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2015年7月17日 (金)

宮本亜門の魔笛

Img055  台風11号が接近していた昨日の7月16日,上野の東京文化会館で初日を迎えた東京二期会のオペラ公演に行ってきました.演目はW. A. モーツァルトの魔笛,定番すぎるくらい定番の作品です.我が家でも大好きな演目なので,これまで内外併せていったい何回の公演を見たか数えるのも困難なほどです.

 で,そんな魔笛ですが,今回注目していたのは,これが2013年にオーストリアのリンツ州立劇場で発表され好評を博したという,宮本亜門さん演出による魔笛の日本初舞台だったからです.

 魔笛は元々異国情緒のあふれた作品で,世界のどこが舞台なのかもはっきりしていません(少なくとも西欧キリスト教世界ではなさそう).それゆえ,演出家の考えによって,どうにでも料理ができそうな素材です(まあ,どうにでもできるとからといって,すべてがうまくいくわけではないという難しさでもありますが).

 今回の舞台は21世紀らしく,バーチャルリアリティーをふんだんに取り入れた造りになっていました.場面の展開もゲームのように進んでいき,聴衆も今見ている舞台装置が実体を持った大道具なのかバーチャルなのか分からなくなることが多々あって面白かったです.衣装も一般に取り上げられる森の中チックな衣装ではなく,バーチャルリアリティーの背景にマッチさせたやや都会的(?)なものでした.一方で,このオペラはアリアや重唱,合唱以外は音程のないセリフが入りますが,今回は一般に省略されることの多いセリフも出てきました.セリフの省略はドラマが間延びすることなどが理由になるんですが,今回はバーチャルの演出が次々と展開することもあって,観客に飽きさせることがないということでできたのかもしれません(夜の女王の結構重要なセリフがあったりします).全体的になかなか見ごたえのある舞台でした.今回の公演は昨夜が初日で,さらに18日から20日までの3連休,東京文化会館で,さらには7月29日には鳥取県倉吉市で上演されます.

Nikikai02 (写真) 実相寺昭雄氏演出の魔笛

 こうした変わり種演出としては2000年に発表された,故・実相寺昭雄さん演出の魔笛を思い出します.ウルトラマンの監督として知られる実相寺氏の演出では,ヒーロー風のタミーノ,動物代わりに登場するウルトラ怪獣など,昭和特撮テイストな楽しい魔笛でした(自分は2010年の再々演時に観劇).

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