ペルー旅行記7 ~9月27日~
クスコの朝が明け,9月27日になりました.今回の旅行もいよいよ後半になってきました.いつもそうなんですが,このあたりから 休みがおしまい→現実 の影がちらつき始めちょっぴり悲しくなってきます.この日はクスコからアンデスの山々をドライブしてチチカカ湖畔の町プーノを目指す行程です.まずは朝食,昨夜のディナーと同じ会場でビュッフェスタイルの朝食をいただきます.その後ちょっと時間があったためホテル内を散策しました.前日の記事でも触れていますが,このリベルタドール・パラシオ・デル・インカは16世紀にインカを征服したスペイン人フランシスコ・ピサロの邸宅だった建物を改装したものと言われています.クスコは元々インカ帝国の都だった街であり,現在でもクスコ市内中心部にはインカの石組みの上にスペイン風の建物を建てた建築物がたくさん残っています.このホテルもそんな時代の建物で非常に重厚な感じがします.特にスペイン風建築物の特徴といえる中庭(パティオ)はこのホテルにもしっかりと残っていました.
一通り散策した後はロビーに集合,ここから少し歩いて一昨昨日見学したサントドミンゴ教会を挟んだ道路の向かい側からバスに乗り込みます(ホテルが市街地の狭い道路沿いのためバスが入れないため).平日の朝ということで道路にはたくさんの車が行きかっていました.
さあ一路プーノへと思ってたんですが,さにあらず.まずは郊外に出てそこで大型のバスに乗り換えるとのことでした.実はクスコ市内は道が狭くて入り組んでいるためにいわゆる大型の(40人くらい乗れる)バスが走れないということで,市内では全長の短い(すなわち定員の少ない)バスを利用していたからです.今日はプーノまで長丁場ということで,ゆったりと大型のバスを利用するということのようでした.
バスの乗り換えも無事に終わりいよいよプーノへ出発です.クスコからプーノへは自動車,鉄道,飛行機で行くことができます.このうち道路と鉄道はほぼ並行して走っていて,途中同じような景色を楽しむことが出来ます.その距離は約380キロ,途中標高4300メートルのラ・ラヤ峠を通過します.
しばらくはウルバンバ川に沿って走ります.街道筋には小さな町がいくつもあるんですが,途中ウルコスという町で現地ガイドが巨大なパンを買っていました.ここはパンが有名な街なのだそうです.その後途中で休憩を入れながらバスは快調に走っていきました(高級毛織物で知られるアルパカがいるポイントもありました).
(左写真5) 途中の休憩所にいたアルパカ,羊みたいです.(右同6) 愛嬌のある顔です
クスコから140キロ地点にあるシクアニという比較的大きな町を過ぎたあたりから道路は徐々に上り坂になっていきます.いよいよ峠筋に入った感じです.このまま一気に峠に登るのかと思いましたが,バスはその手前にあるアグアス・カリアンテというところで停車,一同下車します.アグアス・カリエンテとはスペイン語で熱い水,すなわちお湯のことです.実はここは温泉が湧き出ているスポットなのでした.
(左写真7) 駅付近の線路,日本の鉄道に比べて軌間が広いのがわかります.(右同8) 温泉の入り口
道路を横断し,草むらを降りていくと線路があります.ここを横切っていくと,何やら建物が並んでいます.ここがペルーの温泉施設なのでした.
受付を通って中に入っていくと,温水プールなどが複数あり,地元の人らしき面々が楽しそうに入っていました(もちろん水着着用です).その様子を横目で見ながら我々はさらに奥に進みます.周囲を見るとあちこちに温度の高そうな温泉がゴボゴボと湧き出ていました(恐山や地獄谷を彷彿させる景色です).そんな場所に温泉水が川のように流れている一角がありました.ここがいわゆるペルーの足湯スポット,私たちも現地の人に交じって利用しました(ムチャクチャ熱かったですが 笑).
(左写真10) 地元の人たちでにぎわう温泉プール,(右同11) 足湯スポットです
温泉を堪能した後,再びバスは峠道を登っていきます.そしてついに標高4300メートル,富士山の山頂よりも600メートル近くも高い,ラ・ラヤ峠に到着しました.
さっそくバスから降りて歩いてみます.さすが標高4000メートル越えということで,空気の薄さをひしひしと感じました.実は今回の旅行に際して,動脈血液中の酸素飽和度(SpO2)を測定する器具を持参していました.下界では呼吸機能が正常な人のSpO2は98~99%になりますが,酸素の薄い高地に行くと当然この数値は下がります.標高4000メートル越えではどうなるのかと,恐る恐る(笑)測ってみたんですが…
な,なんと84%,下界なら結構な肺炎にでもならないと出ない数字です.肺炎でこの数字ならそうとうに苦しいはずですが,酸素分圧の低下によるものなので特に苦しいという感じはなかったです.とはいえ,高地世界の凄さをちょっぴり感じたのでした.
ラ・ラヤ峠は標高が高い以外には特にこれといったものはないんですが,やってくる観光客のほぼ全員が立ち寄るスポットというわけで,観光地お決まりのお土産物屋台がたくさん並んでいます.ここのお土産のメインはアルパカ製品,実はクスコ~プーノ近辺はアルパカの飼育が盛んな地域なので,その関係のお土産が多いのでした.屋台では売り子の女の子が日本語で「くすこ高イ,ぷーの高イ,ココ安イ」と呼びかけてました(後から見るとたしかにその通りでした).
(左写真15) 峠にはお土産物屋さんが,(右同16) 冠雪したアンデスの山々
つかの間の峠での滞在を終え再びバスに乗り込みます.ここからはひたすら下りになるわけです.バスが走り出すと,現地ガイドのアレックスがお弁当を配り始めました.これが本日の昼食のおにぎり弁当です.実は他の旅行社の同様のツアーでも,クスコからプーノへの移動日のお昼がおにぎり弁当という設定だったんです.もしかしてこの辺の日本人向けツアーでは有名なお弁当なのかと思いました.ただ,添乗員さんからまだ標高4000メートル以上なので,もう少し下ってから食べるように指示がありました(酸素の薄い場所で食べると,消化器系に血流が集まって脳に行く酸素がさらに減って具合が悪くなるためと思われます).
(左写真17) おにぎり弁当です.(右同18) 海苔を巻いたところ
そうしている間にもバスはどんどん下っていきます.原野ばっかりだった景色も徐々に家など人の気配が感じられるようになり,やがて町が現れました.そろそろいいだろうということでお弁当をいただきます.中身はというと,おにぎりが3個(梅干し,鱒,炊き込みご飯),照り焼きチキン,ゆで卵,みかん(温州ミカン?)と漬物でした.おにぎりの海苔は後から巻くスタイルでパリパリでした.漬物は日本のものに比べて生姜が強いのか臭みが少なく食べ安かったです.
しばらく走っているうちに道路は平らになりました.峠後の休憩場所としてとある町の商店(コンビニ?)に寄ります.トイレ休憩に加えて買い物もできるということで,私はガイドお勧めの地元の練り歯磨きを購入しました(Chicha Moradaという紫トウモロコシフレーバーの歯磨き).
その後バスは順調に走りましたが,次第に雨が降りだし,しかも稲光まで走り始めました.実はこの日はプーノに行く前に,近くのシルスタニ遺跡を訪ねる予定だったんですが,この天候を見て添乗員さんは「明日にするか」といい,結局この日はプーノに直行することになったのでした(シルスタニ遺跡は周囲よりも標高が高く,しかも隠れる場所もないため雷が鳴ると危険極まりないようでした).
バスはしばらくすると空港のある大きな町フリアカを通過し,そのままチチカカ湖畔の町プーノのはずれにあるホテル,リベルタドール・レイク・チチカカに到着しました.その名からもわかるように,昨夜泊まったクスコのホテルの系列です.チチカカ湖に突き出した岬の先端にある船を思わせる造りのホテルでした.
シルスタニの観光が消えたためホテル到着は午後4時前と,今回の旅行ではかなり早い時間になりました.ラ・ラヤ峠からは下ったとはいえ,プーノ自体標高3800メートルもあります.この日はゆっくり休もうという趣旨なのでした.
(左写真21) 船のような形状のホテル・リベルタドール,(右同22) 部屋からのチチカカ湖
部屋に入ってカーテンを開けるとチチカカ湖が目の前に広がっています.この湖は総面積が8562平方キロと,日本で一番広い琵琶湖のなんと13倍も大きな湖なんです.汽船が航行する湖としては世界で最も標高が高いのだそうです.この巨大な湖はペルーとボリビアの国境を形成しており,全体の6割がペルー,4割がボリビアになっているのでした.ボリビアの事実上の首都ラパスはチチカカ湖の近くにあり,ここプーノからは自動車で4時間程度の距離だそうです(ペルーの首都リマへ行くよりよっぽど近い).
しばらく休んでシャワーを浴びたのち,夕食に出向きます.この日もチョイスメニュー,昨夜はワインはお休みしましたが,ここでは休息も取ったというわけでしっかりいただいたのでした.
これ以降の記録はホームページ本編にアップしています.
| 固定リンク
コメント