労災保険給付の概要
さる11月1日,甲府市内で開催された産業医研修会に参加してきました.研修自体は午後からなんですが,せっかく山梨まで繰り出すのだから,山梨県唯一の未訪100選滝である七ツ釜五段の滝にも行ってこようと,有休をとって一日フリーの状況を作り出しました.
七ツ釜五段の滝は山梨県山梨市北部,埼玉県との県境に近くにある西沢渓谷の最深部にある滝です.春は新緑,秋は紅葉の名所として非常に人気が高い場所で,休日ともなれば人の流れで渋滞することもあるとか! そんな場所ですから平日,しかも早朝に行くのがベストだろうと,この日は朝5時起きで出発しました.
天気は雨,ただ前夜の段階では夜間は雨が降るものの,明け方には止むとの予報だったのと,基本的に晴れ男のビザンチン皇帝が出かけるのだから雨なんて降るはずがない!と確信していたからです(笑).
小田厚から圏央道,中央道と走って現地に向かいます.7時半頃になっても雨は止む気配がありません.おかしいなと思い,天気予報を確認すると,なんと!午前中いっぱい雨に変わってるじゃないですか(泣).午後からは晴れるらしいですが,午後から晴れても研修会だしなぁということで泣く泣く断念しました(七ツ釜五段の滝は駐車場から往復4時間かかるので,午後の研修会に泥だらけで現れるわけにもいかないので).
(左写真2) 紅葉がきれい,(右同3) お昼から晴れてきました(南アルプスが見事です)
結局周辺のドライブで時間をつぶし,甲府市内へ.この日の研修のテーマは労災保険給付の概要でした.労働災害は一般に労災と略され誰でも耳にしたことはあると思いますが,この労災に見舞われた際に給付されるのが労災保険というものです.今回の内容は労災の要件や近年話題になることの多い,脳・心臓疾患や精神障害の労災認定についてでした.
講師は労働局の担当官の方ですが,いかにも官僚的なトーンの話し方で睡魔と戦うのが大変でした(笑).話もそうですが,配られた資料の文章も行政的で興味深かったです(どこに目を付けているのか 笑).例えば業務上の負傷について,次の場合は業務災害とは認められませんという項目があるんですが,例えば
労働者が就業中に私用(私的行為)を行い、または業務を逸脱する恣意的行為をしていて、それが原因となって災害を被った場合
という文言があるんですが,これって端的にいうと,仕事中サボっててなんかあっても労災にはならんぞ ということですよね.
労災といえば,通勤途中での災害も通勤災害と言って労災に含まれるわけですが,これは住居から職場まで合理的な経路で,かつ合理的な方法で移動しなければならないと定められています.合理的な経路というのは常識的に考えられる経路ということで,合理的な理由なく,著しく遠回りになるような経路はダメとのことです.なので新宿に住んでいる人が池袋の会社に通勤するのに山手線の内回りや丸ノ内線を利用するのは合理的な経路とはみなされないわけです(ただ,通常使うコースの線路が運転見合わせになったなど,合理的な理由があれば遠回りも許されるケースはある).
合理的な方法とは電車,バスなどの公共交通機関の他に自家用車,バイク,自転車,徒歩などですが,これも実情にそぐわない利用は合理的とはみなされない可能性があります.例えば自宅そばにバス停があってバスならまっすぐ会社に行けるのに,自宅からずっと離れた駅まで出て電車に乗り,そこから何十分も歩いて会社に着くなんてのも合理的ではないとみなされそうです.
また通勤の逸脱,中断にも触れられていました.通勤の逸脱とは通勤の途中で関係ない方向に経路を逸らす行為で,例えば帰宅途中野球を見に行くために球場に行くなどが該当します.一方通勤の中断は途中で通勤に関係のない行為をすることを指し,これは途中下車して駅の居酒屋に入って飲むなどの行為が該当します.これらはどちらも逸脱,中断があった時点でそれ以降は通勤災害の対象となる通勤とはなりません.なので帰宅途中で一杯ひっかけた後で事故に巻き込まれた場合は労災にならないわけです(ただし飲み会自体が会社の指示だった場合はまた異なる扱いになる).もっとも中断,逸脱とはいっても,駅でトイレによる,売店でジュースを買う程度の行為は中断・逸脱には含めないことになっています.
こうした行政的な話は面白くないケースが多いんですが,今回は普段の我が身に当てはめて考えると非常に興味深かったです.
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