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2015年6月30日 (火)

噴火警戒レベル

 今日,気象庁が箱根山周辺の噴火警戒レベルを従来のレベル2からレベル3に引き上げると発表しました.これは29日から30日にかけて箱根の大涌谷で小規模な噴火が起こったとみられることに伴う処置のようです.

 で,この噴火警戒レベルというシロモノ,自分は今までよく知らなかったんですが,せっかくの機会なので勉強してみることにしました.

 噴火警戒レベルとは,火山活動の状況に応じて「警戒が必要な範囲」と防災機関や住民等の「とるべき防災対応」を5段階に区分して発表される指標このとです.これは日本にあるすべての山が対象になるわけではなく,「火山防災のための監視・観測体制の充実等の必要がある火山」として火山噴火予知連絡会によって選定された全国47の火山が対象となります.

 噴火警戒レベルの5段階とは

レベル1(予報) 火山は現在静穏であるが,そこが火山であることに留意すること.

レベル2(警報 火口周辺規制) 火口周辺に影響を及ぼす噴火が起こる可能性があり,火口付近への立ち入りを制限する(ただし周囲の住民の生活には変化はない).

レベル3(警報 入山規制) 居住地近くまで重大な影響を及ぼす噴火が発生あるいは発生すると予想されるため,火口から居住地付近を含む一定範囲への入山を制限する(住民の生活は通常通りだが,避難準備等に切り替わる可能性もある).

レベル4(特別警報 避難準備) 居住地に重大な被害を及ぼす噴火が発生する可能性が高まっている状態で(警戒が必要な地域では避難準備や災害時要援護者(病人や足腰が悪い人など)の避難が必要).

レベル5(特別警報 避難) 居住地に重大な被害を及ぼす噴火が発生,あるいは切迫した状態(危険な居住地域からの避難が必要≫。

となっています.外務省から出ている海外安全情報における,危険段階(「十分注意してください」,「渡航の是非を検討してください」,「渡航の延期をお勧めします」,「退避を勧告します」)のようなイメージでしょうか.

 ちなみに全国47の火山の中で,最高のレベル5になっているのがいま現に噴火し住民が避難している鹿児島県の口永良部島,レベル4の火山はなくて,レベル3が鹿児島県の桜島と今回の箱根山(正確には箱根山という名の山はないので大涌谷)ということになります.鹿児島市内に行ったことがある人ならわかるでしょうが,市内から錦江湾を挟んで桜島が見え,しかも時々噴煙を上げており,風向きによっては火山灰が降ってきます(このため地元のローカルニュースでは火山灰予報みたいなものもある).箱根山の大涌谷も現在そんな状態にあるというわけです.鹿児島と違うのは,麓の小田原からだと木々や他の山々に隠されて噴火の様子が見えないということで,逆にそれが人々を不安に陥らせるのかもしれません(桜島の場合,目の前にドドーンとそびえているせいか,噴煙を上げていても特に恐怖は感じない).

 観光関連だと,毎年この時期恒例となっている箱根登山電車の夜のあじさい号という観光電車が今回のレベル引上げによって,今年の夏の営業を中止してしまいました.実は自分の職場のレクレーションで,この電車に乗るというのがあったんですが,このためにそちらも中止となりました.

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2015年6月25日 (木)

梅雨の晴れ間?

 夏至の6月22日までは連日雨模様だった当地ですが,日が短くなりはじめる(笑)6月23日からは3日間連続で良いお天気になっています.ただ予報を見ると週末からまた雨模様が復活するということなので,これは梅雨の一休み,梅雨の晴れ間ということのようです.

 この梅雨の晴れ間の出来事としては,先日6月14日に受験していた日本旅行医学会の認定試験に合格したという通知が届きました.手ごたえはあったので,感激!というわけではありませんが,何はともかくよかったです(!(^^)!).旅行医学の分野はいま話題のMERSなどの感染症をはじめ,自分にとっても身近な話題が多いのでこれからも勉強していきたいと考えています.

 ところで,梅雨の晴れ間というと,合唱をやる人間にとっては多田武彦の有名な男声合唱組曲「柳河風俗詩」の中の同名の曲が思い出されます.昨日今日の晴れでも当然思い出したのでした.

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2015年6月22日 (月)

夏至の日

 今日は夏至,北半球では1年でもっとも昼の長い(すなわち太陽が出ている時間の長い)日である.ただ日の長さは緯度によってだいぶ違うため,赤道に近い熱帯地方ではちょっと長い程度であるが,ヨーロッパなどの高緯度地方では極端に長くなり,さらに北緯66度33分以北の北極圏では一日中太陽が沈まない白夜(英語だと Midnight Sun)となる.

 日本は陸地面積こそ大きくはないが,東西南北に島が散らばった意外に広い国であり,地域によって夏至の日の様相は大きく異なる.北海道の根室はこの日15時間半ほど昼があるが,沖縄の那覇では13時間50分と根室よりも2時間近く短い.一方で日の出&日没の時刻は緯度に加えて経度(基準となる地域の標準時)の影響を受けるため,日本標準時のある明石市よりも西の地域は日の出・日没とも遅くなり,東では逆になる.このため先述の根室では日の出が午前3時半とムチャクチャ早いのに日没は午後7時とたいしたことはなく,那覇では逆に日の出が5時半で日没は7時半と根室よりも遅くなっている.

 ところでイスラム世界にはラマダンという習慣がある.これは原始イスラム教時代の苦難をみんなで偲ぼうというイベントで,ラマダンになるとイスラム教徒は日が出ている間は断食しなければならない(飲食は日没から日の出,すなわち夜のうちに済ませなくてはならない).このラマダンは日程が固定されているわけではなく,年によって時期がかなりずれる.で,実は今年のラマダンは6月18日に始まったらしく,今イスラム世界はラマダンの真っ最中ということになる.

 で,先述のようにラマダンの時期,イスラム教徒は夜の間にしか飲食ができない.ということは,一日中日が沈まない白夜の地域に住んでいるイスラム教徒は24時間飲食ができないことになってしまう.北極圏というと寒くてトナカイやシロクマ,セイウチしか住んでいないイメージを持つ人もいるかもしれないが,意外に人が住んでいるのである.北緯70度に位置し北のパリの異名を持つノルウェーのトロムソの人口は7万人だし,それよりちょっと南,北緯68度のロシアのムルマンスクには20万人以上も住んでいる(盛岡と大差ない!!).このあたりにもイスラム教徒はいるはずで,どうしてるんだろう… と余計な心配をしてしまうのだった(いっそ南極に旅行に行けば,この時期一日中夜なので,逆に断食しなくて済むのではなどと下世話なことを考えてしまった).

 そんな他愛もないことを考えた2015年の夏至であった.

06 10ji (写真) 左はヨーロッパ最北端ノールカップの白夜(1999年6月,右は北緯78度スバールバル諸島ロングイヤービーエンの白夜(2003年7月1日).

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2015年6月21日 (日)

いろんなイベントの日

Fb92  久しぶりの更新になりました(笑).

 前回の記事が梅雨入りのネタだったんですが,今年は本当に梅雨っぽくて曇り&しとしと雨の日が続いています.

 さて,例年イベントの多い6月ですが,今年もいろいろあります.まず先週の日曜日6月14日には日本旅行医学会の認定試験を受けてきました.旅行医学とは国内海外を問わず,旅行に関連した医学のことで,いわゆる臓器別ではない横断的な学会です(高山病や潜水病などの環境因子による疾患や最近話題の感染症などを扱う).

 旅行好きな私にとって,まさに自分のためにあるような学会じゃないかと感じています(笑).若いころは本来の専門領域の勉強が優先されていたため,なかなか取り組めなかったんですが,近年ようやくこういうのに取り組める余裕が出てきたのかなと感じます.

 ほかには所属している東京21合唱団の演奏会が6月26日(金)にあるので,そちらの練習も追い込みに入っています.実は今日も追加の練習が入っていたんですが,当直とバッティングしてしまい断念となりました(泣).

 断念といえば,今日6月21日は総司忌です.新選組友の会さんの主催で毎年開催されているイベント,一般人が六本木の専称寺にある沖田総司の墓前にお参りができる唯一の日です.私も機会があれば極力参加しているイベントなんですが,同じく当直とバッティングしたため不参加になりました(思うんですが,年々行列が長くなってきているように感じるのは気のせいか?).

Img_1908  そんな当直の今日,ちょっと時間があったため,かねてから管理者に受けるように指示されていたCitiJAPAN 教育研修プログラムのeラーニングを受講しています.これはウェブ上で講習を受けた後にテストに臨み,合格すると次のステップに進める(不合格の場合講習に戻される)という公〇式のようなシステムの講習です.一気にやる必要はないのですが,なかなか大変です(汗).

 そのほか来週の週末には盛岡で参加している合唱団(盛岡バッハカンタータフェライン)の年1回の合宿が開催されるため,久しぶりに盛岡入りする予定です.

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2015年6月 9日 (火)

梅雨入り

 昨日6月8日に気象庁が,「東海地方と関東・甲信地方が梅雨入りしたとみられる」と発表しました.これで元々梅雨のない北海道を除くと,北陸・新潟・東北以外はみな梅雨入りしたことになります.

 気象庁の発表,以前は梅雨入り宣言だったんですが,予想技術が進歩したとはいえ,気象の世界は不確定要素が大きいのも事実です.高らかに宣言した翌日から晴れの日が続いて,世間から冷ややかな視線が注がれるなんてこともあったためか,近年は「~したとみられる」なんていう歯にモノがはさまったような表現になっています.

 日本の大部分はケッペンの気候区分によるCfa(温暖湿潤気候)になります.すなわち夏に暑くて雨が多く,冬は比較的乾燥する.四季の区別がはっきりしているという気候です.夏に雨が多いということが稲作に適し,かつ水が豊富という国土を形成しているわけです.気分的にはちょっとうっとおしい時期ではありますが,やがてやってくる盛夏を楽しみに過ごしていきたいものです.

 ちなみにこのブログの過去に当たってみたら,昨年の梅雨入りは6月5日でした.今年は3日遅れということになります.

Dsc_0245  梅雨といえば,職場のアジサイもぼちぼち咲き始めました.

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2015年6月 4日 (木)

ペルー旅行記が完成しました

0peru  2012年9月のペルー旅行記の記録が完成しました.

 ペルー旅行記

 自分にとって2度目の南米旅行でした.

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2015年6月 1日 (月)

歌劇 「ばらの騎士」

Img044  現在新国立劇場で公演中の歌劇「ばらの騎士」を観劇してきました.これは19世紀末から20世紀前半にかけて活躍した作曲家,リヒャルト・シュトラウスの代表作です.

 私の大学合唱団時代の仲間は彼をさして,

「シュトラウスといってもヨハン・シュトラウスのような華麗さはなく,リヒャルトといってもリヒャルト・ワーグナーには到底及ばない二流の天才」

と評していました.そこまで言わなくても… と彼に同情したくなりますが,まあそういう面もあるな,と妙に納得した思い出があります(笑).

 19世紀末に交響詩の分野で名を知られるようになったR・シュトラウスは,20世紀に入る頃からオペラの分野に乗り出します.その出世作がオスカー・ワイルドの戯曲のドイツ語訳に作曲した「サロメ」でした.かなり前衛的で濃密な音楽,七つのベールの踊りなど官能的&退廃的な作風で当時賛否両論渦巻いた作品です(1幕もので全編で2時間に満たないんですが,そうとは思えないほど鑑賞すると疲労度が高いです 笑).日本では1990年代にどこだったか海外の歌劇場の引っ越し公演で,サロメ役の歌手が全裸になる場面があったことで,芸術か猥褻かという論争が起こったこともあります(この時,当時TBS系で放送されていたニュース23の中でキャスターの故・筑紫哲也さんが「一瞬のヌードを見るためだけに何万円ものチケットを買っていく人がいるだろうか」とその論争に批判的なコメントをしていたのを覚えています).

 そんなシュトラウスが1911年に発表したのが今回のテーマ,ばらの騎士です.サロメとは打って変わって親しみやすい作風の曲です.シュトラウス自身はモーツァルトを意識して作ったというように,18世紀のウィーンを舞台にした喜劇的な筋立てです.ただ喜劇といっても,ロッシーニの様な純粋な喜劇ではなく,モーツァルトのフィガロの結婚を目標にしたとされるように,喜劇の中に人間的なもの悲しさを含んだ内容になっています(諸行無常といった日本人好みのテーマかもしれません).

 富と名誉があるものの,留守の多い夫のために,少し寂しげな元帥夫人,そんな彼女の若い愛人であるオクタヴィアン,夫人のいとこで粗野で女好きだがどこか憎めないオックス男爵,そして金持ちの平民で貴族に憧れる父によってオックス男爵と婚約させられた娘ゾフィー,この4人を中心として,フランス革命前,オーストリアの貴族たちにとってまさに古き良き時代のウィーンで彼らによる恋愛模様が展開されていきます.こういう懐古主義的な作品が,まもなく第一次世界大戦の激動に入ろうとしていたヨーロッパで大人気となったのは,そうした良き時代がまもなく終わろうとしているという空気を,リアルに人々が感じ取っていたからかもしれません.

 今回の公演は,2007年,2011年に続く再演です.自分は2011年の公演に行くつもりでチケットも取っていたんですが,直前に震災が発生,結果この年の公演は回数が縮小され,自分が行くはずだった回が無くなってしまい,今回が自分にとっては初の生ばらの騎士となりました(その他海外団体の公演にも行く機会がなかった).

 この作品は舞台背景がはっきりしていることに加えて,1960年のカラヤン指揮のザルツブルク音楽祭の名演が映像として残っていることもあって,世間でもあまり無茶な演出は行われない傾向にあります(少なくとも20世紀後半以降の指環的な感じはない).この新国立のステージもウィーン貴族の優雅な雰囲気を色濃く見せる,安心な舞台でした(笑).

 キャストではオックス男爵役のユルゲン・リンが声量があって粗野だけどコミックな役どころを上手に演じていました.元帥夫人のアンネ・シュヴァーネヴィルムスは近年ヨーロッパでもこの役を演じることが多いらしく,若い恋人たちの旅立ちを見送る威厳さと,女としての自分の時代が去っていく悲しさをうまく分けていました.第一幕の有名な独白の場面は,ヴェルディやプッチーニにはない,ゾクッとする魅力を感じます.また彼女は非常に背が高い方で,相方のオクタヴィアンがやや小柄だったこともあって,女王のような威厳を持つ夫人と若いつばめの関係がうまく出ていたと思います(オペラって舞台である以上歌も大事ですが,こういう視覚的なイメージって重要だと感じます.そういえば件のザルツブルクの元帥夫人だったシュヴァルツコップの背が高い).

 さらにこの作品では第1幕に登場する”テノール歌手”(という役)がいい味を出しています.シュトラウスのオペラはワーグナー以降のドイツオペラの形式にのっとり,いわゆるアリアというものが存在しません.歌手は途切れることのない管弦楽(無限旋律)に乗せて,台詞を音程付きで語ります(ドイツ語でSprechgesang 日本語だと語り歌いとでもいうのか).しかし第1幕の元帥夫人の謁見の場面で,人々がやり取りをしているさなかに,テノール歌手が”いかにも”なイタリア・ベルカント風のアリアを朗々と歌う場面があるのです.周辺の音楽とのギャップが素晴らしいんですが,実はこの場面,オックス男爵が公証人とのやり取りでイライラしているところに,そのアリアがかぶさり,最後男爵が「うるさい!」と切れてしまう場面なので,このテノール歌手はかなりの声量が求められる役です.なので端役とは思えない実力者が起用されることも多いんですが,今回の公演でのこの役を演じたのは水口聡さん,実力者です!

 この作品,自分が若いころはそんなに好きな作品じゃなかったんですが,歳を重ねるにしたがって良さがわかる,いわゆる大人の感性に訴える作品なんでしょうね.そんな感慨をいだいた公演でした.

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