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2016年8月31日 (水)

腐蝕の構造

 空き時間のDVD鑑賞,最近は1977年から1978年にかけてTBS系列で放送された森村誠一シリーズを観ています.

Morimura  そのシリーズ第1作が表題の腐蝕の構造,原子力開発における画期的な理論をめぐる政財界の腐敗と陰謀,それらに翻弄される人々という,いかにも森村誠一なテーマの作品です.

 同時期に放送されていた横溝正史シリーズが1作品あたり3~5回シリーズだったのと違って,こちらはそれぞれが長めだったのも特徴です.本作品も7回シリーズでした(比較的シンプルな探偵モノだった横溝作品と違い森村作品は登場人物や背景も複雑で,その描写が大変だからか).

 以下ネタバレ注意

Fushoku  冒頭,若き科学者雨村征男と彼の高校時代の同級生で,土器屋産業の御曹司土器屋貞彦が北アルプス登山に出掛け,そこで土器屋が些細な悪戯をしたことから大きく物語が展開していきます.

 この段階では雨村を演じる篠田三郎(ウルトラマンタロウだ!)がメイン人物なのかと思っていたら第2回にあっさりと行方不明に… その後は雨村の妻久美子(演じるのは島田陽子,ライダーガールというか,犬神家の一族の珠世さんのイメージしかなかった)を中心に展開していきますが,土器屋が殺され,さらに久美子の周辺にも怪しい影が忍び寄ることで緊張が高まります.そうこうしているうちに雨村には裏の顔があることが分かり,後半は松田優作扮する大町信一が登場,彼と久美子が事件の謎に迫るという感じで進んでいきます.

 とにかく目まぐるしく展開していく作品で,劇中旅客機と自衛隊機が空中衝突という,1971年に現実世界で起こったことを念頭にしたと思われる事件も発生するんですが,たまたまその旅客機に雨村が乗ってたかもという,すごい偶然に頼った展開はちょっと強引すぎるような….

Fushoku2 (写真) 事件の真相に迫るべく北アルプスに入る久美子と大町

 そして主要人物の大半が死ぬか不幸になる一方で,バックにいた政財界の大物たちは何らダメージを負うことなくほくそ笑んで事件は一応の解決を見るというのがいかにも森村的です.この時不幸になるのは主人公側の人間だけではなく,殺人事件の大半に関わっていた松尾(財界の大物の用心棒)も,結局最後はトカゲの尻尾切りよろしく切り捨てられるのも哀れでした(国の原子力政策に関わるというスケールの大きな事件だったにもかかわらず,公式には男女関係のもつれということで幕引きが図られた).

 とにかく救いがない作品で,物語の最後,雨村の遺体が発見されたことを電話で聞いた久美子が「そちらで処理してください」ガチャン!と電話を切るのが印象的でした.

 最近は政治家や官僚もちょっと何かあると一斉に叩かれて失脚というのが普通になっているので,今の若い人が見たら当時の政財界はよっぽどワルだったんだなと感じるかもしれません(笑).

 そんなツッコミどころも多い腐蝕の構造でした.

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