の時の担任に「違うジャンルの作品も読め」と言われて,横溝正史などのミステリーものに手を出したというのは内緒です 笑).
(写真)本棚をちょっと漁っただけで眉村さんの作品がたくさん出てきました.
彼のジュブナイル作品は当時鶴書房や角川文庫,秋元文庫から出ていて,それこそ存在する全作品を買い漁って読んだものでした.いろんな作品がありましたが個人的に記憶に強いのが「ねじれた町」という異次元,超能力ものの作品でした.とある地方の古い城下町に転校してきた少年が,当地で行われている奇妙な風習に出会い,様々な事件に巻き込まれていくという話でした.純粋なジュブナイル作品に少し大人的なテイストな混じった印象的な作品でした.眉村さんの訃報に接し,彼の作品をまた読んでみようと思ったのでした.
| 固定リンク
コメント