ラインの黄金
秋は芸術の季節,オペラハウスのシーズンも秋から始まります.日本でも新国立劇場の新シーズンは毎年10月に始まります.というわけでオペラ好きの私,今年の新シーズンの最初の演目,ラインの黄金を鑑賞してきました.
オペラ史上最大規模の作品である,R・ワーグナーのニーベルングの指環,全編で15時間にも及ぶ超大作ですが,もちろんぶっ通しで演奏されることはありません(歌手が死んでしまう 汗).全体が序夜「ラインの黄金」,第1夜「ワルキューレ」,第2夜「ジークフリート」,第3夜「神々の黄昏」の 4つに分けられています.ワグネリアン(熱烈なワーグナーファン,ワーグナー狂というべきか)が集結することで知られるバイロイト音楽祭では期間中に全曲 演奏されるのが普通ですが,それ以外の歌劇場ではそうもいかず,数年かけて上演なんてこともあります.新国立劇場では2001年~2004年にかけて年1 作品のペースで上演され,2009年と2010年に再演が行われています(自分は再演の時に観劇しました).
そんな指環の最初の作品が今回は新しい演出(フィンランド国立歌劇場のプロダクション)で上演されるということで,さっそく行ってきたのは言うまでもありません.
上演時間は2時間40分程度で,まあモーツァルトやヴェルディの諸作品と大差ないくらいです(指環の外の作品はみな4時間を超える大作ばかり).が… 休憩なしの一気上演なので開演前のアルコール摂取は禁忌でした(笑).ストーリーは小人族のアルベルヒがラインの乙女たちから黄金を奪いそれで世界を支配する力を持つ指環を作ります.一方で神々の城(ヴァルハラ城)建築の報酬として,巨人族の兄弟から女神フライヤを人質に取られて困り果てている主神ヴォータンは身代金を作るために,計略を用いてアルベルヒから指環を奪いますが,結局巨人族に取り上げられるんですが,今度は指環をめぐって巨人族の兄弟が争い,弟のファーフナーが兄ファーゾルトを殺してしまいます.そして最後,ヴォータンら神々がヴァルハラ城に入場する場面で幕となります.
さすがに世界レベルの歌い手を集めていることもあって間違いのない演奏になっていました.ヴォータン役のラジライネンは2009~2010年の指環でも同役だった人なので違和感はなかったです.ファーゾルト役の妻屋さんも前回と同役でした(殺された後30分くらい舞台上で転がっていなければならなかったのは大変だったかも).一方でローゲ役のグールドは素晴らしい声なんですが,この方元々ジークフリートを歌うらしく,なんというか声が英雄的で,ローゲの様な奸物には合わないのかもと感じました(この後ジークムント,ジークフリート役で登場とのことなので期待しています). オーケストラの方はというと,ハープがなんと!6台も並ぶさまは壮観の一言でした(日本中の一流ハーピストを集めてきた感じでしょうか).
休憩なしで一気に終演となるため,この日は劇場のレストランマエストロでコースディナーをいただきました.なんだか最近自分ばっかり美味しいものを食べているような気がするので,たまにはKにもサービスしようという目論見です.
前菜はフォアグラと無花果のロッシーニ風,前菜でいきなりフォアグラか!と思ったんですが,思ったより油感が少なく大丈夫でした(前菜で脂がきついと,この後が苦しくなるので).
パスタはタリアッテレ,松茸と秋刀魚のペペロンチーノです.どちらも旬の食材を使ってますが,秋刀魚の風味が強くてもう片方の松茸の風味が霞んでしまってるのが残念でした.
続く魚のメインはスカンピのローストです.比較的あっさりとした中にも濃厚な味わいのあるエビでした.
そして肉のメインが牛フィレ肉のポワレ,アラカルトを見ると羊肉のメニューなどもありましたが,ここのメインコースではいつも肉は牛フィレになるパターンが多い気がします(オペラ観劇後のコース利用は比較的年齢が高いから,柔らかくて脂身の少ないフィレが選ばれるのか?).
そして締めのデザートはさつま芋のロールケーキ,甘さ控えめで甘いのが得意でない自分にもサクッと食べられました.ここのコース料理は対象の客層の平均年齢が高いせいか量も多くなく,楽勝で完食できました(今の自分にはこのくらいがちょうどいい).
公演後にここのレストランを利用すると,出演者のサイン入りメニューがもらえます.
というわけで,明日に向かっていろんな意味で英気を養った晩でした.
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