ニコラウス・アーノンクール死去
昨日,盛岡での演奏会から帰宅する途中の新幹線内で,世界的なチェロ奏者であり指揮者でもあったニコラウス・アーノンクール氏死去のニュースを知りました.
アーノンクール氏は1980年代以降一般的になったオリジナル楽器によるバッハやヘンデルの演奏形式の老舗のような人です.彼の手兵となるウィーン・コンツェントゥス・ムジクスが結成されたのは実に1953年のことです.当時はフルトベングラーやトスカニーニといった大指揮者による大規模オーケストラの全盛期で,バッハのマタイ受難曲ですらこうしたオケで演奏されていた時代です.古楽器による演奏なんて,地味すぎてだれも見向きもしなかった時代です.そんな頃からこうした演奏スタイルを貫いていたんでからすごいです(皮肉なことに,アーノンクール氏はこうしたスタイルの演奏がメジャーになったころからは逆にモダン楽器による演奏もするようになった).
自分が学生合唱団だった1985年の定期演奏会でバッハのカンタータ4番を取り上げたんですが,当時アーノンクール指揮(オケは先述のウィーン・コンツェントゥス・ムジクス,合唱はウィーン少年合唱団&ウィーン合唱隊)のCDを聴きながら仲間内でああでもないこうでもないと議論していたのを思い出します.
アーノンクール氏は時差が嫌いなのか,1980年に初来日して以来,日本に来ることがありませんでした.しかし2005年に京都賞を受賞したことから2006年に26年ぶりの来日、その後2010年にも再々来日を行っています.自分は2006年に京都コンサートホールで開催された氏のヘンデルのメサイア公演に遠く岩手の県北から駆け付けたのが思い出です.
アーノンクール氏の冥福を心からお祈りいたします.
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