ボリビア旅行記4
今回の旅行で初めて普通のホテル滞在(笑)から一夜明け,2月9日になりました.昨夜は早々に眠りについたため目覚めは爽快でした.そしてこの旅行で初めてホテルで朝食を摂りました.会場は昨夜の夕食と同じレストラン,形式は一般的なビュッフェスタイルです(卵料理のコーナーがあるのがやや高級感を醸し出していた).食後にはコカ茶もいただきました(これが飲めるのはペルーとボリビアだけです).
7時に昨日と同じ大型バスに乗って出発,ふと見たら近くに野犬がいて,車が走り去るたびに追い掛け回しています.狂犬病なのかとビビったのでした(日本だとイメージしませんが,世界では狂犬病はいまでも現役の病気で,毎年大勢の方が亡くなっている).
しばらくは市街地を走りますが,徐々に人家も減ってきます.やがて有料道路の料金所のようなところを通過,ここから高速道路なのかと思ったんですが,道は広くなく曲りにくねったまま,どんどん標高を上げていく感じでした(ガイドブックでもこの辺の道はよくないと書いてあった).標高が上がったためなのか,周囲には木々が少なくなり,代わってサボテンの姿が目立つようになります.やがて赤茶けた大きな川が出現,ここがスクレのあるチュキサカ県とポトシやウユニのあるポトシ県の県境です.ここに中世ヨーロッパの砦のような風情の橋があったため写真撮影タイムとなります(この辺から写真ツアーの本領が 笑).
このあたりで今ポトシは雨らしいとの情報が入り,雨具などを準備するよう指示が出されました.その後も道はどんどん上りとなって植生も乏しくなります.
途中,雪をかぶったアンデスの山々を背景にしたジャガイモ畑などがあって写真撮影をしながら進んでいきます.周辺は曇り空だったんですが,少しずつ明るくなってきました.どうやらポトシの雨も上がった模様とのことです(晴れ男のビザンチン皇帝がいるんだから当然だとほくそ笑む 笑).やがてポトシの町に入る頃には日も差すようになりました.
ポトシはかつて銀山で栄えた標高4100メートルにある都市です.人口は約16万人で,都市としては世界で最も標高の高いところだそうです(集落レベルならもっと高いところはある).まずは市内が見渡せる小高い丘に停車,ここはポトシの入り口となっていて,それを象徴する門が立っていました.アンデス地方の他の都市もそうですが,ここポトシも赤茶けた山々に囲まれた茶色い建物が立ち並ぶ街です.ただ,クスコやスクレに比べるとまだ他の色が混ざっている感じが強く,そのことがこの街の雑然さを強めているような気がしました.
市内を一望したのちバスで市街地に入ります.この街も石畳の道路で道が狭く,ゴミゴミしています.ガイドさんによると,ここは標高が高く寒いため,なるべくみんなが寄せ集まって生活しているから狭いのだそうです.
(左写真9) 地元の市場,(右同10) カテドラルと手前は旧造幣局
まずは中央市場へ,ボリビアでも大都市に行くと今風のショッピングモールもあるそうですが,地方都市ではまだまだ昔風の市場がメイン,ここも小さなお店が所狭しとひしめいていました.市場内でトイレを借りて,街の中心11月10日広場へ.ここもなにか由来があったはずですが忘れました(笑).
(左写真12) サン・ロセンソ教会,(右同13) デ・ヘスス塔
広場の中心にはミニ自由の女神があります.スクレのミニエッフェル塔といい妙にフランスに縁があります.周辺には定番のカテドラルや市庁舎のほか,旧造幣局やヘススの塔といった観光スポットもありました(今回は入場はなし).ゆっくりと歩いていたんですが,さすがに標高4000メートル,ちょっと歩くだけで息が上がります.
この辺でちょうどお昼時になったためランチとなります.この日は行ったのは EL EMPEDRADILLO という落ち着いた感じのレストランでした.メニューは焼き石スープとラザニア,標高4000メートルで食事なんかできるのかと思ってたんですが,意外に食べやすくてほぼ完食しました(さすがにアルコールは無し 笑).
食事後外に出ます.レストランからポトシ銀山こと,セロ・リコが見えるんですが,さっきまでは山頂に雪があったはずなのにいつの間にか消えていました.ここで迎えのバスに… と行きたいところですが,道が狭いためここには来られず,やむなく歩くことになります.標高4000メートル,しかも食後ということで脳に行く酸素はかなり少ない.みんなお疲れモードでした(オマケに渋滞でバスの到着が遅れるし… 笑).
ようやくやってきたバスに乗り込んで出発,ここからは本日の目的地ウユニ塩湖に向けてひた走ります.ウユニは標高3700メートルでポトシよりも低いので,少しは楽になるはずなどと妙に安心した気分に浸る一同,観光の疲れもあって気が付いたらみんな睡眠モードになっていました.
途中リャマやフラミンゴを見つけて写真を撮ったり,スコールが降ったりしましたが着実にウユニに近づいていきます.が,ここで現地から連絡が… なんでもウユニの町への国道が閉鎖されているため大型バスは通れないとのこと,やむなく途中でバスを降りて,4台の4WD車に乗り換えることになりました.
国道閉鎖ということで何かあったのかと思ったんですが,特に深い理由はないようです.バスを降りると,そこにはこれから私たちのウユニ塩湖滞在をサポートしてくれる現地スタッフが待っていたんですが,その中に真っ黒に日焼けした一人の日本男性がいました.この方こそ,ボリビア観光界でレジェンドと呼ばれる”トシさん”です.還暦を過ぎているというウワサでしたが,とてもそうは思えない引き締まった体の御仁でした.
バスを降りて数百メートルほど歩き,専用車に分乗します.私とKは現地ガイドのみずえさんとともに1号車になりました.ほどなく出発してまもなくウユニ市内に入ります.この日は風が強くて,市内はいたるところ土埃が舞っていました(その姿は銀河鉄道999に出てきた火星の大シルチスを思わせる).
ウユニの町から先はほとんど未舗装の悪路になりました.途中コルチャニという小さな村を過ぎるとホテルは間もなくです.案内板の方向に曲がっていくと,前方にホテルが見えてきました.今回泊まるのはウユニ塩湖の湖畔に建つルナ・サラダという塩のホテルです.その名の通り,ウユニ塩湖から切り出した塩のブロックで作られたホテルなのでした.
さて,ここで写真家の高坂雄一先生と合流します.今回のツアーは写真撮影ツアーということで参加者の方々もみな(添乗員さん含め)写真にこだわりを持った方々ばかりです.ネタ写が主目的なんていう人は自分くらいしかおらず,厳しい先生なら「ナメたやつだ!」と怒られるんじゃないかと不安に思っていました.
が,高坂先生,ロビーでいきなり
「よろしくおねがいしま~す♪」
と軽快に登場,不安は一気に吹き飛びました(笑).
この後さっそくウユニ塩湖の夕日撮影会に出発となります.結局この日先生は私とKの1号車に同乗することに,車内でお話しさせていただいたんですが,先生はカナダに25年在住しており普段はオーロラを専門にしているということでした.
ホテルを出た専用車は砂地の道(と言えるかは不明だが)を進んでいきます.しばらく行くと碑のようなものが建っていて,円錐形の巨大な盛り塩が並んでいる地帯に到着,どうやらここからが塩湖の始まりのようです.
ウユニ塩湖は総面積1万㎢と秋田県に匹敵する(もしくは東京23区の17倍)広大な面積を持つ塩原です.もともと海だったところが隆起して形成されたもので,全体の高低差がわずか数十センチしかなく,世界で最も平らな場所とも言われています.乾季には一面真っ白な塩の原野ですが,雨季にはうっすらと水が張りいわゆる「天空の鏡」状態になることで知られます.この天空の鏡が見たくて地球の反対側から駆け付けた私たちです.ついに念願がかなうと感無量でした.
しばらく走って,夕日スポットに到着しました.この日は風が強かったため,いわゆる鏡状態ではなかったんですが,それでも見事な夕日が見られました(みんなバシャバシャ写真を撮っていた).
日没後ホテルに戻ります.周囲はあっという間に暗くなっていきます.こんなところで迷ったら冗談じゃなく遭難しそうだなと考えていました(車はお互いはぐれないように連なって走っていきます).到着後さっそく夕食,基本的にビュッフェスタイルで日替わりのスープがあるようでした(この日は野菜スープ).
食事後は夜の星空撮影会の予定だったんですが,雨が降り始めたため中止に.代わって高坂先生の講習会です.星の撮影法を中心に講義を受けました.終了後は各自部屋へ,うわさに聞いていた通り,壁はもちろん塩のブロックで,床もすべて塩という塩ずくめのホテル(笑),油断していると足が塩まみれになりそうでした.
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