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2016年6月 2日 (木)

歌劇「ローエングリン」

Img118  今週はコンサート強化週間というわけでもないんですが,昨夜6月1日は初台の新国立劇場にワーグナーの歌劇「ローエングリン」の公演に行ってきました.ローエングリンはワーグナー最後の歌劇とも称される作品です(別にワーグナーの絶筆というわけではなく,自作のトリスタンとイゾルデ以降,彼は総合芸術としての楽劇作品に昇華していったため).

 ワーグナー作品というと,タンホイザーのエリザベートや指環のブリュンヒルデなど気高い女性の自己犠牲による救済というのが永遠のテーマなんですが,このローエングリンはちょっと違います.このオペラにおいて気高いのは男性の方で,女性は人間らしく欠点の多い存在になっているからです.

 ストーリーは,王家の権力闘争の中無実の罪に落とされそうになっているお姫様のもとに白鳥に曳かれた小舟に乗った騎士がやってきます.騎士はお姫様の疑いを晴らすために決闘に臨み勝利します(中世のヨーロッパでは決闘の勝敗は神の意思なので,それによって有罪無罪が決まることもある).騎士はめでたくお姫様と結婚することになりますが,その際自分の名前と由来を決して尋ねてはならないと戒めます.お姫様は「はい」と答えますが,周囲の悪いやつにそそのかされて婚礼の晩についにその禁断の質問をしてしまいます.騎士は悲しみますが,皆の前で自分の正体を明かします.彼はキリストの聖杯を守るモンサルヴァート城の王子だったのです.掟により素性を知られたら地上を去らねばならない彼は、再び白鳥の小舟に曳かれて去っていきました…

 という感じで,なんか鶴の恩返しをひっくり返したようなお話です.

 今回の公演,なんといってもローエングリン役のクラウス・フロリアン・フォークトが素晴らしかったです.朗々とした輝かしい声,ストレートかつ圧倒的な声量はまさに天上の騎士という雰囲気でした(この新国立のローエングリンは2012年の再演なんですが,その時もローエングリン役はフォークトでした).

 一般にワーグナー作品では幕間の休憩時間が長いのが普通です(舞台転換に時間がかかるわけではなく,歌手の休息のためと思われます).なので休憩時間を有意義に過ごすべくホワイエには軽食のスポットが立ち並んで,ちょっとした縁日状態になっています(その他劇場内のレストランでは幕間限定の食事も提供されます).

13263783_998076003623098_7810600340 (写真) 幕間に登場するフードカウンター

 ちなみにローエングリンと言えば,なんといっても有名なのが婚礼の合唱で,この曲を聴いたことがない人は絶対にいないだろうというほど有名ですね(第3幕の冒頭,お姫様と騎士の結婚式の場面に出てきます).

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