立山・黒部旅行2
一夜明け,7月20日の朝になりました.いよいよ立山・黒部観光の開始です.こういった自然を相手にする観光の場合,最大のポイントが天気です.せっかくの景観も天気が悪いと素晴らしさも半減してしまうからです.今回の旅行は梅雨明け前,しかも直前に台風はやってくるわでどうなるのか心配されたんですが,
かつて降水確率を100%から30%に下げた実績のある晴れ男のビザンチン皇帝が行く旅行に雨なんか降るはずがない!!
と強く念じていたら,予定通り快晴の良いお天気でした(笑).
早めに朝食をいただいて,駅前のレンタカー屋さんで車を調達します.この日まず向かうは宇奈月温泉,とはいっても温泉に入るのが目的ではありません.ここを起点に黒部川の上流,黒部峡谷を走るトロッコ列車に乗るためです.天気の良い日曜日ということで混雑が心配されたんですが,予想以上にスムーズに到着,予約していた電車までまだ時間があったため駅周辺を散策することに.宇奈月温泉は黒部川の中流域の峡谷沿いに開けた温泉街です.富山地方鉄道の宇奈月温泉駅と黒部峡谷鉄道の宇奈月駅が隣接しており,観光客でにぎわう場所です.温泉駅の前には温泉水が噴き出している噴水がありました(かなり熱いです).
しばらく散策しているうちに時間がやって来たため改札をくぐってホームへ.黒部峡谷を上流に向かうトロッコ列車は,元々戦前の日本電力が黒部川の電源開発のために,その資材や作業員を送り込むために建設されたものです.ただ,当時から登山者や観光客を乗せてほしいという要望が強かったようで,当時は便乗という形で同乗が許されていたそうです(旅客営業ではないので,当時の乗車表には「命の保証はしない」と書かれていたそうです ( ゚Д゚)).
(左写真4) ここにもゆるキャラが…,(右同5) 記念撮影スポット
山間の狭いところを走るために軌間(線路の幅)は762mmと日本の一般的な鉄道(狭軌 1067mm)の7割,新幹線(標準軌 1435mm)の半分程度しかありません.一方で急勾配の中たくさんの資材を運搬する必要があることから,初期から電化がなされています.現在では旅客輸送がメインになってはいますが,それでも業務関係の駅や線路もたくさんあり関西電力の発電業務用としても現役で使われています.
(左写真6) オープン式の客車,(右同7) 762mmと狭い軌間
このトロッコ列車,元々が資材運搬用だったこともあって,客車の屋根はついているものの周囲はオープンになっているのが特徴です(普通車.これ以外にも一般的な客車もある).晴れた日には気持ちよさそうですが,雨が降る日には雨合羽は必須だろうなと思ったのでした.
定刻になり列車は出発,駅員さんたちが手を振って見送ってくれました.列車は橋を渡り,黒部川の右岸を上流に向かっていきます(進行方向右手が峡谷,左手が山という感じ.なので景色がいいのは進行方向右手である).しばらくするとエメラルドグリーンの水を湛えたダムが出現,これが宇奈月ダムでその近く柳橋駅(旅客扱いなし)そばに立っている塔が中世ヨーロッパ風で面白かったです.
(左写真10) サル専用の橋が!,(右同11) トンネルの中で行き違いをします
その後は峡谷沿いの崖の間をひたすら登っていきます.川にはところどころ橋も架かっているんですが,面白いのがサル専用の橋! これはダムのために川幅が広くなってしまいこの辺に生息しているサルが対岸に渡れなくなるのに配慮した橋なんだそうです(欄干などの手すりがなく,人間が渡るのは極めて危険とのこと).途中トンネルや洞門もたくさんありました.
列車は約80分ほどで終点の欅平駅に到着です(途中たくさんの駅に停車しますが,旅客の乗り降りができるのは黒薙・鐘釣の両駅のみ).ホームは1本ですが,降車地点と乗車地点を分けていてスムーズな運行に努力しているようでした(機関車の付け替え等に時間がかかるため,そのままの折り返し運転はできない).駅舎はこんな山奥にあるとは思えないほど立派で,水洗トイレのほかレストランも併設されています.
さっそく周辺の散策開始です.まずは駅から東,黒部川の支流,祖母谷川方向に歩いていきます.すぐに長い橋に到着,ここが奥鐘橋,周囲の緑と欄干の赤の対比がいい感じです.そこから少し行くと崖が大きくせり出して道を覆うようになっているポイントに.ここが人喰い岩です(人が立つと岩に喰われているように見える).
人喰い岩からしばらく歩いていくと,トンネルがあり,そこを抜けて少し登ると一軒の建物が見えてきました.ここが名剣温泉です.午後2時までなら外来入浴も可能らしいですが.名剣温泉からさらに奥地に入ると秘湯中の秘湯,祖母谷温泉に至りますが,時間がないのでここで引き返すことにしました.
先ほど渡った奥鐘橋のたもとから今度は黒部川本流に降り,川沿いに整備された遊歩道を下流に向かって歩きます.目指すのは猿飛峡,黒部川本流が最も狭くなっている地点です.猿が飛び跳ねて対岸に渡るさまから名づけられたのだそうです.途中の遊歩道は断崖からしみ出てくる湧き水も多く,それを防ぐ洞門(のようなもの)が多数設置され,その中を歩いて進むのはちょっとした探検気分でした.
(左写真18) フクロウの看板,(右同19) そういえば見えなくもない
途中には自然のフクロウというスポットがありました.これは本物のフクロウがいるわけではなく,木の幹の模様がフクロウに似ているというものです.ただ,見つけるのは結構大変でした(対岸の木々の間にあった).
奥鐘橋から歩いて20分ほどで猿飛峡に到着,黒部峡谷の美しさが凝集されたようなスポットです.しばらくこの景色を堪能してきた道を引き返したのでした.
長くなったのでパート3に続きます.
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