長崎旅行②
ちょっと間隔があいてしまいましたが長崎旅行の2日目です.
この日の予定は午前中は,昨年「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」として世界遺産になった端島(通称軍艦島)を訪れるツアーに参加,午後からは長崎市内の観光です.ホテルで朝食を摂った後,歩いて桟橋に向かいました.
端島は長崎港の沖合にある小さな島で,明治以降良質な石炭が取れるということで開発が進んだところです.埋め立てによって陸地面積が拡張される一方,居住施設や学校,娯楽施設,寺院なども建設され,火葬場と墓地以外の都市施設はすべてあるといわれるほど活況を呈しました.最盛期には島の人口は5000人を超えていたそうですが,石炭から石油へのエネルギー転換が進んだ結果,国内の他の炭鉱同様不振に陥り,1974年に閉山に追い込まれました.その後は荒廃が進むままに任されていましたが,2000年頃からのいわゆる廃墟ブームによって一部のマニアには知られた存在だったようです.ただしこの頃は安全の問題から一般人の島への上陸は認められていませんでした.
こうした状況が変化したのは2009年で,この年に制定された長崎市の条例によって一般人の上陸が認められるようになったのです(上陸はツアーのみ,個人での上陸は不可).以後数社によるツアーが開催されており,特に世界遺産登録によって世間からの注目が増し,休日ともなるとどの会社も大賑わいになっているようです.ただこの端島,沖合にあるために海上の気象条件によって簡単に波が高くなるため上陸できないケースも多々あるのが悩みの種です.とはいえ,「ビザンチン皇帝がわざわざ来たのに上陸できないなんてありえない!」と強く念じて出かけたことは言うまでもありません(今回はやまさ海運さんのツアーに参加).
フェリーターミナルに着くと受付はまだ始まっていませんでしたがすでに何人かが並んでおり,自分もそこに並びます(後から人がぞろぞろとやってきて,気が付いたら長蛇の列,のんびりトイレなんか行ってなくてよかったと思いました 笑).しばらくして受付が始まり,自分の番が来ました.受付番号(あらかじめネットで予約しておいた)を告げて全員分の宣誓書(ツアー中は係員の指示に従いますという感じ)を提出,代金を払ってチケットを受け取りました.この日は曇り空で小雨が降るかもみたいな天気だったので,売店で簡易雨合羽を購入(軍艦島ツアーでは傘の使用禁止なので),その後船に向かいます.
船は1階船室と2階オープンデッキがあります.もちろん眺めがよさそうなオープンデッキにあがりましたが,進行方向右手前列はすでに埋まっていま した(実は航路の関係上,進行方向右手の方が島が良く見える).今更下に戻りたくないのでやむなく左手前列に座りました.9時になりいよいよ出港です.
(左写真4) 世界遺産のジャイアント・カンチレバークレーン,(右同5) スフィンクスみたいな形をした岩
船はゆっくりと南西に向かいます.まずは長崎港内の各施設を遠望,港内では三菱重工業長崎造船所の諸施設が世界遺産になってますがそのうちのひとつ,ジャイアント・カンチレバークレーンがよく見えます.三菱の長崎造船所は民間船のみならず旧海軍の軍艦や海自の護衛艦も多数建造した実績のあるところですが(特に戦艦武蔵を建造したことで有名),中を伺い見ることはできないものの,大型ドッグの雰囲気を感じることはできました.
船は長崎港口にかかる女神大橋をくぐって外海に出ます.ひどい時だとこの段階から揺れてくるという話だったんですが,この日はそんなこともなく順調な航行 でした.やがて右手にかつて炭鉱で栄えた高島(ここは今でも有人島),中ノ島を望み,いよいよ端島(軍艦島)がその雄姿を現します.小さな島に所狭しとビ ルなどの人口建築物が立ち並ぶその様は,たしかに軍艦を彷彿させます(軍艦島の名称は,大正年間に長崎造船所で建造中だった戦艦土佐に似ていたからとされ る).船は徐々に島の南東にある桟橋に近づいていきます.乗客一同上陸に備え準備を始めます.「もうここまで来たんだから上陸できるんだろう」と思って 待っていたら…
(左写真7) いよいよ上陸です,(右同8) みんな一斉にシャッターを切る
「現在波の高さが長崎市の基準を上回っているため上陸は断念いたします」
という放送が流れました.
が~ん ( ゚Д゚)
そ,そんな… ここまで来たのにと大ショックでしたが,これはまたそのうち来いという天の啓示なんだろうと自らを納得させるしかありませんでした(後で調べたら7月というのは1年でもっとも上陸率が悪いらしい).
(左写真9) 西側から見た軍艦島,(右同10) 日本最古の鉄筋アパートである30号棟が見えます
上陸不可ということで,仕方なく船は軍艦島周囲を周遊,船上から島の構造物を見学した後,長崎港に戻ったのでした(ツアー代金から上陸料等一部が返金された).
長くなったので続きます.
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