共通一次
久しぶりに昔のドラマをレンタルで見ているのだが,表題は昭和53年5月から翌年2月までTBS系列で放送されたドラマである.東京の新富町にある老舗の足袋屋を舞台に繰り広げられるホームコメディなのだが,劇中いきなり歌が始まったり,劇中コーナーがあったりとバラエティ要素の極めて高いドラマとなっている.郷ひろみや樹木希林,伊東四朗といった個性的な役者が数多く登場するのも魅力であった.
昨日でついに全話見通したのだが,作品放送時ちょうど中学一年生で結構見ていたはずなのに,意外と覚えていないものだと感じた.
ちなみに劇中郷ひろみが大学受験を目指す浪人生役として登場するのだが(Wikipediaによると,役名の拓郎は「自宅浪人生=宅浪」からきているとなってるのだが,本来宅浪は予備校に在籍せずに自宅で勉強している浪人生を指す言葉であり,彼は代々木ゼミに通っている設定のため,本来は宅浪ではない),ちょうどこの年が共通一次試験元年だった.従来の一期校・二期校という大学受験の区分が無くなり,国公立大学はすべてこの共通一次試験と大学独自の二次試験と両方の試験を受けることが義務付けられた.
これは従来の入試が特に難関校を中心に難問奇問のオンパレードになり,高校教育の現場を混乱させていることへの是正措置として開始された面があるらしい.実際に共通一次試験の難易度は普通に教科書で勉強していてちゃんと点が取れるレベルに設定されていた(すなわち易しい).
ただ,これで受験生の負担が減ったのかというと疑問で,難関校では共通一次では差がつかないため,結局2次試験のウェイトが大きくなってしまったのに加え,文系理系問わずに5教科7科目(国語,数学,外国語1科目,社会科2科目,理科2科目)が必須になったことから,却って勉強しなければならない科目が増えたからである.
ちなみに外国語は英語A,英語B,ドイツ語,フランス語から1科目選択である.英語が2種類あるのが不思議に感じられるが,英語Aは難易度が低く,あらかじめ指定された受験生しか受験できない特殊科目であった(ついでに言うと,自分の同級生に間違って英語Aを回答してしまった者がいた).
また理科は物理Ⅰ,化学Ⅰ,生物Ⅰ,地学Ⅰから2科目となっていた.わざわざⅠとあるのは,各科目Ⅱもあるからで,具体的には文系理系問わず学習するのがⅠ,理系のみやるのがⅡだった.自分の時代だと物理Ⅱには剛体の力学や電磁気学,古典量子論が,化学Ⅱは芳香族などの有機化合物や錯体化学が含まれていた.2科目の組み合わせには制限はないのだが,2次試験で受験科目の制約がある大学学部が多いため,理系の場合物理Ⅰと化学Ⅰという組み合わせの生徒が多かった.
さらに社会科は日本史,世界史,地理A,地理B,倫理社会,政治経済から2科目の選択だった.ここでも地理にAとBがあるのが不思議だが,当時の資料だと地理Aが系統地理,地理Bが世界地誌ということになっていて,英語Aとは違って誰でも地理A,Bが受験できた.ただし地理Aと地理Bで2科目という受験は認められていなかった(のちには倫理社会と政治経済の組み合わせも禁止された.これらの2科目は教科書も薄く,ぶっちゃけ楽だったからである).
そんな昔の受験を思い出したムー一族だった.
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