東京駅の歴史的場所
今日3月3日は桃の節句です.ひな祭りなど華やかなイメージがある日ですが,一方で幕末期にはこの日に結構大きな事件が起こっています.
まず安政元年(1854年)の3月3日には日本の開国の嚆矢ともいうべき日米和親条約の締結が行われました.また安政七年(1860年)の3月3日には江戸で時の大老井伊直弼が水戸浪士らの襲撃を受けて暗殺されるという大事件が起こっています(桜田門外の変).さらに慶応四年(1868年)のこの日には幕末の草莽隊のひとつである赤報隊一番隊の相楽総三以下が処刑される事件(いわゆる赤報隊ニセ官軍事件)も起こっています.特に桜田門外の変は時の最高権力者が白昼堂々と浪人に襲撃されるという,幕府としては前例のない不祥事であり,幕府の威信が著しく低下していることを世間に印象付けました.
政府首脳の暗殺事件というと,世間に与える不安は非常に大きいものがあります.ちなみに日本の近現代史において,現職の総理大臣が暗殺事件に巻き込まれた例として,大正10年の原敬,昭和5年の濱口雄幸,昭和6年の犬養毅(いわゆる5・15事件)が知られています.このうち原敬と犬養毅は即日死亡,濱口雄幸は事件で重傷を負い後に死亡しています.
この3件のうち犬飼は首相官邸で遭難しましたが,のこりの2件の舞台はいずれも今のJR東京駅で起こっており,駅にはそのことを示す碑があります.先日用があったついで見学してきました.
平民宰相と呼ばれた原敬が暗殺されたのは大正10年11月4日の夜でした.この日彼は立憲政友会の京都支部大会に向かうため東京駅を訪れそこで難にあったものです.犯人は当時大塚駅の職員でした.事件の起こった場所は,東京駅の丸の内南口にあります.
(左写真2) 原敬殉難の場所,(右同3) 事件に触れたプレート
一方で濱口雄幸首相が襲撃を受けたのが昭和5年11月14日朝,同日から岡山県で行われる陸軍の特別大演習視察に向かう途中でした.犯人は右翼活動家の青年で,事件直後に逮捕されています.濱口の受難場所は今の新幹線中央乗換口付近になります.
(左写真4) 濱口雄幸受難の場所,(右同5) 事件のプレート
大勢の人々が行きかう場所ですが,あまり知られていないのかプレートに注目している人はほとんどいませんでした.
床には事件の起こった場所を示す印も埋め込まれています.
そんな日本の近代史に思いを馳せた桃の節句でした.
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