選挙人の裏切りその後
報道によると,去る12月19日に全米各地で来年の1月に就任するアメリカ大統領選挙の本選が行われ,ドナルド・トランプ氏の当選が確実になったようだ.
以前ここにも書いたように,アメリカ大統領選挙というのは直接選挙ではなく,国民によって選ばれるのは特定の大統領&副大統領コンビに投票予定の選挙人であり,この選挙人の投票によって大統領が選出される形式をとっている.なので,先月8日に行われた選挙の結果はあくまでも,トランプ氏に投票を予定している選挙人が本番の選挙で当選するのに必要な人数を越えたということに過ぎない.この選挙人はもちろん,特定の候補者に投票することを宣言して出ているわけだが,実は彼らの投票行動を縛る法律は存在せず,仮に宣言していた人物以外に投票したとしても法で裁かれることはないらしい(あくまでも各人の良心に期待されているということのようだ.ただし法的にはフリーでも,選挙人を出した政党内での処分はあり得る模様).
そういう状況であるから,選挙人が裏切って反対陣営の候補者に投票するなんてことも理屈の上ではありうることになる.私はこれを選挙人の裏切りと呼んでいるが,もちろん過去に選挙人の裏切りによって,国民の投票行動と異なる大統領が誕生した例はない.
ただ,今回の大統領選挙に関しては,様々な発言等で話題となったトランプ氏が当選しそうだということで,俄然この選挙人の裏切りがクローズアップされていたわけである.例えば選挙後,なにか決定的な大スキャンダルや大失言が飛び出し,国民世論が選挙人の裏切りもアリだ(いや裏切ってくれなきゃ困る)なんて雰囲気になる可能性も想定されていたからだ.それを意識してるのかは不明だが,11月8日以降のトランプ氏は従来の過激発言を封印し,比較的無難な行動を取っていた(Twitterなどでは時々従来の主張をすることもあるようだが).
結果,今回の本選挙ではトランプ氏が無事に大統領に選出されたということである.ちなみに選挙人の裏切りであるが,別の報道によると今回は7人の選挙人が本来とはことなる投票行動をしたらしい.ただしその内訳は共和党2人に対して民主党5人ということで,トランプ氏を裏切った選挙人よりもクリントン氏を裏切った選挙人の方が多かったということである.
それにしても,アメリカ大統領選挙の本選(選挙人による投票)なんて,これまでの大統領選挙だったらニュースにもならなかったが,今回話題として取り上げられたのもトランプ効果なんだろうなと感じたのだった.
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