マイナー教科
ネットで見つけたニュースです.
国際地学オリンピック・イタリア大会、日本代表は全員メダル獲得
数学のオリンピックというのは聞いたことがありますが,地学にもオリンピックがあったとは… 初耳でした.
いわゆる主要教科のひとつに理科があります.小学校の時は単に理科ですが,中学校になると物質の性質や物体の運動,電気などを扱う第一分野と,生き物や天体など主に屋外のものを扱う第二分野に分かれます.そして高校になると,物体の運動や電気,波動などを扱う物理,物質の性質や変化を扱う化学,動物や植物の構造や生理・生態を扱う生物,そして地質や気象,天文を扱う地学の4つに分かれます.中学でいえば物理と化学が第一分野,生物と地学が第二分野にあたります.
高校で理科4科目をどう学ぶかはさまざまです.普通高校か実業高校か,文系か理系かでも異なります.ちなみに私が現役の高校生だった頃は,(理系では)1年次に生物Ⅰと地学Ⅰが必修,2年次に物理Ⅰと化学Ⅰが必修で,3年次には4科目のⅠ,Ⅱのうち2科目を選択という感じでした(ちなみに文系は1年次は同じで,2年次は物理Ⅰと化学Ⅰのどちらかを選択,3年次は4科目のⅠのうち2科目選択、ただし理系より時間数が少ない)だったと記憶しています.私立文系クラスでは3年次には理科はなかったと思います.
その後大学に入って,いろいろな学校の事情を聴いているうちに,世間ではだいぶ様相を異にしているらしいことを知りました.すなわち自分の学校は4科目の選択の余地が比較的あったのに対して,学校によっては選択の余地が限られているところも多いようなのです.
その場合,4教科が平等に扱われるということは決してなく,一般に
物理=化学≧生物>>…>>地学
という感じらしいのです.学校によっては地学の授業がなかったとか,そもそも地学の先生がいなかったというところもあったのです.
もっともこれには理由があって,地学を選択した場合,大学受験の際に受験できるところが極端に少なくなってしまうからです.
たとえば,工学部の場合国公立私立を問わず,ほとんどの大学が理科は物理と化学を必須にしていました.また医歯薬農学系では物理・化学・生物の3科目から2科目選択というパターンがほとんどです.すなわち理系の場合地学で受験できるのは私立は皆無で,国公立の場合でも旧帝大系の理学部のみという状況でした(例外として,東大のみは理科Ⅰ類からⅢ類まで地学で受験できたように記憶しています).一方で国公立の文系の場合は理科が出てくるのは共通一次だけなので,地学でも受験できるんですが,わざわざ文系の共通一次だけのために地学の授業を設定するのも面倒なのか,こちらも半強制的に他3科目から2科目選択というケースが多いようでした(極端な学校だと理系は物理と化学,文系は化学と生物と決められているところもあったらしいです).
そういえば私の母校も,物理・化学・生物に関してはそれぞれ専用の教室と実験室,教官室がありましたが,地学のみはそのような部屋はなく生物の部屋に居候になっていました.この状況から地学の先生も「地学は弱小教科だから」と言っていました(教員自体は2人いましたが).
そんなマイナー教科である地学にオリンピックがあって,日本の子供たちが活躍しているという記事に感動したのでした(マイナーではあっても地学は,今話題の地震や台風,さらには天文といった興味深いテーマが多くてとても面白いんですが).
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コメント
こんばんは、ビザ皇帝さま。
高校時代の教科の詳細を覚えてらっしゃるなんてすごいですね。現役みたいです。
私の高校時代も文系でしたが、地学は好きでした。が、やっぱり教科としてはマイナーな扱われ方でしたよ。モホロビチッチ不連続めーん。
投稿: きらめき快男児!! | 2011年9月15日 (木) 18:24
きらめき快男児!!さん
こんばんは,コメントありがとうございます.
なぜか,高校時代のカリキュラムは記憶にあります(ちなみに社会科は,理系の場合1年は地理A必修,2年は倫社必修で日本史・世界史の選択,3年は政経必修の日本史・世界史・地理Bから一個選択でした).
地学はやっぱりマイナーですね.結構面白いんですが…
モホロビチッチの不連続面,ありましたね.
自分的に印象深いのは,ジオイド&アイソスタシーです.
投稿: ビザ皇帝 | 2011年9月16日 (金) 15:14