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2013年8月28日 (水)

土橋正幸さん逝く

 先日ニュースで,元プロ野球選手で野球評論家の土橋正幸さんが筋委縮性側索硬化症(以下ALS)で亡くなったという報道されていました.

2013082600000549san0001view 土橋さんは軟式野球の草野球チームから,プロ野球の東映フライヤーズ(今の日本ハムファイターズの前身)に入団,プロ通算162勝を挙げ,チームのエースとして活躍した異色の選手です.小細工を嫌い,真正面から打者に立ち向かう豪快なスタイルで,「ちぎっては投げ,ちぎっては投げ」と評される独特のピッチングは喧嘩投法などとも言われたそうです.引退後は古巣のフライヤーズやその後進のファイターズ,さらにはセ・リーグのヤクルト・スワローズの監督を務めました.

 選手としては華々しい活躍をした土橋さんですが,そのまっすぐな性格が,老獪な戦術が必要な監督業には向かなかったのか,どの球団でもパッとした成績を残すことはできませんでした.それについては,タレントのテリー伊藤さんが,その著書「ダメ監督列伝」の中で

土橋監督はなんたって、顔がよかった。

江戸っ子で、ケンカっぱやくて、喜怒哀楽が激しくて、
人情家で、女々しいことは嫌いで…
という性分が全部、顔にあらわれていた。
 ただ、顔はあまりにもよかったのだが、
その顔に合わせた野球をしすぎたのかもしれない。

と述べています.

 さすがに私も土橋さんの現役時代は知りませんが,ヤクルトの監督時代は記憶にあって,後任の関根監督とともに,成績はイマイチながら杉浦,八重樫,レオンなどの強打者をそろえた魅力あるチームでした(その後関根監督時代に現役大リーガーのホーナーが入団,さらには池山,広沢,内藤,川崎といった選手が入団して次の野村監督時代のヤクルト黄金期につながる). 

 土橋さんが死の原因となったALSは 全身の運動神経が選択的に障害されることによって手足の麻痺のみならず,言葉を発したり物を飲み込む筋肉,さらには呼吸に使われる筋肉も障害されて呼吸不全を起こし死に至る病気です.

 世の中に難病と呼ばれる病気は数ありますが,ALSはその発症メカニズムも不明な点が多く,現代の医学では完治はおろか進行の軽減すら困難な難病中の難病といえる病気です.運動機能が急速に失われる一方で,感覚神経や認知機能には障害を起こさないため,罹患された方の苦悩は大変なものです.

 一般に進行して呼吸機能の障害をきたした場合,人工呼吸器を使った治療が行われることもあります.しかしながら,根治療法とはならず,さらには発声機能が失われるためあえて,その治療は選択しないという患者さんも多数おられます.伝えるところによると,土橋さんの場合病気と診断されたのが昨年秋とのこと,人工呼吸器ような治療は選択されなかったんだなと思いました.

 土橋正幸さんのご冥福を心からお祈りいたします.

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