アンコールワット
昨日2月4日は立春,すっかり春じゃないかという陽気の一日でした(これからまた気温が下がるというウワサもありますが).
さて,今年の新年の目標で夏休み以外の時期に遺跡系への旅行をしたいというのを挙げたんですが,この週末から東南アジアのカンボジアにあるアンコールワット遺跡に行ってくることになりました.
アンコールワットは9世紀から15世紀にかけて今のカンボジアを支配していた王朝であるクメール朝が12世紀前半に建設した宗教施設です(12世紀前半といえば日本では平安時代末期,ヨーロッパだと十字軍の時代).当初はヒンズー教寺院だったそうですが,後に仏教寺院に改修されています.大航海時代とともに海外にもその存在が知られるようになり,特に江戸幕府が成立から鎖国に至るまでの朱印船貿易の時期には,結構な数の日本人がここを訪問していたようです.特に1632年(寛永九年)に訪問した森本右近太夫がここの十字回廊の壁面に遺した墨書(落書き)は有名です.もっとも当時の日本人はここを仏教の聖地とでもいうべき祇園精舎と勘違いしていたそうで,実際に将軍徳川家光の命でこの地を視察訪問した島野兼了はアンコールワットの正確な図面を作成し,帰国後に祇園精舎図として提出しています(この図面の模写が水戸の彰考館に保存されています).
カンボジアは1970年ごろから20年以上に及ぶ内戦状態になりました.現在はこのアンコールワットも比較的訪問しやすい場所になりましたが,かつては危機に瀕した世界遺産と呼ばれていたほどです(今のトンブクトゥ状態か).今回は短い時間ではありますが,古の王朝の空気を感じてきたいと思います.
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