10月の三連休の後半,京都の日本海側に約20年ぶりに繰り出しました.10月13日は天橋立を中心に宮津市を観光,その日の夕方に汽車で舞鶴に移動しました.
(写真1) 舞鶴かまぼこ手形
京都府舞鶴市は市街地が西側と東側にはっきりと分かれているのが特徴です.これはそれぞれの歩んできた歴史が全く違うからで,西側は江戸時代以来の田辺藩(舞鶴藩)の城下町として発展してきた地域,一方の東側は明治以後軍港として着目され軍都として発展してきた地域だからです.そのため第二次大戦前までは西側が舞鶴市,東側が東舞鶴市という別な自治体だったんですが,大戦中に西側の港もまた軍港として一括利用したい軍部の意向もあり,1943年(昭和18年)に両市が合併し,新しい舞鶴市となりました.一般にこうした規模の変わらない都市が合併する際には,市役所の位置をどこにするかなどでもめることが多いんですが,戦時の非常時ということもあるのか,あっさり東側に決まっています.戦後は大陸からの引き揚げ船の寄港地として,また海上自衛隊の基地として,さらに近年では各種工場のある街として知られています.というわけで,今回は自衛隊関係を中心に観光することにしました.
(写真2) レンガ博物館
朝ホテルをチェックアウトしてまずは東舞鶴駅前のバスの案内所へ,ここで入手するのが,舞鶴かまぼこ手形です.これは地域のバスが1日乗り放題になるほか,各観光スポットの入場料も割引になるという優れものです(1日で1000円,本体には本物のかまぼこ板が使われている).購入後さっそくバスに乗り込み,まずは港にある赤レンガパークに向かいました.舞鶴には旧海軍時代に使われていたレンガ造りの倉庫がたくさん残っていて,現在でも博物館やイベントホールなどとして利用されています.
(左写真3) 地方総監部の入り口,(右同4) 海軍記念館
とはいえ,倉庫の見学は後回しにして,まずは海上自衛隊舞鶴地方総監部の大講堂に併設されている海軍記念館に行きました.ここは元々海軍機関学校だったところで,現在では旧海軍に関連する資料が展示されています.普段は一般人は入れないんですが,休日の決まった時間帯のみ見学できます.この日は午前10時からだったんですが,訪問した10時過ぎにはすでに10人以上入館している模様でした(受け付けて渡された入場許可証がすでに10番以降だった).館内には主に明治期の資料を展示した部屋と昭和期の資料の部屋に分かれていました(やっぱり日本海海戦のあたりが一番充実した).ちなみに明治34年(1901年)に開庁した舞鶴鎮守府の初代司令長官が後に日露戦争時の連合艦隊司令長官だった東郷平八郎(当時中将)でした.
(写真5) 護衛艦まつゆき
記念館の見学後は先ほどの倉庫地帯にもどって,今度は海軍ゆかりの港めぐり遊覧船に乗ることにします.これは主に休日に運行されている湾内クルーズで,海上自衛隊OBの解説を聞きながら停泊している護衛艦を眺めようという企画です.いろんな艦艇が並んでいましたが,最大サイズの護衛艦みょうこうでも全長170メートルほど,昔でいう軽巡洋艦サイズです.それでもこれだけ圧倒されるのですから,これが戦艦だったりしたらどんな感じなんだろうと想像してしまいました.
(左写真6) みょうこうとしらね,(右同7) 補給艦ましゅう
30分ほどの遊覧船が終わって今度は赤レンガパークを見学します.赤レンガ倉庫はいくつもの棟が残っていますが,まずは今はレンガ博物館になっている1号棟に入ります.ここには日本はもちろん世界各地のレンガやレンガの歴史がわかるようになっていました.日本では明治以降西洋式のレンガ技術が入ってきてたくさんの建物に利用されていることがわかりました(東京駅,旧北海道庁,岩手銀行中の橋支店etc.).そのほかにも古代メソポタミアやインダス文明のレンガなんかもあって,このあたりの歴史が大好きな私の琴線を大いにくすぐりました(ああ,いつかモヘンジョダロやハラッパーに行ってみたい).
(写真8) 赤レンガ2号棟の内部
レンガ博物館の見学を終えた段階で午後1時,ちょうどお昼にしたい時間帯です.そこで近くにある赤レンガ2号棟内にあるカフェに入ることにしました.ここの目玉は海軍カレーと海軍肉じゃがなんですが,カレーの方を選択しました(かまぼこ手形持参の人にはミニアイスクリームが付いてきた (^o^)/).
(写真9) 海軍カレー
昼食後は2号棟&3号棟のギャラリーを見学しました.2号棟では戦前のオリンピックの話題(舞鶴は戦前のロスアンゼルスオリンピックの競泳代表だった菅谷初穂さんやベルリンオリンピックの陸上のメダリスト大江季雄さんらを輩出した街),3号棟では吉田勇氏によるシベリア抑留から引き揚げに至る時代を描いた絵が展示されていました.
(写真10) 五老スカイタワー
ギャラリーの見学の後は,バスで五老スカイタワーへ.ここは東西両舞鶴のほぼ中間地点にある標高300メートルの五老岳に立つ50メートルのタワーです.ここからの舞鶴湾の眺めは素晴らしく,近畿百景の第1位に輝いているそうです.かまぼこ手形持参者はここの入場料も無料になるほか,カフェ利用時にも割引の特典があります.景色を堪能したのち,カフェで紅茶とケーキをいただきました.
(写真11) スカイタワーからの舞鶴湾の眺め
ティータイムの後は再びバスで下山,そのまま西地区に入りました(今回の旅行は前日の宿泊から一貫して東側に滞在していたため,西の市街地に入るのは初めて).軍関係の色彩が強かった東に対してこちらは江戸時代以来の城下町です.城である田辺城はほぼ解体されてしまい,堀なども消滅してしまってますが,発掘された天守台や復元された門などがあり,往時の雰囲気をしのぶことができました.
(左写真12) 大手門,(右同13) 天守台の石垣
この時点で夕方,そろそろ帰路につかなければなりません.そのまま駅まで歩き,特急と新幹線を乗り継ぎ,家に着いたのは11時過ぎのことでした.こうしてビザンチン皇帝20年ぶりの京都北部観光は終わったのでした.
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