日本の滝100選2
日本の滝100選 浄蓮の滝(49番)
日本の滝100選シリーズ,第2弾は静岡県伊豆地方にある浄蓮の滝です.石川さゆりさんの歌った名曲天城越えにもその名が登場する滝です.
伊豆半島の内陸部に源流をもち北上して太平洋にそそいでいる狩野川の上流本谷川にある滝です(日本では北上して太平洋にそそぐ川というのは珍しいんだそうです.地形的に考えればたしかにそうですが).
名前の由来はかつてこの滝の近くに浄蓮寺という名称の寺があったからと言われています.滝の高さは25メートル,滝幅は7メートル,滝壺の深さは15メートルです.規模としては小ぶりですが,水量は豊富であり,その水が滝壺に落ちる様はなかなかの迫力です.この本谷川の水は山深いこともあって水温が低く,しかもきれいに澄んでいるのが特徴です.なので周辺ではワサビの栽培も行われています.
(左写真3) 浄蓮の滝に降りる階段,(右同4) 滝傍にある天城越えの碑
浄蓮の滝に伝わる話として女郎蜘蛛伝説があります.昔ひとりの老人が浄蓮の滝の近くで休んでいたところ一匹の女郎蜘蛛が現れて老人の足に糸を巻きつけはじめました.老人は自分の足を樹の枝と間違えたのだろうと思い,さらには糸を切ってしまうのは可哀そうだと,静かに足から糸を外して傍にあった桑の木にかけました.その直後周囲が揺れるのを感じたと同時に桑の木が蜘蛛の糸に引っ張られて滝壺に吸い込まれていきました.老人は,「さてはあの女郎蜘蛛が滝の主であったのか」と恐れ,以後この滝には人が近寄らなくなったということです.
(左写真5) 滝の主が住むという滝壺,(右同6) 伝説について記した案内板
その後,何年かしてよその村のきこりがこの滝のそばで作業をしていたところ,手を滑らせてもっていた斧を滝壺に落としてしまいました.貴重な斧だったのでなんとか探し出したいと思ったきこりは川に飛び込みました.しばらく探していると,女の声がします.顔をあげてみると岩陰から一人の美しい女が例の斧をもって現れました.女は「これはあなたの斧ですね,ここで私の姿を見たことを口外しないでください.もし約束を破ったらあなたの命をもらいます」といって斧を返してよこしました.きこりは恐れて山を降りました.しかし,言うなといわれると話したくなるのが人情,ある日飲み屋に入ったきこりは酔った勢いでその話をしてしまいました.そしてそのまま酒に酔ったように眠りにつき,二度と目覚めなかったということです(女郎蜘蛛伝説).
浄蓮の滝にはこのような神秘的な話も伝わっているのでした.
アクセス 伊豆箱根鉄道駿豆線修善寺駅からバスで40分,浄蓮の滝バス停下車後徒歩5~10分です.
観瀑のハード指数(★★☆ ややハードです) 車バス停から階段を下りて滝に向かいますが,結構な勾配なので足腰や心肺機能の弱い方には厳しいです(星1つ半程度?).
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