日本の道100選 新ひだか町二十間道路(4番)
~二十間道路桜並木~
今日は日本の道100選の話題です.今回のテーマは北海道新ひだか町静内にある二十間道路,この名前は道幅が二十間(36メートル)であることに由来しています.
(写真1) ここから入っていきます
新ひだか町の中心である静内の中心部から約6キロ北東に離れた田原~御園地区にあります.周辺には広大な牧場が広がり,背後には日高山脈がそびえ,その中をまっすぐな道路が伸びていく様は,本州以南には見られない,北海道的な異国情緒に満ちた風情となっています.
(写真2) まっすぐな道が伸びています
北海道の多くの部分は明治以降(19世紀後半)に開発が行われたわけですが,この二十間道路はそうした北海道のインフラの中では歴史が古く,その始まりは明治5年(1872年)にさかのぼります.当時の北海道開拓使の長だった黒田清隆(まだ次官だったが長官不在のため事実上のトップ)が,日高地区が馬の品種改良や飼育に適していると判断して,当地の野生馬の飼育・改良や皇族が使用する優良馬の育成を目的として,この地に種畜牧場を創設したことに始まりました.牧場は順調に発展していましたが,この地を皇族が視察する際の行啓道路として明治36年(1903年)に造られたのがこの二十間道路となります.全長二里(8キロ),幅二十間(36メートル)の当時としては立派な道路でした.そして大正年間に入ってから,牧場職員によって近隣の山野からエゾヤマザクラの植樹が行われ,今に残る桜並木が完成しました.
(左写真3) エゾヤマザクラ,(右同4) 半分ほどになっています
北海道の桜の開花時期は本州以南よりもずっと遅く,例年ゴールデンウィーク明けになります.この地でも毎年5月上旬に桜まつりが開催されています.せっかくこの道路を見に行くのであれば,当然桜の時期に見てみたいということで,GW明けの最初の金曜日に年休をとってこの地を訪問しました.
(写真5) 桜まつりの主会場付近にはたくさんの車が
新千歳空港からレンタカーで向かいます.途中の苫小牧を過ぎて国道235号線に入ったあたりから周囲には牧場が見え始めます.しばらくは右手に海を見ながらの快適なドライブです.静内から内陸に入って10分ほどで二十間道路の入り口に到着しました.これまでに訪問した日本の道100選はすべて徒歩で廻ったわけですが,今回は公共交通機関のまったくない片道8キロです.これをすべて歩くのはさすがに厳しいので,車で往復を基本としてメイン部分のみを歩くことにしました.
さて肝心の桜ですが,今年は例年よりも開花が早めだったとのことで,残念ながらこの日はピークを2日ほど過ぎたところでした(本州以南のソメイヨシノと違って北海道の桜は花が咲いている期間が短い).とはいえ,まだ残っている花も結構あったのでそれらを鑑賞しながら散策しました(駐車スペースは各地にある).
(左写真6) 龍雲閣,(右同7) 内部
二十間道路の終点には明治42年に建てられた龍雲閣と呼ばれる建築物があります.これは皇族がこの地を訪れた際に宿舎として使われた建物で,実際に大正天皇や昭和天皇がそれぞれ皇太子時代に訪れた記録が残っています.さすがに現役では使われてはいませんが,桜まつりに合わせて内部が一般公開されていました.
顕彰碑
顕彰碑の場所 道路の入り口,エントランス広場の近くにあります.
散策のハード指数(★☆☆ ハードではありません) 平地でよく整備された散歩コースです(ただし距離は長いです).
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