夏至の日
今日は夏至,北半球では1年でもっとも昼の長い(すなわち太陽が出ている時間の長い)日である.ただ日の長さは緯度によってだいぶ違うため,赤道に近い熱帯地方ではちょっと長い程度であるが,ヨーロッパなどの高緯度地方では極端に長くなり,さらに北緯66度33分以北の北極圏では一日中太陽が沈まない白夜(英語だと Midnight Sun)となる.
日本は陸地面積こそ大きくはないが,東西南北に島が散らばった意外に広い国であり,地域によって夏至の日の様相は大きく異なる.北海道の根室はこの日15時間半ほど昼があるが,沖縄の那覇では13時間50分と根室よりも2時間近く短い.一方で日の出&日没の時刻は緯度に加えて経度(基準となる地域の標準時)の影響を受けるため,日本標準時のある明石市よりも西の地域は日の出・日没とも遅くなり,東では逆になる.このため先述の根室では日の出が午前3時半とムチャクチャ早いのに日没は午後7時とたいしたことはなく,那覇では逆に日の出が5時半で日没は7時半と根室よりも遅くなっている.
ところでイスラム世界にはラマダンという習慣がある.これは原始イスラム教時代の苦難をみんなで偲ぼうというイベントで,ラマダンになるとイスラム教徒は日が出ている間は断食しなければならない(飲食は日没から日の出,すなわち夜のうちに済ませなくてはならない).このラマダンは日程が固定されているわけではなく,年によって時期がかなりずれる.で,実は今年のラマダンは6月18日に始まったらしく,今イスラム世界はラマダンの真っ最中ということになる.
で,先述のようにラマダンの時期,イスラム教徒は夜の間にしか飲食ができない.ということは,一日中日が沈まない白夜の地域に住んでいるイスラム教徒は24時間飲食ができないことになってしまう.北極圏というと寒くてトナカイやシロクマ,セイウチしか住んでいないイメージを持つ人もいるかもしれないが,意外に人が住んでいるのである.北緯70度に位置し北のパリの異名を持つノルウェーのトロムソの人口は7万人だし,それよりちょっと南,北緯68度のロシアのムルマンスクには20万人以上も住んでいる(盛岡と大差ない!!).このあたりにもイスラム教徒はいるはずで,どうしてるんだろう… と余計な心配をしてしまうのだった(いっそ南極に旅行に行けば,この時期一日中夜なので,逆に断食しなくて済むのではなどと下世話なことを考えてしまった).
そんな他愛もないことを考えた2015年の夏至であった.
(写真) 左はヨーロッパ最北端ノールカップの白夜(1999年6月,右は北緯78度スバールバル諸島ロングイヤービーエンの白夜(2003年7月1日).
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コメント
先日、ネットで話題になっていたような気がします<極地のイスラム教徒はラマダンをどうするかと!!
聖地の時刻に合わせるとか?!?
気になるところですね・・・
投稿: みゆみゆ | 2015年6月22日 (月) 18:00
みゆみゆさん
こんにちは,コメントありがとうございます.
ネットで話題になってましたか! やっぱりみんな同じことを考えるんですね (^.^).
本当にどうするんでしょう.イスラム教の長老に確認するのが一番でしょうが,身近にはいないので少し調べてみたいと思います.
投稿: ビザ皇帝 | 2015年6月25日 (木) 09:07