オペラ納め
オペラ好きな我が家,今年もおそらく10回以上の生観劇があったんですが,2018年その締めとなる公演は新国立劇場,ヴェルディのファルスタッフです.
19世紀のイタリアを代表するオペラ作曲家であるジュゼッペ・ヴェルディは処女作の「オベルト」(1839年)から最後の作品となった「ファルスタッフ」(1893年)まで26のオペラを作曲しました.その作風は初期と晩年では大きく異なり,その変化はそのまま19世紀のオペラ潮流の変化ととらえることができます.初期から中期にかけては美しくもエネルギッシュなアリアが煙面に出ていましたが,後期とりわけ最後の「オテロ」と「ファルスタッフ」は美しいアリアは影を潜めたものの,ドラマと音楽の融合というドイツではワーグナーが目指したものと同様の成果を示しました.もっともこれには賛否があって,アリアやアンサンブルが素晴らしいリゴレット,トロヴァトーレ,椿姫に代表される中期の作品こそがヴェルディの醍醐味であり,晩年2作はむしろ才能の後退であるという人もいます.実は自分も若い頃はそう思っていた口で,それら中期の作品に酔いしれる一方晩年2作には愛着を感じませんでした.
(写真) こんな顔ハメが… !(^^)!
しかし年齢を重ねた影響なのか(笑),かつてはいいと思わなかったオテロ,ファルスタッフもむしろ音楽と台本が洗練され非常に魅力的に感じるようになっています.
そんなファルスタッフ,基本的に悲劇的作品が多いヴェルディでは珍しい喜劇です(ヴェルディが喜劇を書かなかったのは唯一の喜劇だった第2作「偽のスタニスラオ」が悲惨な失敗に終わったことがトラウマになったという説があります).原作はシェークスピアの「ウィンザーの陽気な女房たち」でヴェルディによるシェークスピアのオペラ化はマクベス,オテロに続いて3作目です.
今回の舞台は新国立劇場にて2004年初出となったジョナサン・ミラー演出のものです.ファルスタッフにロベルト・デ・カンディア,アリーチェにエヴァ・メイを配してたんですが,なんといっても特筆はピストーラ役の妻屋秀和さん,なんとこの演出初出以来毎回欠かさずこの役をされています (^^)v.
終演後は劇場のレストランへ.この日はパスタメインのシンプルなディナーにしました(もちろんワイン付き 笑).こうして2018年のオペラ鑑賞はお終いとなったのでした.
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