歌劇「アイーダ」
もう数日たってしまいましたが,4月5日の夕方から新国立劇場に歌劇「アイーダ」の観劇に行ってきました.
アイーダは19世紀を代表するオペラ作曲家ジュゼッペ・ヴェルディの代表作の一つとしてあまりにも有名です.初演が行われたのは1871年カイロ歌劇場,オペラの舞台がエジプトなのは元々この歌劇場から発注されたご当地オペラだからです.生涯で26(改作等を除く)のオペラを作曲したヴェルディの24番目の作品で,当時ヨーロッパの音楽界に大きな影響を与えていたドイツのR・ワーグナーの主要作品よりも後に作曲されているにも関わらず,あまりその影響を感じさせない作品です(この後の25作オテロ,26作ファルスタッフにはその影響がみられる).
このアイーダは4幕仕立てで,起承転結のはっきりとした悲劇ですが,一方で2幕の凱旋の場など祝典的て華やかなエンターテイメント性が極めて高い作品に仕上がっているために,新しい歌劇場のこけら落としのプログラムとしてよく取り上げられます.1997年に開場した新国立劇場でも,翌年1月に開場記念作品としてフランコ・ゼッフィエッリ演出による公演が行われました.この公演が非常に評判が良かったこともあり,以来5年おきに再演され,今回は通算5回目の公演となります.
このゼッフィエッリの舞台,特に1幕&2幕はエジプトの砂漠をイメージさせる黄土色を基調とした舞台に何本もの柱やスフィンクスっぽい像やその他細かい舞台装置が配置され,非常に華やかな舞台になっています.2幕の凱旋の場ではそんな舞台上を,大合唱団やダンス隊,さらには馬までが所狭しと動き回るため,感動間違いなしの豪華絢爛な舞台となっています(古代エジプトに馬がいたのかという野暮なツッコミはなしで 笑).このプロダクション,チケットが完売しても黒字にならないほどお金がかかっているという説があるんですが,そうなんだろうなと納得できるのでした.
今回はアイーダをイム・セギョンさん,ラダメスをナジミディン・マヴリャーノフさん,アムネリスをエカテリーナ・セメンチュクさんというのがメインキャストでした.3者3様で個性的だったんですが,個人的にはアモナズロ役の上江隼人さんが単なる敵役ではない,王としてのプライドを持った敵役としての風格を感じさせる演技でよかったです(実は代役だったんですよね).新国立劇場の合唱団は相変わらずレベルが高いし,やっぱりオペラはこうじゃなくちゃと思わせてくれる舞台でした.
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