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2016年5月28日 (土)

水素飴

 最近コンビニ等でも見かける水素水,大手飲料メーカーからも製品が発売されていることもあって,巷でも話題のようです.

 水素は原子番号1番,最も小さい元素で,通常は2つの水素原子がくっついた水素分子(H2)の形で存在しています.水素分子自身に還元作用(相手から酸素を奪う,もしくは相手に水素を与える作用)があることから,体内で何かと悪ものにされている活性酸素の酸化作用を中和させうるもの(抗酸化作用)として目が付けられたようです.

 曰く,高濃度の水素水を摂取することで体内の活性酸素が減少し,癌や生活習慣病云々が… ということですが,その辺の医学的な効果についてはきちんとした臨床研究の結果がないと評価のしようがないのでここでは触れません(先の大手飲料メーカーの製品もその辺は理解しているのか,○△に効くというような表記にはしていない).

 で,世間で何かが話題になると,それに便乗したあやかり商品が登場するのもまた世の常です.今回の水素水でももちろんその手の商品が登場しています.それが

 水素飴

Img_2335

 キャンディーに水素を練りこんだんだそうです (^。^).飴に気体の水素分子をどうやって練りこむんだと思ったんですが,なんと!原材料にはこんな表記があります.

Img_2334

 なんと,水素粉末だそうです!

 あまりにサラッと書いてあるので見過ごしそうですが,考えてみたらすごい話です.

 最初に書いた通り,水素は水素分子の形で地球上に存在しており,その性状は気体です.これを液体や固体にするためには温度を下げるまたは圧力をかけるなどの物理的な操作が必要です.二酸化炭素を冷やすと固体のドライアイスになるのと同じイメージです.

 しかし水素は二酸化炭素に比べると融点(固体と液体の相転移が起こる温度)や沸点(液体と気体の相転移が起こる温度)が非常に低く,その融点は-259.14℃(14ケルビン)になります.これはもう大抵の金属が超電導状態になるほどの低温です.

 件の水素飴の原料になっている粉末水素とは額面通りに取れば固体の水素ということですから,これは恐ろしい話です.本来なら絶対零度に近くならないと固体化しない水素が常温で粉末化(固体化)されているというんですから.従来の物理学の常識をひっくり返す大発見です(まさにノーベル賞級).この会社,のんきに飴を作っている場合じゃないだろと思ったのでした((;゚Д゚)).

 粉と言えば,かつて高山病関連のネタを調べているときに,高山病対策として食べる酸素なる商品が売られているのを発見しました.高山病になった時に酸素を吸入するのは手っ取り早い対策ですが,酸素を食べるというのは驚きです.その商品もまた粉末だったのです(酸素の固体化は水素の固体化よりは高温でできるが…).

 そんなことを考えた週末でした.

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