ペルー旅行記4 ~9月24日~
9月24日月曜日,この日はいよいよペルーのアンデス高地帯(シエラ)に入ります.ビュッフェスタイルの朝食を食べてホテルをチェックアウトし,バスで空港に向かいます.
月曜の朝ということでリマ市内は渋滞,リマは都市圏の人口が800万人を数える南米有数の大都市ですが,地下鉄はなく,電車もわずか1路線のみと公共交通機関が貧弱なため,市民の足は車になります.道路はまあまあなんですが,車の多さと運転マナーの悪さから効率的に交通をさばくことができないため,いつも慢性的に渋滞しているのでした.そんな中をバスはなんとか空港に到着しました.
リマのホルヘ・チャベス国際空港は3日前に到着した空港です.日本だと国際線は成田,国内線は羽田みたいに分かれているケースがありますが,ここは国内国際共用の空港となっています.まずはカウンターでチェックインを行い,身軽になってから2階に上がります.セキュリティチェックを抜けて搭乗ゲートを確認,出発時間まで間があったため,周辺のお店を冷やかしたりして時間をつぶしました.
そうこうしているうちに搭乗時刻となり機内に乗り込みます.機体は国内短距離路線らしくボーイング737でした(座席は3-3).飛行機はほぼ定刻に離陸,一路クスコを目指します.窓からはアンデスの山々が見え,気分が盛り上がります.約1時間ちょっとのフライトで無事にクスコの空港に到着しました.
クスコはインカ帝国の都だった古い街です.街並みが世界遺産に指定されており,今でも50万の人口を数えます.地理的にはアンデスの高地帯に位置し,その標高は3400メートルに達します.日本にはもちろんこんな標高の高い街はありません(なんたって,富士山の9合目くらいですから.日本では標高の高い街といわれる松本でも大体600メートルにすぎません).これだけ標高が高くなると空気そのものが薄くなります.海抜0メートルと比べると3600メートルのクスコでは気圧が6割しかなく,酸素もその分薄くなってしまいます.こういう場所で心配になるのが高山病というわけで,こういう高地帯に入った場合最初は無理をしないのが原則です.
飛行機を降りて息を吸い込みます.実際はどうなのかわかりませんが,空気は乾燥していて確かに薄いような気がします.あまり大きくないターミナルに入ると大勢の乗客であふれていました.見ると地元の旅行会社のデスクに交じって,酸素缶を売っているお店がありました(ビデオを流しながら販売をしていました).
ここで現地ガイドのおじさん(アレックスさんといいました)と合流し,一同迎えのバスに乗り込みます.まずは街の郊外の高台にある遺跡の見学に向かいます.高山病の症状は高地に着いてすぐではなく数時間後に出てくるため,標高の高い観光をさっさと済ませてしまおうという趣旨なのかもしれません.まずは,クスコの町が一望できる高台へ.見渡すとクスコが山に囲まれた盆地状の地形になっていることが分かります.そして街全体がこの辺の土地の色と同じ茶系に統一されているのに感心しました.
(左写真4) クスコ市街,(右同5) アルマス広場が見えます
次に行ったのはケンコー遺跡,その名前から長寿と関係する遺跡かと思いますが,ケンコーとはケチュア語で「ジグザグ」という意味で,実はインカ時代の祭礼場です(笑).巨大な岩をくり抜いて内部を半洞窟とし,そこに祭壇が設置されています.この遺跡の上部にジグザグの溝が彫られていることからその名があるようです.表側から見るとただの岩にしか見えませんが,裏側に回ってみると,壁状に切断され,さらには通路状にくり抜かれた内部に,これまた一枚岩を加工したテーブルや棚が設置されていました(このテーブルはミイラを作る台だったとも).
ケンコー遺跡から再びバスに乗って数分で今度はインカ時代の要塞跡といわれるサクサイワマン遺跡に到着です.ここは巨大な岩を精巧に積み上げた石垣が素晴らしい遺跡です.石垣は主に三段になっていて,全長300メートル以上にわたってジグザグ状に配列されています.インカ文明は車輪を持っていなかったことが知られていますが,にもかかわらずこれだけの巨岩をどうやって運び込み加工したのか様々な議論がされています.
(左写真8) ジグザグ構造が分かります,(右同9) 中にはこんな巨岩も
遺跡中央には大きな広場があるんですが,毎年冬至の時期(クスコは南半球なので冬至といえば6月)にここで開催されるのがインティライミと呼ばれる太陽への感謝をささげるお祭りです.現地ガイドさんのお話では地元の人たちのみならず大勢の観光客で当日は大賑わいになるそうです.機会があればいつか来てみたいなと思ったのでした.
(左写真10) 広場です,(右同11) なんだか鳥居みたいです
遺跡を後にして再びバスに乗りクスコの市街地に戻ります.時計を見ると1時半,今度は昼食となります.この日はクスコの中心広場であるアルマス広場に面したレストランでした.チョイスメニューでしたが,私は前菜がスープ,メインはペルー風チキンカレー(アヒ・デ・ガジーナ)でした.いつもだとアルコールも頼みますが,この日は高地入りしたばかりということでお休みにしました.
(左写真12) スープです,(右同13) ペルー風チキンカレー
昼食後はアルマス広場からクスコ市内を歩いて散策します.アルマス広場にはカテドラル(大聖堂)のほか,ラ・コンバニーア・デ・ヘスス教会が面していますが,カテドラルはインカ帝国時代はビラコチャ神殿でしたが,スペイン人の征服後その建物部分は破壊され,元の石組みの上に大聖堂が建てられたものです.
(左写真14) カテドラル,(右同15) ラ・コンバニーア・デ・ヘスス教会
そこから北東に狭い道を進んでいきます.ここがハトゥン・ルミヨック通りで,ここには有名な12角の石があり観光客で賑わっていました.その後あるいてサント・ドミンゴ教会へ,ここはインカ時代コリカンチャと呼ばれる黄金の神殿だったそうですが,スペイン人の征服によってほとんどの黄金が持ち去られてしまいました.ここもカテドラル同様インカ時代の石組みの上に建てられた教会ですが,16世紀末の大地震で教会の建物は崩壊したにもかかわらずインカの石組はびくともしなかったことから,インカの技術の高さがうかがえます.
(左写真16) 有名な12角の石,(右同17) サント・ドミンゴ教会
ここまで観光して夕方近くとなり,迎えに来ていたバスに乗り込みました.この日の宿泊はクスコではなく,少し高度を下げた聖なる谷と呼ばれる場所になっていました.もちろんこれは高地に順応しやすくするためであることは言うまでもありません(聖なる谷の標高は2800メートル).クスコからバスで揺られること2時間弱で聖なる谷の中にあるウルバンバのホテルに到着しました.このホテルはロッジタイプで,レストランなどがあるメイン棟から部屋までは結構歩かなくてはなりませんでした.
到着後夕食となります.ここもチョイスメニューでしたが,前菜はワンタンスープ,メインは羊肉のグリルを選びました.標高が下がったので一杯くらいいいだろうとグラスワインを飲んだんですが,回りが早くこの日はあっという間に寝てしまいました.
明日はいよいよマチュピチュです.
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コメント
こんばんは、ビザ皇帝さま。
クスコ市街地の写真は圧巻ですね。雲を見ると「母をたずねて三千里」OPを思い出しました。
投稿: KAGAYAKI快男児!! | 2012年10月18日 (木) 15:47
KAGAYAKI快男児!!さん
こちらにもありがとうございます.
そうそう,たしかに雲の形が「母をたずねて…」ですね.南米というか,これがアンデスの雲なのでしょう.
クスコは標高が高いので雲が低い印象を持ちました.
投稿: ビザ皇帝 | 2012年10月21日 (日) 02:44
ビザ皇帝様 こんばんは!
旅行記、一気に読みました。
食べ物はカラフルでも遺跡の景観を損なわないようにする為になのか建物があまり派手ではないところが素敵です。
地上絵は実際に見たら感動ものでしょうね~。
投稿: いわがた | 2012年10月29日 (月) 13:51
いわがたさん
こんばんは,おひさしぶりです.
コメントありがとうございました.
ペルーは沖合を寒流が流れているせいか,
魚介類が美味しいので,特に沿岸部の料理はいいですよ(もちろん山岳地帯のお料理もですが).
街並み,特に屋根は景観を大切にするせいか,
色がきちんと揃っているのはいいですよね.
さすがは世界遺産だと思いました.
ナスカの地上絵は感動しますが,本に載ってるのと違って意外に見つけにくいので,凝視しなければならなかったです.
投稿: ビザ皇帝 | 2012年11月 2日 (金) 06:03