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2016年11月24日 (木)

寒い朝

 実は昨日一昨日と盛岡に行ってきました.むこうで所属している合唱団の強化練習に参加するのがメインだったんですが,久しぶりに実家に顔を出すのも目的のひとつでした.盛岡は寒いんだろうなと覚悟していってきたんですが,着いた22日の夜はまあまあでした.明けて23日は朝から快晴,ちょっと風は冷たいものの,爽やかな(笑)晩秋という感じでした.

 で,昨日の夜にこっちに戻ってきて,「やっぱりこっちは温いなぁ」と思ってたんですが…

 今朝起きて外を見たら…

Img_2780 うっそー!,雪が積もってる (゜o゜)

 小田原など神奈川県西部の海沿いは同じ神奈川県内でもさらに温暖なところで,横浜や相模原あたりで雪が降ってても,こっちは雨というパターンが多いのです(だいたい相模川を境に気候が変わる).なので,天気予報で東京あたりは雪が積もるかも,なんて言ってても,こっちは大丈夫と高をくくっていたわけです.

 外に出たら寒いのなんの,昨日の盛岡の方がまだマシと感じたのでした(ちなみにしばれフェスティバルで有名な,北海道陸別町の今朝はマイナス19℃だった模様 ( ゚Д゚)).

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2016年11月20日 (日)

プッチーニヒロイン

 先日プッチーニのラ・ボエームを観劇してきたのだが,プッチーニという作曲家は自分の作品のヒロインへの思い入れが非常に深かったといわれている.彼自身,女性関係が派手な人物だったので,その辺の影響もあるのかもしれない.

 で,そんなプッチーニに代わって自分自身が彼の作品のヒロインと付き合うとしたらどうだろうかという妄想を抱いてみた(笑).

 ① トスカ  売れっ子の歌手であり,収入も多く生活力は高い.仮に自分が失業中でも暮らしには困らないと想像される.ただ彼女は非常に嫉妬深いので,自分自身の行動に制限が加えられる可能性が高い.例えば同窓会で昔の女友達に会うだけでも根掘り葉掘り詰問されそうだ.また学会出張などでも,本当にそうかと疑われ,頻繁に電話や確認のメールが来そうである.さらにはいざとなれば人を刺す度胸もあるので,仮に浮気をしてバレた場合,本当に殺されるリスクもある.よってかなり息が詰まる生活になりそうだ.

 ② ミミ(ルチア)  ボエームのヒロイン,ミミはお針子である.一人でつつましく暮らしていくには大丈夫であろうが,一緒に暮らすとなると自分自身にも収入がない場合,その生活は非常に厳しいと言わざるを得ない(実際ボエームでもそうだった).ただ素行は悪くないので,不祥事を起こされることはないと思われる.欠点としては病気がちであること,性格がやや暗いことであろうか.二人の会話も何となく暗くなりそうで,自分のようなキャラにはちょっと辛い気がする.

 ③ 蝶々さん  設定では16歳である.民法では結婚可能な年齢ではあるが,付き合うというレベルにとどめる場合,青少年保護条例等との兼ね合いもあり,警察沙汰になる恐れがある.あと2年待った方が良いだろう.性格は素直で従順なので,悪いやつに騙される危険はあるが,自身が悪いことをする可能性は極めて低い.出張で長期家を留守にする場合も,トスカと違ってあれこれ言わなさそうなのもポイント高し.ただ生活力は全くなく,むしろ家政婦が必要なレベルなので,それらを含めた経費をすべて自分自身の収入で賄う必要がある.また親戚が多いのでそちらの付き合いも大変そうだ.

 ④ マノン  非常に危険な人物である.魅力的なのは間違いないのだが,浪費家であり素行も良くない.分相応の生活ができないので,お金に不自由すると,不正を行っても金を用意しろと強要されそう.男を惑わすところはカルメンに似ているが,カルメンはこちらから寄って行かない限り実害はないのに対し,マノンは一度かかわったが最後,こちらが離れてもやって来る恐怖がある(神学校まで押しかけて来た).また「ヤバい逃げろ!」という場面でも「あっ,宝石を持っていかなきゃ」などと言ってもたもたしているうちに捕まってしまう要領の悪さも併せ持っているので,付き合えば確実に破滅に向かっていくと思われる.

 ⑤ リュー  トゥーランドットのヒロインである.蝶々さんの従順さとトスカの強靭さを併せ持つ優等生である.秘書として置く分には完璧なキャラであるが,完璧であるがゆえに,付き合う場合は完ぺきとは縁遠い自分にとって,かなり息が詰まるのではないかと想像される.たとえば靴下やパンツの柄にまであれこれ指示してきそうな感じ(笑).

 ⑥ ラウレッタ  ジャンニ・スキッキの娘である.腹黒い人物ばかりの作品中,レアな純粋キャラでもある.個性の強いプッチーニヒロインの中ではもっとも平凡であり,燃えがるような恋というパターンにはなりそうもない.ただ平凡ゆえの安心感は高く,付き合っていて一番肩が凝らない人物なのは間違いないだろう.

 結論,リッチな生活を求めるならトスカ,それなりの恋がしたいならミミ,健全な生活を望むならリュー,足長おじさん的な満足感が欲しいなら蝶々さん,平凡が一番いいならラウレッタ,この世に絶望しているならマノンであろうか.

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2016年11月19日 (土)

歌劇 ラ・ボエーム

Img132  一昨日の木曜日(11月17日),東京初台にある新国立劇場でプッチーニの歌劇「ラ・ボエーム」を観劇してきました.

 19世紀末から20世紀前半にかけてのイタリアオペラを代表する作曲家として有名なプッチーニの諸作品の中でも,トスカ,蝶々夫人と並んでひときわ人気の高い演目です.

 プッチーニが活躍した時代のオペラ界は19世紀後半に吹き荒れたワーグナー旋風が一段落して,オペラの新しい可能性を模索していた時代です.すなわちそれ以前のヴェルディやワーグナーにおいて物語の中心人物だった王侯貴族に代わって,市井の人々の日常などを中心とするよりリアリティの高い題材を取り上げていった時代です.レオンカバッロの「道化師」やマスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」といったいわゆるヴェリズモオペラがその代表で,プッチーニの作品もその延長上にあります.

 このラ・ボエーム,主要登場人物は6人で,王侯貴族はひとりもいません.すべて芸術家の卵など一般の人達です.そんな彼らが描く群像劇がこのオペラです.

 全4幕構成の作品は典型的な起承転結のスタイル,第1幕では貧しい若者たちの他愛のない共同生活から始まり,詩人ロドルフォとお針子ミミの出会いと恋の始まりが描かれます.続く第2幕はクリスマスイブ,大勢の人出で賑わうカルチェラタンの場面です.若者たちがカフェで飲み食いしているうちに,画家マルッチェッロのかつての恋人ムゼッタが登場,いろんなドタバタがコミカルに描かれる楽しい幕です.

 第3幕は打って変わって,寒い雪の早朝.若者たちに恋するというだけでは生活ができないという厳しい現実が突きつけられる幕です.すでに病に侵されているミミを,どうしてあげることもできないロドルフォは彼女との別れを決意します.そして最後の4幕は,元の共同生活に戻った芸術家たちの生活が描かれる前半,愛するロドルフォのもとに戻ってくるミミのいじらしさと悲しい死別が描かれる後半に分かれます.全編とにかくプッチーニの甘美な音楽と合わせて本当に泣けます(プッチーニの音楽って今でいう映画音楽の走りみたいな感じなんですね).

 今回の新国立の演出は2003年以来何度も再演されているもので,私も何度も見ているんですが,今回はここでは初登場となるミミ役のフローリアン,ロドルフォ役のテッラノーヴァが良かったです(あとは合唱も.新国立の合唱は個々の技量が素晴らしいのに加えて人数が多いこともあって迫力満点です).

 ちなみにラ・ボエームは自分にとっても思い入れの深い作品で,弘前時代に市民オペラでこの作品のステージに乗ったことがあります(20年以上前のことだけど,面白かったなぁ (^。^))

Img375  (写真) 20年以上前の弘前オペラの公演.このどこかに自分もいます(笑).

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2016年11月18日 (金)

アクセスカウンター

 最近出張等で忙しかったこともあり,このブログやホームページの管理ができていなかった.

 で,一昨日久しぶりにホームページを覗いてみたのだが……

 ん? アクセスカウンターが表示されていない

 私のホームページに張り付けてあるアクセスカウンターは,2001年のページ開設以来サイト管理の場として利用していたニフティの@Homepageというサービスに付属していたものである.2011年にHPのデザインを現在のものに一新した際に,カウンターはリセットしたものの,カウンターそのものは同じものを使い続けていた.

 だが,2007年頃からニフティの方では@Homepageに代わって,LaCoocanによるNiftyインターネットサービスという新しいものを開始,会員を徐々にそちらに移行させる方策を取っていた.両社とも無料・有料様々なサービスがあるのだが,決定的な違いはサイトの容量で,@Homepageが無料枠が20MB~100MBだったのに対してLaCoocanの方はGBレベルとなっている.開設当時ならともかく,ページ数が飛躍的に増えた2010年頃には100MB(追加料金を払って200MBで運用)ではかなり運用がきつくなったこともあり,2011年9月自分もサイトの乗り換えに踏み切った(この際デザインを今のものに一新した).ただこの新サービス,容量が大きくなったのはいいのだが,@Homepageにはあったアクセスカウンターのサービスが無くなってしまったという欠点があった.当時の自分としてはあまりいじりたくはなかったので,サイトは新サービスに移行するものの,@Homepageのアカウントそのものは残しておき,アクセスカウンターのみは従来のものを使い続けるという,変則的な形態で運用を行っていたのである.

 以来5年,そうした事実すら忘れていたのだが,今回2016年11月10日をもって@Homepageのサービスが完全に終了したらしく,それに伴い私のアカウントも完全削除され,アクセスカウンターが消滅したというのが真相のようである(そういえば,1か月くらい前にニフティから「@Homepageご利用の皆様はお早めに引っ越しを」みたいなメールが来ていた).

 そんなわけで,一昨日の夜慌てて新規のアクセスカウンターを設置した次第である.今回はニフティとは無関係の無料版,カウンター以外の複雑な機能は望んでいないので,一番シンプルなものにした.

 そんなわけで,自分のホームページ「ビザンチン皇帝の部屋」も開設から15年になるのだった.

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2016年11月17日 (木)

沖縄に行ってきました

 久しぶりの更新になります.

 先週後半沖縄に行ってきました.とはいっても休暇とかではなく,学会出張のためです.

 会期は11月11日(金)~12日(土)の2日間,会場は沖縄県宜野湾市にある沖縄コンベンションセンターです.沖縄で学会があること自体が珍しいので,以前から絶対に行ってみたいと思っていた学会です.ただ,東京あたりで開催される学会と異なり,遠い沖縄の学会となれば,手ぶらで行くことはなんとなく憚られる(単なる旅行と誤解される? 笑)ため,発表演題を用意しての参加です.

 で,その自分の発表が11日の午後のセッションだったこともあり,準備のため前日の夕方の便で沖縄入りとなりました.夕方羽田を発った飛行機は途中強い向かい風(偏西風)に会いながらも順調に飛行し,夜那覇空港に到着しました.飛行機を降りた第一声が…

 「あ,暑い…」

 いや,本当に暑いです.温かいではなくて,まさに暑いという表現がぴったりくる感じです.北海道ではもう雪が降っているところもあるというのに… いやぁ,やっぱり日本は広いです (^.^).

Dsc_1161 (写真1) 夕食のステーキ(200グラムのヒレです)

 空港を出て近くのレンタカー屋さんで車を調達し市内に向かいます.途中ちょこちょこと寄り道をしてホテルにチェックイン,この日は近くのステーキ屋さんで夕食にしました(本格的なステーキではなく,かなりカジュアルな感じ).

 翌日は朝5時起きでまずは沖縄本島を散策,お昼近くに学会場に入りました.沖縄コンベンションセンターは会議棟、劇場棟、展示棟から構成されている総合イベント場ですが,それだけでは足りないため,隣の体育館も会場に加えられています(自分が発表するポスターセッションもこの体育館だった).行ってみると大勢の参加者でごった返しています.多くの人はスーツでしたが,あまりの暑さのためか半袖のラフな格好の人も目立ちました(会場スタッフはリゾートっぽい服装).

Dsc_1186 Dsc_1170 (写真2,3) 学会場の様子

 所定の場所に持参したポスターを張り,討論時間までは他のポスターを眺めながら会場を巡ります.いろんなテーマのものが取り上げられていて興味深かったです.時間になり討論開始,大きな混乱もなくスムーズに進んでいきました.

 夕方からは全体懇親会があったんですが,私は参加せず別行動(笑),翌日は特別講演等を聴いたりして,午後の便で戻って来たのでした(沖縄から帰ってくると,関東は非常に寒く感じました).

 

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2016年11月 9日 (水)

アメリカ大統領選挙2016

 2016年11月8日(日本時間同9日),4年に一度のアメリカ大統領選挙が行われ,共和党のトランプ候補の当選が確実になったらしい.日本のテレビなど各種メディアでも盛んに取り上げられているようだ.

 下馬評では民主党のクリントン候補が優勢と伝えられていただけに,この結果を受けて為替や株では結構動きがあるらしい.

 選挙結果云々はこのブログの管轄外なので深くは触れないが,自分の率直な印象としては,「クリントンさんって本当に嫌われてたんだなぁ」の一言に尽きる.

 選挙期間中を通してメディアの多くはトランプ氏に批判的だった.過去のあまり上品とは言えない発言や直前に飛び出したセクハラ騒動など,普通ここまで叩かれたら立ち直れないだろう(日本で言えば兵庫県の号泣県議なみのいじられ方だ)という状況にありながら,結局ふたを開けてみたら当選しちゃったんだから.アメリカの有権者にしてみたら,そんなボロボロのトランプ氏でもクリントン氏よりもマシということなのだから,いかにクリントン氏がアメリカ国民に不人気だったかがわかるようである.

 選挙期間中いろいろと過激な発言で騒がれたトランプ氏だが,アメリカ大統領というのはロシアの大統領や中国の指導者とは違って,議会の同意が得られないと勝手なことはできないようになっているので,これから突然トンデモナイ事態になるとは思えないが,注目していきたいと思う.

 日本に対する影響だが,仮にクリントンさんが当選した方が風当たりが強くなりそうだと思っていたので(1990年代の夫クリントン大統領時代に日米関係はかなりギクシャクした),案外トランプさんの方がうまくやっていけるかもしれない(基本的には共和党政権の方が日米関係は安定するが,今回はかなり特異なキャラなので,これから選ばれるだろうホワイトハウスの大統領補佐官や閣僚人事と議会共和党の動きに注目である).

 ただ正確を期すと,今日を持ってトランプ氏が大統領に当選したというわけではない.アメリカ大統領選挙というのはかなり変わったシステムを取っており,国民が選ぶのは大統領ではなく,大統領候補に投票する選挙人だからである.今回の選挙の結果明らかになったのは,今後行われる(本番の)大統領選挙において,トランプ候補に投票する予定の選挙人の人数がクリントン候補のそれを上回ったということにすぎない.なので本当の結果は来月の大統領選挙本番になるまで確定しない.あくまでも可能性とすれば,トランプ氏に投票する予定の選挙人が裏切ってクリントン氏に投票するなんてこともあり得るからである.過去の大統領選挙において,選挙人の裏切りで当選者がひっくり返った例はないのだが,選挙人裏切り自体は例があるらしい.なにかと発言や行動が話題なトランプ氏だけに,これからの1か月間に決定的なスーパー・ウルトラ・大スキャンダルが発生すれば,選挙人が大挙して裏切るなんてこともあるかもしれない.そんな意味ではまだまだ油断ができないアメリカ大統領選挙である.

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2016年11月 7日 (月)

プラハ国立歌劇場の「ノルマ」公演

Mainvisual  昨日,11月6日は来日中のプラハ国立歌劇場によるベルリーニの歌劇「ノルマ」公演に行ってきました.実はウィーン国立歌劇場も来日中なんですが,自分的には絶対「ノルマ」だろう,ということで楽しみにしていた演目です.

 ベルリーニの歌劇「ノルマ」は19世紀前半のイタリアオペラの代名詞とでもいうべき,ベルカント・オペラの傑作です.ただ傑作とされる割には上演頻度が高くない作品でもあります.これはひとえにタイトルロールのノルマ(これは人名,別に販売ノルマなど達成目標のことではない 笑)をはじめとするキャストに高い技能が要求されるため,歌いこなせる歌手をそろえるのが難しいことに一因があります.なので自分も生観劇は初でした.

 今回の公演でのノルマ役はこの分野の大御所,エディタ・グロベローヴァとディミトラ・テオドッシュウのダブルキャスト,この日はグロベローヴァの回でした.グロベローヴァといえば,自分が学生時代にサヴァリッシュ指揮のバイエルン国立歌劇場の公演ビデオで夜の女王を歌っていたのが初見でした.以来この系統の第一人者として活躍してきた人ですが,あれから30年,だいぶ年齢も重ねたしどうなんだろうと,楽しみに出かけました.

 会場は渋谷のオーチャードホール,こうした海外歌劇場の東京公演といえば定番は上野の文化会館ですが,そっちはウィーン国立歌劇場が使っているのでこちらになった模様です.日曜日の公演ということもあってほとんど満員の入りでした.

 15時になって公演開始,演出は巨大な壁のようなブロックを動かすだけのシンプルなもの(前列に座っていた年配女性が「牢獄みたい」といっていた 笑),もっともお芝居自体が神殿を中心としたものなので,その辺の地味さは気になりませんでした.序曲が終わって,ポリオーネのアリアを経ていよいよグロベローヴァのノルマが登場,さあ序盤のクライマックス「清らかな女神」です.

 が… 音が安定していない (*ノωノ)

 たしかに非常に難度の高い曲ではありますが,歌も途切れがちでかなり苦しそう(声自体は通るんですが).結局消化不良のままこの名アリアは終わってしまいました.その後はアダルジーザとの二重唱,ポリオーネを交えた三重唱と進んでいきますが,こちらも今一つ調子が上がらず.アダルジーザ役のスヴェダとポリオーネ役のトドロヴィッチが良かっただけに残念でした(グロベローヴァの調子がイマイチだったことから結果的にアンサンブルの声のバランスは良いという妙な結果になりましたが).

 休憩後の2幕では特にアダルジーザとの二重唱の辺りはだいぶ盛り返してきましたが,全体的に彼女の全盛期を知る者としては寂しい感じでした(会場からは温かい拍手が起こってましたが).まあ年齢云々を言ってはいけないんですが,もう70近い年齢でこういう至難の曲を歌うことの難しさを実感しました(1960年頃に全盛だったヘフリガーなんかは一時衰えたなんていわれたものの,1980年代に再び盛り返した例もありますが,ベルカントオペラとドイツリートは違うしなぁ).

 そんな感慨に浸った11月6日でした.

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2016年11月 5日 (土)

14歳からのリスク学

14riku  今日は最近読んだ本のお話です.

 「14歳からのリスク学」,著者は山本弘さん.SF作家であるとともに,かつてと学会(いわゆるトンデモという言葉を世に知らしめた)の会長をされていた方です.自然科学全般に造詣の深く,科学的考察に基づく論理的なお話は非常に興味深く,自分も氏の著作には深い感銘を受けていました(本業のSF作品の方はあまり読んでないんですが… 笑).

 この本はタイトルからもわかるように,これから社会の荒波に船出していく14歳の子供(中学二年生か?)に,社会に存在するリスクというものにどう向き合うべきかを平易な文章で解説しているものです.

 私たちの周辺には様々なリスクがあります.ちょっと外出する時だって,交通事故に遭遇するリスク,変質者に襲われるリスク,他人にぶつかって損害を与えてしまうリスク,隕石が降ってきて自分に直撃するリスクなど枚挙にいとまがありません.リスクは少ないことに越したことはないのでしょうが,残念ながら不確定性の世界に生きている以上それは不可能です.ただリスクには比較的高いものと,非常に低いものがあります.外出の例でいえば,交通事故のリスクは比較的高いですが,隕石が降って来るリスクはおそらく極めて低いでしょう.ですから私たちは外出の際,交通事故には十分気を付ける必要がありますが,上から降ってくる隕石にはあまり注意する必要はありません.

 本書の主眼となっているポイントは,リスクを正しく評価し正しく怖がれというところです.世の中では実は対したリスクではないにもかかわらず,それをことさらに取り上げて大騒ぎする一方で本当に怖いリスクには無頓着というケースが多々あります.そんな例として本書ではこんにゃく入りカップゼリーや輸入中国食材のケースなどを紹介しています.

 前者は幼児がのどに詰まらせ亡くなった事件で大きな話題になり,その後法規制までされたケースです.実は統計学的なリスクでいえばこんにゃくゼリーよりも餅の方がはるかに危険な食材で,こちらは毎年のようにたくさんの人が亡くなっているんですが,なぜか規制しようという動きはありません.著者はそこには私たちの深層心理に「昔からあるもの=安全」,「新しいもの=危険」という根拠のない思い込みがあるからだと推測しています.

 後者は中国の工場で起こった食品偽装事件に端を発したメディア等での異常なまでの輸入中国食材バッシングのケースです.中国といえば大気汚染とか汚職とか,近年マイナスのイメージがありますが,そこにこうした偽装事件が起こったことで一気にバッシング,排斥運動になったものと推測されます.が,厚労省の輸入食品監視統計によると中国から輸入される食材の違反率は他の国に比べて実は少ないことがわかります(輸入量が多いために実数としては多い).中国国内で流通している食材に関してはもちろん注意が必要ですが,日本に輸入してくる場合は当然検疫があります.そこをクリアできなければ廃棄となります.輸入業者もバカではないので,そんな無駄になる恐れのある食材は最初から持ってこないからです(不良業者が一定数いるのは事実でしょうが,それは中国に限らず他の国,さらには国内業者も同じです).

 本書ではその他,アニメ・ゲームと犯罪の関係,2011年以降話題になっている放射線の話など広い分野でのリスクの評価とどう対応すべきか考察しています.14歳からとありますが,大人が読んでも十分に面白い内容になっています(というか,ぜひ読んでほしい大人がこの世に大勢いると思ったのは私だけでしょうか 笑).

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2016年11月 4日 (金)

労災保険給付の概要

 さる11月1日,甲府市内で開催された産業医研修会に参加してきました.研修自体は午後からなんですが,せっかく山梨まで繰り出すのだから,山梨県唯一の未訪100選滝である七ツ釜五段の滝にも行ってこようと,有休をとって一日フリーの状況を作り出しました.

 七ツ釜五段の滝は山梨県山梨市北部,埼玉県との県境に近くにある西沢渓谷の最深部にある滝です.春は新緑,秋は紅葉の名所として非常に人気が高い場所で,休日ともなれば人の流れで渋滞することもあるとか! そんな場所ですから平日,しかも早朝に行くのがベストだろうと,この日は朝5時起きで出発しました.

 天気は雨,ただ前夜の段階では夜間は雨が降るものの,明け方には止むとの予報だったのと,基本的に晴れ男のビザンチン皇帝が出かけるのだから雨なんて降るはずがない!と確信していたからです(笑).

Pb010001 (写真1) 雨です…

 小田厚から圏央道,中央道と走って現地に向かいます.7時半頃になっても雨は止む気配がありません.おかしいなと思い,天気予報を確認すると,なんと!午前中いっぱい雨に変わってるじゃないですか(泣).午後からは晴れるらしいですが,午後から晴れても研修会だしなぁということで泣く泣く断念しました(七ツ釜五段の滝は駐車場から往復4時間かかるので,午後の研修会に泥だらけで現れるわけにもいかないので).

Pb010004 Pb010006 (左写真2) 紅葉がきれい,(右同3) お昼から晴れてきました(南アルプスが見事です)

 結局周辺のドライブで時間をつぶし,甲府市内へ.この日の研修のテーマは労災保険給付の概要でした.労働災害は一般に労災と略され誰でも耳にしたことはあると思いますが,この労災に見舞われた際に給付されるのが労災保険というものです.今回の内容は労災の要件や近年話題になることの多い,脳・心臓疾患や精神障害の労災認定についてでした.

Pb030012 (写真4) この日の資料

 講師は労働局の担当官の方ですが,いかにも官僚的なトーンの話し方で睡魔と戦うのが大変でした(笑).話もそうですが,配られた資料の文章も行政的で興味深かったです(どこに目を付けているのか 笑).例えば業務上の負傷について,次の場合は業務災害とは認められませんという項目があるんですが,例えば

 労働者が就業中に私用(私的行為)を行い、または業務を逸脱する恣意的行為をしていて、それが原因となって災害を被った場合

 という文言があるんですが,これって端的にいうと,仕事中サボっててなんかあっても労災にはならんぞ ということですよね.

Pb030013 (写真5) 行政的な文章

 労災といえば,通勤途中での災害も通勤災害と言って労災に含まれるわけですが,これは住居から職場まで合理的な経路で,かつ合理的な方法で移動しなければならないと定められています.合理的な経路というのは常識的に考えられる経路ということで,合理的な理由なく,著しく遠回りになるような経路はダメとのことです.なので新宿に住んでいる人が池袋の会社に通勤するのに山手線の内回りや丸ノ内線を利用するのは合理的な経路とはみなされないわけです(ただ,通常使うコースの線路が運転見合わせになったなど,合理的な理由があれば遠回りも許されるケースはある).

 合理的な方法とは電車,バスなどの公共交通機関の他に自家用車,バイク,自転車,徒歩などですが,これも実情にそぐわない利用は合理的とはみなされない可能性があります.例えば自宅そばにバス停があってバスならまっすぐ会社に行けるのに,自宅からずっと離れた駅まで出て電車に乗り,そこから何十分も歩いて会社に着くなんてのも合理的ではないとみなされそうです.

 また通勤の逸脱,中断にも触れられていました.通勤の逸脱とは通勤の途中で関係ない方向に経路を逸らす行為で,例えば帰宅途中野球を見に行くために球場に行くなどが該当します.一方通勤の中断は途中で通勤に関係のない行為をすることを指し,これは途中下車して駅の居酒屋に入って飲むなどの行為が該当します.これらはどちらも逸脱,中断があった時点でそれ以降は通勤災害の対象となる通勤とはなりません.なので帰宅途中で一杯ひっかけた後で事故に巻き込まれた場合は労災にならないわけです(ただし飲み会自体が会社の指示だった場合はまた異なる扱いになる).もっとも中断,逸脱とはいっても,駅でトイレによる,売店でジュースを買う程度の行為は中断・逸脱には含めないことになっています.

 こうした行政的な話は面白くないケースが多いんですが,今回は普段の我が身に当てはめて考えると非常に興味深かったです.

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2016年11月 2日 (水)

帽子の交代

 ここ数日一気に冷え込んできた感のある当地です.ちょっと前まであんなに暑かったのに,季節の変化は早いなと思うことしきりです.

 日本の国土のうち南東北および関東以西は気候区分で温暖湿潤気候(Cfa)に属します.この気候は四季がはっきりしているのが特徴で,春夏秋冬がほぼ均等にバランスよく分布しています.一方日本でも北東北や北海道は冬が長く,その分春と秋が短い季節配分になっていて,これはアルプス以北のヨーロッパの気候に似ています(Cfb,5~6月が春,7~8月が夏,9~10月が秋で残り半年が冬という感じ).

 ここ数年の関東も春と秋が短くなったなぁと感じるんですが,もちろんそれは冬が長いヨーロッパや北海道型ではなく,温暖化によって夏が長くなり,その分春と秋が圧縮されて短くなったからです.

 で,そんな気温が下がってきた今日,夏の間位活躍していたパナマ帽を仕舞いました.

Pb010008  この帽子,たしか2009年頃に上野のアメ横で買ったものなんですが,以来7年毎年夏の日差しにさらされて,買った頃より色が濃くなっている気がします(帽子も日焼けするのか 笑).

 代わりに今日は冬の間活躍するボーラーハットを出しました(埃を被っていた!手入れが大変だ (;゚Д゚))

Pb020011  いよいよ冬がやってくるわけですが,自分的には冬は演奏会や旨いモノ(フグやカニ)の季節でもあるので嫌いではありません.

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