冬至
今日は12月22日,冬至です.1年でもっとも夜が長い(昼が短い)日として知られています.調べてみると今日の東京の日の出は6時47分,日の入りが16時32分なので,昼の時間は9時間45分ということになります.昼夜のアンバランスさは緯度が高くなるほど激しくなりますから,東京(北緯35度69分)よりも北にある札幌(北緯43度6分)の昼の時間は9時間ちょうど,さらに高緯度にあるイギリスのロンドン(北緯51度51分)になると7時間50分しか昼がありません.そしてさらに高緯度,北緯66度以北になるとこの日は一日中太陽が昇らない,いわゆる極夜となります(一方で南半球では逆に1年で一番昼が長い夏至にあたる).
夜が長いとなんとなく陰鬱な気分になりますが,逆に考えると,この日を境にしてあす以降はどんどん日が長くなっていくわけなので,この日を太陽が復活する日として祝う習慣を持つ地域もあります.現在キリスト教世界で祝われているクリスマスも,元をたどればゲルマン人の間にあった冬至を祝う習慣から来たと考えられていますし,南米のインカ帝国にもインティ・ライミと呼ぶ同様の習慣があります(もっともインカ帝国は南半球なので冬至は6月下旬ですが).
昼が最も短い冬至は屋外での行楽が制限される時期ではありますが,反対にコンサートなどの屋内イベントが盛んになる時期でもあります.特にクラシックのコンサートはまさにこの時期ががピークシーズンで,各地で様々な演奏会が開かれています(日本でもクリスマスコンサートや第九の演奏会など目白押しですね).
そんな冬至の12月22日,実はベートーベンの有名な作品が初演された日でもあります.それは交響曲第5番「運命」と第6番「田園」,この2曲は1808年のこの日ウィーンのアン・デア・ウィーン劇場で初演されたそうです.アン・デア・ウィーン劇場といえばモーツァルト最晩年の傑作,歌劇「魔笛」が初演された劇場でもあります.当時から庶民向けの劇場だったところですが,まさに音楽が王侯貴族から市民のものへと変換していったベートーベンの時代にふさわしいエピソードだなと感じました(両交響曲の演奏会自体はあまりうまくいかなかったようですが…).
そんなことを考えた2017年の冬至でした.
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