新国立のばらの騎士
気が付いたら12月に入ってしまいました.別名師走ともいわれますが,師匠も走ってしまうほど忙しい年の瀬ということになります(仕事だけではなく忘年会など宴会方面でも忙しい月です).
そんな12月に入る直前,11月30日は東京初台の新国立劇場にオペラ観劇に行ってきました(11月はこれで4公演目だ (^.^)).演目はR. シュトラウスの「ばらの騎士」,そういえば7月にも二期会の公演で観た演目です.
ポストワーグナー時代の重要な作曲家であるR. シュトラウスのオペラ作品,当初は「サロメ」や「エレクトラ」といった不協和音を多用した前衛的な作風だったんですが,1911年に初演されたこの「ばらの騎士」では音楽はむしろ保守的になり,非常に聴きやすい作品に仕上がっています(シュトラウスと台本作家のホフマンスタールは「モーツァルトを意識した」と語っている).
作品舞台は18世紀女帝マリアテレジアの時代,権力,財力がある一方で夫が留守がちで今の生活に満足していない美貌の元帥夫人とその愛人である若い貴族オクタヴィアン,夫人の従兄弟で粗野で好色だけどどこか憎めないオックス男爵,成金の新興貴族ファーニナル家の娘ゾフィーの4人がからむ恋愛劇です.タイトルのばらの騎士というのは,当時のウィーンには婚約にあたって男性から女性に銀の薔薇を送る習慣があり(ただしこれは事実ではなくホフマンスタールの創作),この薔薇の運び役の騎士をばらの騎士と呼ぶことに由来します.劇中オックス男爵とゾフィーが結婚することになり,オクタヴィアンがばらの騎士としてゾフィーの下に行くわけですが,そこで2人が恋に落ちて… という展開になります.
実は自分,若い頃はこのオペラあんまり好きじゃなかったんですが,中年になって改めて観て,「いいなぁ~」となった作品です(歳を経た方がよさがわかる代表的作品かも).今回の公演は2007年初出のジョナサン・ミラー演出の再々再演になります.前回の公演が2015年でしたからわずか2年後の登場ということで飯守芸術監督のお気に入りなのかとも思っています.出演者は元帥夫人にリカルダ・メルベート,今年の6月にジークフリートでブリュンヒルデを歌った方です.大柄で威厳のある夫人を演じていました.オクタヴィアンは当初予定は別の方だったんですが変更でステファニー・アタナソフに,実はオックス役のユルゲン・リンと同じく2015年の公演時といっしょだったので既視感がありました(笑).そしてゾフィー役が同劇場初登場のゴルダ・シュルツ,バイエルンでの同役が絶賛された新鋭ということで期待していたんですが,伸びのある声やちょっとコケティッシュな演技が若いゾフィーっぽくて良かったです(フィガロのスザンナ役なんかピタリかも).
で,終演後は劇場内のレストランへ.この前日が11月29日の「いい肉の日」だったのに肉を食べていなかったこともあって,肉が出てくるコースをいただいたのでした.
左がメインの国産牛サーロインのタリアータ,右がデザートの林檎のコンボスタです (^^)v.食に音楽に充実した月末でした.
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