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2011年5月21日 (土)

学会とは

 毎年5月中旬は私にとって学会シーズンなんですが,ようやく今週で一段落しました.今日は一般の方にはなじみがないであろうこの学会(特に医学関係の学会)について解説します.

 医学の世界における学会というのは,特定の分野を専門する人が自由意志で参加する団体です.特定の分野というのは非常にあいまいなものから,きわめて具体的なものまで様々です.たとえば,日本内科学会というのは内科という非常に大きな領域をひとくくりにした学会で会員数も多く,規模の大きな学会です.その一方日本頭痛学会というのもあって,これは頭痛という特定の症状を専門に扱う学会なので小規模で会員数も少ないものです.ただ,規模が小さい≠ショボイ というのも確かで,一般に新たに見出された知見なんかは広範囲な学会ではなく,より専門性の高い学会で出てくる傾向があります(たとえば日本内科学会ではこれまでに報告された知見を総合したレビューなんかが出てくることはありますが,「今回○×であることが新たにわかった」というようなものは出てきません.

 学会の参加資格ですが,医学関係の場合はやはり医師であることが必要な学会が多く,医師以外は正会員ではなく賛助会員扱いとされる場合もあります.また入会に当たっては有資格者であれば誰でも自由に参加できる学会と,当該学会の評議員の推薦が必要なケースがあります.

 学会は学術的研究が大きな目的ですから,その成果を発表する場として定期的に学術集会が開催されます.俗に「学会に行ってきます」というのは,この学術集会に行くことをさします.学術集会は一般に大きなホテルや会議施設で行われます.内容としてはまずシンポジウムや各種講演があります.シンポジウムは様々なテーマごとに,それらを専門にする偉い先生方が様々な方面から発表して,その後ディスカッションが行われるもので,その時点においてその分野の最新の知見がわかるイベントです.なので普段一般病院に勤務している人間にとっては非常に勉強になります(私も学術集会に行く際は自分が聴きたいシンポジウムを中心にして旅程を立てます).

 講演はその名の通り,いろんな先生方が自分の知見やその分野での最近のトピックなどを講演するものです.特にその年の学会長を務める先生が行う会長講演は別格で,学会場でもっとも大きなホールなどで行われ,その時間は他会場で別イベントが行われることもありません(要するに全参加者が聴講可能).まさにその先生にとっては一世一代の晴れ舞台となるわけです.その他海外の専門家を招いて行われる特別講演や,主として若い医師や普段あまり研究に携わる機会の少ない一般医を対象とする教育講演などがあります.また集会は早朝から夜まで行われるので,朝夕にはモーニングセミナー,イブニングセミナーなどと称して,サンドイッチや軽食がついた講演が,また昼食時にはお弁当がつくランチョンセミナーも開催されます(要するに,その気になれば3食学会場で食べることが可能 笑)

 その一方で,学術集会は一般の会員がそれぞれの研究成果を発表する機会でもあります.これが一般演題というもので,私なんかが発表するのも普通はこれです.一般演題には講演のように着席した聴衆を前にしゃべる口演というスタイルと,研究成果をまとめたポスターを作ってこれを決められたスペースに展示して行うポスターという形式に分けられます.よく学会に発表するというとなんかすごいことのように聞こえますが,一般演題の発表をするだけなら,会員であれば誰でも出来ます.一応事前審査はありますが,よほどとんでもない内容でない限り,事前審査で切られたという話は聞いたことがありません(学会のプログラムを見ると応募 1240題,採択 1238題などと書かれていて,私なんかは切られたその2題をぜひ見たいと思ってしまいます(笑).重要なのは学会で発表することではなく,学会で発表した内容を論文にまとめて評価の高い雑誌に載せることにあるのです.論文自身もいくつ書いたなんていうのは二の次で,自分の書いた論文がどれだけ他の論文に引用されているか(これをインパクトファクターといいます)が重要視されます.

 今学会はどこも,法人化に向けた動きが加速しています.元々学会は興味を同じくする人間の自由意志による集まりなので,その組織は結構アバウトでした.しかし近年法人化がされているのは,ひとつには専門医の取り扱いです.医師の専門分化が進む中で,その専門性を保証するのは専門医資格という事になります.ところが,専門医資格は国家資格ではありません.あくまでも各学会が認定した資格に過ぎないわけです.ですから,元々運営がアバウトな学会が認定した専門医にどれだけ信頼性があるのかという議論が当然出てくるわけです.国もこうした専門医を広告することを認めていませんでした.ただ,一方で世間的にはしっかりとした専門医資格が求められています.というわけで,学会自らが法人化して専門医認定の信頼性を確立しようという動きになったわけです(法人となれば,第三者が監査に入ったりとアバウトな運営は出来なくなります).国もこうした動きの中で一部の専門医資格については広告を許可し始めています.

 5月のそんな大きな学会が終了し,これからは小さな研究会がぽつぽつ入る時期になります.

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コメント

こんばんは、ビザ皇帝様。
なんだかハイソサエティーな世界の話で、自分とはほど遠い気がしますが、「学会とは?」分かりました。
そして、つまり、専門医の国家資格は無いという事ですね。医師は医師免許で、歯科医免許とか外科医免許は無いのでしょうかね?

投稿: きらめき快男児!! | 2011年5月24日 (火) 01:33

きらめき快男児!!さん

こんばんは.
歯科医師は国家資格で,医師とは異なる別の資格です.
人間の健康すべてを扱うように思われる医師ですが,歯の加工(歯を削ってものを詰めるとか,義歯を装着するなど)については認められておらず,これらは歯科医師の専売特許なんです.
外科専門医,内科専門医等は国家資格ではなくあくまでも学会認定のものです(ただし一部ちょっと意味合いの違うものもありますが).
なかなか一般の方にはわかりにくいですね.

投稿: ビザ皇帝 | 2011年5月24日 (火) 21:43

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