三国志展に行ってきました
音楽好き,旅行好きな私ですが,それに負けず劣らず歴史好きです.日本史ももちろん好きなんですが,メインにしているのは世界史です.本業(笑)である中世ヨーロッパ史に加え,イスラム史,中国史など興味が尽きないのですが,とりわけ中国史は漢民族が文書記録を残すのが大好きな人々で資料が豊富であることから小さい頃から興味深い分野でした.中国史といえば平和な時代と激動の時代が交互にやってくる歴史ですが,子供心にワクワクするのはやっぱり激動の時代です(まあ民衆にとっては不幸な時代かもしれませんが).とりわけ後漢末から西晋に至る2世紀末から3世紀前半いわゆる三国時代は好きな時代です.
三国時代の正史である三国志は西晋時代に陳寿によって著されましたが,世間にこの時代を認知させたのはより後の時代,明代の羅貫中によって書かれた「三国志演義(三国演義)」によるところが大です.三国志演義はすでに江戸時代には我が国でも広く知られるようになっていたようで,いつしか日本では三国時代の歴史=三国志演義という構図が出来上がってしまい,そのまま現代に至っています.
今回上野の国立博物館で「三国志展」が開催されているという話は聞いていたんですが,ふと調べたら会期が9月16日までとなっていたので,慌てて出かけてきました(最後の3連休は混むに違いないと確信したため,その前日12日(金)の夜に行った).
(左写真2)東京国立博物館,(右同3)三国志展があるのは奥の平成館
当地から新幹線と上野東京ラインを乗り継いで上野駅の公園口から出ます.公園内を通って博物館の入り口に来ましたがチケット売り場にはほとんど人がいません.「おっ!これは空いているな」とほくそ笑んで中に入ろうとしたんですが,そばに「三国志展は混雑中です」の張り紙が… 入り口はこんなに空いているのに… と思いながら構内に入りました.そのまま三国志展が開催されている平成館へ,ここでチケットを見せていよいよ入館します.展示室のある2回に向かうエスカレーターはまあまあの人でした.
(左写真4)横山光輝三国志第1巻,(右同5)部屋一面で再現された孔明の矢狩り
2階に上がりいよいよ見学開始です.今回の展示は日中文化交流協定締結40周年を記念して行われるもので,三国志を虚像と実像から迫ろうという趣向です.虚像の三国志といえば日本では横山光輝の「三国志」とNHK人形劇「三国志」が双璧です.今回はマンガの一部や川本喜八郎氏制作の人形が展示されていました.また虚像の三国志のハイライトである赤壁の戦いの前哨戦における孔明の”矢狩り”のイメージが部屋いっぱいで表現されていたのが興味深かったです.
(写真6~7)川本喜八郎氏製作の人形(左から曹操,劉備,孫権)
一方で実像の方はというと,当時使用されていた印や食器の展示および今世紀に入って発見された曹操の墓”曹操高陵”の埋葬品の展示がされていました(曹操は遺言で自分の葬儀は質素にせよと命じていたとのことでしたが,実際に当時の権力者にしては質素だったらしいです).平日の夕方とはいえ,それなりの人出,ボリュームたっぷりの展示だったので3時間の滞在ながら最後の方は駆け足になってしまいました.
(左写真8)お墓を照らす多層灯,(中同9)鏡台,(右同10)揺銭樹
(左写真11)獅子像,(右同12)再現された曹操高陵
そんなわけで久しぶりに三国志の世界を堪能いたしました(この展覧会は東京では終了,来月1日から福岡で開催されるとのことです).
| 固定リンク
コメント